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私のような開業医レベルでは、心房細動についてはどのとうな症例をアブレーション施行のために紹介すればよいのかだけを把握していればよいことかも知れません。
冠動脈のインターベンションも同様ですが、循環器領域自体が日進月歩。
昔は禁忌であったような症例も現在では適応になっていたりします。
最新の知識、つまり現時点における病院紹介の要否を把握しておくことが患者さんのためでもあります。
アブレーションの進化
発作性AFは積極的に,慢性AFにもhybrid療法で成績向上
桜橋渡辺病院ではAFに対するアブレーションの症例数が急増しており(Monthly Data参照),井上医長らは,年間300例以上に施行している。
AFの治療において今や抗不整脈薬に次ぐセカンドチョイスとして位置付けられている。また,慢性AFに対してはアブレーションに抗不整脈薬を併用するhybrid療法を行い,治療成績の向上を図っている。
発作性には拡大肺静脈隔離術で良好な成績
1998年にHaissaguerreらにより,AFの発生トリガーとなる心房性期外収縮の90%以上が肺静脈内の心筋から発生していることが発見され,これらをターゲットとするアブレーションによりAFが根治しうることが報告された。
これを契機に,AFに対するアブレーション治療は急速に進化してきた。
当初は,肺静脈内にカテーテルを挿入して焼灼する「肺静脈内局所アブレーション法」が施行されたが,発生部位だけをピンポイントで焼灼することが難しいことから再発率が高く,また肺静脈内を焼灼するため肺静脈狭窄の合併リスクが問題であった。
そのため,4本すべての肺静脈と左房間の伝導を電気的に途絶させる「肺静脈隔離術」が考案され,4本の肺静脈を1本ずつ隔離する方法が行われた(図1)。
しかし,発作性AFで60~70%,慢性AFでは20~30%程度の成功率しか得られず,さらに肺静脈狭窄が起こりうる問題がなお残った。
その後,電気生理学的に不整脈の持続をもたらすリエントリーサーキットを形成する基質が,肺静脈と左房の接合部である肺静脈前庭部に存在し,この部位は不整脈の発生に重要であることがわかってきた。
そこで,肺静脈を一度に左右2本ずつ,それぞれ肺静脈前庭部を含むよう広範囲に焼灼する「拡大肺静脈隔離術」が行われるようになった。
さらに,リエントリーが左房天井や僧帽弁輪峡部,中隔ラインなど肺静脈以外の部位でも好発するため,拡大肺静脈隔離術においてAFが持続あるいは誘発されれば,左房アブレーションとして線状焼灼(図2)あるいはCFAE(Complex fractionated atrial electrogram)を指標とした左右心房焼灼術が追加されている。
現在,AFに対するアブレーションはこの拡大肺静脈隔離術が主流であり,発作性AFでは再発例にアブレーションを再施行することで90%以上の成功率が得られている。
井上医長は「発作性AFでは拡大肺静脈隔離術により根治治療できることが多いが,慢性AFでは再発をいかに少なくするかが今後の課題であり,線状焼灼やCFAEはその戦略の1つ」と話す。
慢性AFはhybrid療法で洞調律維持
井上医長らは,慢性AFに対してアブレーションだけでは再発が多いため,抗不整脈薬を併用するhybrid療法を行っている。
電気的リモデリングをリバースする作用があるベプリジルの低用量投与を併用し,高率に洞調律化が期待できるという。ただ,ベプリジルは心室性不整脈や徐脈を合併することがあるため使用には注意を要するという。
このhybrid療法を施行した慢性AF患者連続50例を対象に,同医長らが平均21か月間追跡したところ,48例(96%)で洞調律維持が可能であった。
しかし一方,洞調律が維持され頻脈発作も起こらなかった38例のうち28例でベプリジル投与を中止したところ,9例で頻脈発作が再発したことから,ベプリジルの中止は慎重にすべきことも浮き彫りとなった。
アブレーション後の薬物療法については,発作性AF例では抗不整脈薬を中止し,慢性AF例では継続したまま半年程度経過を観察し,再発しなければ減量していく。
再発した場合は再度アブレーションを試みるか,抗不整脈薬を投与するかの選択肢があるが,多くの症例がアブレーションを選択している。以前効果がなかった薬剤でもアブレーション後に効果が認められる場合もあるという。
血栓塞栓症,特に脳梗塞予防のためのワルファリン投与に関しては,施設により異なるが,同院では基本的にはアブレーション当日から投与を再開している。
薬物療法無効例が第一の適応,課題は手技の難しさ
アブレーションは,現状では洞調律を維持してQOLを改善する治療法と考えられており,適応については,ガイドラインで「薬物療法により症状をコントロールできない場合や副作用などで薬物が使用できない場合の発作性AF」がクラスII aとなっており,2,3種類の抗不整脈薬を試みて効果がなければアブレーションが勧められている。
同院では,AFにより心機能がさらに低下した「心機能不全患者」,パイロットやアスリートなど「症状のために社会的に不利益を被る患者」,特に「50歳未満」では積極的に勧められることが多いという。
さらに,ワルファリン投与にもかかわらず血栓塞栓症を発症した患者に対しても,脳梗塞リスクを軽減するために考慮されるという。
一方,重症弁膜症などで左房径が50mm以上の症例では,効果が低く,今後の課題となっている。
アブレーションの問題点として,重症合併症が0.5?1%の頻度で起こることが挙げられる。
左房のなかで操作するため,血栓塞栓症のリスクがある。特に,脳梗塞の発生が問題である。
このため,治療前日には経食道エコーを行い,心房内に血栓がないことを確認するとともに,術中はヘパリンを十分に投与し,ACTを300秒程度にコントロールしている。
また,出血性合併症として心タンポナーデがある。この場合,心嚢穿刺あるいは外科的に止血が必要となりうる。
さらに,左房・食道瘻の発生が危惧されている。
左房の後側を走る食道を傷つけてしまうために起こり,海外では死亡例が報告されているが,食道と接する部位を避けて通電したり,通電エネルギーを調節したりすることで予防が可能である。
手技の難易度が高いことも普及の壁となっている。高度の経験と技術が必要であり,施行できる施設も限られているが,さらに施設間・術者間で治療成績に大きな差が見られるのが現状だ。
しかし,「AFの根治を目指せるのは,現状ではアブレーションだけ」と井上医長は指摘し,「局所麻酔で行え,手技を獲得すれば2~3時間で行えることから,薬物療法と並んでAFの重要な治療法として位置付けることができる」とその重要性も強調している。
出典 Medical Tribune 2008.12.25
版権 メディカル・トリビューン社
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(3)」2008.12.11~ http://wellfrog3.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~ http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科医向き)
があります。
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