戯れ言たれる侏儒
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< 心不全へのhANP投与とアディポネクチン... | メイン | 肥満・糖尿病合併高血圧症とカルベジロール... >

高血圧では心不全リスクが2倍になるといわれています。
βブロッカーは心不全の効果的な治療薬であることから、βブロッカーは他の降圧剤よりも心不全予防効果が優れているかもしれないと考える人がいます。
きょうはそのあたりについて勉強しました。


高血圧患者の心不全予防にβ遮断薬?
β-Blockers to Prevent Heart Failure in Hypertensive Patients?

心不全は高血圧性心疾患の重大な合併症であり、臨床的心不全の患者の治療にはしばしばβ遮断薬が用いられる。
しかし、高血圧患者において、β遮断薬は新規発症の心不全に対して他のクラスの降圧薬と同等の保護をもたらすだろうか?
β遮断薬を降圧薬の第一選択薬として評価した12件のランダム化試験(患者数112,000人超;各試験には、新たに発症した心不全に関する1年以上のフォローアップのデータが報告されている)を対象に、メタアナリシスを行った。

プラセボ対照試験では、β遮断薬により血圧および心不全の新規発症率の両方が低下した。
比較研究では、β遮断薬の利益は他の薬剤(利尿薬、アンジオテンシン変換酵素(angiotensin-converting?enzyme:ACE)阻害薬、カルシウムチャネル遮断薬)にみられた利益と同等であった。
副次的評価項目である脳卒中の発症率の解析では、結果の相違が明らかとなった。
若年患者(60歳未満)では、β遮断薬は他の薬剤と比べて脳卒中のリスクの有意な(22%)低下をもたらしたが、それより高齢の患者では有意に高いリスクを伴っていた(相対リスク1.19)。
著者は、心不全の一次予防は十分な血圧の低下に依存し、β遮断薬の心不全の予防効果は他の薬剤と同等であると結論付けた。
しかし、高齢患者における脳卒中のデータを考慮し、高血圧患者の心不全予防のための第一選択薬としてはβ遮断薬を使用しないように忠告している。

コメント:
この解析では、β遮断薬は血圧および心不全の新規発症率の低下に関して他の薬剤と同等に有効であったが、若年患者と高齢患者における脳卒中に対する影響の差は、折り合いをつけるのが困難である。
著者とエディトリアル執筆者は、メタアナリシス固有の限界のほかに、いずれの試験でも心不全が主要評価項目とされなかったこと、心不全の定義が多様であったことを指摘している。
エディトリアル執筆者は、高血圧患者、とくに既存の心疾患がある患者では、β遮断薬が心不全の一次予防として用いられうる薬剤クラスの選択肢であり続けることを示唆し、また、薬剤間の差は、不十分な治療の影響とくらべると小さなものであることも指摘している。
十分な治療を受けているのは高血圧患者の約半数にすぎないことを、さまざまな研究が示唆している。

Kirsten E. Fleischmann, MD, MPH
Published in Journal Watch General Medicine November 26, 2008

Citation(s):
Bangalore S et al. Beta-blockers for primary prevention of heart failure in patients with hypertension: Insights from a meta-analysis. J Am Coll Cardiol 2008 Sep 23; 52:1062.
Original article (Subscription may be required)

Fowler MB. Hypertension, heart failure, and beta-adrenergic blocking drugs. J Am Coll Cardiol 2008 Sep 23; 52:1073.
Original article (Subscription may be required)

http://www.nankodo.co.jp/JWJ/archive/JW08-1125-05.html

2008 November 25

 

<関連サイト>
高血圧から慢性心不全までの大規模介入試験からみたβ遮断薬の評価
http://www.lifescience.jp/ebm/sa/2008/0801/index.html
(築山久一郎先生がまとめられた素晴らしい内容です)

 

高血圧から心不全への進展をいかに遅らせるか
http://cvd.jp/area_em/01sapporo2/p4.html

 

Should β blockers remain first choice in the treatment of primary hypertension? A meta-analysis
The Lancet, Volume 366, Issue 9496, Pages 1545 - 1553, 29 October 2005
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(05)67573-3/fulltext
In comparison with other antihypertensive drugs, the effect of β blockers is less than optimum, with a raised risk of stroke. Hence, we believe that β blockers should not remain first choice in the treatment of primary hypertension and should not be used as reference drugs in future randomised controlled trials of hypertension.

 

Beta-blockers for primary prevention of heart failure in patients with hypertension insights from a meta-analysis.
J Am Coll Cardiol. 2008 Sep 23;52(13):1073-5.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18848139?ordinalpos=1&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DiscoveryPanel.Pubmed_RVAbstractPlus
In hypertensive patients, primary prevention of HF is strongly dependent on blood pressure reduction. When compared with other antihypertensive agents, there was similar but no incremental benefit of BBs for the prevention of HF. However, given the increased risk of stroke in the elderly, BBs should not be considered as first-line agents for prevention of HF.

 

<番外編>

合併症を伴わない高血圧にはβ遮断薬より他の薬物が勝る
Other Drugs Outperform β-Blockers in Uncomplicated Hypertension
β遮断薬は、心筋梗塞、狭心症、頻拍性不整脈、心不全の患者にとって明らかに有益である。
β遮断薬は、合併症を伴わない高血圧の治療に広く推奨され、よく使用されているが、この比較的健康な集団での冠動脈性心疾患の予防効果については議論があり、いくつかの最近の研究結果から、この目的では他の薬物がβ遮断薬より優れていることが示唆された。
2005年9月に公表されたASCOT-BPLA(Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trial- Blood Pressure Lowering Arm)試験で、研究者らは、複数の心臓疾患のリスクファクターを有するが過去に顕性の冠動脈心疾患を起こしたことのない高血圧患者ほぼ20,000人について、β遮断薬atenolol(必要であれば利尿薬を最初に追加)とカルシウム拮抗薬amlodipine(必要であれば最初にアンジオテンシン変換酵素[angiotensin-converting-enzyme:ACE]阻害薬を追加)を比較した。
主要エンドポイントである心臓死と非致死的心筋梗塞は、amlodipine群でより少なかった。
この結果は統計的に有意ではなかったが、それはおそらく予想外に多くの患者が血管再生を受け、エンドポイントを回避したためであろう。
大部分の二次エンドポイント(たとえば、有害な冠動脈イベント、心血管系の死亡率、すべての原因による死亡率、脳卒中)は、amlodipine群で有意に少なかった。
この結果は、amlodipine群で平均血圧の低下がわずかに大きいということが交絡した。
amlodipine-ACE阻害薬群でより良いアウトカムとなった原因が、単に血圧低下がより大きいためであるのか(それとも薬物自体の他の特性によるものなのか)、著者らとエディトリアル執筆者では、意見が一致していなかった(日本語版 Journal Watch Oct 21 2005)。

1ヵ月後に、研究者らは、本態性高血圧患者でβ遮断薬を他の薬物または無治療と比較した20件の試験のメタアナリシスを公表した。
他の薬物と比較した13件の試験では、脳卒中の相対リスクがβ遮断薬で16%高く、すべての原因による死亡率または心筋梗塞発生率には有意差はみられなかった。
7件のプラセボ群または無治療群との比較では、脳卒中のリスクがβ遮断薬群で19%低く(これはβ遮断薬と利尿薬を使用した他の試験でみられた脳卒中リスクの低下の約半分)、β遮断薬群の患者は、心筋梗塞またはすべての原因による死亡率の有意な減少を示さなかった(日本語版 Journal Watch Dec 9 2005)。

これらの研究の著者らとエディトリアル執筆者は、合併症を伴わない高血圧の第一選択の療法としてβ遮断薬を推奨するガイドラインを再考するべきであると示唆している。しかし、将来の高血圧ガイドラインにおける位置付けに関係なく、β遮断薬は、心臓病が確立した患者治療に重要な役割を保ち続けるであろう。

Bruce Soloway, MD
Published in Journal Watch December 30, 2005
http://ds-pharma.jp/medical/gakujutsu/jwtopstory/2005/top05-05.html

 

他に

ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(3)」2008.12.11~
http://wellfrog3.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~
http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
(内科医向き)

があります。

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