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薬剤溶出ステントで生じる問題を回避できる新タイプのステント
新世代型のステントによって、従来の薬剤溶出ステント(DES)にみられた遅発性の問題を回避できる可能性のあることが2つの研究で示され、米ニューオーリーンズで開催された米国心臓協会(AHA)年次集会で発表された。
ステントは、狭窄した動脈を再開通させる血管形成術に利用される器具。
最初にベアメタルステント(第一世代)が導入されたが、再狭窄を生じることが多かった。
次に、血管の再狭窄を予防する徐放性の薬剤でコーティング(被覆)された薬剤溶出ステント(第二世代)が登場したが、遅発性ステント血栓症などの問題がみられた。
今回の新しいステントは第三世代で、「内皮前駆細胞(EPC)捕捉ステント」と呼ばれるもの。
動脈壁内側の内皮前駆細胞がステントを覆うことを促す抗体でコーティングされており、治癒の速度を上げ、動脈を長期間開通させておくことができるという。
第1の研究は、ドイツ、Mulle病院(ミュンヘン)の研究グループによるもので、患者1,640人(平均約63歳)のEPC捕捉ステントでの治療データを示したもの。
患者の4分の1が糖尿病で、3分の2が高血圧、4分の1が現在喫煙をしており、3分の1以上が過去に心臓発作を起こしていた。
被験者のほぼ74%がステント留置前にスタチン系薬剤を投与された。
コレステロール低下薬であるスタチンは、血液中の内皮前駆細胞数を増加させる働きがある。
ステント留置1年後の時点で、被験者のうちステント血栓症がみられたのはわずか1%で、同じ動脈の血管再生術を要した患者は5.4%、カテーテル治療を受けたのは5.1%であった。
心臓発作、予期せぬバイパス手術、死亡などの心イベントが発生したのは9%超、心臓原因死は2%超で、このうち1.8%が心臓発作であった。
第2の研究はオランダ、アムステルダム大学アカデミックメディカルセンターによるもので、患者236人(平均65歳)を対象にEPCステントによる治療を実施した。
3人(1.3%)がステント血栓症を発症し、10.2%が同じ血管の血管再生術を再度必要とした。
約14%に重篤な心イベントが発生し(心臓発作は全体の2.5%)、3%が死亡、このうち0.8%が心臓原因死であった。
この数字は薬剤溶出ステントと同等またはそれより優良なものであるという。
米レノックスヒルLenox Hill病院(ニューヨーク)のKirk Garratt博士は「標的病変部血行再生術(TLR)の施行率が糖尿病患者でも約5%というのは、少なくとも薬剤溶出ステントと同程度の低さ」と述べ、新ステントの利益に大きな期待を示すとともに、その安全性についても高く評価している。
http://www.drakahige.com/NEWS/DAILY/2008/2008112503.shtml
出典 HealthDay News 2008.11.11
<コメント>
最近、東北大学の下川宏明教授の講演を聴く機会がありました。
その中でDESがvasomotor functionを障害する可能性があるというお話がありました。
内容が十分理解できませんでしたが、ステント挿入部位の直近のdistalとproxymalの血管内皮障害がおこりスパスムスが起きやすくなると理解しました。
「冠攣縮性狭心症の最近の知見」と題されたこの講演会の内容は、後日アップさせていただく予定です。