戯れ言たれる侏儒
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I-PRESERVE

戯れ言たれる侏儒 / 2008.12.10 00:00 / 推薦数 : 0

左室機能保持心不全   ARB上乗せによる予後改善認めず

ジョージタウン大学(ワシントン)のPeter E. Carson准教授らは,左室機能の保持された心不全患者4,128例を対象に,通常治療へのアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)イルベサルタンの上乗せによる予後改善効果をプラセボ対照で検討した二重盲検試験I-PRESERVEを実施。
1次評価項目の「死亡+心血管疾患による入院」は,両群に有意差がなかったと報告した。

拡張不全の治療法確立が課題
心不全患者の半数近くが左室機能の保持された,いわゆる拡張不全患者であり,高齢者や女性に多く,高血圧の合併が多いことなどがわかってきたが,患者の転帰を改善する治療法はいまだ確立されていない。
 
Carson准教授らは,現在心不全の症状を伴い,左室駆出率(LVEF)45%以上,60歳以上で,過去6か月以内に入院していた場合はニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類II~IV度,入院がない場合は同III~IV度と確定診断された患者を対象とし,
(1)プラセボ群2,061例
(2)イルベサルタン群2,067例
―の2群にランダムに割り付けた。
イルベサルタンは75mg/日で投与を開始し,1~2週間ごとに300mg/日まで漸増した(平均275mg/日)。
 
対象の平均年齢は72歳,75歳以上が35%,女性が60%を占め,NY HA分類はII度21~22%,III度76~77%,IV度3%で,88%が高血圧を合併,23%が心筋梗塞の既往を伴い,LVEFは59%であった。
併用薬は利尿薬83%,Ca拮抗薬40%,スピロノラクトン15%,ACE阻害薬25%,β遮断薬59%などを服用していた。
 
平均49.5か月の追跡の結果,1次評価項目の「死亡+事前に設定された心血管疾患(心不全,心筋梗塞,不安定狭心症,脳卒中,心室性/心房性不整脈)による入院」は,プラセボ群763例(105.4/1,000人・年),イルベサルタン群742例(100.4/1,000人・年)と,両群に有意差は認められなかった〔ハザード比(HR)0.95〕。
 
2次評価項目の死亡(HR 1.00),心血管死(HR 1.01),心不全死+心不全による入院(HR 0.96),心血管死+心筋梗塞+脳卒中(HR 0.99)についても有意差は見られず,両群で同等であった。
 
安全性については,低血圧,腎障害,高カリウム血症など重篤な有害事象の発生率は両群に有意差はなかった。
 
今回の結果は,左室機能の保持された心不全患者において,有意な予後改善を示せなかった点でARBカンデサルタンを用いたCHARM-Pre- served,ACE阻害薬ペリンドプリルを用いたPEP-CHFと共通する。
同准教授は,発表当日N Engl J Med電子版に掲載された論文中で,追跡中にACE阻害薬,スピロノラクトンの併用がそれぞれ20%,10%高率に増したことが影響した可能性や,収縮不全と異なりレニン・アンジオテンシン(RA)系ブロックのターゲットとなる病態生理学的な基質が乏しい可能性などを指摘している。
 
指定討論者でメイヨー・クリニック(ミネソタ州ロチェスター)のMaggie Redfield氏は,I-PRESERVE,CHARM-Preserved,PEP-CHFの3試験からは,RA系阻害薬を血圧コントロールのために使用することは理にかなっているが,血圧が良好にコントロールされている場合に追加することを強く支持する結果はもたらされなかったとし,ALLHATでは利尿薬クロルタリドンがACE阻害薬リシノプリルよりも左室機能保持心不全の発症を27%有意に抑制した成績を紹介した。

 

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=I-PRESERVE&perpage=0&order=0&page=0&id=M41490121&year=2008&type=allround

出典 Medical Tribune 2008.12.4
版権 メディカル・トリビューン社

 

<自遊時間>
先週の講演会については

LDL-C低下療法では「HDL-C同時上昇」を目指す
http://blog.m3.com/reed/20081207

での<自遊時間>で書かせていただきました。

質疑応答の時間で私は、「頚動脈エコーで、総頸動脈から球部への移行部がプラークの好発部位であるのは先生のNOの話だけでは説明がつかないように思うのですが。動脈硬化がdiffuseでなくsegmentalに起こり、しかも好発部位が存在するのはレオロジーで説明されるものでしょうか。常日頃そのトリガーについて知りたいと思ってきました。」といった内容でした。
その質問に対する答えは、「頚動脈の病変の測定法にはいろいろあって定まった方法が現在のところない。頚動脈病変があるからといって冠動脈や脳に動脈硬化病変があるわけではない」といった内容のものでした。
あれっ、全然答えになっていない!
この教授は研究室での後輩に当たります。
したがってこの時ばかりは、よほど「質問の内容とお答えが違いますが」と言おうとしましたが思い留まりました。

私はどうやら質問の仕方が下手みたいで、質問の内容の大半は意図とは違う答えが返ってきます。
質問者、回答者のどちらも、ある程度舞い上がっているのは多くの聴衆を前にして仕方ありません。

そういった頓珍漢な答えが返って来た時、私は再度質問することはありません。
他の質問者の質問時間を使ってしまうという遠慮と、大概答えられないような質問をしてしまっているからです。

 

 


<追加 2008.12.23>
心収縮機能が保持された心不全の管理:またも期待に添えない結果
Managing Heart Failure with Preserved Systolic Function: Another Disappointment
左室の収縮機能が正常かそれに近い心不全患者に対する有効な治療を探る試みは、これまでよい結果を得ることができなかった。アンギオテンシン受容体拮抗薬であるirbesartanが、こうした集団において死亡率と心血管系疾患の発症率を減少させるかどうかを検討するため、業界の支援のもと、国際研究であるIrbesartan in Heart Failure with Preserved Ejection Fraction Study(I-PRESERVE)が行われた。
60歳以上で左室駆出率45%以上の心不全患者4,128人が登録された。
プラセボによる導入期間の後、参加者はirbesartan群またはプラセボ群にランダム化された。
用量は初期の75mg/日から、耐用性のある限り段階的に300mg/日まで増量された。
主要アウトカムは死亡(死因は問わない)または心血管イベントによる最初の入院までの期間であった。

主要アウトカムとされたイベントは、irbesartan群の36%、プラセボ群の37%で発生した。
1000患者・年に対する評価対象イベントの発症率は、irbesartan群で100.4、プラセボ群で105.6であった(P=0.35)。
評価したサブグループのすべてにおいて、利益は認められなかった。
血清クレアチニン値の倍化が1回以上測定された患者の割合は、irbesartan群のほうがプラセボ群よりも大きかった(6%対4%、P<0.001)。

コメント:
この所見から、irbesartanも、心収縮機能が保持された心不全患者のアウトカムを改善しえなかった薬物治療戦略のリストに名を連ねることとなる。
現在のところ、こうした患者に対するアンギオテンシン受容体拮抗薬の適用はない。
— Harlan M. Krumholz, MD, SM
Published in Journal Watch Cardiology November 12, 2008
http://www.nankodo.co.jp/JWJ/archive/JW08-1120-07.html
2008 November 20

Citation(s):
Massie BM et al. for the I-PRESERVE Investigators. Irbesartan in patients with heart failure and preserved ejection fraction.
NEJM 359:2456-2467 December 4, 2008 Number 23

http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/359/23/2456


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