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< 脂質管理・新たな臨床指標の有用性 | メイン | LDL-C低下療法では「HDL-C同時上... >
茨城キリスト教大学生活科学部食物健康科学科教授 板倉 弘重先生へのインタビュー記事で勉強しました。
スタチン10年間投与の「J-LIT Extention 10」試験
安全性・有効性を日本人で証明
日本人のコレステロール管理の基盤となったJ-LIT試験について、さらに4年間観察を続け、計10年間のデータをまとめた「J-LIT Extention 10」がこの8月、日本循環器学会発行のサーキュレーション・ジャーナル誌に発表された。
これまでの報告をさらに裏付ける結果となり、「冠動脈イベントの抑制には血清LDLコレステロール値を140mg/dL未満に下げ、可能な限り低値を維持する」という方向性をあらためて示した。
板倉氏
J-LIT(Japan Lipid Inter-vention Trial)は5万1321人を対象に低用量のシンバスタチン(5~10mg/日)による治療を6年間追跡したコホート研究で、2002年に結果が報告されています。
さらに同意を得られた1万9905人を対象にその後4年間の追跡を実施し、合計10年間の結果をまとめた研究がJ-LIT Extention 10です。
スタチンによるコレステロール低下療法は長期間継続されますので、長期の安全性・有効性を証明することには大きな意味があります。
J-LITでも6年間の安全性・有効性が確認されていますが、10年間に及ぶ長期の安全性・有効性が確認されたことは、動脈硬化性疾患の1次予防・2次予防を考える上で大変有意義だと考えています。
~ 長期投与では副作用の増加が懸念されましたが ~
板倉氏
J-LIT Extention 10はJ-LITと比べて副作用や有害事象が増えることはありませんでした。
肝機能障害の発現が投与開始後1年間くらいにみられましたが、それ以降は増えることはありませんでした。
J-LIT Extention 10の期間中も有害事象の増加はなく、J-LITの後半のデータとほぼ同等のレベルが維持されました。
~ LDLコレステロール(LDL-C)低下作用はいかがですか ~
板倉氏
LDL-C値は、J-LITの6年間とJ-LIT Extention 10の10年間を比較すると、それぞれ28.9%減、30.6%減で同等の効果が維持されていました。
一方、HDLコレステロール(HDL-C)値はJ-LITでも若干上昇する傾向がありましたが、J-LIT Extention 10になってからもHDL-Cの継続的な上昇が見られました(図1・2)。
HDL-C値はスタチン投与によって上昇した後に一定の値を維持するのではなく、継続的に上昇していることが確認できました。
原因は定かではありませんが、LDL-C低下作用以外に、体内の脂質代謝に何らかの影響をスタチンが与えていると考えられます。
~ 1次評価項目の冠動脈疾患(CHD)イベントの発生状況は ~
板倉氏
CHDイベントの発症は1次予防コホートでは0.90/1000人・年で、2次予防では3.99/1000人・年です。
J-LIT Extention 10になってからの有意な増減はなく、脂質レベルに合わせてイベント抑制効果は維持されていました。
動脈硬化性疾患を予防するには、継続してLDL-C値を低く抑えるとともに、HDL-C値は高く維持することが重要です。
低コレステロール療法によって一時的にLDL-C値が下がったからといって治療をやめるのではなく、やはりLDL-C値は継続して低く保つ方が動脈硬化抑制効果があるということです。
~ 「the lower, the better(コレステロールは低ければ低いほどよい)」とされていますが ~
板倉氏
J-LIT Extention 10は統計的な対象者数(/1000人・年)がJ-LITよりも増えたことにより、より確かなデータが示されました。
LDL-C値が低いほどイベントを抑制する傾向がありますが、イベント発生率は120mg/dL未満ではほぼ横ばいとなり、120mg/dLまでは若干イベントを抑制しましたが、有意差はありません。
総コレステロール(TC)値でみると、240mg/dL未満でのイベント発生率は変わらないので、日本人のTC値では「the lower, the better」が証明されたとはいえません。
TC値が低いグループは、「LDL-C値が低い」と同時に「HDL-C値が低い」ことも加味されます。
J-LIT Extention 10により「HDL-C値が低いとイベント発生率が高くなる」ということがより明確になったといえるでしょう。
TCが低下した場合に、栄養障害や肝機能障害、がんなどの潜在的変化を見落とさないことも重要です。
HDL-C値が下がった場合も、何らかの異常が発生した可能性があるので食事や運動、ライフスタイルの見直しを行うことが必要です。
~ LDL-Cの基準値は140mg/dLとされています ~
板倉氏
今回の1次予防コホートでは、LDL-C値が基準値の140mg/dLを超えると、100mg/dL未満の人に比べてイベント発生率が上昇することがあらためて確認されました。
また、J-LITでは糖尿病や高血圧などが動脈硬化のリスクになることを示しましたが、同様にJ-LIT Extention 10でもリスクを持っているとイベントが発生しやすいことが確認されました。
動脈硬化性疾患予防ガイドラインではリスクを層別化し、治療目標を設定していますが、今回のJ-LIT Extention 10の結果からも、それが間違いではなかったことが証明されました。
GLにあるようにリスクに応じた目標を立て、その目標を目安に治療レベルを決定することが重要です。
ただし、目標よりもさらに下がった場合には、個々の患者の治療薬に対する感受性や代謝特性にも目を向ける必要があります。
~ 「欧米人」との治療戦略に違いはありますか ~
板倉氏
日本人は、欧米人と同等の効果を低用量のスタチンで得られることが1つの特徴です。
欧米の用量は日本の処方されている用量よりも多いので、高用量で得られた研究結果をどこまで日本人に当てはめることができるかは検討が必要でしょう。
出典 Japan Medicine 2008.11.28
版権 じほう社
<関連サイト>
J-LIT
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2002370.html
わが国で行われた最も大規模な脂質介入型のコホート研究である。
すべての高脂血症患者に低用量のシンバスタチンを用いて治療効果を観察しており,低用量で十分LDL-C低下効果があることが示された。
対照群がないため,イベント抑制に関する有効性を論ずることはできないが,実地の医療の中で,どの程度まで治療することがイベント抑制に有効であるかという判断に寄与したという点で評価できる。
本結果の一部が動脈硬化性疾患診療ガイドラインの治療目標値決定の参考にされた。
本結果のもう一つの成果は,危険因子の重なりがきわめて重要であるという情報を発信したことがあり,これもガイドライン作成の参考にされている。様々な限界はあるとしてもわが国の現状を知る上で重要な情報源となっている。
(J-LITに対する寺本先生のコメントです)
「J-LIT Extension 10」 万有製薬
http://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2008/product_news_0729.html
解析結果
主としてシンバスタチン5mgの投与により治療開始6カ月後の血清脂質値は総コレステロール(TC) 220mg/dLおよびLDL-C 135mg/dL、6年後と10年後はそれぞれ、TC217mg/dL、215mg/dLおよびLDL-C 129mg/dL、126mg/dLと良好にコントロールされた。
J-LIT追跡期間(6年間)全体での副作用発現頻度は3.3%、更に4年間のフォローアップをした10年後の発現頻度は1.5%であった。
横紋筋融解症は10年間認められなかった。
主としてシンバスタチン5mgを10年間投与した主要冠動脈イベント(1次予防)の発症頻度は、0.90/1,000人・年[2]で、J-LITとJ-LIT Extension 10との間で違いは見られなかった。
主としてシンバスタチン5mgを10年間投与した主要冠動脈イベント(1次予防)の発症頻度は、TC240mg/dL以上、LDL-C140mg/dL以上、トリグリセライド300mg/dL以上で有意に高く、また、HDL-コレステロール40未満で有意に高かった。
結論
日本人の高コレステロール血症患者を対象にシンバスタチン5~10mg/日を10年間投与した長期における安全性、有用性が証明された。
冠動脈疾患リスク低下のためにはLDL-Cを140mg/dL未満にコントロールし、長期間継続投与することの重要性が示された。
高脂血症治療薬シンバスタチン 10年間の大規模臨床研究 http://kumanichi.com/iryou/kiji/heart/140.html
<きょうの格言>
寒さにふるえた者ほど太陽を暖かく感じる。人生の悩みをくぐった者ほど生命の尊さを知る。(ホイットマン )
<自遊時間>
昨日、インフルエンザの予防接種に妙齢の女性が来院しました。
新患だったのでついカルテの保険証を見ました。
某国立大学の保険証でした。
どんな話の流れだったかは忘れましたが、医学部の某教授秘書とわかりました。
私がこの大学での在局時代は、このポストはすごい人気で新聞に3行広告を出すと50人ぐらいの応募があり、医局員の誰が面接官をするかと話題になったものでした。
たしかくじ引きで決めたように覚えています。
(最近の裁判員とは逆です)
今や独立法人ということで給与の支給も明白にするため正式職員としての採用になっているとのことでした。
たまたま子供が在学中で、その教授がダンディーで素敵な先生であることを聞いていました。
そこで、その旨を彼女に話したら、返ってきた言葉は「・・・」でした。
<ことわざ>
近くにあるものは軽んじられる
No man is a hero to his valet.
(召し使いに対し英雄であるものはいない)
(所の神はありがたくない)
A prophet is not without honor, save in his own country (and in his own house).
(予言者が尊敬されるのは、自分の国や郷里以外である)
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~
http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
があります。
コメント
コメント一覧
いよいよ師走ですね・・・・・。
何となく侘しい季節ですね。
私たちの人生は多くの苦しみ、悲しみや試練に満ちていますね。
私たちは、「人生にどうして、こんなに辛いことが多くあるのだろか」との疑問を持ち、また嘆くことがあります。
しかし、
「寒さに震えた者ほど、太陽の暖かさを知る。人生の悩みをくぐった者ほど、生命の尊さを知る。」とは、詩人のホイットマンが言っています。
病床に伏している時は、人生のすべてが暗く思われ、悲観的になりやすいものですね。しかし、朝の来ない夜はなく、春の来ない冬もありません。
また、止まない雨もありませんし、出口のないトンネルもないのです。
神が与える試練には、必ず意味があるのですね。
私が3年間ほど書き綴ったブログがあります(↓)。
http://blog.goo.ne.jp/goo1639/
私のブログから:カテゴリー「人生の試練と逆境」
http://blog.goo.ne.jp/goo1639/c/a907d36d90351cd1de2bc73773a93709
日本人の、特にリスクのない方でLDL-C 140mg/dl以下で効果ありというのは現在の動脈硬化学会のガイドラインが的外れではないことを実証するものと思います。
コメントありがとうございました。
コメントありがとうございました。
たしかにLDL-Cは高いより低い方がいいと思います。
多くの先生方もそうでしょうがHDL-Cの扱いが気になります。
周知のようにLDL-CよりHDL-Cの方が冠動脈疾患との相関が大きいという報告が数多くあります。
HDL-Cは薬剤介入がしにくいためか、いつも日陰者扱いされているように思います。
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