戯れ言たれる侏儒
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hsCRP関連 2題

戯れ言たれる侏儒 / 2008.11.29 00:12 / 推薦数 : 0

C反応性蛋白値が上昇した男女の血管イベント予防におけるロスバスタチン投与

炎症バイオマーカーである高感度 C反応性蛋白(CRP)の上昇により,心血管イベントを予測することが可能である。
スタチンはコレステロールとともに CRP を低下させることから,われわれは,高感度 CRP が上昇しているが高脂血症を伴わない人も,スタチン投与により利益が得られるという仮説を立てた。

方 法
低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールが130mg/dL(3.4 mmol/L)未満で,高感度 CRPが2.0 mg/L以上の一見健康な男女 17,802 例を,ロスバスタチン20mg/日投与群とプラセボ投与群に無作為に割り付けた。
複合主要エンドポイントを,心筋梗塞,脳卒中,動脈血行再建,不安定狭心症による入院,心血管死亡とし,その発生について追跡した。

結 果
試験は追跡期間中央値 1.9 年(最長 5.0 年)後に中止された。ロスバスタチン投与により,LDL コレステロールは 50%,高感度 CRP は 37%低下した。

中略

評価した全サブグループで効果は一貫して認められた。ロスバスタチン群ではミオパチーおよび癌の有意な増加は認められなかったが,医師の報告による糖尿病の発症率が高かった。

結 論
高脂血症を有しないが高感度 CRP の上昇した一見健康な人を対象としたこの試験では,ロスバスタチン投与により,主要心血管イベントの発生率が有意に低下した。

本論文(10.1056/NEJMoa0807646)は,2008 年11月 9日に www.nejm.org で発表された.
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/359/359nov/xf359-21-2195.htm
(N Engl J Med 2008; 359 : 2195 - 207 : Original Article)
Rosuvastatin to Prevent Vascular Events in Men and Women with Elevated C-Reactive Protein
http://content.nejm.org/cgi/content/short/359/21/2195

 

C反応性蛋白の遺伝的な増加と虚血性血管障害

Genetically Elevated C-Reactive Protein and Ischemic Vascular Disease
J. Zacho and others

背 景
C 反応性蛋白(CRP)値の上昇は,虚血性心疾患と虚血性脳血管障害のリスク増加と関連している。
この関連に因果関係があるかどうかを検討した.

方 法
虚血性心疾患を発症した 1,786 例と,虚血性脳血管障害を発症した 741 例を含む,一般集団コホートの 10,276 例について検討した。
また,一般集団を対象とした別の横断的研究の,虚血性心疾患を発症した 2,521 例,虚血性脳血管障害を発症した 1,483 例を含む 31,992 例についても検討した。
最終的に,虚血性心疾患を有する患者 2,238 例と対照被験者 4,474 例,虚血性脳血管障害を有する患者 612 例と対照被験者 1,224 例を比較した.高感度 CRP 値を測定し,4 つの CRP 遺伝子多型と,2 つのアポリポ蛋白 E 遺伝子多型の遺伝子型を決定した。

結 果
CRP 値が 3 mg/L を超える被験者では,CRP 値が 1 mg/L 未満の被験者と比較して,虚血性心疾患のリスクが 1.6 倍,虚血性脳血管障害のリスクが 1.3 倍増加した。
4 つの CRP 遺伝子多型の遺伝子型の組合せによって CRP 値に最大 64%の上昇がみられたことから,理論上は虚血性心疾患リスクが最大 32%,虚血性脳血管障害リスクが最大 25%増加すると予測された。
しかし,これらの遺伝子型の組合せは,虚血性血管障害のリスク増加とは関連していなかった。
これに対し,アポリポ蛋白 E 遺伝子型は,コレステロール値の上昇と虚血性心疾患リスク増加の双方と関連していた。

結 論
CRP 遺伝子多型は CRP 値の著しい上昇と関連しているため,理論上は虚血性血管障害リスクが増加すると予測された。
しかし,これらの遺伝子多型は,それ自体は虚血性血管障害のリスク増加と関連していない。
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/359/359oct/xf359-18-1897.htm

Genetically Elevated C-Reactive Protein and Ischemic Vascular Disease
http://content.nejm

 

<番外編>
この前の連休に「テルミサルタン」の講演会(東京)に出席したお話はすでにしました。
先生方も経験がおありのことと思いますが、懇親会で知り合いの先生にも逢わずに黙々と飲食するのは寂しいものです。
そんな中、以前から知っている先生にお逢いできひとしきり診療の話で盛り上がりました。
一つはCTA(64列マルチスライス)の隆盛でスパスムスの診断がおろそかになっているのではないかということ。
そしてもう一つは、高感度CRPのことです。
興味深かったのは「コンベンショナルな(?)CRPでも結構参考になるよ」という話でした。
その先生は、勤務医時代には循環器領域の権威としてバリバリとインターベンションをやっておられて、最近開業された偉い先生です。
「急性気管支炎などの病名をつけることを忘れないように」という、ご丁寧なアドバイスまでいただきました。
聞いた時は、早速やってみようと思ってはいたのでしたが、何せ酔いが回っていて、このブログを書いていてそのことを思い出しました。
何せ千人余が集まった懇親会場で、気がついたらわれわれ二人になっていました。
当日会場に出席された先生方もおみえになるかと思いますが、最後の二人のうちの一人が私です。


<CRP 関連サイト>
CRP
http://www.jrcla.or.jp/atoz/rexm/rexm_03_02.html
CRPが0.6ミリグラム以下であれば正常と考えられます。

心筋梗塞のリスクを予知
高感度CRP検査
超早期の治療が可能に
http://kk.kyodo.co.jp/iryo/news/0106crp.html
■高感度CRPのデータが集まり始めた結果、健康な人の基準値は、同0・04mg以下ということが分かってきた
■高感度CRP0・3mgを超える人は、明らかに将来、心筋梗塞などを起こしやすく、生命予後(将来の健康状態)が悪いことが明らかになってきた
■イタリアのデータでは、心筋梗塞を患い、退院した人を対象に高感度CRP検査で追跡したところ、同0・3mgを境に、CRP値が低い人は冠動脈の再狭窄(きょうさく)の再発率も低く、値が高い人は8倍も再発率が高いことが明らかになった
■高感度CRPでは、糖尿病や肥満、喫煙、加齢でもCRPが上昇することが次第に分かってきた
<コメント>
そのあたりが高感度CRPの限界のような気がします。
■既に通常の健診に取り入れている日赤医療センター(東京)では「現在、実際のデータが集まりつつある。
<コメント>
さすが日赤医療センターです。
個人的には高感度CRPを健診で取り入れたケースは見たことがありません。

CRPと虚血性血管疾患の発症に因果関係なし
CRPは単なるマーカーに過ぎない可能性
(NEJM誌2008年10月30日号)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/nejm/200811/508608.html
(原文
Genetically Elevated C-Reactive Protein and Ischemic Vascular Disease
http://content.nejm.org/cgi/content/short/359/18/1897
<コメント>
今までの話に水を差すような論文です。
しかしアブストラクトでみる限りCRPという表現でhsCRPという表現はされていません。

 

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。

他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~
http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
があります。

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