戯れ言たれる侏儒
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< PCIの初回治療後の再治療率 | メイン | hsCRP関連 2題 >

第56回日本心臓病学会学術集会ランチョンセミナーでの光山勝慶教授の講演、「降圧薬による臓器保護戦略」で勉強しました。
RA系抑制薬とCa拮抗薬の臓器保護作用に着目した高血圧治療のポイントがメインテーマです。
 

第56回日本心臓病学会学術集会ランチョンセミナー11
降圧薬による臓器保護戦略
わが国における高血圧治療ガイドライン(JSH2004)では,主要降圧薬としてCa拮抗薬やレニン・アンジオテンシン(RA)系抑制薬が推奨されている。
RA系抑制薬では従来,優れた心保護,腎保護作用などが指摘されているが,最近では,Ca拮抗薬においても臓器保護に関するエビデンスが得られている。
 
座長
佐賀大学 医学部内科学教授
   野出 孝一 氏 
演者
熊本大学大学院医学薬学研究部 生体機能薬理学教授
   光山 勝慶 氏 

ACE阻害薬とARBには明らかな薬理学的な違いがある
高血圧では,単に血圧が高いだけでなく神経体液性因子の異常が認められ,そのことが高血圧症による臓器障害に関与していることがわかっている。
最近,RA系抑制薬であるアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬およびアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)が,臓器保護に直接的な作用を発揮するとして注目されている。
 
ACE阻害薬にはACEを阻害してブラジキニンの不活化を抑制する作用,ARBにはAT1受容体を直接阻害してAT2受容体を刺激する作用があり,両薬剤間の薬理作用の違いは明らかである。
 
しかし,欧米の大規模臨床試験を中心として,現在のところ長期予後という観点では両薬剤間の違いは明確にされていない。
また,日本ではACE阻害薬とARBを比較した大規模臨床試験の報告がなく,さらに欧米と日本では両薬剤の投与量が大きく異なることから,光山氏は「ACE阻害薬とARBの違いについては今後,十分な検討の余地がある」とコメントした。

組織親和性の高いACE阻害薬は臓器保護作用が優れている
光山氏によれば,ACE阻害薬は組織親和性が高いほど臓器保護作用が優れており,組織親和性はACE阻害薬間で異なることに注目することが重要であるという。
ACE阻害薬のなかで織親和性が最も高いのは,ペリンドプリルであることが知られており,臨床データでも高い心保護効果が示されている(Pilote L, et al: Ann Intern Med 141: 102-112, 2004)。
さらに,Zhuoらによってペリンドプリルではヒト血管ACE活性阻害作用を認めることが証明されている(Zhuo. J, et al, Hypertension 39: 634-638, 2002)。
 
光山氏らは,高血圧ラットにおいてACE阻害薬の違いがどれだけ臓器保護に影響を与えるかについて検討し,ペリンドプリルのほうがエナラプリルよりも血管でのACE活性抑制効果が有意に強く(図1),降圧の持続時間が長いことを示した。
光山氏は「降圧の持続時間の差というのは,ペリンドプリルのエナラプリルに優る組織ACE活性の抑制効果に関係している可能性がある」とし,「ACE阻害薬は循環器領域で重要な位置づけにあり,ACE阻害薬による臓器保護戦略として組織親和性の高い薬剤を選択することが重要である」と述べた。

臓器保護のためにはRA系抑制薬+Ca拮抗薬併用療法を
高血圧治療では,ガイドラインで提唱されている降圧目標に到達するために,作用の異なった降圧薬の併用が必要である場合が多い。
現在中心的に行われている2剤併用の組み合わせのうち,RA系抑制薬とCa拮抗薬,RA系抑制薬と利尿薬という組み合わせが注目されている。
 
ACCOMPLISH試験では,収縮期血圧がACE阻害薬+利尿薬群に比べてACE阻害薬+Ca拮抗薬群で有意に低下し,ACE阻害薬+Ca拮抗薬群での1次エンドポイント(心血管死・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中・不安定狭心症による入院・血行再建術・突然死からの蘇生)のリスク減少率は20%であることが示された。
一方,ASCOT-BPLA試験では,ACE阻害薬+Ca拮抗薬群とβ遮断薬+利尿薬群の有用性を比較検証し,ACE阻害薬+Ca拮抗薬群の心血管イベントに対する優位性が証明されている。
これらのことから,光山氏は「ACE阻害薬とCa拮抗薬の併用が高血圧症患者の臓器保護に有効である」と述べた。

T型Caチャネルを阻害するCa拮抗薬は優れた臓器保護作用を発揮
それでは,Ca拮抗薬は薬剤間で臓器保護作用に違いが認められるだろうか。
高血圧症の治療に用いられるジヒドロピリジン系Ca拮抗薬では,L型Caチャネルを阻害すると強力な降圧効果が得られ,T型,N型Caチャネルを阻害すると臓器保護作用(輸出細動脈拡張作用による腎保護作用,心保護作用など)が認められるといわれている。
 
Shimokawaらは冠攣縮性狭心症患者に各種Ca拮抗薬を投与し,5年間追跡した結果,ベニジピンで心血管イベントを免れた生存率が有意に高いこと(図2),またOhishiらは他のCa拮抗薬で降圧目標に達しない症例をベニジピンに切り替えると,血圧および尿中蛋白排泄量が有意に低下することを報告しており(図3),Ca拮抗薬ではその種類によって臨床的な臓器保護作用に違いが認められることが示されている。
 

 

光山氏らは,高血圧ラットにおいてベニジピンの臓器保護作用について検証した。
「ベニジピンの投与は,同程度の降圧を示した他のCa拮抗薬の投与に比べて,心重量を減少させ,心臓組織の炎症・線維化を抑制した。
腎臓においても,ベニジピンは糸球体の炎症をより強く抑制し,臓器保護効果が優れていた」と述べた。
 
これらの心臓,腎臓などに対する臓器障害のメカニズムとして酸化ストレスの関与が考えられているが,ベニジピンは酸化ストレスの抑制が強く,光山氏は「T型チャネルを阻害するCa拮抗薬は,臓器保護に有効であると期待される」と述べた。
 
最後に,光山氏は「高血圧症の治療では,RA系抑制薬のうち組織親和性の高いペリンドプリルにT型Ca拮抗薬を併用投与することが臓器保護戦略として有効であることが示唆され,各薬剤の薬理学的特徴の違いを考慮して薬剤選択することが重要である」と結論した。

出典 Medical Tribune 2008.11.20
版権 メディカル・トリビューン

 

 

 「Heart and Kidney - 私たちの近くにあるもの」
制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)

<関連サイト>
ペリンドプリルとカルシウム拮抗薬併用により予後が改善する
http://www.doljapan.com/special/esc/2008/html/10.html
EUROPAトライアルの新たな解析により、安定した冠動脈疾患患者におけるカルシウム拮抗薬(CCB)とペリンドプリルの“相乗効果”が示された。EUROPA:EUropean trial on Reduction Of cardiac events with Perindopril in stable coronary Artery disease(安定冠動脈疾患患者におけるペリンドプリルの心イベント減少効果に関するヨーロッパのトライアル)においては17%の患者がスタディ期間中を通してCCBを投与された。1,022人はペリンドプリル群に1,110人はプラセボ群に割り付けられた。つまり、3,095人はプラセボを投与されCCBは投与されず、3,326人はペリンドプリルを投与されCCBは投与されなかった。トライアルの一次エンドポイントを再度見直してみると、心血管死、心筋梗塞、または蘇生された心停止はペリンドプリルとCCBを併用された患者において少なかった。(併用群4.89%対ペリンドプリル単独投与群6.58%;プラセボとCCB併用群7.45%;プラセボ単独投与群7.98%;全ての比較においてp<0.05)。ペリンドプリルとCCBの併用によりまた、全死亡率が46%(p<0.01)、心血管死亡率が41%(p=0.09)、致死性および非致死性心筋梗塞が28%(p=0.01)、心不全による入院が54%(p=0.25%)減少した。

 

ペリンドプリルエルブミン(商品名コバシル)
http://www.okusuri110.com/dwm/sen/sen21/sen2144012.html
 

ACE阻害薬は動脈硬化患者にも有益
アテローム血栓症動脈硬化症患者の心血管イベントや総死亡を減らす
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200611/501975.html
アンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬の投与が、心不全や左室収縮機能不全(LVSD)など、重症の心血管疾患患者の有病率と死亡率を低減することは既に確かめられているが、新たに、アテローム性動脈硬化症患者に対しても、総死亡や心血管イベントを減らすことが、3件の無作為割付試験の系統的レビューで確かめられた。
研究の対象としたのは、HOPE(Heart Outcomes Prevention Evaluation)、EUROPA(European trial on Reduction Of cardiac events with Perindopril among patients with stable coronary Artery disease)、PEACE(Prevention of Events with ACE inhibition)という3件の大規模な臨床試験。

中略

得られた結果は、心不全またはLVSDではないアテローム性動脈硬化症患者においても、ACE阻害薬は重篤な心血管イベントを減らすことを示唆した。著者らは、ACE阻害薬の利益は、アテローム性動脈硬化症患者からハイリスク者まで幅広い患者に及ぶことから、血管疾患を抱える患者全員に対して、忍容性が続く限り、ACE阻害薬の投与を考慮すべきだ、と述べている。

 

[PDF] 第80回日本内分泌学会総会 クリニカルアワー 「ACE 阻害薬と ARB の心血管イベント抑制効果」
http://endo80.umin.jp/CH/C-13.pdf

 

[高血圧] 第27回日本高血圧学会総会レポート CareNet.com
http://www.carenet.com/hypertension/jsh2004/l34/index.html
(パスワードが必要です)

 

軽度から中等度の本態性高血圧患者の. 頸動脈IMT肥厚に対する組織親和性 ACE阻害薬と.アンジオテンシン受容体拮抗薬の効果の比較検討
http://www.arterial-stiffness.com/pdf/no09/052_053.pdf

 

高性能ACEI
http://blog.m3.com/reed/20071023/_ACEI

[PDF] 【アンジオテンシン変換酵素阻害薬】 2007.8
http://www.hokuyaku.co.jp/pdf/medicine/yakkou/y03_06.pdf
(各種ACE-IとARBの一覧です)

 

[高血圧] 高性能ACE阻害薬の選択とそのエビデンス CareNet.com
http://www.carenet.com/hypertension/tana02/sato2/index.html
1.ACE阻害薬とARBは異なる降圧剤である
2.違いが報告されるようになった心筋保護作用
3.どのACEを選ぶべきか?
の3つ内容について佐藤敦久が動画で解説しています。
(パスワードが要るかも知れません)

 

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~
http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
があります。

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