戯れ言たれる侏儒
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DECREASE III試験

戯れ言たれる侏儒 / 2008.11.20 00:21 / 推薦数 : 1

「第30回欧州心臓病学会」の記事からです。


DECREASE III試験
スタチンの周術期投与で血管手術後の心筋梗塞が半減
欧州では,手術全体の術後心疾患死は0.3%,血管手術では2%と報告されている。
血管手術で心疾患死が上昇する原因と考えられるのが,血管のプラーク破裂や手術による血栓症だ。
そこで,エラスムス医療センター(オランダ・ロッテルダム)麻酔科学のDon Poldermans氏らは,周術期のスタチン使用で術後の心疾患リスクを低減できるかどうかをDECREASE III※試験で検討し,有効性を確認したと同学会で報告した。この試験で使用されたフルバスタチン徐放錠は,欧米では冠動脈血行再建術後の再発予防薬として既に導入されている。

心筋梗塞予防のNNTはわずか13
試験は単独施設で行われたプラセボ対照ランダム化二重盲検比較試験。
対象は,スタチン投与中や緊急手術などを除く腹部大動脈瘤,腹部大動脈弁狭窄症,下肢動脈狭窄症,頸動脈狭窄症により血管手術が行われた患者で,フルバスタチン徐放錠80mg投与群(以下,スタチン群)250例とプラセボ群247例にランダムに割り付けられた。
試験レジメは,ランダム化後から術後30日まで継続された。試験開始日は中央値で術前37日。
平均年齢は約66歳で,虚血性心疾患が4割程度含まれていた。
心疾患の既往や内科的治療内容について,両群間に有意差はなかった。
 
術前と比べた術後30日のLDLコレステロール値の変化はプラセボ群3%減に対し,スタチン群21%減で,高感度C反応性蛋白(CRP)やインターロイキン(IL)-6もプラセボ群と比べ,スタチン群で有意に低下していた。
1次エンドポイントは,術後30日の心電図やトロポニンTの診断で認められた心筋梗塞発症で,プラセボ群約20%と比べてスタチン群は約10%で,47%有意に(95%信頼区間0.32?0.88,P=0.016)低かった。
NNT(number needed to treat)は13で,13例に治療して1例の心筋梗塞を予防できた。
2次エンドポイントの術後30日の心疾患死と非致死性心筋梗塞についても,スタチン群で52%有意に低かった(P=0.039)。心疾患死のNNTは42であった。
 
試験の治療中止はプラセボ群7.3%に対しスタチン群6.4%と同等で,横紋筋融解症や筋障害の発症は両群ともに認められなかった。
 
Poldermans氏は「フルバスタチン徐放錠は心筋梗塞や心疾患死を減少させ,安全性にも問題がなかったことから,血管手術の周術期の治療レジメとして推奨される」と結論した。

※Dutch Echographic Cardiac Risk Evaluation Applying Stress Echo III

出典 Medical Tribune 2008.10.9
版権 メディカル・トリビューン社

ベルナール・カトラン  ジャクリーンのピンクのシクラメン  リトグラフ
http://page17.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/v62844229?u=;meiseiitou60

<関連サイト>
DECREASE-II
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2002564.html
(八尾市民病院 副院長 星野先生のコメント)
ACC/AHAガイドラインでは,大血管手術(AAA,ASO)を受ける症例で冠危険因子を多く伴っていれば,非観血的ストレス検査を行い,虚血が誘発される例にはβ遮断薬投与がすすめられている。
非観血的検査でハイリスクと判明した例には冠動脈造影検査を行い,長期予後が改善できると考えられれば血行再建術が推奨されている。
しかし,非観血的検査は手術の遅延をもたらし,動脈瘤の破裂や罹患肢の増悪を生じ得る。
血管手術前の冠血行再建術は周術期や長期の予後を改善しないとする報告もある。
著者らは以前レトロスペクティブに冠危険因子により大血管手術例をローリスク,中等度リスク,ハイリスクの3群に分類し,β遮断薬投与下ではローリスクや中等度リスク例の周術期のイベントは0%と0.9%と報告している。
本研究では,大血管手術を受ける中等度リスク例にβ遮断薬投与下においてプロスペクティブに術前非観血的検査の有用性を検討し,結果としては臨床的有用性を認めていない。術前検査を行うことにより3週間のロスも生じている。
術前検査は周術期に心イベントを生じるごく一部の中等度リスク例を明らかにすることができるが,全体で2.2%しか心イベントを生じていないので術前検査の意義は高くない。
β遮断薬の術前投与は66万例以上を対象としたレトロスペクティブ研究で予後の改善を認めている。
一方,POBBLE (Perioperative Beta-Blockers)trialやDIPOM(Diabetic Postoperative Mortality and Morbidity)trialでは,β遮断薬術前投与の臨床的意義は認められていない。
問題となるのは,β遮断薬の投与量と心拍コントロールの違いである。
心拍数を65拍/分以下に保つべく投与量の調節が必要である。ブラインドで投与量を固定する試験デザインではβ遮断薬の効果に限界がある。
他の問題点は,
(1)術前非観血的検査でどの程度の異常が出れば冠動脈造影/冠血行再建術を考慮すべきか,
(2)中等度リスク例に対してβ遮断薬前投与が心イベント率を有意に低下させるのか,
(3)β遮断薬の効果が心拍数や血圧低下に介しているのか,スタチン系薬剤のような他の併用薬との協同作用なのか(DECREASE-IV trialで解明予定),
である。

 

<自遊時間>
昨夜、D社のO(ARB)が主催するシンポジウムに行って来ました。
高血圧と慢性腎臓病(CKD)、高血圧と糖尿病と題する斯界の権威の基調講演のあとにパネルディスカッション。
最近よくあるスタイルですが、症例についての薬剤選択をアナライザーで聴講者に答えてもらう形式でした。
この症例ではどの薬剤を質問に対する正解はみえみえの「1番 ARB」。
へそ曲がりの私は3題とも「3番 ACE-I 」を押しました。
ある問題では回答者の押した数字がARB 78%、CCB8%,ACE-I14%,利尿剤0%、β遮断剤0%でした。
へそ曲がりが14%もいたのは心強かったです。
ARBの講演会で、どんな先生が押したのか直接聞いてみたかったのですが叶わぬことでした。

ちなみに座長はACE-Iについては一切触れず、ARBとひとくくりにしてRAS抑制剤と言っていました。
非常に賢い表現でした。

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~
http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
があります。

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