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第56回日本心臓病学会の記事でLMT病変に対する最新の治療選択の考え方を勉強しました。
「CABGかDESか」―LMT病変に好ましい治療巡り報告
左冠動脈主幹部(LMT)病変の治療法が大きく変貌しつつある。
長く経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の禁忌とされ,冠動脈バイパス術(CABG)の独壇場であったが,ステントの進歩,特に薬剤溶出性ステント(DES)の登場により,PCI施行例が急速に増えてきた。
PCIの適応拡大という闘いの最後のとりでに手がかかったと言える。
しかし,決着はまだ付いていない。
今年(2008年)8月末に開かれた欧州心臓病学会では,LMT病変の成績をCABGとDESで比較する初めての大規模臨床試験SYNTAXの成績が報告され,1年間の検討でCABGの優位性が示された。
議論はますますヒートアップしていくものと見られる。
CABG,PCIとも世界でトップレベルの成績を上げているわが国の専門医はどのように考えているのか。
SYNTAX発表後初の議論の場となった第56回日本心臓病学会のコントロバーシー「LMT:CABGかDESか」(座長=金沢大学大学院血管病態制御学・渡邊剛教授,社会保険小倉記念病院循環器科・横井宏佳部長)で報告,討論が行われた。
DESの評価 併存疾患が死亡率に影響
前半,LMTに対するDESの評価が4人の循環器科医から示された。
あかね会土谷総合病院(広島県)循環器科の豊福守医長は,DESの多施設前向きレジストリj-Cypher registryの解析結果を明らかにした。
同registryの登録症例は2004年8月~06年11月の1万2,824例。うち582例(4.5%)が非保護LMTに対してPCIを行った症例で,そのなかの477例がDES植え込み例である。
まず,LMT群と非LMT群を比べると,LMT群では高齢者やショック,心不全,腎不全,Euro score高値を有する症例が有意に多かった。
死亡率は,これら併存疾患で調整する前はLMT群で有意に高かったが,調整後は差がなくなった。
この結果から同医長は,LMT病変に対するPCI施行例の予後を規定するのはおもに併存疾患であり,デバイスの影響は小さいと示唆した。
次に,LMT群の成績をサブ解析すると,分岐部やtwo stentingは,補正後死亡率には有意な影響を及ぼさなかったが,標的病変再血行再建(TLR)率を有意に高くすることがわかった。
特に分岐部かつtwo stentingは,TLRの非常に強い予測因子であった。
ただし,分岐部かつtwo stentingの症例でステントテクニック(T-stenting,culotte法,crush法)によるTLR率の差は認められなかったという。
長期的にはSESがやや有利か
LMT病変にDESを植え込むとしたら,どのDESが望ましいのか。
新東京病院(千葉県)の中村淳副院長は,非保護LMT病変に対する効果をシロリムス溶出ステント(SES)とパクリタキセル溶出ステント(PES)で比較した成績を報告した。
それによると,SES群(248例),PES群(200例)とも30日後までのMACE,亜急性ステント血栓症は皆無。
1年後の最小内腔径の変化も有意差はなかったが,再狭窄,TLRは両群とも低かったものの,両群間で比較するとSES群のほうが有意に低率であった。
再狭窄率は,両群ともsingleかmini-crush法(crush部分をごくわずかにとどめる)で低かった。
3年後の無MACE生存率も両群とも良好だったが,SES群でより高かった。
同副院長は「いずれのDESでも再狭窄率は低く,効果は3年くらい持続するが,SESに少しアドバンテージがあるようだ」と述べたが,長期成績についてはさらなる観察継続が必要だとした。
BMSでも症例により良好な予後
再狭窄を抑制するDESは,再狭窄がMACEにつながりかねないLMT病変の治療法として高い有用性が期待されている。
しかし,現時点では長期にわたって抗血小板薬を服用しなければならず,ステント血栓症を起こした場合には致命的になる可能性が高い。
「CABGかDESか」を追求する際には,ベアメタルステント(BMS)も含めて検討すべきだろう。
小倉記念病院(福岡県)循環器科の白井伸一副部長は,LMT病変にBMSを植え込んだ215例の予後を検討した。
215例中117例は,高齢,脳血管障害,CABG既往,左室駆出率(LVEF)40%未満など,CABGが適さないCABG poor candidate例(PC群),ほか98例はこれらのリスクがなく,解剖学的にPCIが有利と考えられるCABG good candidate例(GC群)。
入院中および6か月後までの成績は両群で大きな差は見られなかった。
再狭窄はステント径が3.5mm以上であれば13.4%と低率であった。
5年以上の長期フォローアップによる全生存率はGC群が有意に良好だった(図1)。
このことから,同副部長は「LMT病変へのBMS植え込みでは,CABGリスクが低くかつ解剖学的に植え込みに適した症例で良好な長期予後が期待できる」と結論した。
CABGの評価 背景によらず高い長期生存率
一方,大阪大学大学院心臓血管外科の藤田知之氏らは,CABGが患者の合併症などにかかわらず,安定した長期成績をもたらすことを強調した。
同科でLMT病変を含む冠動脈病変に単独CABGを行った102例の長期成績を検討した結果,生存率は1年94%,5年87%,10年75%(図2)。
死亡は周術期の感染死2例,遠隔期の非心臓死12例,心臓死1例。無MACE生存率も1年92%,5年87%,10年71%と良好。
MACEの大半は狭心症で,PCIにより対応可能であった。
生存率はショックあるいは糖尿病を有する症例では低下したが,心筋梗塞,3枝病変,腎不全,左室駆出率(LVEF)40%未満などの因子が予後に悪影響を及ぼすことはなかった。
DESの医療費100万円近く高額
「CABGかDESか」を議論する際には医療費の問題も軽視できない。
東京大学病院心臓外科の清水剛氏らが総入院費などを比較した。
対象は,同院でDESが使用可能になった2004年4月~07年12月に,狭窄度50%以上のLMTにCABGを施行した89例とDESを植え込んだ64例。
平均フォローアップ期間はCABG群2.0年,DES群1.4年(2004年のDES施行例が少ないため)。
病変枝数はCABG群が2.5枝で,DES群の2.2枝より有意に多かった。
術前からの大動脈内バルーンパンピング(IABP)挿入例はCABG群で17%見られ,DES群の2%に比べ有意に高率。
狭窄度の平均もCABG群が70%で,DES群の61%より有意に高かった。
CABG群の9割は人工心肺を使用しないoff-pump CABG。
DESはLMTに1例当たり1.7本,フォローアップ期間中に3.5本使用された。
MACEで有意差があったのは冠動脈全体におけるTVRで,CABG群11%,DES群23%。
生存期間には差が見られなかった。
無MACE生存期間はCABG群で有意に長かった。
総入院回数はCABG群1.3回,DES群2.4回,総血行再建回数は1.2回,2.4回で,いずれもDES群が上回った。
総入院日数は両群とも35日前後。
総入院費はDES群が488万円で,CABG群の397万円を100万円近く上回った。
DES群の総入院費の9割前後はステントなどの材料費であった。
以上から,同氏は「CABGは依然としてLMT病変の第一選択とすべきもの。治療法の選択には医療費の適正配分や医療費効果も考慮する必要がある」と指摘した。
◇ 「CABGかDESか」に答を出すにはまだ多くの検討が必要なようだ。
座長の渡邊教授らは外科,内科共同の前向き試験の必要性を訴えた。
出典 Medical Tribune 2008.11.13
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
DES群がCABG群よりも医療費がかかるというのは意外でした。
総入院費ですでにDES群で高額ということになれば、退院後の高価な抗血小板剤を含めた薬剤費やエンドレス(?)な通院費用は圧倒的にコストがかかります。
内科と外科。
それぞれの結論は想定内です。
いずれにしろ高額な診療費用は患者さんにとっては侵襲的です。
noninvasiveなinterventionが、財布にとってinvasiveなんて笑い話にもなりません。
この費用差はLMT病変に限っての話なんでしょうか。
ところで、私のような(内科系)循環器医は、心臓外科医のお話を聞く機会がなかなかありません。
昔、日循総会(脈管学会ではなかったと思いますが)、外科側のディスカッサーとして鈴木彰夫先生がパネルディスカッションで壇上にみえたのを思い出します。
先生独特の話し振りで非常に面白く、かつ新鮮に拝聴したことを思い出します。
きょうのテーマ(CABG or DES or BMS)は、LMTに限らず非常に重要な問題だと思います。
「CABGかDESか」というタイトルもBMSが選択肢からはずれていて、これでいいのかと思うのですが、DESとBMSがARBとACE-Iの関係みたいに思えてしまうのは私だけでしょうか。
<自遊時間>
プラビックス発売2周年の記念品の中にハートの形をしたメッセージが入っていました。
最近ハートシリーズで画像をアップしてきたので、脊髄反射でとりあげてみました。

<きょうの一曲>
中村あゆみ・翼の折れたエンジェル
http://jp.youtube.com/watch?v=lXKnNOXUJv4
http://jp.youtube.com/watch?v=236XTggQsZw&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=Ul1Y8Z4zwB0&feature=related
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