戯れ言たれる侏儒
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第31回日本高血圧学会の特集記事で
無症候性微小脳出血について勉強しました。
microbleed(マイクロブリード)は、脳血管領域ではどうやら最近のトピックス的な概念のようです。


抗血小板療法ためらう必要ない
MRIで無症候性微小脳出血(CMB)が検出されても,脳梗塞患者に再発予防目的で行う抗血小板療法をためらう必要はないとする研究成果が,愛媛大学大学院加齢制御内科の伊賀瀬道也講師らによって報告された。

抗血小板療法の有無と相関せず
MRIのT2*(star)強調画像は出血性病変の検出能に優れ,小さな脳出血の発見に役立つ。
脳ドックの普及に伴い,T2*強調画像により5mm以下で描出される無症候性CMBの検出例が増えており,その臨床的意義が議論されている。

これまでの報告からは,脳出血再発の予知因子となる可能性,抗血小板療法施行中の脳卒中患者で高血圧と独立した脳出血リスクとなる可能性などが示されている。
 

伊賀瀬講師らは,新規発症脳卒中における無症候性CMBの頻度,部位や合併症,治療との関係を検討した。

対象は急性期受診新規発症脳卒中患者167例(平均年齢69.6歳)で,脳梗塞146例,脳出血21例。
 

無症候性CMBは84例(50.3%)で認められた。

部位別では深部・テント下が61例(全体の36.5%)と多く,脳葉限局は23例(同13.8%)。病型別の頻度は,脳葉限局脳出血とアテローム血栓性脳梗塞で高かった()。

深部・テント下の無症候性CMBは,脳梗塞ではラクナ,アテローム血栓性,一過性脳虚血発作で70%前後と高く,心原性では30%程度にとどまった。

一方,脳出血においては,脳葉限局脳出血で50%,深部脳出血では約90%と高率であった。
 

このことから「深部・テント下の無症候性CMBは将来の深部脳出血を予見する可能性がある」と同講師。

また,無症候性CMBの陽性率は,脳梗塞発症前の抗血小板療法の有無と相関しなかったことから,「無症候性CMBがあるからといって脳梗塞予防のための抗血小板療法をためらう必要はないのではないか」と述べた。


出典 Medical Tribune 2008.11.13
版権 メディカル・トリビューン社

<関連サイト>
A Quandary on Blood Drops in the Brain
http://www.nytimes.com/2008/07/01/health/research/01microbleeds.html?_r=2&scp=1&sq=microbleed&st=nyt&oref=slogin&oref=slogin

 <関連サイト>
~虚血性脳血管障害患者の微小出血痕~
2回目の脳出血リスク上昇を示唆
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E5%BE%AE%E5%B0%8F%E5%87%BA%E8%A1%80&perpage=0&order=0&page=1&id=M3526303&year=2002&type=allround
 

■微小出血痕を認める患者が 1 週間以内に脳出血を生じる確率は,そのような病変のない者の 7 倍に達すると考えるべき。

 

「抗血小板薬の使い分け」座談会/大阪
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E5%BE%AE%E5%B0%8F%E5%87%BA%E8%A1%80&perpage=0&order=0&page=1&id=M3646541&year=2003&type=allround
 

最初に報告された秋田脳血管研究センターの成績では、ラクナ梗塞にしても、脳出血例にしてもほぼ7割にmicrobleedsが認められるとしています(Kinoshita T. et al.: Stroke 31, 1646-1650,2000)。
小血管病(small vessel disease)で高血圧を有する患者さんでは注意が必要だと思います。
一方、microbleedsを病理所見で確認した成績は少なく、それ自体をラクナ梗塞でヘモジデリン沈着を伴うものと考えると、必ずしも出血を示すものとは限りません。
あるいはラクナ梗塞の経過中にヘモジデリンが形成され、その後吸収されるという過程もあるようです。
Microbleedsに関しては、それがどこまで出血を起こしやすい病態なのか、もう少しエビデンスを集積する必要があると思います。

 

脳梗塞急性期治療の現状とアスピリンの位置付けを問う
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E5%BE%AE%E5%B0%8F%E5%87%BA%E8%A1%80&perpage=0&order=0&page=1&id=M41270821&year=2008&type=allround
 

■微小出血が見られる患者では,t-PA使用により出血リスクが高まるとする報告がある一方で,特別なリスクはないとする報告もあります。
微小出血が及ぼす影響は不明ですが,われわれは微小出血を有する患者にも,有効性が実証された治療をためらわずに行っています。
(米国・カリフォルニア州立大学サンディエゴ校神経内科学 教授  Patrick D. Lyden 氏)

 

日米における脳梗塞急性期治療の現状とガイドライン
血栓溶解療法から抗血小板療法まで
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E5%BE%AE%E5%B0%8F%E5%87%BA%E8%A1%80&perpage=0&order=0&page=1&id=M41350641&year=2008&type=allround

 

今のところ微小出血の臨床的意義はよくわかっていません。アミロイド血管症に関与していると言われていますが,微小出血が認められた場合は脳梗塞と脳出血,双方のリスクを吟味すべきでしょう。ただ,いずれも予防の基本は同じです。血圧管理に努めるということです。
(アイオワ大学 神経学脳血管疾患部門 教授  Harold P. Adams, Jr. 氏 )
 

<きょうのブログ>
脳の血滴
http://mrknoboyaki.blog.ocn.ne.jp/blog/2008/07/post_ddae.html
 

■脳のMRIでgradient-echo T2* (グラディエント・エコー・ティー・ツー・スター)強調画像という撮影を行うと、これまで知らないうちに脳の中に起こっている微小な出血(microbleed)を検出することができる。
■問題は、脳の血管が詰まる脳梗塞患者に、すでに脳の小血管の破綻が潜在的に生じている可能性があるという事実だ。
■健康な高年者の5~7%に microbleeds が見られる。
■ある最近の研究では、60才以上の5人に1人の割合で、発見されるという。
■ヘパリンを投与された患者が出血性脳卒中を生じた時、脳卒中は顕著に増悪し、通常の2倍の致死率となることが知られている。
■もし microbleed がアミロイドと関連がありそうな脳表近くのものなら、抗凝固薬が脳出血を惹起しやすい。
■高血圧と関連のある脳深部の microbleeds では、抗凝固薬の危険性は明らかではない。

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~
http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
があります。

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