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昨日の後半です。
RA系で降圧や臓器保護にかかわるAng-(1-7)とその産生酵素ACE2
筒井
近年,RA系では,従来から知られていた昇圧系に拮抗する降圧系の存在が明らかにされ,そのなかで中心的役割を果たすACE2とAng-(1-7)が注目されています。
Ferrario先生は,早くからAng-(1-7)の存在を提唱し,この分野で精力的に研究を行ってこられました。ACE2およびAng-(1-7)について,簡単にご解説いただけますか。
Ferrario
RA系の強力な心血管作動物質であるA IIは,AT1受容体を介して昇圧や臓器障害を引き起こすことが知られています。
これに対して,A IIの代謝産物であるAng-(1-7)は,A IIのC末端のアミノ酸が1つ外れただけであるにもかかわらず,血管拡張,血圧低下,血管平滑筋の増殖抑制などA IIとは全く逆の作用を示すことがわかってきました。
最近,その特異的受容体が,リガンドが不明なオーファン受容体であったMas受容体であることも判明しています。
Ang-(1-7)には複数の産生経路がありますが,なかでもACE2を介した経路が重要と考えられています(図4)。
ACE2は,ACEの相同体として新たに発見された酵素であり,A IIを加水分解してAng-(1-7)を産生します。
つまり,ACE2は昇圧や臓器障害を惹起するA IIを減少させ,降圧や臓器保護をもたらすAng-(1-7)を増やす役割を果たします。
オルメサルタンの新たな作用機序として注目されるACE2活性化作用
筒井
ARBの投与はACE2やAng-(1-7)に対してどのような影響を及ぼすのでしょうか。
Ferrario
われわれの検討では,心筋梗塞後のラットにオルメサルタンを4週間投与した結果,心筋組織のACE2 mRNA発現が有意に増加しました(図5)。
また,愛媛大学の伊賀瀬先生らによる高血圧自然発症ラット(SHR)にオルメサルタンを投与した場合にも,血中および胸部大動脈組織においてACE2増加ならびにAng-(1-7)の産生増加が確認されています(図6)。
通常ARB投与時には,A IIのAT1受容体への結合が阻害されて遊離A IIが増加しますが,オルメサルタンは,ACE2を活性化し,増加した遊離A IIをAng-(1-7)に変換するという経路を介して,降圧や臓器保護に寄与する可能性があります。
筒井
オルメサルタンがACE2 mRNA発現を亢進させる機序については,いかがお考えですか。
Ferrario
A IIは通常,AT1受容体を介してACE2の遺伝子発現を抑制しています。
したがって,オルメサルタンは強力にAT1受容体を遮断することで,この抑制を解除し,ACE2 mRNA発現を亢進させると考えられます。
また別の機序として,オルメサルタンの投与により増加したAng-(1-7)がMas受容体を刺激してMAPキナーゼを活性化し,ACE2 mRNA発現を促進する可能性もあると考えています。
筒井
RA系において新たに発見されたACE2-Ang-(1-7)経路は,非常に注目度の高い研究領域であり,新薬開発のターゲットとしても有望視されています。
オルメサルタンにACE2-Ang-(1-7)経路を活性化する作用があることがわかったことで,将来のRA系研究にさらに期待が高まるのではないか,と思います。
今後の研究の進展を期待したいと思います。
出典 Medical Tribune 2008.11.6
版権 メディカル・トリビューン社
