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「AT1受容体拮抗薬(ARB)オルメサルタンには,優れた降圧効果に加え,降圧とは独立した作用として,ヒトにおける細動脈リモデリング抑制作用や冠血管内皮保護作用が報告されている。一方,レニン・アンジオテンシン(RA)系では,従来から知られていた昇圧系に拮抗するシステムとして降圧や臓器保護に働くACE2-Ang-(1-7)の経路が発見され,オルメサルタンがACE2活性やAng-(1-7)産生を亢進させることも明らかにされつつある。」
という前置きから始まる新着のMedical Tribune誌の記事で勉強しました。
またまた、製薬メーカー提供の記事ということで恐縮です。
実は、今週ある場所でMRさんとMSさんを対象とした勉強会でしゃべらせていただきます。
協賛が第一三共ということで、テーマは「降圧剤としてのオルメテックの位置づけ」としました。
そのための「仕込み」として勉強しました。
申し訳ありません。
オルメサルタンの降圧にかかわる新たな機序を求めて
- ACE2活性化の影響 -
北海道大学大学院 医学研究科循環病態内科学教授
筒井 裕之 氏(聞き手)
米国・ウェイクフォレスト大学 内科教授
Carlos M. Ferrario 氏
血管内皮機能障害は高血圧の初期段階から始まっている
筒井
オルメサルタンは,臨床において優れた降圧効果が認められています(図1)が,そのオルメサルタンの血管保護などの臓器保護の新たな機序として注目されているACE2やAng-(1-7)について,本日は,Ferrario先生のお話をうかがいたいと思います。
まず,先生は,オルメサルタンの血管リモデリング改善について細動脈レベルで検討されていますが,その概要をご紹介いただけますか。
Ferrario
アンジオテンシンII(A II)が血管内皮機能を障害し,動脈硬化を進展させることはよく知られています。
従来,こうした血管内皮機能障害は,高血圧の進展とともに徐々に現れると考えられてきました。
しかし,最近では,高血圧のごく初期の段階,あるいはpre-hypertension(高血圧前症)の段階から細動脈レベルでの血管リモデリングが始まっており,これが高血圧を進展させ,最終的に腎障害,脳卒中,狭心症,左室肥大,心筋梗塞などの臓器障害を引き起こすと考えられています。
つまり,細動脈の血管リモデリングは高血圧の初期段階の表現型であり,これを早期に発見して是正することは,高血圧や臓器障害の進展を抑制するうえできわめて重要だと考えられます。
VIOS Study
オルメサルタンによる細動脈の血管リモデリング抑制作用
Ferrario
そこでわれわれは,JNC7 stage 1(収縮期血圧140~159mmHg,拡張期血圧90~99mmHg)に該当する高血圧患者を対象に,オルメサルタンの血管リモデリングへの影響を検討する目的で無作為化試験VIOSを実施しました。
4週間の休薬後,オルメサルタン群またはアテノロール群に無作為に割り付け,血圧測定,および血管リモデリングの評価としてヒト臀部の皮下脂肪組織を採取し,組織中の直径150~350μmの細動脈の血管壁厚(中膜)と内腔径の比を測定しました。
降圧目標値は140/90mmHg未満とし,投与開始2週間後に降圧目標に達しない患者には,サイアザイド系利尿薬,Ca拮抗薬,血管拡張薬など他の降圧薬を併用しました。
ベースラインにおいて非侵襲的に血行動態を評価したところ,末梢血管抵抗,脈波伝播速度(PWV),augmentation index(AI)などに正常血圧者と高血圧患者で差が認められました。
これは,stage1の高血圧患者において,既に血管障害が進行していることを示唆する重要な所見です。
52週間治療を行った結果,血圧は両群ともに12週後には正常レベルに達しました。
一方,血管リモデリングについては,オルメサルタン群で血管壁厚(中膜)/内腔径比がベースライン時の14.9±0.8%から治療52週後には11.1±0.5%へと有意に低下し,正常血圧者(11.0±0.6%)とほぼ同等の値が得られました(図2)。
また動脈硬化の指標であるAIも,オルメサルタン群においてベースライン時に比べて有意に低下しました。
オルメサルタンは,アテノロールと同等の降圧を示す一方で,有意な血管リモデリングの改善が認められ,オルメサルタンの降圧を超えた作用が示唆されました。
筒井
オルメサルタンによるAIの低下は,主に末梢血管の肥厚が改善された結果生じたと解釈してよいのでしょうか。
Ferrario
そうだと思います。
本試験では血管周囲の線維化を評価していませんが,オルメサルタンにより線維化が抑制され,血管コンプライアンスが上昇した可能性はあると思います。
また,これに加えて,オルメサルタンにより血管拡張能が改善され,AIの低下に寄与した可能性も考えられます。
オルメサルタンの冠血管内皮機能改善作用および酸化ストレス抑制作用への影響
筒井
われわれも冠血管におけるオルメサルタンの作用について検討を行っています。
高血圧患者に対してオルメサルタンを12週間投与し,ポジトロン放射型断層撮影(PET)を用いて,寒冷昇圧試験前後の心筋血流および冠血管抵抗の変化を測定し,冠血管内皮機能を評価しました。
治療前の随時血圧は収縮期154±14mmHg,拡張期
100±14mmHgでしたが,治療12週後は収縮期125±10mmHg,拡張期82±11mmHgと良好に低下しました。
また,冠血管抵抗については治療前に比べ有意な低下が認められました(図3)。
さらに,種々の生化学マーカーについても検討した結果,オルメサルタンの投与により抗酸化酵素であるスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性が増加し,SOD活性の増加と冠血管抵抗の間には負の相関関係が認められました。
以上より,オルメサルタンは,A IIのAT1受容体への結合を強力に阻害するとともにSODを増加させ,酸化ストレスを抑制して血管内皮機能を改善すると考えられます。
Ferrario
オルメサルタンが降圧とは独立した機序により,細動脈に加えて冠動脈レベルでも血管保護を示すことが明らかにされた結果だと思います。
オルメサルタンによる冠血管抵抗の減少は,心機能の改善と関連するのでしょうか。
筒井
一部の患者に心エコー検査を行いましたが,詳細には検討していません。
治療期間が12週間と短いので内皮機能への直接作用だろうと思います。
より長期間投与すれば,心肥大の退縮も冠血管機能に好影響を及ぼすと考えられます。
出典 Medical Tribune 2008.11.6
版権 メディカル・トリビューン社
コメント
コメント一覧
「オルメサルタンの降圧にかかわる新たな機序を求めて
- ACE2活性化の影響– 」の記事たいへん参考になりました。
私は、家庭医ですが、高血圧、糖尿病などすべてを勉強しないと、いけません。アメリカの医学校を出てるので、日本の患者さんを診る時、困ります。カタカナ表示の薬の場合、名前が違うので。ブログ続けて下さい。よろしくお願いします。
アメリカで、このブログをみていただいていると思うとうれしいです。
そちらの家庭医での医師生活はいかがですが。
ブログをやってみえれば是非教えて下さい。
先生もデスクの上にパソコンを置いてみえると思いますが、私は電子カルテは使用せず普通のカルテです。
そのかわり、デスクの上のパソコンはネットにつないで患者説明用に活用しています。
結構知らない病気のカンニングも、患者の前ですることができ重宝しています。
カタカナの日本のくすりの名前も「おくすり110番」でチェックしています。
余談になりますが、うちの医学部最終学年の子が、この春に3カ月間、ボルチモアのジョンズホプキンスに短期留学しました。
いろいろなアメリカの医療情勢を聞いています。
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