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昨夕、開業医を対象とした「心不全」の講演に出席しました。
講師の先生は、β遮断剤による心不全の治療がいかに生命予後を改善するかという内容の話が主体でした。
例によってエビデンスの紹介のオンパレードでしたが、不思議とそのメカニズムについてはいっさい触れられませんでした。
私は2つ質問しました。
1 「RASの嵐から心筋を保護するために急性期の心不全の時期からβ遮断剤を用いるとのことであるが、RAS活性化は心不全に対する生体防御反応の一面があるのではないか。したがって心不全の増悪といったリスクを高める可能性があるのではないか。ある程度落ち着いてからの投与が安全ではないのか」
その質問に対する答えは、矢張り急性期からの投与が予後を改善するとのことでした。
2 「カルベジロールの処方は分2となっているが、そのあたりはきちんと分2で投与されているのか?そしてまたその分2の根拠は?」
その質問に対する答えは、治験が分2で行われており、分1にした場合のことは分からない。したがって添付文書のとおり分2で処方しているとのことでした。
その後座長は10mg投与の場合など面倒なので分1で処方しているとのコメントがあり場内はややしらけました。
さて、きょうは目新しい話題ではありませんがβ遮断剤による心不全治療を復習しました。
ESC心不全ガイドライン
3年ぶりに改訂されたESC心不全ガイドライン
急性・慢性心不全のガイドラインを一本化
欧州心臓病学会(ESC)の心不全ガイドラインは1995年から出版されており,2005年には急性心不全と慢性心不全のガイドラインがそれぞれ出版されていた。
今回3年ぶりの改訂であり,同学会のホームページから無料で入手可能であるが,一番の特徴は急性心不全の原因として慢性心不全の悪化によることが多いため,両者を別々に論じるのではなく,時間経過的に延長線上にある疾患として統一し,「急性・慢性心不全の診断と治療のためのESCガイドライン2008」として発表したことである。
急性心不全は従来,慢性心不全と比較するとあまり注目されていない領域であったが,この方向性を受けて欧州の学会では急性心不全の演題が急に多くなってきている。
また,概してガイドラインは多くのエビデンスを盛り込むために,複雑な内容になりがちであるが,ずいぶんとシンプルで理解しやすい。
内容的にも新しい領域が少なくなってきて,落ち着いてきた感がある。
ガイドラインの最後には心不全領域の未解決問題のリストが掲載してあるのもユニークである。
慢性,急性心不全とも定義,疫学,診断,治療などの項目より成るが,すべての内容を紹介することは不可能であるので,私の視点で興味深い点を以下に述べる。
なお,左室収縮能が保持された心不全患者の治療に関してはいまだエビデンスが乏しく,今回のガイドラインでも左室収縮能が低下した心不全患者についての記載が中心になっている。
中略
左室収縮能が低下した慢性心不全の治療薬としてACE阻害薬,β遮断薬は禁忌がない限り全例に投与し,入院患者の場合,入院中から始めるべきである(class I,エビデンスレベルA)。
β遮断薬について以前から議論されていることの1つに,「心不全が悪化して再入院した場合,投与量をどうするか」という問題があるが,「コントロールが困難な心不全悪化中は一度β遮断薬を減量または中断することは可能であるが,心不全症状が安定した後,再び徐々に増量していく」と記載された。
β遮断薬の投与量については,心不全症状の悪化,症状のある血圧低下,徐脈が見られない限り増量すべきとされた。
しかし,6月のESC Heart Failureでは医師の怠慢でβ遮断薬が増量されていない患者よりも,副作用のために耐えられず,投与量が増量できない患者が多いことが指摘され,β遮断薬の投与量が不十分な場合,医師側の原因か患者側の原因かを明確にすべきと論じられた。
出典 MT pro 2008.9.3
版権 メディカル・トリビューン社
<関連サイト>
Acute and Chronic Heart Failure (Diagnosis and Treatment)
http://www.escardio.org/guidelines-surveys/esc-guidelines/Pages/acute-chronic-heart-failure.aspx
β-Blocker Therapy Update
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%26beta%3B%E3%80%80%E5%BF%83%E4%B8%8D%E5%85%A8&perpage=0&order=0&page=0&id=M3303241&year=2000&type=allround
(2000年1月のちょっと古い記事です)
急性心不全治療ガイドライン (2006年改訂版)
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2006_maruyama_h.pdf
慢性心不全治療ガイドライン
http://www.jcc.gr.jp/banner/guideline/guide02.pdf
慢性心不全に対するβ 遮断薬治療
http://jams.med.or.jp/symposium/full/122065.pdf
慢性心不全に対するβ 遮断薬治療の有用性は,1975 年Waagstein らによって最初に報告されたが,それまでの治療方針と大きく異なることから,一般には受け入れられなかった。
しかし,10 年前より大規模臨床試験が行われるようになり,1993 年メトプロロールを用いたMDC 試験を皮切りに,慢性心不全に対するβ 遮断薬の有用性が次々と実証されてきた。
USCP 試験では優れた予後改善効果が示され,その後,MERIT-HF 試験でメトプロロール徐放錠が,またCIBIS II 試験でビソプロロールが,予後の改善,突然死の抑制をもたらすことが明らかにされた。
さらに最近,COPERNICUS試験において,重症心不全においてもカルベジロールが有効性を示したことから, 軽症から重症まで慢性心不全に対するβ 遮断薬の有用性が確立したといえる。
β 遮断薬は通常ACE 阻害薬と併用して用いられるが,予後改善効果のみならず,用量依存的に心機能の改善効果もみられる。
しかし,β 遮断薬は導入期に心不全の増悪を惹起することがあるので,ごく少量から開始し緩徐に漸増する必要がある。
有効性の機序は単一ではなく,β 受容体の情報伝達障害の改善,Ca 過負荷,酸化ストレスによる心筋細胞障害の抑制,心拍数の減少によるエネルギー代謝や拡張期特性の改善,抗不整脈作用など多面的に作用するものと考えられている。
わが国でもMUCHA 試験が実施され,優れた成績が得られたため,最近保険適用が認可された。
心不全ってなに?
http://www.gik.gr.jp/~skj/chf/chf.php3
心不全に伴う交感神経系の興奮により、過剰なカテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリンなど)が動員され、心臓はそれらの刺激を受け続けることにより、逆にそれらの物質への応答性が低下(ダウンレギュレーション、抑制)され、一種の「燃え尽き症候群」の状態になります。
ベータ遮断薬はそれ自体は心臓の収縮力を低下させますが、少量から徐々に薬を増やしていくと、心不全で心筋を鞭打つカテコールアミンのシャワーから心臓を保護する「癒し」効果を示します。
最近の研究では心不全の原因、重症度にかかわらず、生存期間が著明に延長し、入院回数も減少するとの報告がなされています(CIBIS-II研究、COPERNICUS研究)。
循環器大規模臨床試験リンク集-心不全編
http://www.gik.gr.jp/~skj/listlinkdb/mega_chf.php3
慢性心不全の病態と新しい治療戦略
http://www.m-junkanki.com/lectures/0407chf/Ex-chf1.htm
以前より、心臓が弱り心臓から出る血液量が低下すると元に戻そうとする機構(身体の恒常性を維持する作用:ホメオスターシス)として、交感神経系が亢進することが知られていた。
この過剰に亢進した交感神経系因子が心不全を悪化させることが近年わかってきた。
交感神経系以外にも多数のホルモン作用物質が心不全に関係していることがわかってきた。
心不全になると、レニン・アンギオテンシン・アルドステロン(RAA)、アルギニン・バソプレッシン、エンドセリン、ニューロペプチドYなどの血管収縮因子、他に心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)やその関連物質、内皮因子(EDRF、NO)、アドレノメデュリンなどの血管拡張因子の活性も亢進する。
心不全はそれらが複雑に関連した一つの症候群であるとする考え方が生まれてきた。
現在の慢性心不全治療の大きな目標は
1)神経体液因子の是正、
2)心肥大・拡大の抑制、
3)致死的不整脈の抑制
による死亡率低下と生活の質の改善であると言っても過言ではない。
β受容体遮断薬
なぜβ受容体遮断薬が有用なのか、未だ明らかな機序は解明されていない。
最近、日本で初めて、中等度の慢性心不全患者を対象にして、β受容体遮断薬(carvedilol:商品名アーチスト)の有効性をみる臨床試験が施行された。
その結果、偽薬投与群に比べて、心不全の悪化および悪化による入院の頻度(危険率)が約90%も減少した。
β受容体遮断薬としてcarvedilolが本邦で初めて心不全治療薬として保険適用された。
ただし、使用する場合にはごく少量(carvedilol 1.25mg、1日2回投与)から始め、心不全治療に熟練した医師の注意深い観察のもとで増量しなければならない。
新しい心不全治療薬の開発
心不全時に活性化したエンドセリンの拮抗薬、内服可能なBNP製剤、ANP分解酵素阻害薬、バソプレッシン受容体拮抗薬などが開発されている。
また、最近、不全心筋でのCa++過負荷の原因として心筋細胞内節小胞体のリアナジン受容体(RyR)からのCa++リークが証明され、それを阻止する"リアナジン受容体安定化作用薬"の開発も進められている。
重症心不全に対するβ 遮断薬(カルベジロール)
至適投与の指標について
http://www.tokushima-med.jrc.or.jp/zasshi/2007pdf/002.pdf
■中止例では年齢が有意に高かった
■重症心不全患者に対してカルベジロールは安全に導入可能であり,年齢のみが予後不良の予測因子であった
■導入前の左室駆出率やその他の各種パラメータでは,副作用の出現を予測することはできなかったが,導入後に左室拡大を認める症例は予後不良であった
<考案およびまとめから>
■β遮断薬の慢性心不全への応用は,CIBIS- ,MERIT-HF,COPERNICUSをはじめ多くの大規模臨床試験で評価され,生命予後に関するリスク減少は34~35%と良好な成績が示されている.
■β遮断薬の慢性心不全治療における特徴は,アンジオテンシン変換酵素阻害薬の薬効に相乗的に働くこと,アンジオテンシン変換酵素阻害薬では認められないreversed remodeling 効果が認められること,さらに心臓突然死を減少させることなどが挙げられる.
■BNP 値は心不全の診断や治療効果の判定には有用と思われるが,β 遮断薬有効例の予測因子とはならなく,BNP高値の重症心不全であっても慎重な経過観察によりβ 遮断薬の導入は可能であることが示された。
また,これに関してはEF についても同様のことが言えると思われる.
■カルベジロール投与開始後,約半年間は頻繁に心エコーで左室拡張末期径などの計測をしていくことが望ましいと考えられた。
慢性心不全治療時のACE阻害薬とβ遮断薬、どちらの先行投与でも差なし
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200509/396961.html
βブロッカー時代の急性心不全治療-PDEIII阻害薬の新たな役割
http://www.lifescience.jp/ebm/PDEIII/fuzen/fuzen6/1.htm
正常の成人心筋細胞では,β受容体を介して細胞内Ca2+濃度が変化し,アクチンとミオシンの相互作用により収縮する。
一方,不全心筋ではこれらのCa2+ハンドリングに関与する蛋白質が質的あるいは量的に変化し(胎児型心筋細胞に類似),心筋の収縮性が低下している。
そのような状態に対し,β遮断薬を長期間投与すると,亢進した交感神経活性が抑制され,Ca2+ハンドリングに関与する蛋白質が正常化し,心筋の収縮力が回復することがわかってきた。
また,慢性心不全では基礎収縮力のみならず,カテコラミンに対する応答,すなわち収縮予備能も減弱している。
収縮予備能減弱の要因として,β受容体のダウンレギュレーションと心筋細胞内の刺激応答の減弱が重要である。β遮断薬はそのような慢性的な不全心筋において,心筋細胞内の刺激応答を改善し,PDEIII阻害薬の効果を回復させることが報告されている。
[PDF] 高血圧から心不全への進展過程において いつ、どこでβ遮断薬を使用すればよいか
http://medicalkaihatu.nikkeibp.co.jp/medicalkaihatu/02cme/pdf/2008/cme200803-1.pdf
(是非内容を吟味したいところでしたが、残念ながら内容が見れません)
慢性心不全
合同研究班編/医療・GL(05年)/ガイドライン
http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0049/1/0049_G0000132_GL.html
β遮断薬
http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0049/1/0049_G0000132_0054.html
ここ数年の間にβ遮断薬の心不全予後改善効果を指示する大規模試験の結果が相次いで発表された。
US Carvedilol studyにおいてはカルベジロール,CIBIS IIにおいてはビソプロロール,MERIT-HFではメトプロロールの有意な生命予後および心不全悪化防止効果が明らかにされた。
わが国においては低用量(1日5mgおよび20mg)とプラセボの比較試験,MUCHAにおいては一年弱という比較的短期間の観察であはあるが両投与量ともにプラセボと比較し用量依存性に心血管および心不全入院(71%減少),あるいは死亡または心血管入院(91%減少)を著明に減少した。
以上の臨床試験の対象の殆どはNYHA機能分類II度およびIII度の患者であり,最も重症のIV度患者は少数であった。COPERNICUSではeuvolemicだが左室駆出率が25%以下のNYHA IV度の重症心不全患者においてもカルベジロール従来の大規模試験に匹敵する35%の死亡率低下が得られた。
個々のβ遮断薬の効果を比較した試験は少ないがCOMETではカルベジロールとメトプロロールの効果が比較され,カルベジロール群で死亡率が有意に低かった。
一方心不全症状のない左室機能不全患者に対するβ遮断薬のエビデンスも得られている。
CAPRICORNでは左室駆出率の低下した心筋梗塞患者にカルベジロールを投与することにより死亡率が低下した。
したがって有症状の心不全患者のみならず無症状の左室収縮機能低下患者についてもβ遮断薬導入を試みることが勧められる。
β遮断薬の投与の実際についてはNYHA III度以上の心不全患者については原則として入院とし,体液貯留の兆候がなく患者の状態が安定していることを確認したうえでごく少量より時間をかけて数日~2週間ごとに段階的に増量して行くことが望ましい。
増量に際しては自覚症状,脈拍,血圧,心胸比,および心エコー図による心内腔の大きさ等を参考にし,心不全の増悪,過度の低血圧や徐脈の出現に注意する。
アンジオテンシン変換酵素阻害薬と同様,欧米の臨床試験での目標用量とわが国の常用量との間にかなりの開きがあり,薬剤認容性をみながらできるだけ増量すべきとの意見もあるが,至適用量についての明確な結論は出ていない。
現在,わが国におけるβ遮断薬の大規模試験J-CHFが進行中である.
β遮断薬の効果を予測する指標として,血漿BNPが有用である。
また,核医学的検査,とくにMIBGシンチグラフィーでのH/M比,washout rateが有用と考えられているがその値に関してコンセンサスは得られていない。
β遮断薬の投与量にはわが国と欧米では大きな開きがある。
これには忍容性も大きく影響していると考えられるが,MUCHA試験から判断する限り,日本人においては比較的低用量のβ遮断薬で有効性が得られることが示されている。
現在さらにわが国ではβ遮断薬の臨床試験J-CHFが進行中である。
なお慢性心不全における大規模試験のエビデンスのあるβ遮断薬はカルベジロール,ビソプロロール,メトプロロールであるが,このうちカルベジロールのみがわが国では保険承認がなされている。
Beta Blockers Help Hospitalized Heart Failure Patients
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/07/11/AR2008071102353.html
<関連ブログ>
ベータ遮断薬の使用で心不全の死亡率が減少
http://tomochans.exblog.jp/3407325/
β遮断薬・心不全改善・炎症・酸化ストレス抑制
http://blog.m3.com/reed/20081119/1
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~
http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
があります。
C反応性蛋白値が上昇した男女の血管イベント予防におけるロスバスタチン投与
炎症バイオマーカーである高感度 C反応性蛋白(CRP)の上昇により,心血管イベントを予測することが可能である。
スタチンはコレステロールとともに CRP を低下させることから,われわれは,高感度 CRP が上昇しているが高脂血症を伴わない人も,スタチン投与により利益が得られるという仮説を立てた。
方 法
低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールが130mg/dL(3.4 mmol/L)未満で,高感度 CRPが2.0 mg/L以上の一見健康な男女 17,802 例を,ロスバスタチン20mg/日投与群とプラセボ投与群に無作為に割り付けた。
複合主要エンドポイントを,心筋梗塞,脳卒中,動脈血行再建,不安定狭心症による入院,心血管死亡とし,その発生について追跡した。
結 果
試験は追跡期間中央値 1.9 年(最長 5.0 年)後に中止された。ロスバスタチン投与により,LDL コレステロールは 50%,高感度 CRP は 37%低下した。
中略
評価した全サブグループで効果は一貫して認められた。ロスバスタチン群ではミオパチーおよび癌の有意な増加は認められなかったが,医師の報告による糖尿病の発症率が高かった。
結 論
高脂血症を有しないが高感度 CRP の上昇した一見健康な人を対象としたこの試験では,ロスバスタチン投与により,主要心血管イベントの発生率が有意に低下した。
本論文(10.1056/NEJMoa0807646)は,2008 年11月 9日に www.nejm.org で発表された.
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/359/359nov/xf359-21-2195.htm
(N Engl J Med 2008; 359 : 2195 - 207 : Original Article)
Rosuvastatin to Prevent Vascular Events in Men and Women with Elevated C-Reactive Protein
http://content.nejm.org/cgi/content/short/359/21/2195
C反応性蛋白の遺伝的な増加と虚血性血管障害
Genetically Elevated C-Reactive Protein and Ischemic Vascular Disease
J. Zacho and others
背 景
C 反応性蛋白(CRP)値の上昇は,虚血性心疾患と虚血性脳血管障害のリスク増加と関連している。
この関連に因果関係があるかどうかを検討した.
方 法
虚血性心疾患を発症した 1,786 例と,虚血性脳血管障害を発症した 741 例を含む,一般集団コホートの 10,276 例について検討した。
また,一般集団を対象とした別の横断的研究の,虚血性心疾患を発症した 2,521 例,虚血性脳血管障害を発症した 1,483 例を含む 31,992 例についても検討した。
最終的に,虚血性心疾患を有する患者 2,238 例と対照被験者 4,474 例,虚血性脳血管障害を有する患者 612 例と対照被験者 1,224 例を比較した.高感度 CRP 値を測定し,4 つの CRP 遺伝子多型と,2 つのアポリポ蛋白 E 遺伝子多型の遺伝子型を決定した。
結 果
CRP 値が 3 mg/L を超える被験者では,CRP 値が 1 mg/L 未満の被験者と比較して,虚血性心疾患のリスクが 1.6 倍,虚血性脳血管障害のリスクが 1.3 倍増加した。
4 つの CRP 遺伝子多型の遺伝子型の組合せによって CRP 値に最大 64%の上昇がみられたことから,理論上は虚血性心疾患リスクが最大 32%,虚血性脳血管障害リスクが最大 25%増加すると予測された。
しかし,これらの遺伝子型の組合せは,虚血性血管障害のリスク増加とは関連していなかった。
これに対し,アポリポ蛋白 E 遺伝子型は,コレステロール値の上昇と虚血性心疾患リスク増加の双方と関連していた。
結 論
CRP 遺伝子多型は CRP 値の著しい上昇と関連しているため,理論上は虚血性血管障害リスクが増加すると予測された。
しかし,これらの遺伝子多型は,それ自体は虚血性血管障害のリスク増加と関連していない。
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/359/359oct/xf359-18-1897.htm
Genetically Elevated C-Reactive Protein and Ischemic Vascular Disease
http://content.nejm
<番外編>
この前の連休に「テルミサルタン」の講演会(東京)に出席したお話はすでにしました。
先生方も経験がおありのことと思いますが、懇親会で知り合いの先生にも逢わずに黙々と飲食するのは寂しいものです。
そんな中、以前から知っている先生にお逢いできひとしきり診療の話で盛り上がりました。
一つはCTA(64列マルチスライス)の隆盛でスパスムスの診断がおろそかになっているのではないかということ。
そしてもう一つは、高感度CRPのことです。
興味深かったのは「コンベンショナルな(?)CRPでも結構参考になるよ」という話でした。
その先生は、勤務医時代には循環器領域の権威としてバリバリとインターベンションをやっておられて、最近開業された偉い先生です。
「急性気管支炎などの病名をつけることを忘れないように」という、ご丁寧なアドバイスまでいただきました。
聞いた時は、早速やってみようと思ってはいたのでしたが、何せ酔いが回っていて、このブログを書いていてそのことを思い出しました。
何せ千人余が集まった懇親会場で、気がついたらわれわれ二人になっていました。
当日会場に出席された先生方もおみえになるかと思いますが、最後の二人のうちの一人が私です。
<CRP 関連サイト>
CRP
http://www.jrcla.or.jp/atoz/rexm/rexm_03_02.html
CRPが0.6ミリグラム以下であれば正常と考えられます。
心筋梗塞のリスクを予知
高感度CRP検査
超早期の治療が可能に
http://kk.kyodo.co.jp/iryo/news/0106crp.html
■高感度CRPのデータが集まり始めた結果、健康な人の基準値は、同0・04mg以下ということが分かってきた
■高感度CRP0・3mgを超える人は、明らかに将来、心筋梗塞などを起こしやすく、生命予後(将来の健康状態)が悪いことが明らかになってきた
■イタリアのデータでは、心筋梗塞を患い、退院した人を対象に高感度CRP検査で追跡したところ、同0・3mgを境に、CRP値が低い人は冠動脈の再狭窄(きょうさく)の再発率も低く、値が高い人は8倍も再発率が高いことが明らかになった
■高感度CRPでは、糖尿病や肥満、喫煙、加齢でもCRPが上昇することが次第に分かってきた
<コメント>
そのあたりが高感度CRPの限界のような気がします。
■既に通常の健診に取り入れている日赤医療センター(東京)では「現在、実際のデータが集まりつつある。
<コメント>
さすが日赤医療センターです。
個人的には高感度CRPを健診で取り入れたケースは見たことがありません。
CRPと虚血性血管疾患の発症に因果関係なし
CRPは単なるマーカーに過ぎない可能性
(NEJM誌2008年10月30日号)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/nejm/200811/508608.html
(原文
Genetically Elevated C-Reactive Protein and Ischemic Vascular Disease
http://content.nejm.org/cgi/content/short/359/18/1897)
<コメント>
今までの話に水を差すような論文です。
しかしアブストラクトでみる限りCRPという表現でhsCRPという表現はされていません。
読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~
http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
があります。
第56回日本心臓病学会学術集会ランチョンセミナーでの光山勝慶教授の講演、「降圧薬による臓器保護戦略」で勉強しました。
RA系抑制薬とCa拮抗薬の臓器保護作用に着目した高血圧治療のポイントがメインテーマです。
第56回日本心臓病学会学術集会ランチョンセミナー11
降圧薬による臓器保護戦略
わが国における高血圧治療ガイドライン(JSH2004)では,主要降圧薬としてCa拮抗薬やレニン・アンジオテンシン(RA)系抑制薬が推奨されている。
RA系抑制薬では従来,優れた心保護,腎保護作用などが指摘されているが,最近では,Ca拮抗薬においても臓器保護に関するエビデンスが得られている。
座長
佐賀大学 医学部内科学教授
野出 孝一 氏
演者
熊本大学大学院医学薬学研究部 生体機能薬理学教授
光山 勝慶 氏
ACE阻害薬とARBには明らかな薬理学的な違いがある
高血圧では,単に血圧が高いだけでなく神経体液性因子の異常が認められ,そのことが高血圧症による臓器障害に関与していることがわかっている。
最近,RA系抑制薬であるアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬およびアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)が,臓器保護に直接的な作用を発揮するとして注目されている。
ACE阻害薬にはACEを阻害してブラジキニンの不活化を抑制する作用,ARBにはAT1受容体を直接阻害してAT2受容体を刺激する作用があり,両薬剤間の薬理作用の違いは明らかである。
しかし,欧米の大規模臨床試験を中心として,現在のところ長期予後という観点では両薬剤間の違いは明確にされていない。
また,日本ではACE阻害薬とARBを比較した大規模臨床試験の報告がなく,さらに欧米と日本では両薬剤の投与量が大きく異なることから,光山氏は「ACE阻害薬とARBの違いについては今後,十分な検討の余地がある」とコメントした。
組織親和性の高いACE阻害薬は臓器保護作用が優れている
光山氏によれば,ACE阻害薬は組織親和性が高いほど臓器保護作用が優れており,組織親和性はACE阻害薬間で異なることに注目することが重要であるという。
ACE阻害薬のなかで組織親和性が最も高いのは,ペリンドプリルであることが知られており,臨床データでも高い心保護効果が示されている(Pilote L, et al: Ann Intern Med 141: 102-112, 2004)。
さらに,Zhuoらによってペリンドプリルではヒト血管ACE活性阻害作用を認めることが証明されている(Zhuo. J, et al, Hypertension 39: 634-638, 2002)。
光山氏らは,高血圧ラットにおいてACE阻害薬の違いがどれだけ臓器保護に影響を与えるかについて検討し,ペリンドプリルのほうがエナラプリルよりも血管でのACE活性抑制効果が有意に強く(図1),降圧の持続時間が長いことを示した。
光山氏は「降圧の持続時間の差というのは,ペリンドプリルのエナラプリルに優る組織ACE活性の抑制効果に関係している可能性がある」とし,「ACE阻害薬は循環器領域で重要な位置づけにあり,ACE阻害薬による臓器保護戦略として組織親和性の高い薬剤を選択することが重要である」と述べた。
臓器保護のためにはRA系抑制薬+Ca拮抗薬併用療法を
高血圧治療では,ガイドラインで提唱されている降圧目標に到達するために,作用の異なった降圧薬の併用が必要である場合が多い。
現在中心的に行われている2剤併用の組み合わせのうち,RA系抑制薬とCa拮抗薬,RA系抑制薬と利尿薬という組み合わせが注目されている。
ACCOMPLISH試験では,収縮期血圧がACE阻害薬+利尿薬群に比べてACE阻害薬+Ca拮抗薬群で有意に低下し,ACE阻害薬+Ca拮抗薬群での1次エンドポイント(心血管死・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中・不安定狭心症による入院・血行再建術・突然死からの蘇生)のリスク減少率は20%であることが示された。
一方,ASCOT-BPLA試験では,ACE阻害薬+Ca拮抗薬群とβ遮断薬+利尿薬群の有用性を比較検証し,ACE阻害薬+Ca拮抗薬群の心血管イベントに対する優位性が証明されている。
これらのことから,光山氏は「ACE阻害薬とCa拮抗薬の併用が高血圧症患者の臓器保護に有効である」と述べた。
T型Caチャネルを阻害するCa拮抗薬は優れた臓器保護作用を発揮
それでは,Ca拮抗薬は薬剤間で臓器保護作用に違いが認められるだろうか。
高血圧症の治療に用いられるジヒドロピリジン系Ca拮抗薬では,L型Caチャネルを阻害すると強力な降圧効果が得られ,T型,N型Caチャネルを阻害すると臓器保護作用(輸出細動脈拡張作用による腎保護作用,心保護作用など)が認められるといわれている。
Shimokawaらは冠攣縮性狭心症患者に各種Ca拮抗薬を投与し,5年間追跡した結果,ベニジピンで心血管イベントを免れた生存率が有意に高いこと(図2),またOhishiらは他のCa拮抗薬で降圧目標に達しない症例をベニジピンに切り替えると,血圧および尿中蛋白排泄量が有意に低下することを報告しており(図3),Ca拮抗薬ではその種類によって臨床的な臓器保護作用に違いが認められることが示されている。
光山氏らは,高血圧ラットにおいてベニジピンの臓器保護作用について検証した。
「ベニジピンの投与は,同程度の降圧を示した他のCa拮抗薬の投与に比べて,心重量を減少させ,心臓組織の炎症・線維化を抑制した。
腎臓においても,ベニジピンは糸球体の炎症をより強く抑制し,臓器保護効果が優れていた」と述べた。
これらの心臓,腎臓などに対する臓器障害のメカニズムとして酸化ストレスの関与が考えられているが,ベニジピンは酸化ストレスの抑制が強く,光山氏は「T型チャネルを阻害するCa拮抗薬は,臓器保護に有効であると期待される」と述べた。
最後に,光山氏は「高血圧症の治療では,RA系抑制薬のうち組織親和性の高いペリンドプリルにT型Ca拮抗薬を併用投与することが臓器保護戦略として有効であることが示唆され,各薬剤の薬理学的特徴の違いを考慮して薬剤選択することが重要である」と結論した。
出典 Medical Tribune 2008.11.20
版権 メディカル・トリビューン

「Heart and Kidney - 私たちの近くにあるもの」
制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)
<関連サイト>
ペリンドプリルとカルシウム拮抗薬併用により予後が改善する
http://www.doljapan.com/special/esc/2008/html/10.html
EUROPAトライアルの新たな解析により、安定した冠動脈疾患患者におけるカルシウム拮抗薬(CCB)とペリンドプリルの“相乗効果”が示された。EUROPA:EUropean trial on Reduction Of cardiac events with Perindopril in stable coronary Artery disease(安定冠動脈疾患患者におけるペリンドプリルの心イベント減少効果に関するヨーロッパのトライアル)においては17%の患者がスタディ期間中を通してCCBを投与された。1,022人はペリンドプリル群に1,110人はプラセボ群に割り付けられた。つまり、3,095人はプラセボを投与されCCBは投与されず、3,326人はペリンドプリルを投与されCCBは投与されなかった。トライアルの一次エンドポイントを再度見直してみると、心血管死、心筋梗塞、または蘇生された心停止はペリンドプリルとCCBを併用された患者において少なかった。(併用群4.89%対ペリンドプリル単独投与群6.58%;プラセボとCCB併用群7.45%;プラセボ単独投与群7.98%;全ての比較においてp<0.05)。ペリンドプリルとCCBの併用によりまた、全死亡率が46%(p<0.01)、心血管死亡率が41%(p=0.09)、致死性および非致死性心筋梗塞が28%(p=0.01)、心不全による入院が54%(p=0.25%)減少した。
ペリンドプリルエルブミン(商品名コバシル)
http://www.okusuri110.com/dwm/sen/sen21/sen2144012.html
ACE阻害薬は動脈硬化患者にも有益
アテローム血栓症動脈硬化症患者の心血管イベントや総死亡を減らす
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200611/501975.html
アンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬の投与が、心不全や左室収縮機能不全(LVSD)など、重症の心血管疾患患者の有病率と死亡率を低減することは既に確かめられているが、新たに、アテローム性動脈硬化症患者に対しても、総死亡や心血管イベントを減らすことが、3件の無作為割付試験の系統的レビューで確かめられた。
研究の対象としたのは、HOPE(Heart Outcomes Prevention Evaluation)、EUROPA(European trial on Reduction Of cardiac events with Perindopril among patients with stable coronary Artery disease)、PEACE(Prevention of Events with ACE inhibition)という3件の大規模な臨床試験。
中略
得られた結果は、心不全またはLVSDではないアテローム性動脈硬化症患者においても、ACE阻害薬は重篤な心血管イベントを減らすことを示唆した。著者らは、ACE阻害薬の利益は、アテローム性動脈硬化症患者からハイリスク者まで幅広い患者に及ぶことから、血管疾患を抱える患者全員に対して、忍容性が続く限り、ACE阻害薬の投与を考慮すべきだ、と述べている。
[PDF] 第80回日本内分泌学会総会 クリニカルアワー 「ACE 阻害薬と ARB の心血管イベント抑制効果」
http://endo80.umin.jp/CH/C-13.pdf
[高血圧] 第27回日本高血圧学会総会レポート CareNet.com
http://www.carenet.com/hypertension/jsh2004/l34/index.html
(パスワードが必要です)
軽度から中等度の本態性高血圧患者の. 頸動脈IMT肥厚に対する組織親和性 ACE阻害薬と.アンジオテンシン受容体拮抗薬の効果の比較検討
http://www.arterial-stiffness.com/pdf/no09/052_053.pdf
高性能ACEI
http://blog.m3.com/reed/20071023/_ACEI
[PDF] 【アンジオテンシン変換酵素阻害薬】 2007.8
http://www.hokuyaku.co.jp/pdf/medicine/yakkou/y03_06.pdf
(各種ACE-IとARBの一覧です)
[高血圧] 高性能ACE阻害薬の選択とそのエビデンス CareNet.com
http://www.carenet.com/hypertension/tana02/sato2/index.html
1.ACE阻害薬とARBは異なる降圧剤である
2.違いが報告されるようになった心筋保護作用
3.どのACEを選ぶべきか?
の3つ内容について佐藤敦久が動画で解説しています。
(パスワードが要るかも知れません)
PCIでは初回治療後の再治療率がCABGに比べ10倍高い:
英国の住民研究より
英・ライセスター大学公衆衛生学部門のIain Squire氏らは,冠動脈疾患(CHD)患者を対象とした住民研究の結果から,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた患者では冠動脈バイパス術(CABG)を受けた患者に比べ,再治療率が10倍高いことを11月10日付けのHeartオンライン版に報告した。
90年代に比べ複雑な症例が増えた一方で,治療成績は改善
同試験は1995~96年,2003~04年に初めてPCIあるいはCABGを施行された連続症例6,068例を対象に死亡率,再治療率などを調査したヒストリカルコホートスタディ。
両群とも前半期に比べ後半期でより多くの合併症を有する症例が治療の対象となっていた。
また,PCI群の平均年齢はCABG群よりも若い傾向にあったほか,CABG群ではPCI群に比べ心不全,糖尿病,肝疾患や癌を合併している割合が高かった。
上記2期間にPCIを受けた全3,548例について,前半期と後半期における2年間の無再発生存率は73%から83%と明らかに改善していた。
一方で,両群の死亡率は同等であった。
さらにPCI群ではCABG群に比べ,再治療を要した症例の割合がおよそ10倍にのぼっていた(95%CI 8.20~13.60%)。
同氏らはPCI群において,ステント留置の有無による再治療の割合に違いがあるかを解析したところ,ステントを留置していた症例で,非留置例にくらべ再治療の率が低いことが明らかになった(HR 0.61,95%CI 0.49~0.74)。
Squire氏らは「複雑なプロフィールを有するCHD症例が増えているにもかかわらず,90年代に比べ2000年代では治療成績の改善が認められている」と今回の結果を評価。
しかし,ステントの使用頻度が増えている一方で,PCI施行例における再治療率は依然としてかなり高いとコメントしている。
昨年(2007年),報告されたPCI・CABGに関するランダム化比較試験(RCT)を対象としたシステマティックレビューにおいても,両者の死亡率は同等であったが,狭心症状の改善はCABG群で優れていたほか,再治療率がPCI群で有意に高いことが示されている( Ann Intern Med 2007; 147: 703-716)
最近COURAGEや先日のDoctor's Eyeで取り上げられたJSAPといった試験からも,施設あるいは国や地域によって,PCIによる治療成績の評価が異なることが明らかになっており,要因として,術者の習熟度によるところが大きいことも指摘されている。
同氏らは,PCI,CABGともに高度な医療設備と技術を要する手技であり,治療成績や実地臨床における指針の変化を評価することが重要と述べている。
出典 MTpro 2008.11.12
版権 メディカル・トリビューン社
<番外編>
低リスク安定型狭心症患者に対する治療戦略はPCIか薬物療法か?
―わが国初の多施設ランダム化比較試験JSAPの意味すること
兵庫県立尼崎病院循環器内科 佐藤 幸人
背景:欧米のガイドラインは薬物療法を推奨,COURAGE研究でもPCI群と同等の長期予後
安定冠動脈疾患(安定CAD;安定狭心症,安定無症候性狭心症)は,
(1)死亡の危険性の高い高リスク(左主幹部病変・3枝病変・左前下行枝分岐部病変)CAD,
(2)相対的に死亡の危険性の低い高リスク以外のもの(低リスクCAD)
―に分類され,大部分(約80%)は後者である。
その治療法は,
(1)薬物療法=薬物療法で開始し,コントロールできなければ経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を追加,
(2)PCI療法=低リスクCADを対象とし,PCIと薬物療法を同時に開始,
(3)冠動脈バイパス術(CABG)療法=高リスクCADを対象とし,CABGと薬物療法を同時に開始―
である。
欧米のガイドラインでは,低リスクCAD治療の第一選択は多くの多施設共同研究のエビデンスに基づき,薬物療法である。
最近報告された薬物療法とPCI療法の長期予後を検討したランダム化比較試験COURAGE研究(N Engl J Med 2007; 356: 1503-1516)においても,短期の臨床症状の改善はPCI療法が優れていたが,長期予後すなわち死亡も急性冠症候群(ACS;急性心筋梗塞および不安定狭心症)も両者に全く差がなく,長期には臨床症状にも差がなくなり,これまでの欧米のガイドラインの正しさが確認された。
一方,わが国では特殊な例外を除き,これまでエビデンスが全くなかったにもかかわらず,欧米のガイドラインとは異なるPCI療法が一般的に行われてきた。
そこで,低リスクCAD患者を対象に,PCI療法と薬物療法の多施設ランダム化比較試験であるJSAP研究(委員長=藤原久義・兵庫県立尼崎病院院長)が厚生科学研究費と日本心臓財団の補助を受け,わが国ではじめて行われた。
その結果が J Am Coll Cardiol Intv(2008; 1: 469-479)に掲載されたので紹介する。
JSAPの結果:PCI群で有意な予後改善示す
JSAP研究は2002年に始まり,わが国の代表的な循環器科の病院78施設が参加した。対象は低リスクCAD患者384例である。
コンピュータによるランダム化が行われたわが国初の試験でもある。
追跡期間は3.2年。PCI群の76%ではベアメタルステントが留置された。
総死亡はPCI群2.9%,薬物療法群3.9%で有意差がなかった。
しかし,PCI群では薬物療法群と比較し,ACSの有意な減少(PCI群:5.0%,薬物療法群:11.7%,P=0.012)が見られ,総死亡+ACS(P=0.019),総死亡+ACS+脳血管障害,総死亡+ACS+脳血管障害+緊急再入院でも有意な減少が認められた(図1)。
狭心症状も全期間を通じて,PCI群で有意な改善を示した。
なぜ両研究の結果が一致しなかったか:PCI技術の相違が関与している可能性も
JSAP研究の結果から判断すると,わが国では欧米と異なり,PCI療法でよいことになる。
さて,どちらが真実を反映しているかは今後の検討課題であるが,問題点は以下のように整理される。
(1)COURAGEの研究者らは同試験の結果について,「ACSがPCIの対象となる有意狭窄病変からではなく,非有意狭窄病変から発生する」というこれまでの定説から,有意狭窄病変のみをPCIで治療しても全体のACSの予防効果に反映しないとし,このためにPCI群と薬物療法群に長期予後の差がなかったと結論している。
しかし,JSAPの薬物療法群の冠動脈造影(CAG)所見の解析では,半数以上のACSがJSAP開始時に既に存在していた有意狭窄病変から発生していることを示した。
また,PCI群における試験中のACS減少は,開始時のPCI対象血管病変からのACS発生の減少に由来することを明らかにした。COURAGEなどの欧米の試験ではこのようなデータの解析はなされていない。
(2)COURAGEのKaplan-Meier曲線の特徴は,PCI後,半年以内にPCI群でイベントが多発しているが,逆に慢性期には薬物療法群で多発しており,結果として長期成績では両者は相殺され,両群の差がなくなっている(図2)。
一方,JSAPでは初期からイベント発生はPCI群で少なく,期間が長くなるにつれて差は大きくなっている。
慢性期だけ見ればCOURAGE,JSAPともにPCI群でイベントは減少していることになり,COURAGEでも初期イベントがJSAPと同様にPCI群で低ければ長期予後はPCI群が勝ったはずである。
初期のイベントがなぜCOURAGEとJSAPで逆かが大きな問題となるが,わが国ではPCI時に一般的に行われている血管内超音波(IVUS)が欧米では一般的ではないなどのPCI技術の相違が関与している可能性がある。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/doctoreye/dr081006.html
出典 MTpro 2008.10.27
版権 メディカル・トリビューン社
安定狭心症に対するPCI併用・薬物療法単独のQOL改善効果に長期的な差はない
安定狭心症患者に対する初期の至適治療を検討したCOURAGE試験のサブ解析において,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)併用群におけるQOL改善効果は2~3年で薬物治療群との差がなくなることが示された(N Engl J Med 2008; 359: 677-687)。
治療後24か月でQOL評価の差がほとんど消失
COURAGE試験では,安定狭心症において至適薬物治療にPCIを追加しても,死亡や心血管イベントリスクといった予後の改善に有意な上乗せ効果が認められないとの結果が示されている(N Engl J Med 2007; 356: 1503-1516)。
高齢の狭心症患者や不安定狭心症,ST非上昇型心筋梗塞患者に対するPCIが薬物療法よりもQOL改善効果に優れると報告されてきたが,安定狭心症におけるPCIのQOLに対する効果については,明らかになっていない。
今回のサブ解析では,同試験でPCI+薬物治療,薬物治療のみの群にそれぞれ無作為割り付けされ,解析対象となった2,287例に対し,疾患特異スコア(Seattle Angina Questionnaire:SAQ),身体・精神関連QOL調査票(RAND-36)による評価が実施された。
ベースライン時,全症例のうち22%が「狭心症状がない」と回答。試験開始から3か月時点でPCI+薬物治療群の53%,薬物治療群の42%が「狭心症状がない」と答えていた(P<0.001)。
両群におけるSAQ(0~100,数値が大きいほど健康状態が良い)については,身体的制約,狭心症状とその頻度,治療への満足度,QOLのすべての指標に関するスコアでPCI+薬物治療群が有意に優れていた。
しかし,試験開始から24か月の時点で身体的制約,治療満足度,QOLに関するスコアの両群の有意差は消失し,さらに36か月ではすべての項目で有意な差が認められなくなった。
今回の結果について,解析を行った米・クリスティアナケアヘルスシステムのWilliam S. Weintraub氏は,追跡期間中の健康状態は両群ともに良好であったとし,安定狭心症患者に対するPCI施行のベネフィットは薬物治療単独に比べ当初有意であったが,さほど大きなものではないと述べている。
出典 MTpro 2008.8.18
版権 メディカル・トリビューン社
昨日の
ESCAPE試験サブ解析
http://blog.m3.com/reed/20081126
のブログに”Cardio&VascularProtection Forum 2008”
の際のアナライザーによる会場での回答を追加しました。
兵庫県立尼崎病院循環器内科 佐藤 幸人が書かれた ESCAPE試験サブ解析の解説で勉強しました。
急性心不全治療において体重減少と予後は相関しない ―ESCAPE試験サブ解析より
兵庫県立尼崎病院循環器内科 佐藤 幸人
背景:
明確な治療指標がない急性心不全―体重減少の意義は?
2008年10月8日掲載記事のなかで,慢性心不全患者が急性心不全へ悪化する1週間くらい前には2kgほどの体重増加が観察される(Circulation 2007; 116: 1549-1554)ことを解説した。
今回は急性心不全患者において,治療指標として体重減少を用いることが,短期,長期的に意義があるかについてESCAPE(Evaluation Study of Congestive Heart Failure and Pulmonary Artery Catheterization Effectiveness)試験のサブ解析(Am J Cardiol オンライン版)から検討する。
結果:
治療による体重減少と長期予後は無関係
ESCAPE試験自体の概要は,急性心不全患者を対象に,Swan-Ganzカテーテルガイド治療群と,標準検査ガイド治療群とを比較した場合,両群間で6か月後の心血管イベントに有意差がなく,急性心不全患者に対して標準的にSwan-Ganzカテーテルを留置することはあまり意味がないという結論であった(JAMA 2005; 294: 1625-1633) 。
今回の383例のサブ解析によると,平均3.6kgの体重減少が急性心不全の治療により見られたが(図1),その減少は利尿薬の使用量と無関係であり(図2),さらに入院中の有害事象,生存期間,180日後の予後との関連については,急性心不全治療による体重減少は全く無関係であるという結果であった(表)。
解釈:
体重減少は短期的な症状改善とのみ相関か
急性心不全患者は臓器浮腫,呼吸困難を主訴として入院する。
急性心不全の治療の主体はまず,呼吸困難を改善することにあるが,利尿薬,血管拡張薬,場合によっては強心薬などの点滴投与により,血行動態の改善と利尿を図ることが多い。
しかし,利尿薬による体重減少が実際の予後と相関するかどうかの報告はほとんどされていない。
一方,急性心不全患者を対象としたこれまでの試験結果はどうであったのだろうか。
EVEREST(Efficacy of Vasopressin Antagonism in Heart Failure Outcome Study with Tolvaptan)試験は,心不全患者を対象にバゾプレッシン受容体拮抗薬tolvaptanの効果をプラセボと比較検討した試験である。
その結果,tolvaptan群では短期的には有意に体重減少が得られたが,長期予後は両群間に有意差が認められなかった(JAMA 2007; 297: 1319-1331,JAMA 2007; 297: 1332-1343)。
したがって,治療による体重減少と長期予後の相関は認められていない。
一方,限外濾過群と薬剤群を比較したUNLOAD(Ultrafiltration versus Intravenous Diuretics for Patients Hospitalized for Acute Decompensated Congestive Heart Failure)試験では,限外濾過群で有意な体重減少を認め,90日の時点で心不全の再入院も有意に抑制している(J Am Coll Cardiol 2007; 49: 675-683)。
今回のESCAPE試験のサブ解析結果では,EVEREST試験結果と同様に,急性心不全治療中の体重減少と長期予後の間には相関が認められなかった。
これらの結果の違いの原因は,論文の考察にもあるように不明である。
しかし,ESCAPE試験ではフロセミドの使用量が160mg/日以上,駆出率30%未満,収縮期血圧125mmHg未満といった極めて重症の患者が対象であったために,急性期の短期的な治療では予後が変わらなかった可能性もある。
実際の急性心不全患者の治療現場では,現在でも標準的な治療指標が決定していない。
ほとんどの臨床試験で「自覚症状,呼吸困難の改善」という漠然とした指標が,今でも重要な治療指標のひとつとして使用されている(Eur Heart J 2008; 29: 816-824)。
また,ESCAPE試験の結果同様,PAC-Man(pulmonary artery catheters in management of patients in intensive care)試験でもSwan-Ganzカテーテル指標では予後を改善しないことが示されており(Lancet 2005; 366: 472-477),「血行動態」も標準的治療指標とは言いがたい。
今回の試験結果では,「体重減少」という治療指標は呼吸困難の症状改善という短期の治療指標にはなるが,長期予後改善の指標にはならないことが示された。
ESCAPE試験のこのサブ解析結果は,「急性心不全の治療指標は何がよいか?」という大変に基本的な疑問を問題提起した論文といえる。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/doctoreye/dr081105.html
出典 MT Pro 2008.11.13 2008.11.19
版権 メディカル・トリビューン社
<関連サイト>
2008年10月8日掲載記事
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/doctoreye/dr081003.html
Circulation 2007; 116: 1549-1554
Patterns of weight change preceding hospitalization for heart failure.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/17846286
Am J Cardiol オンライン版
Association of Weight Change With Subsequent Outcomes in Patients Hospitalized With Acute Decompensated Heart Failure
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/doctoreye/dr081105.html
JAMA 2007; 297: 1319-1331
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/17384437
JAMA 2007; 297: 1332-1343
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/17384438
J Am Coll Cardiol 2007; 49: 675-683
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/17291932
Eur Heart J 2008; 29: 816-824
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/18310669
Lancet 2005; 366: 472-477
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/16084255
<番外編>
昨日の
Cardio&VascularProtection Forum 2008
http://blog.m3.com/reed/20081125
の追加です。
パネルディスカッションの際のアナライザーを用いた聴衆の先生方の回答
まず最初に練習としてのアンケート
練習Q
先生の専門は何ですか
練習A
内科・循環器 42%
内科・代謝系 13%
内科一般 33%
外科 12%
Q1 日常臨床においてどちらを重視しますか
1.世界規模のグローバルエビデンス
2.日本人を対象にしたエビデンス
A1 1.世界規模のグローバルエビデンス 26%
2.日本人を対象にしたエビデンス 74%
(檜垣先生のコメント)
LIFE試験でBlackとNon-BlackでARBとβblockerが異なる結果が出た。
したがって人種差を十分考慮する必要があり、国内のエビデンスの集積が待たれる。
(最近おこなわれているPROBE法に対する問題点も指摘された)
<コメント>多くの先生方が海外のエビデンスに辟易としているといった本音が垣間見られたようで興味深いアンケート結果でした。メーカーや大学の医局主導でない、本当の意味での質の高い大規模臨床試験が望まれるところです。
11月23日(土)はグランドプリンスホテル赤坂(東京)で開催された”Cardio&VascularProtection Forum 2008”に出席しました。
β遮断薬・心不全改善・炎症酸化ストレス抑制
http://blog.m3.com/reed/20081119
日本ベーリンガーインゲルハイム(株)とアステラス(株)の共催ということでテルミサルタン(商品名ミカルディス)の話題です。
特別講演の”New Opportunities forPreventing Diabetes and CV Disease in High Risk Patients”というテーマで講演されたTheodore W.Kurtz,MD先生のお話は印象的でした。

講演の中で高血圧発症のメカ二ニズム解明の研究に、京大の岡本・青木両先生が開発した自然発症高血圧ラット(SHR)が如何に寄与したかという話を写真入りのスライドで説明されたのは意外でした。
日本での講演だったので(最初少し日本語で話されました)、サービス精神かなと勘ぐってしまいましたが、それだけ世界的に認められているとすればそれこそノーベル賞的な研究とも言えそうです。
スライドの写真には岡本先生と(青木先生ではなく)、若かりし頃の家森先生が写っていました。

随分今までにお目にかかったシェーマです。
わかりやすいだけにかえって身構えてしまいます。

今回の講演は予想通りPPARγ一色でした。
<自遊時間>
新着の「日本医事新報」( No.4413 2008.11.22)の読者サロンに「ラストゲーム 最後の早慶戦」を観て感涙にむせんだ話が出ていました。
早慶を出られた方にはなおさら感動する映画なんでしょうね。
話は少し脱線しますが、校歌や応援歌は先輩や後輩の分け隔てなく心を一つにしてくれる不思議な力を持っています。
私はもちろん明治大学の出身ではありませんが、個人的にはこの大学の校歌が何故か大好きです。
<関連サイト>
ラストゲーム 最後の早慶戦
http://www.cineamuse.co.jp/cinema/index.php?cinema_id=510
ストーリー:
1943年10月16日。それは、永遠に語り継がれる、特別な試合—。
禁じられた野球にすべてを捧げた男たちの感動の実話
青い空の下、グラウンドで無心に白球を追いかける若者たち。1943年、太平洋戦争が彼らから青春の日々を奪おうとしていた。「野球は敵国アメリカのスポーツだ」と六大学野球が廃止、さらに学生に対する徴兵の猶予が停止、彼らはバットを捨て、銃をとらねばならないのだ。しかし、早稲田大学野球部顧問の飛田穂洲は、出陣のその日まで学生たちと野球を続けると誓う。野手の戸田順治は、厳格な父から「この非常時に」となじられたが、志願した兄の「戦争は俺に任せて、お前は野球をやれ」という言葉を胸に練習に励む。「試合がしたい」選手たちの願いは、ただそれだけだった。
ある日、慶応義塾塾長の小泉信三が、飛田に「早慶戦」を申し込む。二度と帰れないかもしれない若者たちに生きた証を残してやりたい—小泉の切なる願いを飛田も喜んで受けとめるが、早稲田大学総長は頑として拒絶する。飛田の強行突破で、遂に幕を開ける早慶戦。それは、別れであると同時に、明日への希望に満ちたゲームだった…。
明治大学校歌
http://www.meiji.ac.jp/koho/information/schoolsong/index.html
明治大学校歌&第一応援歌@2008年春季六大学野球(神宮球場)
http://jp.youtube.com/watch?v=7qh9lnjbuEU&feature=related
明治大学校歌&第一応援歌@2007年秋季六大学野球・明法戦(神宮球場)
http://jp.youtube.com/watch?v=0y9qcgcO-AU
東京六大学野球応援風景 明大2(1995)
http://jp.youtube.com/watch?v=tbkbiIjA3TU&feature=related
明治大学校歌&第一応援歌@2007年秋季六大学野球・対立教戦(神宮球場)
http://jp.youtube.com/watch?v=_JbNk2pM7oM&feature=related
07年明早戦後のエール交換(明治大学校歌のみ)
http://jp.youtube.com/watch?v=G9BxAcNWCKQ&feature=related
昨日の
動脈硬化性病変を伴う高血圧とARB その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20081123/1
の後半です。
動脈硬化に対するオルメサルタンの影響
堀内
先生はオルメサルタンの動脈硬化に対する影響についても検討を行われたそうですが,その結果をお話しいただけますか。
佐田
われわれは,アポE欠損マウスにオルメサルタン(10mg/kg/日)およびヒドララジン(30mg/kg/日)を6か月間投与して,動脈硬化への影響を検討しました。
それによると,血圧や血中コレステロールでは両群間の差は認められなかったのですが,オルメサルタン群では動脈硬化の進展が抑制され(図4),プラーク内のコラーゲンの増加が観察されました。オルメサルタンによってコラーゲンが増加したことから,プラークの安定化が期待されると思います。
堀内
佐田先生のご検討では,オルメサルタン群とヒドララジン群の血圧に差はなかったということですから,単に血圧を下げるだけでは動脈硬化の進展は十分抑制されないと考えてよろしいのですか。
佐田
そう思います。
局所でのAT1受容体をブロックすることが重要だと思います。
同様の報告として,高コレステロール食で飼育したサルにオルメサルタンを投与した検討では,すでに形成されていた動脈硬化病変が,血圧やコレステロール値とは独立して退縮したことが明らかにされています。
この報告から考えられるのは,ARBには降圧とは別の独立した作用があり,動脈硬化が形成された状態で投与を開始しても,有用性が期待できるのではないかということです。
堀内
オルメサルタンの動脈硬化への影響を臨床的に検討したものとしては,最近報告されたMORE Studyにおいて,心血管系リスクを有する高血圧患者にオルメサルタン(20~40mg)あるいはアテノロール(50~100mg)を104週投与すると,オルメサルタン群ではベースラインのプラーク容積が中央値以上の患者で,プラーク容積の退縮が認められています。
この結果は,ヒトにおいても血圧を下げる場合に,ARBを使うことのメリットが示されたのではないかと考えられます(図5)。
近年では新しい研究分野として,血管内皮前駆細胞(EPC)の血管保護作用が注目を集めていますが,EPCの作用について解説をお願いします。
佐田
従来は血管が傷害されると,その近くの細胞が増殖して傷害を修復すると考えられていたのですが,近年では骨髄細胞が血中に前駆細胞として動員された後,傷害血管に定着してその修復に関与していることが明らかにされつつあります。
その骨髄前駆細胞の代表がEPCであり,例えば冠動脈疾患の患者では,EPCが少ないと予後が悪いことが指摘されています。
また糖尿病患者では,健常人に比べてEPCが減少しているのですが,オルメサルタンを投与するとEPCが増加することが報告されています。
堀内
つまりオルメサルタンはEPCを増加させるので,これが血管保護につながるのではないかということですね。
オルメサルタンがEPCを増加させる機序については,どのようなことが考えられますか。
佐田
糖尿病による酸化ストレスの増加をオルメサルタンが抑制したことで,二次的な効果が出たのではないでしょうか。
堀内
それから近年では,昇圧などのAT1受容体の作用とは逆の働きを示すRA系の新たな構成要素として,ペプチドであるAng-(1-7)と,その産生を促進する酵素であるACE2の役割が注目を集めています。
動脈硬化の領域においてこれらはどのように評価されていますか。
佐田
私は動脈硬化の領域でも重要な役割を果たしていると考えています。
ACE2をノックアウトしたマウスでは動脈硬化が悪化して,炎症の指標が上昇してくることが観察されています。
また,動物実験ではオルメサルタンがACE2を増加させることが報告されています。
堀内
炎症に関しては,EUTOPIAでオルメサルタン(20mg)がhs-CRP,IL-6,hs-TNFα,MCP-1といった炎症の指標を有意に低下させたことが明らかにされています。
また降圧という点においても,オルメサルタンは夜間や早朝を含め24時間にわたり血圧をコントロールしていることが報告されています(図6)。
佐田
ARBには多面的作用がありますが,やはり降圧作用は重要なポイントであると思います。
堀内
本日は佐田先生をお迎えして,動脈硬化におけるRA系の役割や骨髄のAT1受容体の作用について,非常に興味深いお話をお伺いすることができました。
新着のMedical Tribuneの特別企画の対談で勉強しました。
2007年度の日本の降圧薬市場について調べたことがありました。
1位は当然のことながらARBで4740億円。
なんと全体の市場の47%を占めています。
ちなみにCa拮抗剤が3548億円と善戦。
3位がβ遮断剤の782億円。
4位ACE-Iにいたっては667億円。
きょう勉強する座談会のようにARB一辺倒の情報提供の賜物か、また原因と結果が逆なのか。
こんな実情を知ったら、ACE-Iを持ち上げるお話が聞けない理由もわかってしまいます。
かくいう私も、今夕のテルミサルタンの研究会(東京)に出席するので大きなことはいえません。
DECREASE III試験
http://blog.m3.com/reed/20081120
ところでいつも思うのですが、全国規模の研究会。
軽く1億円は数時間で消えてしまうのではないのでしょうか。
4740の1と考えれば小さい数字かも知れません。
それに見合う処方の伸びはあるのでしょうか。
きょうの内容は、動脈硬化に対するアンジオテンシンII(A II)の役割と、実験の成績についての解説でかなり難解でした。
NEW Original Articles of Olmesartan
動脈硬化性病変を伴う高血圧に対するARBの最新の話題
(一部改変)
愛媛大学大学院医学系研究科 分子心血管生物・薬理学教授
堀内 正嗣 氏(聞き手)
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 循環器内科学教授
佐田 政隆 氏(解説)
動脈硬化が進展して心血管系イベントを発症するにあたっては,プラーク容積の拡大という量的変化だけではなく,プラークの不安定化という質的変化も重要な役割を果たしている。
レニン・アンジオテンシン(RA)系は,これらの経過をいずれも進展させることが近年明らかにされ,大きな注目を集めている。
佐田氏らは,脂質異常症で動脈硬化のモデルとして広く使われているアポE欠損マウスの動脈硬化に対する,アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)オルメサルタン メドキソミル(オルメテックR)[以下,オルメサルタン]の影響を検討した。
AT1受容体が動脈硬化に関与
堀内
本日は動脈硬化とRA系のかかわり合い,さらには動脈硬化を合併した高血圧の治療におけるARBの役割について,まずは動脈硬化の病態について解説をお願いします。
佐田
私は高血圧,脂質異常症,糖尿病といった危険因子が,どのようにして動脈硬化を引き起こすかということに興味を持ち,長年研究を続けてまいりました。
今日ではその機序として,メタボリックシンドロームが酸化ストレスを増大させたり,炎症を惹起するプロスタノイドが増えたり,あるいはAGE(advanced glycation endproducts,最終糖化産物)が増加したりするといったことが指摘されています。
そのなかでも特に注目を集めているのが,危険因子から血管病変に至る経路として組織のRA系が非常に重要な役割を果たしているということです。
われわれが実施した検討でも,脂質異常症動物にA IIを投与するとプラークにおける脂質沈着が増加してコラーゲンが低下するという,動脈硬化の進展やプラークの不安定化が観察されています。
また,DCA(方向性冠動脈粥腫切除術)などで患者から摘出した血管の解析では,急性冠症候群患者のプラーク内でRA系が活性化されていることが明らかにされています。
堀内
先生は遺伝的にAT1受容体をノックアウトするという方法で,動脈硬化におけるRA系の役割を検討されていますが,その結果をご紹介いただけますか。
佐田
われわれは,AT1受容体の作用を完全に遮断するとどのような影響がみられるかということを明らかにするため,脂質異常症で動脈硬化のモデルとして広く使われているアポE欠損マウスにAT1受容体欠損マウスをかけ合わせてダブルノックアウトマウスを作成し,通常のアポE欠損マウスと動脈硬化の進展を比較しました。
その結果,AT1受容体が存在しないアポE欠損マウスにおいて血中コレステロールは通常のアポE欠損マウスと同様に高値を示したのですが,血管を開くと動脈硬化が約半分に抑制されていました(図1)。
この結果により,AT1受容体の存在が動脈硬化を進展させることがわかりました。
また,血管にAT1受容体が存在しないと血圧が降下することもわかりました。
骨髄のAT1受容体が動脈硬化とプラークの不安定化に関与
堀内
AT1受容体が動脈硬化を進展させる機序については,どのようなことが考えられますか。
佐田
酸化ストレスの増大,血管内皮の障害,マクロファージの活性化,脂質の酸化,外膜からの血管新生の促進といったことが挙げられると思います。
そのなかでも私が注目しているのは,骨髄のAT1受容体が動脈硬化を進展させているのではないかということです。
堀内
佐田先生は骨髄のAT1受容体の役割についても,骨髄細胞が動脈硬化の進展に関与しているということを報告されていますが,その結果をお示しいただけますか。
佐田
まずわれわれは,10~14週齢のアポE欠損マウスにAT1受容体が存在する通常のマウスより得た骨髄とAT1受容体ノックアウトマウスより得た骨髄をそれぞれ移植し,移植後12週経ってからA IIを8週間投与しました。
血圧では明らかな違いはありませんでしたが,動脈硬化巣を染色したところ,AT1受容体が存在する通常の骨髄を移植したマウスではAT1受容体をノックアウトした骨髄を移植したマウスに比べ,明らかに動脈硬化病変が広がっていることが観察され,コラーゲンの減少もみられました。
この結果から,骨髄にAT1受容体が存在すると骨髄由来細胞が病巣に集まり,動脈硬化を進展させ,プラークを不安定化させるのではないかと考えました。
そこで,われわれは実際に骨髄由来細胞が動脈硬化病変を進展させる過程を検証しました。10週齢の通常のアポE欠損マウスに,GFP(緑色蛍光蛋白質)を発現している,AT1受容体が存在する通常のマウスの骨髄とAT1受容体をノックアウトしたマウスの骨髄をそれぞれ移植し,骨髄細胞の動脈硬化巣への蓄積を観察しました。
GFP陽性細胞(骨髄由来細胞)の蓄積によって,骨髄細胞が動脈硬化巣へ本当に蓄積しているかどうかを確認しました。
骨髄移植後12週目にA IIの投与を開始し,8週間続けたところ,AT1受容体が存在しない骨髄を移植したマウスでは,GFP陽性細胞の蓄積が抑制されていました。
また,動脈硬化の進展が抑制されており(図2),脂質の沈着も抑制され,コラーゲンが増加し,プラークの安定化が観察されました(図3)。
次に,骨髄のAT1受容体をノックアウトしたマウスと血管壁にAT1受容体が存在するマウスにおいてA IIを8週間投与したところ,AT1受容体と動脈硬化における脂質沈着やコラーゲンの減少量が相関していました。
骨髄細胞のAT1受容体がアテローム性動脈硬化にどのように寄与するのかをプラークの質で検証したところ,骨髄のAT1受容体が存在するマウスでは,プラークの不安定化がみられ,動脈硬化の進展が認められました。
これらの結果により,骨髄のAT1受容体が動脈硬化の進展やプラークの不安定化を促進していることが明らかになりました。 (続)
出典 Medical Tribune 2008.11.20
版権 メディカル・トリビューン社
数日前にD社主催のCKDの講演会があり、出席してARBのOを叩き込まれて来ました。
症例提示(3例)に対してアナライザーを使って”学習”させられたのです。
このD社にはカルシウム拮抗剤のCという薬剤があります。
院内処方の当院では、この薬剤は採用されていません。
講演後の懇親会と、その後の訪問でCの採用を迫られて(?)います。
以下広告からです。
日本で生まれた
Cは、おかげさまで
発売5周年を迎えました
Made in Japan
Since 2003
Cは、優れた降圧効果が24時間持続するとともに、降圧にともなう心拍数の増加を抑制する長時間作用型Ca拮抗剤として、発売以来ご好評をいただいております。
また、最近は腎保護に関する成績も報告され、新たな期待が寄せられています。
さて、きょう勉強した内容はカルシウム拮抗剤ではなくβ遮断剤です。
カルシウム拮抗剤のCは心拍数の増加の抑制をセールスポイントにしています。
しかし高血圧患者でのβ遮断剤による心拍数抑制はエンドポイントのリスクが増加するというショッキングな結論です。
短い論文紹介で、最後は尻切れとんぼのようになっていますが興味深い内容と感じました。
さてCの採用はどうしようかと悩んでいます。
高血圧患者におけるβ遮断薬による心拍数低下はマイナスに影響する可能性
高血圧患者に対するβ遮断薬による心拍数低下は,心血管イベントと死亡リスクを高める可能性があるとするメタ解析結果が,米コロンビア大学のグループによりJournal of the American College of Cardiologyの10月28日号に発表された。
心疾患患者には薬物による心拍数低下は有益だが,高血圧患者の心血管イベント予防におけるβ遮断薬による心拍数低下の役割は不明である。
同グループは,1966~2008年5月に報告された高血圧の一次治療としてβ遮断薬を評価し,追跡期間が最低1年間かつ心拍数に関するデータがあるランダム化比較試験(RCT)を検索した。
β遮断薬服用患者3万4,096例,他の降圧薬服用患者3万139例,プラセボ服用患者3,987例を含む9件のRCTが該当した。
解析の結果,β遮断薬によって達成された試験終了時の心拍数低下が大きいほど,エンドポイントのリスクが上昇するという有意な負の相関が認められた。
その内訳は,全死亡(r=-0.51,P<0.0001),心血管死(r=-0.61,P<0.0001),心筋梗塞(r=-0.85,P<0.0001),脳卒中(r=-0.20,P=0.06),心不全(r=-0.64,P<0.0001)であった。
Bangalore S, et al. J Am Coll Cardiol 2008; 52: 1482-1489.
出典 Medical Tribune 2008.11.13
版権 メディカル・トリビューン社
<高血圧と心拍数 関連サイト>
心拍数の管理に注目した
高血圧症患者の治療を目指して
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E9%AB%98%E8%A1%80%E5%9C%A7%E3%80%80%E5%BF%83%E6%8B%8D%E6%95%B0&perpage=0&order=0&page=0&id=M3735241&year=2004&type=allround
■近年,血圧値や脳・心・腎臓をはじめとする各臓器の機能に加えて,心拍数が高血圧症患者の予後予測因子として重要視されてきている。
■心拍数は心血行動態を示し,心拍数の増減が死亡率に反映されることが報告されているが,実際の診療に心拍数の管理が取り入られる場面は少なかった。
■降圧速度を考えるときには,患者の重症度を考えなければいけません。重症度の高い患者さんは,他臓器へのダメージや予後悪化を防ぐため,速やかに降圧しなければなりません。
■急速な降圧では,交感神経の亢進が起こり,心拍数が増加すると言われます。心拍数は日常臨床で計測される項目ですが,心拍数の増減が高血圧の病態にどのように影響するのかという点については詳細が明らかになっていませんでした。近年,心拍数管理の重要性を示す報告が集積されており,今後,高血圧治療において降圧や臓器保護作用という視点に加えて,心拍数管理が重要視されてくると思います。
■心拍数が生命予後の予測因子であることを示す疫学データから説明します。1945年にLevy氏が,一過性頻脈(100拍/分以上)と一過性高血圧(150/90mmHg以上)を併せ持つ併発群の死亡率が,頻脈ではない一過性高血圧症患者よりも有意に高いことを示して以来,心拍数が高血圧症患者の予後予測因子として重要であることが認識されるようになりました。心拍数が増加するほどに高血圧を発症しやすく,また高血圧の病態を進展させることが明らかになってきました。
■心拍数管理の重要性を決定付けたのは,36年間に及ぶ高血圧症患者を対象とした大規模な疫学調査であるフラミンガム研究です。年齢を問わず心拍数の増加に伴い,あらゆる原因による死亡率が上昇することが示されました。また,冠動脈性疾患や心血管系疾患による死亡率についても男性では心拍数が約75拍/分を超えると上昇することがわかりました。
■1999年のCASTEL試験の発表前後の数年間で心拍数に関する研究報告が飛躍的に集積されました。同年に発表されたシカゴ心臓協会による男性5,784名を対象とした疫学調査や,フランスの臨床予防研究センターによる男性12万5,513名を対象にした疫学調査でも,心拍数が健康人の心血管系疾患死の予測因子であることを示しました。
■近年発表された興味深い報告としては,まずイタリアの保健省が行ったMATISS調査が挙げられます。一般男性において,心拍数の増加が心血管系疾患の有無を問わず,死亡率の上昇をもたらすことが緩やかな曲線で示されました。また,Bremen試験では,心拍数の増加(>75拍/分)とQTc間隔の延長が心血管系疾患死の優れた予後予測因子であると報告されています。
■近年,より詳細な循環動態を把握するために,家庭血圧測定や24時間血圧測定が重要視されていますが,これを用いた疫学調査では,平均 5拍/分の増加が約15%の死亡率の上昇につながると報告されています。
■このように,心拍数が予後予測因子であるとする結果は,高血圧症患者のみでなく一般の集団においても一貫しています。
■高齢者においても心拍数が予後予測因子であることがわかった(CASTEL)。
■60歳以上の収縮期高血圧(ISH)症患者では性別を問わず心拍数が79拍/分を超えると死亡率が有意に上昇(Syst-Eur試験)。
■60歳以上のISH症例ではDBPの低下と頸動脈狭窄の相関が最も高く,心拍数も有意に相関していることが報告されている(SHEP試験)。
第30回欧州心臓病学会の記事で勉強しました。
アジア人のステント血栓症は低い発症傾向
新東京病院心臓血管センター(松戸市)の中村淳副院長らは,日本を含むアジア5か国5施設から成る多施設共同登録試験を行っている。
今回,平均3年間の追跡から,ステント血栓症の発症頻度が報告され,薬剤溶出ステント(DES)の遅発性ステント血栓症は年率0.2%と低率に推移していたことが明らかにされた。
ステント血栓症の危険因子は分岐部病変と低い左室駆出率
調査に登録されたのは2002年3月?04年3月にステント留置に成功した1万4,577例。
このうち8,809例にはシロリムス溶出ステントかパクリタキセル溶出ステントのどちらかが,5,768例にはベアメタルステント(BMS)が留置された。
亜急性期のステント血栓症の発症率はDESが0.5%,BMSは0.6%であった。ステント留置30日後以降の遅発性ステント血栓症はDESが0.2%で,BMSでは発症はなかった。
さらに,留置後1年以上経過後の超遅発性ステント血栓症は,DESが0.4%/2年で,BMSはなかった。
ステント血栓症の独立した危険因子は,分岐部病変(オッズ比1.9,P=0.01)と左室駆出率(同0.9,P=0.03)であった。両群合わせてステント血栓症後に心筋梗塞で死亡した患者は0.2%のみであった。
出典 Medical Tribune 2008.10.9
<ステント血栓症 関連サイト>
ベアメタルステントと薬剤溶出性ステント留置後の新生内膜被覆の差:血管内視鏡による検討
http://www.jc-angiology.org/journal/pdf/2008/193.pdf
<コメント>
血管内視鏡を用いてSESとBMS留置6か月後のステント内側の新生内膜増殖や血栓の変化を比較。いずれもBMSの方が良好という結果であった。
さらにステント内再狭窄(i n-stent restenosis:ISR)の頻度はSES群とBMS群間に統計的優位差は認めなかったということで、この研究ではSESって本当に有用かという疑問を持たせる論文です。
循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン(JCS2004)
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2004_kasanuki_h.pdf
ステント血栓症の現況と,その克服に向けての展望
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%88%E8%A1%80%E6%A0%93%E7%97%87&perpage=0&order=0&page=0&id=M4052741&year=2007&type=allround
■DESでステント血栓症のリスクが高いという報告は,正確さを欠いた解析方法により導かれた
■日本のj-CYPHER Registryの結果からは, DESの安全性が懸念されるシグナルは見出せない
■欧米での高いステント血栓症の頻度には,ステント留置の技術の拙さが反映
■ステント血栓症予防のためには通常は 2 剤の抗血小板薬による併用療法が必要
■手術に伴い抗血小板療法を中止しても,それによりステント血栓症が多発するということはない?
■シロリムス溶出ステントとパクリタキセル溶出ステントでは,ステント血栓症の頻度に差がある可能性
薬剤溶出ステント
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%88%E8%A1%80%E6%A0%93%E7%97%87&perpage=0&order=0&page=0&id=M41110241&year=2008&type=allround
■費用に見合う価値は低い
■主要心血管イベントの発生率は従来型と同等
■費用効果が高いのは 3 割
■ステント術の種類で異なる結果
■長期間の費用効果は不明
■クロピドグレルの役割が問題
■別の研究では死亡リスクは同等
(興味深い内容でした)
シロリムス溶出ステントは他のステントよりも臨床的に優れる
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%88%E8%A1%80%E6%A0%93%E7%97%87&perpage=0&order=0&page=1&id=M4040382&year=2007&type=allround
(Lancetの原文です。Outcomes associated with drug-eluting and bare-metal stents: a collaborative network meta-analysis.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17869634?dopt=Abstract Stettler C, et al. Lancet 2007; 370: 937-948. )
薬剤溶出性ステントの有効性と限界
長期予後対策を考える
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%88%E8%A1%80%E6%A0%93%E7%97%87&perpage=0&order=0&page=1&id=M3921721&year=2006&type=allround
■DESの登場 “アキレス腱”の再狭窄が激減
■DESに伴う遅発性血栓症の問題
頻度は少ないものの重篤
1年後でもステントがむき出し状態
抗血小板薬をいつまで続けるべきか
■PCIが長期予後に及ぼす影響
新規病変の発生は抑制できない
局所治療としてのPCIの限界
■心臓リハビリの重要性
もう1つの“DES”
地域医療連携が不可欠
<追加>
2008.11.14のブログ
フルーツが特定薬剤の吸収に影響
http://blog.m3.com/reed/20081114/1
に対して有難いコメントをいただきました。
2002年の以下の論文を紹介していただき私の疑問が氷解しました。
グレープフルーツ果肉部分摂取時におけるジヒドロピリジン系Ca拮抗薬ニフェジピン及びニソルジピンの薬物動態への影響
http://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/122/5/323/_pdf
(結論としてはGF果肉もGFジュースと同様にCa剤服用前後1時間は控えるべきという内容でした。論文中にあるように病院食ではそこまで考えてデザートとしてのGFを出しているのか気になるところです)
<きょうのブログ>
麻生首相の問題発言・そして自民党が何をしてきたか
http://blog.m3.com/invest/20081120/1
(医師連盟が連綿として、この自民党への投票をわれわれ日医会員に半ば強要してきた事実にも触れていただければなおよかったのですが・・・)
医療報道を斬る
http://blog.m3.com/kiru/20081120/1
読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~
http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
があります。