戯れ言たれる侏儒
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心不全患者の心房細動に対する肺静脈隔離術
Pulmonary-Vein Isolation for Atrial Fibrillation in Patients with Heart Failure
M.N. Khan and others

背 景
心不全患者における心房細動の治療法として,肺静脈隔離術が増加している。

方 法
この前向き多施設共同臨床試験では,症候性で薬物抵抗性の心房細動と,ニューヨーク心臓協会(NYHA)の心機能分類で II 度または III 度の心不全を有する,駆出率 40%以下の患者を,肺静脈隔離術を行う群と,房室結節アブレーション+両室ペーシングを行う群に無作為に割り付けた.全例がミネソタ心不全 QOL 質問票(Minnesota Living with Heart Failure questionnaire;スコアは 0~105 で,高いほど QOL が不良であることを示す)に回答し,心エコー検査と 6 分間歩行試験を受けた(複合主要エンドポイント)。
6 ヵ月間,患者は心房細動の症候性と無症候性のエピソードの両方についてモニタリングを受けた。

結 果
全体で,41 例が肺静脈隔離術を受け,40 例が房室結節アブレーション+両室ペーシングを受けた.6 ヵ月の時点で追跡調査の脱落者はいなかった。
複合主要エンドポイントについては肺静脈隔離術群のほうが良好で,6 ヵ月の時点の質問票スコアが改善し(60,これに対し房室結節アブレーション+両室ペーシング群 82,P<0.001),6 分間歩行距離が延長し(340 m 対 297 m,P<0.001),駆出率が高かった(35% 対 28%,P<0.001).肺静脈隔離術群では,抗不整脈薬の投与を受けた患者の 88%,投与を受けなかった患者の 71%で,6 ヵ月の時点で心房細動は起きていなかった。
肺静脈隔離術群では,肺静脈狭窄 2 例,心膜液貯留 1 例,肺水腫 1 例が発生した。
房室結節アブレーション+両室ペーシング群では,リード脱落 1 例,気胸 1 例が発生した。

結 論
薬物抵抗性の心房細動を起こした心不全患者に対し,肺静脈隔離術は,房室結節アブレーション+両室ペーシングと比較してより優れていた。

N Engl J Med 2008; 359 : 1778 - 85
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/359/359oct/xf359-17-1778.htm
Pulmonary-Vein Isolation for Atrial Fibrillation in Patients with Heart Failure
http://content.nejm.org/cgi/content/short/359/17/177

 


<肺静脈隔離術・関連サイト>
心房細動のアブレーション治療(財団法人日本心臓財団)
http://www.jhf.or.jp/q&adb/db5/17/1734j.html
心房細動手術(メイズ手術)
http://jscvs.umin.ac.jp/jpn/manuscripts/II_6.html
心房最動とアブレーション治療
http://www.jnj.co.jp/jjmkk/dr/pulse/pulse_explain_2.html
第418回市民医学講座:心房細動対するカテーテルアブレーション
http://www.sendai.miyagi.med.or.jp/update/2008/01/418.html


<追加 2010.9.12>
第79回米国心臓協会学術集会(AHA 2006)
#PABA CHF
#〜肺静脈隔離〜
#心不全患者のQOLや心機能を向上
房室結節アブレーション+両室ペーシング(AVNA-BiV)の目的が治癒ではなく症状のコントロールであるのに対し,肺静脈隔離(PVI)は直接的に心房細動(Af)の解消を目指す治療法だ。
症候性治療抵抗性Afの治療にはAVNA-BiVよりもPVIのほうがQOL,心機能,身体機能の改善に優れることがわかった。
クリーブランドクリニック(オハイオ州クリーブランド)のAndrea Natale氏がPABA CHF(Pulmonary Vein Antrum Isolation vs. AV Node Ablation with Biventricular Pacing for Treatment of Atrial Fibrillation in Patient with Congestive Heart Failure)の結果として発表した。
#AVNA-BiVの前にPVIを考慮
現在,症候性治療抵抗性Afの治療としては,抗不整脈薬投与,PVI,AVNA-BiVなどが行われるが,PAVE試験ではAVNA-BiVによる左室駆出率(LVEF)の改善効果が示された。
今回のPABA CHFは,PVIとAVNA-BiVの有効性を比較する初めてのhead-to-headな非盲検ランダム化試験である。
 
対象は18歳以上のLVEF 40%以下の治療抵抗性Af。
81例がPVI あるいはAVNA-BiVにランダムに割り付けられたが,3・6 か月の時点で評価可能な症例は77例(PVI群39例,AVNA-BiV群38例)であった。1 次評価項目は,QOLの指標となるMinnesota Living with Heart Failure Questionnaire(MLHF),6 分間歩行,LVEFの 3 つを合わせた複合エンドポイントとした。両群間の患者背景に差は認められなかった。

6 か月後の複合エンドポイントはいずれも,PVI群がAVNA-BiV群に比べ有意に優れていた。
すなわち,(1)MLHFによるQOLスコア:PVI群60,AVNA-BiV群80(P<0.0001)(2) 6 分間歩行:338m,297m(P<0.0001),改善率:95%,58%(P<0.0001)(3)LVEF:35%,28%(P<0.0004)(図),改善率:74%,24%(P<0.0001)。
 

また,2 次評価項目であるAf非発生率はPVI群89%,AVNA-BiV群 0 %で,抗不整脈薬非投与かつAf非発生率はそれぞれ74%,0 %であった。
同じく 2 次評価項目である左房サイズはPVI群で有意に改善(縮小)した。なお,合併症の発生状況は両群間で同等であった。
 
以上の結果から,Natale氏は「治療抵抗性Afの治療ではPVIがAVNA-BiVよりも優れることが示唆された。専門施設では,症候性Afに対しAVNA-BiVを施行する前に,まずはPVIを考慮すべきである」と述べた。
出典 Medical Tribune 2007.1.11
版権 メディカルトリビューン社


 

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~
http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/ 
があります。

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