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2008.10.1
高血圧治療での酸化ストレス抑制・その1(1/2)
http://blog.m3.com/admin/blogs/693/entries/edit/53624
の続きです。
酸化ストレス抑制と老化予防を考えた心血管障害を伴う高血圧治療(後編)
堀内
高齢者の降圧目標についてはどのようにお考えになられますか。
楽木
HYVETでは150/80mmHg未満が降圧目標とされたのですが,HYVETを含め現在までに示されているエビデンスでは,高齢者においても150/90mmHgまで血圧を下げることの有用性は証明されていると思います。
一方,140/90mmHg未満にするとどうなるのかということについては,まだ明確なデータは示されていません。
ですから高齢の患者では,まずは150/90mmHgまで下げて,さらに注意深く個々の病態に応じて厳格に降圧するべきだと思います。私が診療している患者のなかにも,120mmHg未満になっているような方もいらっしゃいますが,それでうまくいっている場合はそのままにしています。
堀内
HYVETでは約7割の患者にACE阻害薬が併用されたそうですが,この点についてはいかがでしょうか。
楽木
HYVETの対象は,試験参加時の血圧が173/90.8mmHgと非常に高かったことを考えると,私はやはり併用がよかったのではないかと思います。
ARBとCa拮抗薬の併用療法に対するEBM
堀内
わが国でもこれから降圧薬の合剤が出てくるわけですが,そこで注目されるのが「RA系抑制薬と利尿薬の合剤」と「RA系抑制薬とCa拮抗薬の合剤」のどちらがいいかということです。
2008年の米国心臓病学会(ACC)では,これらの合剤を比較したACCOMPLISHという試験が報告されました。
それによると降圧効果には両群間で大きな差はなかったのですが,心血管系イベントは「RA系抑制薬とCa拮抗薬の合剤」で有意に抑制されました。
この併用に関して,楽木先生は動物実験を実施されていますので,その結果をお示しいただけますか。
楽木
これは堀内先生と一緒に行った実験ですが,マウスの大腿動脈にカフを巻きつけて動脈硬化を誘発し,オルメサルタンとアゼルニジピンの影響を評価しました。
その結果,オルメサルタン(0.5mg/kg/日)ないしアゼルニジピン(0.1mg/kg/日)という各単独投与で内膜増殖抑制を示さない低用量を併用投与すると,内膜増殖および酸化ストレスが有意に抑制されました(図4)。
この結果は,先程ご指摘のありましたACCOMPLISHにおける「RA系抑制薬とCa拮抗薬の合剤」の効果を説明しているのではないかと思います。
しかもアゼルニジピンは,非常に強い抗酸化作用を有していますので,ACCOMPLISHでもアゼルニジピンのようなCa拮抗薬が使われていたら,さらに大きな差がついた可能性があるのではないでしょうか。
堀内
オルメサルタンは降圧効果に優れているという点でも,併用療法のベース薬として適していると考えられます(図5)。
降圧薬の併用療法に関しては,現在高齢の高血圧患者を対象として,「オルメサルタンとCa拮抗薬の併用」と「オルメサルタンと利尿薬の併用」を比較するCOLM-Studyという試験が日本高血圧学会の後援により進行中です。
楽木
現在わが国では高齢者の人口が20%を超え,高齢者の6 ~7割は高血圧を発症し,さらにその約6割は慢性腎臓病(CKD)を合併しています。
CKDの存在を考えると,高齢者の高血圧ではRA系抑制薬が第1選択薬になってくるのですが,CKDを合併している患者ではやはり血圧が下がりにくいので,第2選択薬を何にするかということが非常に重要な問題です。
私は,この問題に答えを出そうとしているのがCOLM-Studyであり,日本高血圧学会が後援されている試験のなかでも非常に重要なものの1つであると考えております。
堀内
確かにCOLM-Studyは,一般診療医の先生方にとっても非常に興味がある試験だと思いますので,その結果が楽しみです。
本日は楽木先生に,老化の機序やRA系の役割,さらには今後の高齢者の高血圧の治療方針について,大変参考になるお話をお伺いすることができました。
出典 Medical Tribune 2008.9.25
版権 メディカル・トリビューン社

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