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10月12日、東京・品川で開催された「セララ発売1周年記念シンポジウム」に出席した話は当日のブログでも少し触れました。
ビタミンDと心疾患
http://blog.m3.com/admin/blogs/693/entries/edit/53929
1年前の発売記念の際にも出席したのですが、スピロノラクトンとの比較が作為的に避けられている印象を持ちました。
ミネラロコルチコイド受容体(MR)に選択的に拮抗するというMR選択性(選択的アルドステロンブロッカー、SAB)およびその結果もたらされる副作用の少なさばかりが強調されていました。
スピロノラクトンを使い慣れた立場としては、両者に副作用や薬価以外に違いがあるかだけを説明しいただければよいのです。
以前、担当MRに問い質したのですが資料がないというあきれた答えが返ってきました。
両者の降圧効果、高カリウム血症の発現頻度については是非知りたいところです。
考えてみれば、サイアザイド系降圧利尿剤が降圧療法の主役であった際には、低カリウムを防ぎ降圧効果を増強する目的で当たり前のように
スピロノラクトンを併用していました。
ALLHATのエビデンスがあるにもかかわらず降圧利尿剤が主役からはずれた現在、エプレレノンによる高カリウム血症がクローズアップされてきたのは降圧利尿剤と抱き合わせで使用するケースが多くなったためかも知れません。
さて、血清カリウム値の件ですが、当院では長い間、溶血による偽高カリウム血症に悩まされて来ました。
低カリウムの症例は皆無という惨憺たるものでした。
最近でも、ある講演会でフロアーから演者にこのことについての質問がありました。
返答は「LDHを見れば溶血かどうかわかる」というそっけないものでした。
要するに、対処法についての具体的なアドバイスがなかったのです。
私の体験では、採血後すぐに遠沈器にかけるようにしてから問題は一気に解決し、低カリウム血症も見つけることができるようになりました。
よほど挙手して教えてあげようかと思いましたが、演者でもない立場で話すのも変です。
お節介でもあり、苦労して見つけたアイデアでもあるため黙って聞いていました。
きょうは、このエプレレノンで勉強しました。

滝沢直次 「洋梨とぶどう 」 F4 http://page17.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/v72528742
エプレレノン(国内販売名:セララ錠)の重篤な高カリウム血症(≧6.0mEq/L)のリスクについて、「4つの独立した基線リスク因子が同定できた」こと、その結果を踏まえて、「血清カリウム値の定期的なモニタリングでリスクを招くことなく、エプレレノン(25~50mg/日)投与は予後改善に寄与する」との報告が、大規模臨床試験「EPHESUS(Eplerenone Post-Acute Myocardial Infarction Heart Failure Efficacy and Survival Study)」のサブ解析の結果として示された。
カリウム値4.3mEq/Lより大きい場合が要注意
試験参加者は、急性心筋梗塞(AMI)後に心不全を合併しており左室機能不全(左室駆出率≦40%)を伴う入院患者。
発作後3~14日後に、標準治療に加えてエプレレノン(25~50mg/日)投与群(3,319例)またはプラセボ投与群(3,313例)に無作為割り付けされた。
基線において血清カリウム値5.5mEq/L以上の患者、血清クレアチニン値2.5 mg/dL以上の患者は除外されている。
主な結果は以下のとおり。
●各発現率(エプレレノン投与群 vs. プラセボ群)
・高カリウム血症(>5.5mEq/L):15.6% vs. 11.2% (P<0.001) (エプレレノン群の方が4.4%高い)
・重篤な高カリウム血症(≧6.0mEq/L):5.4% vs. 3.8% (P=0.002)
(エプレレノン群の方が1.6%高い)
・低カリウム血症(<3.5mEq/L):8.4% vs. 13.1%(P<0.001)
(エプレレノン群の方が4.7%低い)
●高カリウム血症(6.0mEq/Lとして定義)の4つの独立した基線予測因子が同定された。
これらはいずれも、エプレレノンのベネフィット(全死亡率の減少)に影響しない
・eGFR:60mL・min-1・1.73m-2以下
・カリウム値:中央値4.3mEq/Lより高い場合
・糖尿病の既往歴
・抗不整脈薬の服用歴あり
●基線から30日時点までのカリウム値の変動値は、全体で中央値0.2mEq/Lだった
●全死亡率に有意に影響を与える30日時点のカリウム値の変動値は見いだされなかった
[監修者のコメント]
アルドステロン受容体拮抗薬エプレレノンは、我が国でも使用可能となったが、本薬剤で最も注意すべき副作用は高カリウム血症である。
本研究は、標準的治療を受けているうっ血性心不全患者におけるエプレレノン投与による高カリウム血症の発生リスク因子を明確にした点で、臨床的価値が高い。
本研究は、スタンダード治療として、ベースラインにはACE阻害薬かアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)85%、β遮断薬75%、利尿薬60%、アスピリン88%、スタチン47%が投与されている急性心筋梗塞後の左室収縮不全(EF<40%)に心不全患者を対象にしている。
この対象集団にエプレレノン25-50mgを加えることにより、総死亡が15%、心血管死亡が13%、心不全入院が15%、突然死が21%減少することを示したEPHESUS研究のサブ解析である。
この成績から、アメリカならびにヨーロッパのガイドラインにおいて、心筋梗塞後の心不全に対するアルドステロン拮抗薬の追加療法は、クラスIの推奨がなされている。
高カリウム血症(>6.0mEq/L)の4つの独立予測因子は、CカリウムD、血清カリウム、糖尿病、抗不整脈薬の使用であった。
これらの、病態がある際には、エプレレノンやスピロノラクトンは注意して使用する必要がある。
さらに、本研究の投与除外基準として、クレアチニン2.5mg/dL以上、カリウム5.0mEq/L以上であることから、これらの異常を認めた際には投与を控える。
さらに、本研究では血清カリウム値を4.5-5.5mEq/Lとなるように、1週間後、1ヵ月後、その後は3-6ヵ月毎にカリウムをチェックしている。
本研究の高カリウム血症の約30%がエプレレノン投与開始1週間以内、約50%が1ヵ月以内で発生していることから、RAS系阻害薬投与中の心不全への使用時には特に投与開始早期に血清カリウムをチェックしておく必要がある。
([監修] 自治医科大学 循環器科 教授 苅尾七臣)
出典 Care Net. com 2008.10.27
版権 ケアネット
http://www.carenet.com/news/cardiology/newsnow/det.php?nws_c=6308
<元文献>
Pitt B et al. Circulation. 2008; 118: 1643-1650.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18824643?ordinalpos=90&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DefaultReportPanel.Pubmed_RVDocSum
<きょうの一曲> "You've Got a Friend"
Carole King - You've Got a Friend
http://jp.youtube.com/watch?v=q7hDnKtc9oM&feature=related
Carole King - You've Got A Friend (Covers SLD)
http://jp.youtube.com/watch?v=AOHJ-nShGfw&feature=related
You've Got a Friend - James Taylor Tribute
http://jp.youtube.com/watch?v=9BH_7uL-2jQ&mode=related&search=
James Taylor You've Got a Friend
http://jp.youtube.com/watch?v=kmUi-4EhHyw&feature=related
<"You've Got a Friend"関連サイト>
君の友達 ジェームス・テイラー/キャロル・キング(歌詞)
http://www.eigo21.com/03/pops/friend.htm
キャロル キング(Carole King)/ジェームス テーラー(James Taylar):君の友達(You've Got A Friend)
http://irukachan.blog68.fc2.com/blog-entry-124.html
CAROL KING (キャロル・キング) 「YOU'VE GOT A FRIEND (君の友だち)」 [Dear My Friend]
http://debdylan1966.blog.so-net.ne.jp/2008-02-08
コメントお待ちしています。
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~
http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
があります。
リスク安定型狭心症患者に対する治療戦略はPCIか薬物療法か?
―わが国初の多施設ランダム化比較試験JSAPの意味すること
兵庫県立尼崎病院循環器内科 佐藤 幸人
背景:
欧米のガイドラインは薬物療法を推奨,COURAGE研究でもPCI群と同等の長期予後
安定冠動脈疾患(安定CAD;安定狭心症,安定無症候性狭心症)は,
(1)死亡の危険性の高い高リスク(左主幹部病変・3枝病変・左前下行枝分岐部病変)CAD,
(2)相対的に死亡の危険性の低い高リスク以外のもの(低リスクCAD)
―に分類され,大部分(約80%)は後者である。
その治療法は,
(1)薬物療法=薬物療法で開始し,コントロールできなければ経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を追加,
(2)PCI療法=低リスクCADを対象とし,PCIと薬物療法を同時に開始,
(3)冠動脈バイパス術(CABG)療法=高リスクCADを対象とし,CABGと薬物療法を同時に開始
―である。
欧米のガイドラインでは,低リスクCAD治療の第一選択は多くの多施設共同研究のエビデンスに基づき,薬物療法である。
最近報告された薬物療法とPCI療法の長期予後を検討したランダム化比較試験COURAGE研究(N Engl J Med 2007; 356: 1503-1516)においても,短期の臨床症状の改善はPCI療法が優れていたが,長期予後すなわち死亡も急性冠症候群(ACS;急性心筋梗塞および不安定狭心症)も両者に全く差がなく,長期には臨床症状にも差がなくなり,これまでの欧米のガイドラインの正しさが確認された。
一方,わが国では特殊な例外を除き,これまでエビデンスが全くなかったにもかかわらず,欧米のガイドラインとは異なるPCI療法が一般的に行われてきた。
そこで,低リスクCAD患者を対象に,PCI療法と薬物療法の多施設ランダム化比較試験であるJSAP研究(委員長=藤原久義・兵庫県立尼崎病院院長)が厚生科学研究費と日本心臓財団の補助を受け,わが国ではじめて行われた。
その結果が J Am Coll Cardiol Intv(2008; 1: 469-479)に掲載されたので紹介する。
JSAPの結果:PCI群で有意な予後改善示す
JSAP研究は2002年に始まり,わが国の代表的な循環器科の病院78施設が参加した。
対象は低リスクCAD患者384例である。コンピュータによるランダム化が行われたわが国初の試験でもある。
追跡期間は3.2年。PCI群の76%ではベアメタルステントが留置された。
総死亡はPCI群2.9%,薬物療法群3.9%で有意差がなかった。
しかし,PCI群では薬物療法群と比較し,ACSの有意な減少(PCI群:5.0%,薬物療法群:11.7%,P=0.012)が見られ,総死亡+ACS(P=0.019),総死亡+ACS+脳血管障害,総死亡+ACS+脳血管障害+緊急再入院でも有意な減少が認められた(図1)。
狭心症状も全期間を通じて,PCI群で有意な改善を示した。
なぜ両研究の結果が一致しなかったか:PCI技術の相違が関与している可能性も
JSAP研究の結果から判断すると,わが国では欧米と異なり,PCI療法でよいことになる。
さて,どちらが真実を反映しているかは今後の検討課題であるが,問題点は以下のように整理される。
(1)COURAGEの研究者らは同試験の結果について,「ACSがPCIの対象となる有意狭窄病変からではなく,非有意狭窄病変から発生する」というこれまでの定説から,有意狭窄病変のみをPCIで治療しても全体のACSの予防効果に反映しないとし,このためにPCI群と薬物療法群に長期予後の差がなかったと結論している。
しかし,JSAPの薬物療法群の冠動脈造影(CAG)所見の解析では,半数以上のACSがJSAP開始時に既に存在していた有意狭窄病変から発生していることを示した。
また,PCI群における試験中のACS減少は,開始時のPCI対象血管病変からのACS発生の減少に由来することを明らかにした。
COURAGEなどの欧米の試験ではこのようなデータの解析はなされていない。
(2)COURAGEのKaplan-Meier曲線の特徴は,PCI後,半年以内にPCI群でイベントが多発しているが,逆に慢性期には薬物療法群で多発しており,結果として長期成績では両者は相殺され,両群の差がなくなっている(図2)。
一方,JSAPでは初期からイベント発生はPCI群で少なく,期間が長くなるにつれて差は大きくなっている。
慢性期だけ見ればCOURAGE,JSAPともにPCI群でイベントは減少していることになり,COURAGEでも初期イベントがJSAPと同様にPCI群で低ければ長期予後はPCI群が勝ったはずである。
初期のイベントがなぜCOURAGEとJSAPで逆かが大きな問題となるが,わが国ではPCI時に一般的に行われている血管内超音波(IVUS)が欧米では一般的ではないなどのPCI技術の相違が関与している可能性がある。
出典 MT Pro 2008.10.27
版権 メディカル・トリビューン社

ポール・アイズピリ ブルーバックの花
「リトグラフ」
http://page15.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/t91430432
<番外編>
都立墨東病院の妊婦死亡で舛添厚労大臣が同院を視察 問題の本質には医師不足と明言
脳内出血を発生した東京都の妊婦が, 今年(2008年)10月4日(土)に都立墨東病院を含む7病院から受け入れ不能の連絡を受け,最終的に受け入れた同院で出産後,10月7日に亡くなった。この件では,同院が都立で唯一,「総合周産期母子医療センター」設置病院だったこともあり,マスコミに大きく取り上げられた。
10月24日午前11時に同院を視察に訪れた舛添要一厚生労働大臣は,同院院長の小林剛氏など病院側スタッフとともに,会議室で状況調査を行ったのち,病棟入り口で短時間の会見を開いた。
舛添大臣は,同院でも産科医不足の状況にあり,休日(10月4日も該当)の当直が1人体制であったことに触れ,改めて問題の本質に医師不足があることを指摘,現在行っている対策などを紹介した。
今後,今回の問題も踏まえ,医師不足問題について検討する意向を示した。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0810/081034.html
<コメント>
問題の本質には医師不足と明言・・・・問題の本質は「医師偏在」です。
これを認めると「卒後研修制度による研修医の大病院集中」という施策ミスを認めることになります。
口が裂けても彼らは「医師偏在」とはいいません。
また医師を増やせと旗を振っている医師達。
ちょっと頭を冷やしたほうがよさそうです。
医学部の定員を増やしても今の施策が続く限り、付け焼刃にしかなりません。
そして医師増加による火の粉は、将来自分自身に降りかかってきます。
医師の質と待遇は今まで以上に落ちていくのです。
<番外編>
「医師の手術件数と成績の相関関係調査へ」という内容の記事が
日本医事新報 No.4293 2006.8.5 P4〜5
に出ていました。
ちょうど「医師の技能に応じた診療報酬のランク付け」が新聞報道された直後の頃です。
最近では、施設単位では手術数と医療レベルがほぼ相関するというデータも出されています。
今週の週刊朝日(2008.11.7)に「全国4606病院手術数総覧全編」として東日本の病院のデータがています。
この週刊朝日は毎年春に「出身高校別大学合格者数」を出しています。
昔、サンデー毎日(今でもやっているかも知れませんが)がやっていたお株を奪う勢いです。
一体、朝日新聞社のポリシーって何だろうと半分怒りながらもつい見てしまいます。
販売部数を伸ばすためにはなりふり構わずといったところでしょうか。
朝日新聞社には受験戦争の是非を論じる資格はもちろん、この記事でなくなります。
ゆがんだ競争をあおっているわけですから。
さて、そうはいいながらもこんな記事を読んでいる自分が情けないのですが、北から順に心カテ数(心臓手術数)300以上の医療施設を数回に分けてとりあげてみます。
<循環器関連手術手術数総覧 その1>
北海道
札幌東徳州会病院 982(75)
札幌徳州会病院 322(0)
北海道社会保険病院 359(64)
心臓血管センター北海道大野病院 543(267)
市立札幌病院 305(25)
国立帯広病院 314(109)
青森
弘前大学病院 754(182)
むつ総合病院 502(3)
岩手
岩手県立病院 535(108)
岩手医科大学循環器医療センター 301(312)
宮城
仙台厚生病院 1307(199)
坂総合病院 316(9)
みやぎ東部循環器科 353(0)
みやぎ北部循環器科 805(18)
<コメント>
インターベンションがどれだけか行われているのかということは、このデータからは読み取ることはできません。
手術の数がゼロの病院は心臓外科のバックアップ(スタンバイ)なしでインターベンションが行われているのでしょうか。
中には病床数19という、いわゆる有床診療所もあり施設の規模は実にさまざまです。
Lancet誌2008年8月16日の掲載記事の「ARBとACE阻害薬の併用」で勉強しました。
両者の併用は一般的ではないと思います。
支払い基金でカットされる可能性もあるかも知れません。
私自身、両者の併用は「注釈をつけて」CKDの方に1例のみ使用して、レセプトは何とか通っているのが現状です。
JIKEI HEART Studyでは両者の併用が確か30%以上あったように記憶しています。
その時は、この併用効果がいい結果につながったのかなとも思ったのを思い出します。
ARBとACE阻害薬の併用は腎機能を低下させる
ONTARGET試験の結果から
アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)とアンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬が蛋白尿を改善することは知られている。
これらを併用すれば、さらに高い効果が得られるだろうか。
ONTARGET試験の参加者を対象に、これら2剤を併用した場合の腎機能に対する影響を調べた結果、2剤をフルドーズで併用すると、単剤投与に比べ、蛋白尿の進行は有意に抑制されるが、透析導入、血清クレアチニン値の倍化、死亡からなる複合イベント発生リスクは有意に上昇することが示された。
ポーランドGrochowski病院のJohannes FE Mann氏らの報告で、詳細はLancet誌2008年8月16日に掲載された。
先に行われたメタ分析では、ACE阻害薬とARBを併用すると、それぞれ単剤で用いた場合よりも蛋白尿の改善が大きいと報告されている。
蛋白尿の改善は慢性腎不全の予防において重要だが、分析対象となった個々の研究は、登録者数が少ない上に、試験期間1年未満がほとんどで、腎機能の指標である糸球体濾過率の変化や、透析導入の有無などについては情報が提供されていないという問題点もあった。
また、ARBとACE阻害薬を併用すると、それぞれを単剤投与した場合に比べ、急性腎不全と高カリウム血症を含む有害事象が増える可能性がある。
そこで大規模な集団を対象とする直接比較が必要だと考えた著者らは、ACE阻害薬のラミプリルとARBのテルミサルタンをそれぞれ単独で、またはフルドーズで併用したONTARGET試験の登録者を対象に、これら薬剤の腎臓に対する作用を評価した。
ONTARGET試験は、2001~2007年に、55歳以上のアテローム性動脈硬化症(冠疾患、末梢血管疾患、脳血管疾患)または臓器障害のある糖尿病の患者を対象に行われた。
3週間のランイン期間を経て、2万5620人の患者を無作為にラミプリル10mg/日(8576人)またはテルミサルタン80mg/日(8542人)、これら2剤を併用(8502人)に割り付けた。
追跡期間の中央値は56カ月だった。
血清クレアチニンは、ランイン期間の前、割り付けから6週後、2年後、試験終了時に測定。
これを基に推定糸球体濾過率(eGFR)を算出した。
尿中アルブミン/クレアチニン比も同様に測定した。
3.4mg/mmol以上~33.9mg/mmol未満を微量アルブミン尿症、33.9mg/mmol以上をマクロアルブミン尿症とした。腎機能に関する主要エンドポイントを、あらゆる透析の導入、血清クレアチニン値の倍化、死亡の3つを合わせた複合イベントに設定した。
分析はintention-to-treatで行った。
ベースラインの血清クレアチニン値の平均は93.7μmol/L、eGFRの平均値は73.6mL/分/1.73m2だった。
複合イベントの発生は、ラミプリル群1150件(13.5%)、テルミサルタン群は1147件(13.4%)で、ラミプリル群と比較したハザード比は1.00(95%信頼区間0.92-1.09)と差はなかった。
しかし併用群では1233件(14.5%)発生しており、ハザード比は1.09(1.01-1.18、P=0.037)とリスク上昇は有意だった。
2次アウトカムに設定された、透析導入または血清クレアチニン値の倍化も、ラミプリル群174件(2.03%)、テルミサルタン群189件(2.21%)で、ハザード比1.09(0.89-1.34)と差なし。
しかし併用群では212件(2.49%)、ハザード比1.24(1.01-1.51、P=0.038)と有意に多かった。
透析導入は162人、うち61人が急性透析(次の透析までの間隔が3カ月以上。2カ月以内なら慢性透析と判断した)だった。急性透析患者は併用群で多かった。
慢性透析となった患者の割合については、3群間に差はなかった。
糖尿病、糖尿病性腎症、高血圧、低血圧、微量アルブミン尿症、マクロアルブミン尿症、eGFRなどの有無や値に基づいて患者をサブグループに分け、テルミサルタンとラミプリルの影響を比較したが、すべてのサブグループにおいて複合イベント発生の相対リスクに差はなかった。
次に、2剤併用とラミプリルを比較。併用は、最も腎疾患リスクが高いグループ(糖尿病性腎症有り)や、eGFRが60mL/分/1.73m2未満のグループなどに利益をもたらしてはいなかった。
逆に、腎疾患リスクが低いグループの複合イベント発生の相対リスクは有意に上昇していた。
eGFRのベースラインからの低下は、ラミプリル群(-2.82mL/分/1.73m2)で少なく、テルミサルタン群(-4.12mL/分/1.73m2)(P<0.0001)、併用群(-6.11mL/分/1.73m2)(P<0.0001)との間に有意差が見られた。
尿中アルブミン/クレアチニン比の幾何平均は、時間と共に上昇していた。ラミプリル群では試験終了時にベースラインに比べ31%(26~35)、テルミサルタン群では24%(20-28)上昇しており、ラミプリル群との間に有意差があった(P=0.027)。
併用群は21%(17-25)上昇で、やはりラミプリル群との間に有意差が見られた(P=0.0009)。
蛋白尿の進行(微量アルブミン尿、または、マクロアルブミン尿、もしくはこれら両方の発現)を経験した患者の割合は、テルミサルタン群949人(11.1%)とラミプリル群1018人(11.7%)で、ハザード比0.94(0.86-1.02、P=0.119)だった。
しかし併用群では888人(10.4%)で、ラミプリル群より有意に少なかった。
なお、ベースラインで既に微量アルブミン尿が認められた患者のマクロアルブミン尿症への進行は、ラミプリル群166人(2.12%)、テルミサルタン群138人(1.77%)、併用群125人(1.61%)で、ラミプリル群に比べテルミサルタン群のハザード比は0.83(0.67-1.04、P=0.114)と有意差がなかった。併用群との比較では、ハザード比0.76(0.60-0.96、P=0.019)で有意なリスク低減が見られた。
試験期間中に低血圧症状により784人の患者が脱落した。
ラミプリル群は149人、テルミサルタン群が229人、併用群406人だった。
ONTARGET試験は、腎疾患に対するこれら薬剤の影響を評価するために設計されたものではないが、複合イベントは3500件近く発生していた。
この試験の対象となった心血管リスクが高い人々においては、テルミサルタンとラミプリルの腎機能への影響にはほとんど差がなかった。
しかしこれらをフルドーズで併用すると、蛋白尿の進行は抑制されるが、腎機能の悪化のリスクは、単剤で用いた場合に比べ有意に高くなることが示された。
原題は「Renal outcomes with telmisartan, ramipril, or both, in people at high vascular risk (the ONTARGET study): a multicentre, randomised, double-blind, controlled trial」
出典 NM Online 2008.8.18
版権 日経BP社
HYVETは、ベルリンで開催されたHYPERTENSION2008でも話題になったようです。
きょうはその記事で勉強しました。
このHYVETは以前にも勉強しました。
HYVET
http://blog.m3.com/reed/20080407/HYVET
HYVET試験アゲイン
http://blog.m3.com/reed/20080511/1
HYVET サブ解析
http://blog.m3.com/reed/20080819/HYVET_
HYVETのサブ解析発表、性別や年齢などに関係なく降圧メリット
ベルリンで開催されたHYPERTENSION2008での話題の中心の1つは、間違いなく大規模スタディーHYVET(HYpertension in the Very Elderly Trial)だった。
大会3日目のオーラル発表(30分)、4日目のプレスカンファレンス(1時間)、企業主催のシンポジウム(1時間15分)。
そして6日目となる最終日にはポスター発表2題と成果の発表に時間が割かれ、すべてのセッションが参加者であふれていた。
今年3月にThe New England Journal of Medicinedeで報告されたHYVETは、80歳以上の高齢者に「150mmHg/90mmHg」を目標に積極的な降圧治療を行うと、全死亡、心血管イベントの発症などが大幅に低下することを明確に示した。
これまで80歳以上の高齢者の降圧をテーマにして実施された大規模臨床試験は、ほとんどなかったため、エポックメーキングとなった。
論文が発表されて間もないため、HYPERTENSION2008での発表は、ほとんどが論文内容の紹介にとどまっていたが、最終日のポスター発表では、若干、新たなサブ解析の結果が披露された。
解析されたのは、性別、年齢、心疾患の既往、収縮期血圧によって死亡率や心血管イベントのリスクはどう変化するかについてだ。
結果は、性別、年齢、心疾患の既往、収縮期血圧に関係なく積極的な降圧治療の恩恵は得られるというもの。
研究の実施者で、論文のファーストオーサーである英国Imperial College LondonのNigel S Beckett氏は「この事実は、すべての高齢者への降圧治療を、さらに支持するものだ」と強調した。
今回HYPERTENSION2008のポスターで発表した内容は「2、3カ月後に論文として発表できる予定」(Beckett氏)とのこと。
ちなみに、その論文では、5年間の試験期間をいくつかの区分に分けて、区分ごとの死亡率や心血管イベントの発生率を開示しているという。
日本高血圧学会が来春の発表に向けて作業を進めている「高血圧治療ガイドライン」にも、何らかの影響を与えることは確かだろう。
出典 NM online 2008. 6. 20
版権 日経BP社
ラウル・デュフィ バッハへのオマージュ ジクレー<追加>
以下は桑島先生のコメントです。
HYVET
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2001018.html
80歳以上の後期高齢者でも,積極的な降圧が脳心血管合併症を抑制することを明瞭に示した点で画期的な成績である。
これまで後期高齢者のみを対象とした試験はなく,高齢者全体を対象とした試験における二次エンドポイントからのメタ解析からの予測では,後期高齢者での降圧治療は死亡率に対しては影響しないか,むしろ悪化するとの予測もあった。
しかし今回の脳卒中発症(一次エンドポイント)と死亡(二次エンドポイント)というもっとも重要なイベントを評価項目に設定しての試験結果は,これらの予測を大きく覆し,年齢を問わず降圧薬治療の有用性を明らかにした。
それぞれの内訳をみると,脳卒中を30%,脳卒中死亡を39%,総死亡を21%減少させ,2年間のNNT(number needed to treat)でみると,脳卒中は94,死亡は40という驚異的ともいえる数字を示した。
しかもその予防効果,すなわち降圧薬のメリットは試験開始早々の1年以内に明らかになっている点は,いかに高齢者でも速やかな降圧が重要であるかを明瞭に示している。
高齢者ではゆっくり降圧という古典的考え方も見直すべきではなかろうか。
本試験での降圧目標値は150/80mmHgであったが,2年で実薬群は平均143.5/77.9mmHg,プラセボ群は158.5/84mmHgまで下降している。
5年目にはプラセボ群でも150mmHg, 実薬群では140mmHgに到達している。
降圧治療に年齢は関係がなく,後期高齢者といえども収縮期血圧はほぼ140mmHgを目標とすべきことを示している。
注目すべきは,本試験では第一次選択薬としてインダパミドという古典的,かつ安価なサイアザイド類似降圧利尿薬を用いている点であり,薬剤に起因する低カリウム血症,血糖上昇などの副作用発現は両群に差がなかったことは,我が国でも降圧利尿薬を今後人口増加が予測される高齢者高血圧治療の第一選択薬として積極的に用いるべきことを示している。
試験では後期高齢者を対象としていることから,試験中にプラセボ群448例,実薬群358例という多数の有害事象が発生している。
しかし担当医によって試験薬に関連すると認識された有害事象は各々3例,2例しか発症していないことも注目すべきである。
めまいなど降圧に伴う有害事象を怖れるあまり,後期高齢者の降圧をためらうことは,致命的イベントである脳卒中や死亡を回避する機会を失するということを明瞭に示している。
本試験の対象となった後期高齢者は糖尿病や腎障害などの合併症が比較的少ない,健康な症例である。現実には非常に多い,合併症を有している後期高齢者での降圧のあり方に対しての回答を与えるものではないが,多様性に富む後期高齢者では,個々の合併症に応じた個別的対応も重要である。
本試験は,血圧は“血管への負荷”であり,「老いた血管ほど負担を少なく」という考え方を実証したものであり,長年の高齢者高血圧の降圧目標値論争には終止符をうつべきである。(桑島)
<きょうの一曲> ”How Deep Is Your Love”
Bee Gees - How Deep Is Your Love
http://hangloose.ti-da.net/c125875.html
<ビージーズ 関連サイト>
心臓マッサージに最適の曲は? ビージーズのディスコ懐メロ
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200810170032.html
ARBは単独で使用されることはむしろ稀で、多くは他剤と併用されています。
そういった意味でポスターセッションという扱いではありますが、日本人のデータということで国内では大いに気になるところです。
早く結果を知りたいところですが、追跡期の3年から4.5年間というのは十分な観察期間かどうか。
これからの大規模臨床試験には10年間といったようなエクステンションが必要なような気もしますが、そのころには新薬に目移りしてしまっているのが現状かも知れません。
わが国の高リスク高齢高血圧患者を対象に「ARB+Ca拮抗薬併用」と「ARB+低用量利尿薬併用」を比較する無作為化大規模試験COLM(Combination of Olmesartan and calcium channel blocker or low dose diuretics in high risk elderly hypertensive patients)-Studyの詳細が、大阪大名誉教授の荻原俊男氏らにより6月18、ベルリンで開催されているHYPERTENSION2008のポスターセッションにて報告された。
COLM-Studyの対象は、高リスク高齢高血圧患者およそ4000人である。
試験の選択基準は
(1)年齢65~84歳、
(2)「降圧薬服用にもかかわらず血圧140/90mmHg以上」または「降圧薬非服用で血圧160/100mmHg以上」、
および
(3)最近6カ月以前の既往歴(脳血管障害既往、心筋梗塞・冠動脈血行再建術施行の既往、狭心症)またはリスク(男性、糖尿病、高コレステロール血症、低HDLコレステロール血症、微量アルブミン尿、左室肥大)
を少なくとも1つは有する患者と規定した。
主な除外基準はNYHA分類III度以上の心不全例、上室性不整脈や重篤な不整脈を認める例、腎機能障害例とした。
また、現在服用している降圧薬を変更できない理由のある患者も除外した。
これらに相当する約4000例が「オルメサルタン+Ca拮抗薬」群ないし「オルメサルタン+低用量チアジド系利尿薬」群に無作為に割付けられた。
140/90mmHg未満が達成できない場合オルメサルタンを5mg/日から増量し、最高40mg/日まで増量する。
それでも降圧不十分な場合、β遮断薬、α遮断薬、ACE阻害薬を追加することとした。
追跡期間は3年から4.5年間の予定である。
主要評価項目は複合評価項目で「致死的・非致死的心血管系イベント」である。内訳は、「突然死」「脳血管系障害」「冠動脈イベント」「腎障害」――とされている。
出典 NM online 2008. 6.19
版権 日経BP社
東京・赤坂 ホテルニューオータニ東京
http://www.newotani.co.jp/tokyo/stay/main/index.html
<自遊時間>
10月25日(土)の夜、ホテルニューオータニ東京「鶴の間」で行われたT社主催の「Actos Symposium 2008 Autum」に出席しました。
Special Lecture はMarc Prentki,PhDのβ-cell failure and the type 2 diabetes decalogue でした。
出席された先生もおられるかと思います。
勤務医の循環器専門の先生は糖尿病患者は、糖尿病専門医に紹介されている場合が多いのではないでしょうか。
しかし開業医はそうはいきません。
大血管障害としての冠動脈疾患という糖尿病合併症を考える場合には、いかに一次予防および二次予防を講じるか。
循環器専門を標榜する身にとっては場違いかとも思いましたが思い切って出席しました。
基調講演が2型糖尿病の小血管障害および大血管障害。
パネルディスカッションは「2型糖尿病(T2DM)の治療にピオグリタゾンをいかに用いるか」でした。
メーカーによる「洗脳」には気をつけながら帰路についた次第ですが有意義なシンポジウムだったと思います。
何よりも、使用されたスライドがすべて印刷物として配布されたのは今後の勉強(復習)には役立ちそうです。
一流ホテルはいつ行っても気持ちのいいものです。
麻生さんが、ホテルのバーをハシゴするのが話題になっています。
分からないでもない話です。
ACE阻害薬と利尿剤の優劣
http://blog.m3.com/reed/20081023
にシンポの案内状をアップしました。
<きょうのブログ>
アメリカ開業医の独り言
http://blog.m3.com/AKH/20081026/1
心不全患者の心房細動に対する肺静脈隔離術
Pulmonary-Vein Isolation for Atrial Fibrillation in Patients with Heart Failure
M.N. Khan and others
背 景
心不全患者における心房細動の治療法として,肺静脈隔離術が増加している。
方 法
この前向き多施設共同臨床試験では,症候性で薬物抵抗性の心房細動と,ニューヨーク心臓協会(NYHA)の心機能分類で II 度または III 度の心不全を有する,駆出率 40%以下の患者を,肺静脈隔離術を行う群と,房室結節アブレーション+両室ペーシングを行う群に無作為に割り付けた.全例がミネソタ心不全 QOL 質問票(Minnesota Living with Heart Failure questionnaire;スコアは 0~105 で,高いほど QOL が不良であることを示す)に回答し,心エコー検査と 6 分間歩行試験を受けた(複合主要エンドポイント)。
6 ヵ月間,患者は心房細動の症候性と無症候性のエピソードの両方についてモニタリングを受けた。
結 果
全体で,41 例が肺静脈隔離術を受け,40 例が房室結節アブレーション+両室ペーシングを受けた.6 ヵ月の時点で追跡調査の脱落者はいなかった。
複合主要エンドポイントについては肺静脈隔離術群のほうが良好で,6 ヵ月の時点の質問票スコアが改善し(60,これに対し房室結節アブレーション+両室ペーシング群 82,P<0.001),6 分間歩行距離が延長し(340 m 対 297 m,P<0.001),駆出率が高かった(35% 対 28%,P<0.001).肺静脈隔離術群では,抗不整脈薬の投与を受けた患者の 88%,投与を受けなかった患者の 71%で,6 ヵ月の時点で心房細動は起きていなかった。
肺静脈隔離術群では,肺静脈狭窄 2 例,心膜液貯留 1 例,肺水腫 1 例が発生した。
房室結節アブレーション+両室ペーシング群では,リード脱落 1 例,気胸 1 例が発生した。
結 論
薬物抵抗性の心房細動を起こした心不全患者に対し,肺静脈隔離術は,房室結節アブレーション+両室ペーシングと比較してより優れていた。
N Engl J Med 2008; 359 : 1778 - 85
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/359/359oct/xf359-17-1778.htm
Pulmonary-Vein Isolation for Atrial Fibrillation in Patients with Heart Failure
http://content.nejm.org/cgi/content/short/359/17/177
<肺静脈隔離術・関連サイト>
心房細動のアブレーション治療(財団法人日本心臓財団)
http://www.jhf.or.jp/q&adb/db5/17/1734j.html
心房細動手術(メイズ手術)
http://jscvs.umin.ac.jp/jpn/manuscripts/II_6.html
心房最動とアブレーション治療
http://www.jnj.co.jp/jjmkk/dr/pulse/pulse_explain_2.html
第418回市民医学講座:心房細動対するカテーテルアブレーション
http://www.sendai.miyagi.med.or.jp/update/2008/01/418.html
昨日、拡張期心不全の(DHF)講演会に出席したお話をしました。
その中で、「ARBはACE阻害剤に比較して降圧作用が強いため注意して使用する必要がある。過度の降圧を回避する病態ではまずACE阻害剤から開始する」という話がありました。
この話の類は初耳だったのですが、コンセンサスはあるのでしょうか。
さて、きょうはARBの降圧効果に性差があるという内容の報告です。
この性差の原因については述べられていないようです。
第18回欧州高血圧学会&第22回国際高血圧学会(2008.6.14~6.19ドイツ・ベルリン)の記事で勉強しました。
ARBは男性より女性によく効く、スペインの研究グループが調査
スペインの12 de Ochuber病院のJ.A.Garcia-Donaire氏らは、高血圧治療薬への反応性が男女によって異なるかどうかを降圧薬のクラスごとに調べた。
その結果、特にARBに関しては男性より女性に効きやすいことを見い出し、6月19日、ベルリンで開催されているHYPERTENSION2008のポスターセッションで発表した。
調査では、1046人の高血圧患者(男性534人、女性512人)を登録した。平均年齢は56.1±14.4(18~90歳)、平均BMIは29.4±5.1だった。
これらの患者を2年間追跡し、登録時と2年後の収縮時血圧の差(⊿SBP)を求めた。
患者に投与した降圧薬のクラスはCa拮抗薬(104人)、ACE阻害薬(94人)、ARB(98人)、β阻害薬(62人)、利尿薬(95人)の5つ。
すべてのクラスの薬剤に関して⊿SBPは男性より女性のが大きかった。
年齢、BMI、他の高血圧薬の影響を調整すると、男性と女性の⊿SBPの違いは、カルシウム拮抗薬は5.80mmHg(95%信頼区間-1.48-13.08、p=0.118)、ACE阻害薬は1.20mmHg(同-6.20-8.59、p=0.749)、ARBは6.82mmHg(0.31-13.34、p=0.040)、β阻害薬は5.66mmHg(-2.91-14.24、p=0.194)、利尿薬は1.75mmHg(-4.92-8.43、p=0.605)となり、ARBのみが有意だった。
拡張期血圧についても同様に⊿DBPを求めたが、同様に女性の下がり幅が大きい傾向は認められたものの統計的に有意な差はどのクラスの降圧薬でも確認できなかった。
Garcia-Donaire氏らは「降圧薬のクラスによる男女の反応性の違いはあった。特にARBについては男女差が大きかった」と結論している。
出典 NM online 2008. 6. 20
版権 日経BP社

Shigenaga A, Tamura K, Wakui H, Masuda S, Azuma K, Tsurumi-Ikeya Y, Ozawa M, Mogi M, Matsuda M, Uchino K, Kimura K, Horiuchi M, Umemura S.
http://www.yokohama-cu.ac.jp/res/researcher/info/081023.tamura..html
レニン-アンジオテンシン系はその生理活性物質アンジオテンシンIIが生体における主要な受容体であるAT1受容体に作用して下流の情報伝達系を活性化することにより、高血圧、心肥大、心不全、動脈硬化、腎障害などの心血管系疾患、あるいはインスリン抵抗性症候群であるメタボリック症候群の発症・進展に深くかかわっている。
研究グループの田村准教授は米国ハ−バ−ド大学医学部内科学Victor J Dzau教授、および愛媛大学生医学部堀内正嗣教授らとの共同研究により単離同定したAT1 受容体C末端に特異的に結合する低分子蛋白(ATRAP, AT1 receptor-associated protein; J Biol Chem 1999)についての研究をおこなっており、ATRAPはAT1受容体情報伝達系の活性制御因子としてその病態生理学的意義が注目されている.
現在までにATRAPについて、
■心筋細胞において効率的に心肥大反応を抑制すること、
■腎臓に広く分布しており塩分摂取量の変化などによってその発現が変化すること
■アンジオテンシンII刺激によって誘発される血管の種々の動脈硬化反応がATRAPによって効率的に抑制されること
などをすでに国際誌に論文発表している。
これらの研究成果から、ATRAPが心血管系細胞表面のAT1受容体を減少させることにより、すでに臨床応用されているAT1受容体拮抗薬とは異なる新しい分子機序によりAT1受容体を介する病的心血管系リモデリングやメタボリック症候群を抑制する可能性が示されている。
そして、田村准教授らは、組織AT1受容体発現量/ATRAP発現量(両者の発現量比)= 組織局所でのAT1受容体情報伝達系活性度として相対的な組織レニン-アンジオテンシン系の新しいバロメ−タとして提唱しており、本研究の研究成果により
『組織ATRAP発現量 / AT1受容体発現量 の低下
→ 組織局所でのATRAP発現低下によるAT1受容体情報伝達系活性の亢進
→ 心血管系や腎における心血管病・メタボリック症候群の発症・進展』
という新しい概念を臨床医学に導入できる可能性がある。
研究では、本態性高血圧の病態モデル動物(高血圧自然発症ラット,SHR)を用いて、AT1受容体とその新規結合蛋白質ATRAPの発現調節および両者の発現量バランス制御についての解析をおこない、高血圧の進展にともない組織特異的なATRAPとAT1受容体との発現量のバランスが変化することや、降圧薬であるAT1受容体拮抗薬(ARB)投与することによりその発現のバランスが変化することを明らかにし、組織特異的なATRAPとAT1受容体との発現量のバランスの改善がARBの降圧を超えた多面的な作用のひとつである可能性を示した。
<ATRAP 関連サイト>
[PDF] AT1 受容体と ATRAP の予想される結合様式
http://joint.idec.or.jp/port/2005/pdf/resume05_32.pdf
新規細胞内シグナル伝達関連因子ATRAP(AT1 Receptor Associated Protein)による心血管リモデリング調節機構の解明
http://www.ehime-u.ac.jp/topics/oshirase/symposium/2002/text/index32.html
<きょうの一曲> ”Annie's Song”
John Denver Annie's Song - With Lyrics
http://jp.youtube.com/watch?v=uarIi6qb10I&feature=related
John Denver - Annie's Song
http://jp.youtube.com/watch?v=HEWX3OIFmrw&feature=related
John Denver - Annie´s Song
http://jp.youtube.com/watch?v=HkGS263lGsQ
Plácido Domingo & John Denver "Annie´s song"
http://jp.youtube.com/watch?v=n2r0RRCUB2A&feature=related
John Denver - Annie's Song (66P Covers SLD)
http://jp.youtube.com/watch?v=3xbprQS2CVI&feature=related
annie's song by john denver
http://jp.youtube.com/watch?v=FQeiFt3gJXY&feature=related
Annie's Song Photo Video John Denver
http://jp.youtube.com/watch?v=HfP0HeeVhzw&feature=related
John Denver - Annie's Song
http://jp.youtube.com/watch?v=C21G2OkHEYo&feature=related
第18回欧州高血圧学会&第22回国際高血圧学会(2008.6.14~6.19ドイツ・ベルリン)の記事で勉強しました。
オルメサルタン+Ca拮抗薬とオルメサルタン+利尿薬を比較 OLAS-Study
「オルメサルタン+Ca拮抗薬」と「オルメサルタン+低用量利尿薬」は降圧作用こそ同等だが、糖代謝や炎症に対する改善作用はCa拮抗薬併用の方が強力なようだ。
6月17日、ベルリンで開かれているHYPERTENSION2008のポスターセッションにてスペインDr.Negrin大病院のF.J.MARTINEZ-MARTIN氏らが報告した。
本検討の対象は、糖尿病を合併しない高血圧メタボリック・シンドローム(MS)120例。
血圧平均値154.5/102.5mmHg、平均年齢は59.9歳、BMIは31.3kg/m2だった。
これらを「オルメサルタン20mg/日+アムロジピン5mg/日併用」群と「オルメサルタン20mg/日+ヒドロクロロチアジド(HCTZ)12.5mg/日併用」群に無作為割り付けし、PROBE法で26週間追跡した。試験開始13週間後に収縮期血圧が140mmHg未満まで低下していない場合には、両群とも「オルメサルタン40mg/日+アムロジピン10mg/日併用」および「オルメサルタン40mg/日+HCTZ25mg/日併用」と各降圧薬を倍量に増やした。
26週間後、血圧は試験開始時に比べ、アムロジピン併用群では19/11mmHg(p<0.001)、HCTZ併用群でも18/12mmHg(p<0.005)と有意な低下が認められた。
アルブミン尿も同様に、両群とも試験開始時に比べ30%以上有意に減少していた(P<0.05)。
一方、糖代謝に対しては「オルメサルタン+アムロジピン併用」群でより良好な変化が見られた。すなわち、HCTZ併用群では空腹時血糖値とインスリン抵抗性(HOMA-IR)、アディポネクチン濃度に有意な変化がなかったのに対し、アムロジピン併用群では試験開始時に比べ、空腹時血糖値が14.2%、HOMA-IRが16.1%有意に減少し、アディポネクチン濃度は14.4%有意に増加と、いずれも糖代謝の改善を示唆する変化をしていた(いずれもp<0.05)。
炎症性マーカーも「オルメサルタン+アムロジピン併用」群で改善が著明だった。
アムロジピン併用群では各炎症性マーカーが有意に減少していた。
それぞれの減少率は、TNF-α(17%)、高感度C反応性タンパク(hs-CRP、12%)、接着分子ICAM-1(16%)とVCAM-1(24%)、IL1-β(14%)、IL-6(15%)、IL-8(9%)であった(全てP<0.05 vs試験開始時)。一方、HCTZ併用群で有意な減少が認められたのはhs-CRP(10%)のみだった。
「MSを呈する高血圧症例に対し、オルメサルタンの併用薬としてアムロジピン、HCTZはいずれも良好な降圧作用を示すが、糖代謝や炎症への影響まで考慮するならばアムロジピン併用が望ましいだろう」とMartinez-Martin氏らは結論していた。
出典 NM online 2008. 6.19
版権 日経BP社
<コメント>
想像通りの結果ではあります。
OLAS-Studyという言葉も唐突で文中からは何をもってOLAS-Studyというのかを知ることができませんでした。
さらに、保険適応となっている「血中脂肪酸4分画」についての話もありました。
これはちょっと検査をしてみたいと思いました。
血中脂肪酸4分画
http://www.srl.info/srlinfo/kensa_ref_CD/KENSA/SRL0243.htm
実施料: 450点
判断料: 生化学的検査(Ⅱ)判断料144点
レセプト名: 脂肪酸分画
臨床意義
生理活性物質の一種であるプロスタグランディンに関する研究が進み,その前駆体である高級多価不飽和脂肪酸の生体内での分布,代謝が注目されるようになった.
これらの多価不飽和脂肪酸は細胞膜のリン脂質分画に存在し種々の刺激により膜のホスホリパーゼが活性化された結果,細胞膜より放出されてゆくことが知られている.
一方魚脂中に多く含まれている多価不飽和脂肪酸のうち,エイコサペンタエン酸にはエスキモー人の疫学調査により抗血栓,抗動脈硬化作用のあることが明らかにされ血栓性疾患の診断の一手段として注目を集めている.
異常値を示す病態・疾患
減少する疾患
心筋梗塞などの血栓性疾患(EPA /AA )、脳血栓
上昇する疾患(エスキモ-人の疫学調査により報告されている.)
出血性疾患(EPA/AA)
全脂質中脂肪酸分画
http://www.srl.info/srlinfo/kensa_ref_CD/KENSA/SRL2615.htm
血清中の脂肪酸分析
http://www.kyobiken.or.jp/kankyoleaflet3.pdf
これからn-3系が循環器領域で脚光を浴びそうな予感がします。
HYPERTENSION 2008(ベルリン)の記事で勉強しました。
65歳から84歳までの高血圧患者で、ACE阻害薬と利尿薬の生存率に及ぼす影響をみた報告です。
オーストラリアのANBP2コホート研究ということですが、人種的な影響はどうだったんでしょうか。
そのまま鵜呑みにする国内の研究者が出ないといいのですが。
利尿剤は人種による影響が大きく、またACE阻害薬は使用量が日本と諸外国では大きく異なります。
日本はACE阻害薬の使用用量が少なく、かつ食塩感受性が高いとういう点を考えると利尿薬に軍配があがる可能性もありそうです。
高齢高血圧患者の長期生存を比較したコホート研究
ACE阻害薬と利尿薬のどちらが有利かは言えず
高齢の高血圧患者に対する薬物療法で、ACE阻害薬を用いる場合と利尿薬を用いる場合とでは長期生存にどちらが有利かは言えないとする研究結果が報告された。
オーストラリアのANBP2コホート研究によるもので、Monash大のC.M.Reid氏らが6月19日、ベルリンで開催されているHYPERTENSION 2008のオーラルセッションで発表した。
Reid氏らは、65歳から84歳までの高血圧患者6083人を、ACE阻害薬を基本とした治療群(3044人)と利尿薬を基本とした治療群(3039人)に無作為に割り付けたコホート研究を実施し、長期生存の比較検討に取り組んできた。
これまでにANBP1コホート研究(フォロー期間の中央値4.1年)を終了。
この時点で405人の死亡を確認したが、ACE阻害薬をベースとした治療群で195人(1000人・年当たり15.7人)、利尿薬をベースとした治療群で210人(1000人・年当たり15.1人)となり、両者に違いを認めなかった(ハザード比0.90、95%信頼区間0.75-1.09、p=0.27)。
ANBP2コホート研究は、さらに長期にわたる評価を加えるためANBP1開始時点から10年後の成績をみたもの。
その結果、2006年12月30日時点で、積算して5万3260人・年のフォローアップ(中央値9.3年)に対し、1352人の死亡が確認され、全体の死亡率は1000人・年当たり25.3人となった。
特徴的なのは男性の死亡率で、女性の1000人・年当たり20.9人に対し30.5人と有意に多かった(ハザード比1.56、95%信頼区間1.38-1.76、p<0.001)。
注目したグループ間の比較だが、試験開始時の年齢、性別、糖尿病の有無の補正後では、ACE阻害薬治療群のハザード比は利尿薬治療群に対して0.96 (0.86-1.07、p=0.47)となり、両者に有意差を認めなかった。
これらの結果から演者らは、「高齢の高血圧患者では血圧コントロールにACE阻害薬を用いる場合と利尿薬を用いる場合とで、長期生存にどちらかが有利だとは言えなかった」と結論した。
今回の結果は、これまでの大規模臨床試験の結果とは異なるもので、両者の違いが何に由来するものなのか、さらなる検討が求められる。
出典 NM online 2008. 6. 20
版権 日経BP社
<関連サイト>
ANBP2
Second Australian National Blood Pressure Study
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2001466.html
2002年の国際高血圧学会で発表されたときは,さほど反響をよばなかったが,今回はALLHATの発表後まもなく,まったく違った結果ということで俄然注目された。
高齢者の,特に男性ではACE阻害薬の脳心血管合併症が利尿薬よりも良かったという結果であるが,ALLHATも含めて人種差の理解なしには日本人にその結果の適応は難しいことが実感させられる。
ALLHATとの基本的な違いは,二重盲検法ではなく,本試験はオープン試験である。
対象者がALLHATでは黒人が約35%占めるのに対して,本試験では主に白人である。
降圧薬がALLHATでは非サイアザイドのchlorthalidoneに対して,本試験ではサイアザイドのhydrochlorothiazideが推奨されている。
追加薬としてはALLHATではβ遮断薬,reserpine,clonidineなど交感神経抑制系であるのに対し,本試験ではβ遮断薬,Ca拮抗薬,α遮断薬である。
5年間での他の降圧薬併用率が利尿薬40.7%,ACE阻害薬43.0%であったのに対して,本試験ではそれぞれ33%,35%であった。
また治療前血圧も大きく異なり,ALLHATでは146/84mmHgであるのに対して,本試験では168/91mmHgと高い。リスク因子や合併症もALLHATでは脳心血管合併症をすでに有している例が52%前後であるのに対し,本試験では13%である。
糖尿病もALLHATでは36%前後であるのに対し,本試験では7%にすぎない。
このような様々な臨床背景,プロトコールの違いが,異なった結果をもたらしたと考えられる。
しかし二つの臨床試験が伝えるメッセージはどの降圧薬を選択するかではなく,しっかり血圧を下げることの重要性である。(桑島)
ANBP
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c1999026.ht
今週末、循環器そのものではありませんが、関連分野としてピオグリタゾンのシンポジウムに出席する予定です。

<きょうの一曲> ” Desafinado”
Desafinado by Joao Gilberto
http://jp.youtube.com/watch?v=g6w3a2v_50U&feature=related
Desafinado - George Michael & Astrud Gilberto
http://jp.youtube.com/watch?v=Z6kijxhPGDM&feature=related
ボサノバ Desafinado 小泉ニロ
http://jp.youtube.com/watch?v=AqmlCNSqsY0&feature=related
Desafinado / Ella Fitzgerald
http://jp.youtube.com/watch?v=yvQ2QYUllSI&feature=related
Ella sings "Desafinado" Sweden 1963
http://jp.youtube.com/watch?v=_zPUNoKAz68&feature=related
DESAFINADO
ttp://jp.youtube.com/watch?v=Qdsv6HQWXxg&feature=related
desafinado
http://jp.youtube.com/watch?v=0HnQvryHdS0&feature=related
Desafinado
http://jp.youtube.com/watch?v=2ZhlJ0xho6c&feature=related
Nina Persson - Desafinado (Live at MTV Classic 90's)
http://jp.youtube.com/watch?v=8MINzwRB4xI&feature=related
Tamara Maria sings Desafinado
http://jp.youtube.com/watch?v=35ODnLzl1TY&feature=related
Desafinado - Gal Costa
http://jp.youtube.com/watch?v=JMbCeM0Ro1A&feature=related
Wilson Gomes – Desafinado
http://jp.youtube.com/watch?v=ZMbtUx8H0dM&feature=related
DESAFINADO-Bossa Nova-
http://jp.youtube.com/watch?v=Pcikb2NlCow&feature=related
橈骨動脈アプローチを用いて実施される経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は全体の2%に満たないものの、その手技成功率は大腿動脈アプローチと同等であり、しかも危険性が低いことが、新たな研究から示された。
「最大の所見は、橈骨動脈アプローチに伴う出血は有意に少ないが、そのアプローチは、特に出血リスクの高い患者ではほとんど施行されていないということである」と筆頭著者であるDurham VA Medical Center (ノースカロライナ州)のDr. Sunil V. Raoはロイターヘルスに語った。
これまでの研究で両方のアプローチが比較されてきたが、今回の研究は米国で施行された約60万件を対象とした最大規模のものである。
さらに、「我々の研究では臨床現場におけるこの手技の利用を評価し、高齢者や女性など出血の合併症リスクが高い患者において、その使用頻度を特定しようとした。これは全く初めての試みである」とDr. Raoは述べた。
Journal of the American College of Cardiology: Cardiovascular Interventions誌8月号で報告されているとおり、橈骨動脈アプローチによるPCIは1.32%に過ぎなかった。
前述のとおり、橈骨動脈および大腿動脈アプローチは同程度の手技成功率であった。
対照的に、橈骨動脈アプローチにより出血の合併症リスクは58%減少した。
このベネフィットは、女性、75歳未満の患者、急性冠症候群のためPCIを受けている患者で最も顕著であった。
PCIを実施する医師へのメッセージは「橈骨動脈アプローチを学ぶべきである。手技の成功率を低下させることなく、合併症率を低下させることが可能ということだ」とDr. Raoは強調した。
Dr. Raoのグループは、他の国で橈骨動脈アプローチの利用について研究することに関心を持っている、と同医師は述べた。
この手技は、米国以外の場所でより幅広く利用されている、と同医師は補足した。
J Am Coll Cardiol Intv 2008;1:379-386.
http://kanematsu-rmn.jp/news/kowa-souyaku/news2.php?mode=jpview&num=200808270025042
出典 ロイターヘルス
版権 ロイター社
<TRI関連サイト>
メタボリック症候群と経橈骨動脈冠動脈インターベンション
http://www.kamakuraheart.org/PDF-Files/j_articles/Number_Iryo.pdf
東邦大学医療センター大森病院心血管インターベンション室
http://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/iv_cardiology/hajimeni.html
冠動脈インターベンション治療の進歩
http://www.yamaguchi.med.or.jp/kaihou/sentan/1906.htm
[PDF] ライブケース・デモンストレーション: 冠動脈インターベンション
http://www.kamakuraheart.org/world/no33_usa02/10-Dr.Saito.pdf
<番外編>
安定型心疾患患者は経皮的冠動脈インターベンションによりQOLが向上
ニューヨーク(ロイターヘルス)‐安定型冠動脈疾患患者において、至適薬物療法に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を追加する事で、QOLが約24ヵ月間向上することが新しい研究から示唆されている。
それ以上の期間では、薬物療法単独以上の有意性はみられない。
Clinical Outcomes Utilizing Revascularization and Aggressive Drug Evaluation(COURAGE)試験の主要評価では、薬物療法単独群またはPCI併用群において、患者の死亡または心筋梗塞(MI)の発症率に差は認められなかった。
Dr. William S. Weintraubらは、COURAGE試験の参加者2,287名を対象とした今回の研究において、シアトル狭心症質問票を用い、割り当てられた治療が狭心症緩和に及ぼす影響について、またRAND36項目健康調査を用いて、割り当てられた治療が全般的な健康状態に及ぼす影響について報告している。
Christiana Care Health System(デラウェア州ニューアーク)のDr. Weintraubらは、今回の所見をNew England Journal of Medicine誌8月14日号に報告している。
ベースライン時に、狭心症が認められなかった患者は22%であったことが報告では示されている。
この比率は3ヵ月目において、PCI群では53%、薬物療法単独群では42%に上昇した(p<0.001)。
両群ともこの治療により、3ヵ月目における身体機能の制限、狭心症の安定性、狭心症の頻度、治療満足度およびQOLが改善した。
しかし、改善度は薬物療法単独群と比べ、PCIと薬物療法の併用群の方が有意に高かった。
より重度でより高頻度の狭心症を有する患者は、PCIにより最大のベネフィットが得られる様である、と同研究者らは報告している。
24ヵ月目までに、狭心症の緩和治療とQOLにおいて治療間の格差は縮小し始めた。
36ヵ月目になると、統計的有意差は認められなかった。
「COURAGE試験では、いずれの治療法も患者の健康状態に大きなプラスの効果をもたらすことを示しており、第一選択治療を至適薬物療法として、奏効を示さない患者や重度のベースライン時症状を有する患者に推奨されるPCIの補完的な役割について示唆している」と論説委員であるDuke University(ノースカロライナ州ダラム)のDr. Eric D. PetersonおよびUniversity of Colorado(デンバー)のDr. John S. Rumsfeldは述べている。
「しかし、このような治療法を実施するには、現在のケアに対するアルゴリズム、および最適に医薬品を管理し、患者の健康状態をモニタリングするために必要な努力に対し、適切な価値を付与するために必要な方針の変更を再考する『勇気』が、不可欠であろう」と同研究者らは補足している。
N Engl J Med 2008;359:677-687,751-753.
http://kanematsu-rmn.jp/news/kowa-souyaku/news2.php?mode=jpview&num=200808140024670
<COURAGE 関連サイト>
COURAGE
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2002562.html
PCI は安定狭心症患者の症状の緩和(quality of life)と,ST 上昇あるいは非ST 上昇ACS の予後(quantity of life)改善効果が証明されている。
しかし,無症候性を含めた安定狭心症症例の予後改善効果には否定的な報告が多く,これは薬剤溶出性ステント(DES) が主流となった現在においても何ら変わってはいない。
COURAGE trial はこれまでの同様の試験に比べて圧倒的な症例数で行われたマルチセンター試験で,その信憑性は高い。
症例の内訳を見ても,低左心機能症例が除外されていることと男性の比率が高い以外は,ほぼリアルワールドを反映していると考えられる。
PCI 群では94%にステント(ほとんどBMS)が植え込まれ,薬物療法ではLDL-C に対するアグレッシブな治療が特徴である。
血圧・糖尿病のコントロールも良好で,厳重な薬物療法下においてはPCI はsecondary preventionの具にはならずpreventive intervention は意味がない,というのがメッセージである。
PCI のような局所治療では冠動脈全体に起こりえるプラークの不安定化やそこから生じるACSを予防することはできず,従って心臓死や心筋梗塞の発症を抑制できない,ということであろう。
最近はマルチスライスCT(MSCT)やMRI 等での非侵襲的な冠動脈病変の評価に注目が集まっているが,狭窄性病変だけではなくプラークの性状評価の重要性を改めて認識させられる。
COURAGE Clinical Outcome Utilizing Revascularization & Aggressive Guideline
http://www.ebm-library.jp/circ/trial_AHA_2007.html#aha2007COURAGE
http://www.ebm-library.jp/circ/trial_AHA_2007.html#aha2007
至適薬物治療へのPCI追加により心筋虚血が有意に減少。虚血残存率は死亡,心筋梗塞発症リスクと相関。
COURAGE
http://www.ebm-library.jp/circ/trial_ACC_2007.html#acc2007COURAGE
安定冠動脈疾患患者において,至適薬物治療にPCIを併用した場合の長期死亡+非致死的心筋梗塞の抑制効果は認められなかった。
<きょうの一曲> ” La Cumparsita”
Tango Fire - La Cumparsita
http://jp.youtube.com/watch?v=R7_rnucyZg8&feature=related
LA CUMPARSITA
http://jp.youtube.com/watch?v=eHNz3vEnhUM&feature=related
Juan Carlos Copes y Johana Copes - La Cumparsita
http://jp.youtube.com/watch?v=gS8B4mNoIhA&feature=related
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~
http://wellfrog2.exblog.jp/
「井蛙内科/開業医診療録」 ~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
があります。