戯れ言たれる侏儒
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< 眼科手術時の抗血栓療法 その1(1/2)... | メイン | 高リスク頸動脈狭窄に対するステント留置と... >

抗血小板薬,抗凝固薬の休薬を考える―それは本当に必要か
眼科手術時の抗血栓療法(続)

 

硝子体手術,緑内障手術;大手術に準じ休薬する
矢坂 
続いて江内田先生から,九州医療センターの抗血栓薬取扱いの指針を示していただけますか。

江内田 
当センターでは年間約700~800例の眼科手術を行い,その6割弱が白内障手術,3割が網膜・硝子体手術,緑内障手術は1割弱です。
 
白内障手術は原則として抗血栓療法継続下で行います。
ただし,ワルファリンはPT-INR(プロトロンビン時間―国際標準化比)が3以下にコントロールされていると思っても,併用薬などの作用で5を超えている場合があります。
そこで手術前日にPT-INRを測定し,適切にコントロールされていることを確認してから手術をするようにしています()。
 

これに対して緑内障手術や硝子体手術の場合,主治医と相談の上で休薬することを基本としています。
私は,硝子体手術を専門にしていますが,その7割は増殖糖尿病網膜症あるいは糖尿病黄斑浮腫といった全身疾患を有する患者です。
こうした例や,網膜細動脈瘤や加齢黄斑変性に伴う硝子体あるいは網膜下の手術などでは,術中の大出血も少なくないからです。
一方,機械弁留置例などの血栓・塞栓症リスクの高い患者では,主治医とヘパリン置換の必要性を協議します。
 
ワルファリン休薬の場合,半減期が長いため,完全に失活させるのに3~5日かかります。
その間,塞栓症リスクが上がりますから,手術に先行して入院する必要があります。
硝子体手術の場合,白内障とは異なり比較的長期の入院が可能ですので,そうした対応も可能となります。

矢坂 
そうすると,硝子体手術や緑内障手術は,日本循環器学会ガイドラインにおける"大手術"の位置付けで,休薬が原則になる,ということですね。

江内田 
その通りです。いずれの疾患でも抗血栓療法を休薬する場合,丁寧な説明を行った上で,同意書を取得するようにしています。

矢坂 
九州大学病院ではいかがですか。

園田 
九州大学病院でもほぼ同様に対応しています。

江内田 
眼科手術で一度出血が起こると,圧迫や結紮による止血は難しく,通常は熱凝固か灌流圧を上げることで眼圧を上げて止血します。
硝子体手術では制御不能な出血に陥る例があり,緑内障手術で周辺の虹彩切開を行う際,誤って毛様体を引っかけ前房も含めて硝子体側に内出血を起こすケースがあります。
抗血栓薬の休薬ができない場合は,術中の十分な鎮痛を心がけ,慎重な上にも慎重に手術を行うことが必要です。

 

今後の課題;眼科専門医と循環器科医との連携が必要
矢坂 
抗血栓療法に関するガイドラインは,日本循環器学会が作成しています。
歯科領域では,今年度末に日本有病者歯科医療学会から発表されます。
眼科領域では,眼科手術と抗血栓療法についてのガイドラインは作られていないのでしょうか。

園田 
現在のところ,そうした動きはないと思います。
ただ,日本眼科学会ではガイドラインを普及させていこうという動きがありますから,今後,今日のテーマが取り上げられる可能性は十分あると思います。

吉富 
矢坂先生が示されたアンケートでは,今も15%前後の眼科医が白内障手術時に休薬していました。
そうした医師の多くは,前房出血を恐れているのでしょう。
私は今日の議論を受け,「前房出血はそれほど恐れなければならないものか」と問題提起したいと思います。

園田 
確かに,前房出血は白内障手術では滅多に起きませんし,起きても大半は一晩で消失しますね。

吉富 
ですから,抗血栓療法継続による出血リスクと,休薬による塞栓症リスクを秤にかけ,冷静に考える必要があります。
ガイドラインを作るかどうかは別として,日本臨床眼科学会などでこの問題を積極的に啓発していく必要があるでしょう。

矢坂 
先ほども申しましたが,一度脳梗塞を起こしてしまうと,7割以上が要介護の状態でしか退院できない,この点は強調したいですね。
 
ところで,日本循環器学会や日本脳卒中学会は,ガイドライン作成に当たり関連学会との間で調整しながら作っていかなければならないと,注意を促しています。
そうした連携の作業が今,求められていますね。

江内田 
逆に,これまで眼科と循環器科などの連携が十分でなかったため,ガイドラインが作られなかったという側面もあるかもしれません。

矢坂 
福岡市は医師の研究会が非常に多いそうですが,専門領域を超えた研究会はあるのでしょうか。

園田 
眼科だけの研究会はかなりあるのですが,こうした他科との話し合いの機会は珍しいと思います。

吉富 
私も,10年以上前から白内障手術時の抗血栓療法は継続していましたが,休薬がそこまで危険とは考えていませんでした。
今日,脳卒中専門医の矢坂先生のお話をうかがって,大変有意義だと感じました。

矢坂 
本日は眼科医の先生方と話し合うなか,眼科手術時の抗血栓療法管理の現状をうかがいました。
現在の問題点や今後の課題が明白になったと思います。次のステップは,是非その解決に向け,両科の連携を推進していきたいと思います。

出典 Medical Tribune 2008.9.11
版権 メディカル・トリビューン社

 

<自遊時間>
m3.comの掲示板を初めてのぞいてみました。
実は私自身、昨年の夏からm3.comを利用するようになった言わば初心者なのです。
ドクターズライフ掲示板の「クラシックの広場」。
クラシック音楽好きのドクターがこんなにいるなんて。
早速お気に入りに入れました。

診療Q&Aもよさげですね。

 

<きょうの一曲> They Can't Take That Away From Me


Diana Krall - They Can't Take That Away From Me
http://jp.youtube.com/watch?v=BEgScNZkIQU&feature=related
They Can't Take That Away From Me with strings
http://jp.youtube.com/watch?v=OZS0fupt9eg
They can't take that away from me - Ella & Louis
http://jp.youtube.com/watch?v=ZOpl-glNGiA&feature=related
They Can't Take That Away From Me
http://jp.youtube.com/watch?v=ROyoPwIa_0E&feature=related
Fred Astaire Ginger Rogers They Can't Take That Away From Me
http://jp.youtube.com/watch?v=sZ0DWEbEAqA&feature=related
Fred Astaire Ginger Rogers "Can't Take That Away From Me"
ttp://jp.youtube.com/watch?v=j3SNluoMwtE&feature=related
Fascinatin' Rhythm - "They Can't Take That Away From Me"
http://jp.youtube.com/watch?v=8up2P4u8S6E&NR=1
They can't take away from me ella fitzgerald
http://jp.youtube.com/watch?v=i7MqZtTXMeo&feature=related
Ella Fitzgerald - They can't take that away from me
http://jp.youtube.com/watch?v=nOqa3EGi4uw&feature=related
Eva Avila - "They Can't Take That Away From Me"
http://jp.youtube.com/watch?v=q6Im2mhzYmE&feature=related
(トニー・ベネットが指導しています)
"They Can't Take That Away From Me"
http://chobisgarden.blog60.fc2.com/blog-entry-967.html
They Can't Take That Away From Me" from LEGENDS OF JAZZ
http://jp.youtube.com/watch?v=CQy7FtUPeec&feature=related
Maria Claire - They Can't Take That Away From Me
http://jp.youtube.com/watch?v=22HJR9NWLO0&feature=related

 

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
 があります。

 

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