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ご存知のように、近くて遠い、ある独裁国家のドンが脳卒中で倒れたらしいというニュースが流れています。
9月15日朝の新聞記事では、脳梗塞と出血が同時に起こっているらしい(出血性脳梗塞?)とか、中国の医師団が治療にあたっているとか、四肢麻痺とか時々意識がなくなるとか書かれています。
そしてさりげなく書かれていたことで「最近は高血圧、糖尿病、認知症に悩まされていた」、という内容に驚きました。
な、なんと「認知症!!!」。
そんなこと知らなかった。
そしてそんなことをサラっと書かれても。
きょうはそんなわけ(?)で、脳梗塞を勉強しました。
といっても慢性期の再発(二次)予防のお話です。
座談会
脳梗塞治療における抗血小板薬の位置付けを探る
2001年9月から2003年11月に実施されたクロピドグレル(商品名:プラビックス)の国内第=2相試験が論文化され,本年2月にCerebrovascular Diseasesに掲載された〔Fukuuchi Y, et al: Cerebrovasc Dis 25(1-2): 40-49, 2008.〕。
本座談会では,同試験に携わった専門家3氏が,同試験の内容と意義を再検証するとともに,脳梗塞治療における抗血小板薬,なかでもクロピドグレルの位置付けを中心に意見を交わした。
司会
国立循環器病センター 名誉総長
山口 武典 氏
出席者(発言順)
東京女子医科大学大学院神経内科学 教授
内山 真一郎 氏
広島大学大学院脳神経内科学 教授
松本 昌泰 氏
待ち望まれたクロピドグレルの国内認可
山口
日本におけるクロピドグレルの第III相試験が始まった2000年前後は,ちょうど海外での承認薬を簡略化した審査で承認していこうとするICH(International Conference on Harmonization)の気運が高まり始めた時期でした。
まず,当時の脳梗塞慢性期の再発予防治療の状況について振り返っていただきたいと思います。
内山
2000年にアスピリンが承認されるまで,日本で非心原性脳梗塞の再発予防に承認されていた抗血小板薬はチクロピジン(商品名:パナルジン)しかありませんでした。
しかし,同薬に関してはTTP(血栓性血小板減少性紫斑病),無顆粒球症,重篤な肝機能障害などの副作用が報告され,1999年と2002年には緊急安全性情報が出されるなど,安全性の面で問題が広がっていました。
また,チクロピジン服用中は定期的な血液検査*が義務付けられるなど使い方も煩雑であったことから,より安全性が高く,既に海外で使用されていたクロピドグレルの国内認可が待ち望まれていました。
松本
私はかなり早期からクロピドグレルの治験にかかわり,チクロピジンに比して安全性が高いことを臨床的に実感していましたので,ICHの観点からも一刻も早く国内認可の方向に進むべきだと考えていました。
実際,日本脳卒中学会からも早期承認の要望書が提出されたと聞いております。
山口
脳梗塞,心筋梗塞,末梢動脈疾患の患者約 1 万9,000例を対象にしたCAPRIE(Clopidogrel versus Aspirin in Patients at Risk of Ischemic Events)試験において,クロピドグレルは単独投与によって血管イベントや脳梗塞,心筋梗塞,血管死等の累積イベント発症率などを有意に抑制し,有効性が示されました。内山先生,クロピドグレルの特徴はどのような点でしょうか。
内山
クロピドグレルはチクロピジンと同じチエノピリジン系の抗血小板薬です。
ADP(アデノシン2リン酸)受容体拮抗作用によってADP依存性の血小板凝集を特異的に抑制するとともに,生体内での血栓形成に重要な「ずり応力」で惹起される血小板活性を抑制します。
また,CAPRIE試験では糖尿病,脂質異常症,血管イベントのリスクファクターを有する患者などに対して,より高い有効性が確認されました。
しかし,冠動脈ステント留置を合併した症例などで併用する場合には,安全性の観点より血圧など合併症管理を徹底しながら投与する必要があると思います。
*:チクロピジンの投与開始後 2 か月間は,特にTTP,無顆粒球症,重篤な肝障害等の副作用の初期症状の発現に十分留意し,原則として 2 週に 1回,血球算定(白血球分画を含む),肝機能検査を行い,上記副作用の発現が認められた場合には,ただちに投与を中止し,適切な処置を行うこと。本剤投与中は,定期的に血液検査を行い,上記副作用の発現に注意すること。
有用性の高さが示された国内第III相試験
山口
それでは,Cerebrovascular Diseasesに掲載されたクロピドグレルの国内第III相試験の概要と成績をご紹介ください。
内山
同試験は,非心原性脳梗塞患者1,172例を対象に,クロピドグレル75 mg/日投与群とチクロピジン200mg/日投与群にランダムに割り付け,安全性と有効性について比較した二重盲検試験です。
観察期間は52週間で,2001年 9 月から2003年11月まで行われました。
評価項目は安全性(白血球減少症,好中球減少症,血小板減少症,肝機能障害,非外傷性の重篤な出血,その他の重篤な副作用),および有効性(脳梗塞,心筋梗塞,その他の血管死)です。
なお,クロピドグレルの75mg/日という投与量は,この試験に先立って行われた用量探索試験(臨床薬理試験)において,チクロピジン200mg/日に最も近い血小板凝集抑制率を示した用量であり,結果的に欧米での投与量と同じになりました。
さて,試験の結果ですが,クロピドグレル群における安全性の主要評価項目の発現率は7.0%で,チクロピジン群の15.1%に比べ有意(p<0.001)に低く,チクロピジンと比べ安全性の高さが示されました(図 1)。
一方,有効性に関しては,両群間に有意差は認められずチクロピジンとの非劣勢が証明されました(図 2)。
このように,同試験の結果,クロピドグレルは海外のエビデンス同様,日本人でもチクロピジンと同等の有効性が示され,チクロピジンと比べ安全性も高いことが明らかになりました。
これは,クロピドグレルの有用性がチクロピジンより総合的に優れていることを示しています。
山口
クロピドグレル群では,全有害事象だけでなく血液障害や肝機能障害の発現リスクも有意に低かったのですね。
内山
その通りです。特に日本人では,チクロピジンによる肝機能障害が生じやすいことが問題となっていましたが,クロピドグレル群の肝機能障害発現率は4.2%で,チクロピジン群の11.9%に比べ有意(p<0.001)に抑えられていました(表 1)。
山口
松本先生はこの結果についてどのようにお考えですか。
松本
それまでのデータを踏まえると,想定通りの結果であったと考えます。
ただし,このように詳細な安全性評価によって,両群の安全性にこれだけ明確な差が示された意義は大きいと思います。
チクロピジンからクロピドグレルへの切り替えのポイント
山口
さて,日本でも2006年 5 月にクロピドグレルが発売されました。
実際に同薬を使用した感想をお聞かせください。
内山
チクロピジンに比べ安全性に優れることは指摘されていた通りで,有効性も含め使用しやすいと感じています。
日本でのクロピドグレルの使用頻度は急速に高まっており,同薬の有用性が広く浸透し始めているとの印象を受けています。
山口
松本先生はどのような印象をお持ちでしょうか。
松本
クロピドグレルに関しては既に海外で多くのエビデンスが報告されていますし,国内第III相試験では幅広い患者群(表 2)でもチクロピジンよりも高い安全性と同等の有効性が確認されたことで安心して使用できると感じています。
実際,クロピドグレルを第一選択薬として使用することも増えてきています。
山口
チクロピジンからクロピドグレルへの切り替えについては,どのように考えておられますか。
内山
長期間チクロピジンを服用し,肝機能障害や血小板減少症,白血球減少症などの副作用が認められない症例でも長期投与の間に肝機能や血球系の検査値が悪化してくる症例もありますので,このような場合は切り替えを考えるべきだと思います。
なお,新規患者へのチクロピジンの投与は既に行っておりません。
松本
私はチクロピジンからクロピドグレルに切り替える場合,用量を慎重に検討する必要があることから,将来の全面的な切り替えを見据え,安全性を確認するために独自で臨床研究T-CLOSE(Hiroshima Ticlopidine, CLOpidogrel Safe Exchange trial)を始め,安全性についてのデータを集積しているところです。
山口
海外のエビデンスに加え,特に出血リスクが高いと考えられている日本人を対象としたクロピドグレルの国内第III相試験においても,欧米人と同用量のクロピドグレル75mg/日投与群が,チクロピジン200mg/日投与群と同等の有効性とより優れた安全性を示すことが確認され,さらに論文として掲載された意義は,EBMという観点からも大きいと考えます。
一方,50mg/日から処方できるので,患者背景に応じて用量調節ができることも,クロピドグレルを使いやすくしている一因かもしれません。
ただし,抗血小板薬を投与するだけですべてが解決するわけではありません。脳梗塞の再発予防においては,治療とともに十分なリスク管理が非常に重要だと申し添えて,討議を終えたいと思います。
<参考>
プラビックスの効能又は効果
虚血性脳血管障害(心原性脳塞栓症は除く)後の再発抑制
経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される急性冠症候群(不安定狭心症,非ST上昇心筋梗塞)
出典 Medical Tribune 2008.4.10
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
「有効性に関しては,両群間に有意差は認められずチクロピジンとの非劣勢が証明されました」。
非劣勢は多分非劣性の間違い?。
何だ。
それだけの薬剤だったんだということです。
薬価の違いほどのことはなかったということで妙に納得。
セララはアルダクトンとの降圧効果の違いの有無は確か語られていなかったような。
10月の「発売1周年記念シンポジウム(東京)」に出席するつもりです。
あんなに多くの人が出席しても、誰一人そのことについて質問しないという予定調和。
<番外編>
食欲ホルモン、心筋梗塞に効果=マウス実験で判明?
国立循環器病センター
食欲増進や成長を促すホルモン「グレリン」を心筋梗塞(こうそく)発症後に投与することで死亡率が大幅に低減するとの動物実験結果を、国立循環器病センター(大阪府吹田市)の研究チームが12日、公表した。
近く米医学雑誌に論文が掲載される。
研究チームによると、人為的に心筋梗塞を起こしたマウスの約6時間後の生存率を比べたところ、グレリンを投与したマウスの生存率は70%以上で、未投与の倍以上だった。
また、投与で発症後に不整脈を起こす割合が大幅に減ることも分かった。
グレリンが交感神経の異常を沈静化させることが効果に関係しているとみられるという。
出典 時事通信社 (2008/09/12-21:43)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200809/2008091201066
読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21~
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
があります。
コメント
コメント一覧
CCUのnurseをしています。
夜勤で暇なときに先生のブログを発見し、いつも楽しみにしています。
循内Dr向けで、内容はもちろん難しく、わからないところは調べたり、飛ばしたり(!?)しながら、読んでいます。
すごく勉強熱心で、何より毎日更新!すばらしいですね。
お忙しい中大変とは思いますが、これからも色々な情報を発信してください。
コメント有難うございます。
夜勤でネット。
最近の詰所の様子も変わってきたんですね。
いろんな情報がiPhoneやiTouchなどで簡単に得られる時代になってきたんですね。
最近の病院の事情はわかりませんが、院内は無線Lanになっているんですか。
また時々コメントいただけるとうれしいです。
仕事、がんばって下さい。
私のちち
その後、右半身のしびれが取れず、なかなかうまく歩くことができません。
リハビリとなると病院ばかりで、退院後通うリハビリ知識を持ったスポーツ施設がありません。
診察ではなく相談できる場所をご存じの方、ぜひお返事ください。どうしたらいいのか色々調べてもわかりません。お願いします。
地域的な問題もあるかと思いますが、自宅から通院できる近距離にそういった施設がないと、この問題は解決できないと思います。
通院中の医療機関に相談された結果はいかがだったのでしょうか。
そして医療機関のリハビリには何か問題があるのでしょうか。
コメントありがとうございました。
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