戯れ言たれる侏儒
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CHHIPS Pilot Trial

戯れ言たれる侏儒 / 2008.09.03 00:02 / 推薦数 : 1

第22回国際高血圧学会/第18回欧州高血圧学会に関する記事から”CHHIPS Pilot Trial”について勉強しました。
従来、脳卒中の治療では血圧のコントロールが意外と疎かにされていたような気がします。
とくに脳梗塞ではその傾向が強いような気がします。

話は少しそれますが、私は以前から諸外国の論文を読んでいて疑問に思うことがありました。
それはStrokeという医学英語です。
日本語では脳卒中と訳されるようですが、今回の報告でも
その内訳は脳梗塞または脳出血と説明されています。
本来、「詰まる」と「切れる」は病態的に違うはずなのに同一の「くくり」となっているのです。
特にMRが持ってくる日本語訳では脳卒中と訳されており、このあたりを訊いても答えられるMRはいません。
当然といえば当然で、最後の<関連サイト>の学会発表風景で今までの疑問が氷解しました。
要するに平然とStrokeという用語でひとくくりにしているのです。
何だか近頃流行りの(病態を考慮しない)”CKD”を連想してしまいます。
CKDは意識的に病因を無視した概念ですが、Strokeはどうなんでしょうか。

最近の諸外国での大規模臨床試験の紹介でも、専門家はそのことに触れませんが、いつも隔靴掻痒の感があります。

昔と違って画像診断で容易に両者の区別が出来る時代に、あえて両者をひとくくりにする意味がはたしてあるのでしょうか。
逆に分ける必要があるかという意見もあるでしょう。

先生方はどのようなお考えをお持ちでしょうか?

脳卒中急性期の降圧治療
36時間以内の治療開始で3か月後の死亡が半減
脳卒中急性期の高血圧管理については十分なエビデンスがなく,治療の開始時期や降圧薬の種類などについて,論議を呼ぶところとなっている。
East Anglia大学(英ノリッジ)のJohn Potter氏は,発症36時間以内の高血圧を伴う脳卒中患者を対象に,ACE阻害薬リシノプリル,β遮断薬ラベタロールによる降圧療法の有用性をプラセボと比較するCHHIPS Pilot Trialを実施。
ランダム化後2週間の降圧治療により,プラセボ群に比べて3か月後の死亡が半減したと報告した。

短期評価項目には改善認めず
対象は,18歳以上,症状持続が60分を超え発症36時間以内,SBP160 mmHg以上―などの条件を満たす脳梗塞または脳出血患者179例。
(1)血栓溶解療法施行例
(2)高血圧性脳症
(3)原発性脳内出血でSBP200mmHg以上かつまたはDBP 120mmHg以上
(4)意識レベルの障害〔米国立衛生研究所脳卒中尺度(NIHSS)Section 1aスコア ≧ 2〕
(5)治療薬の禁忌
(6)modified Rankin Scale(mRS>3)
―などは除外した。
 
対象を,
(1)リシノプリル
(2)ラベタロール
(3)プラセボ〔嚥下障害がなければ各経口薬,伴う例では i)リシノプリル舌下錠/プラセボ静注, ii)ラベタロール静注/プラセボ舌下錠, iii)プラセボ舌下錠/同静注〕
―の3群にランダムに割り付け,降圧目標をSBP145~155mmHgまたはSBP15 mmHg以上の低下として,ランダム化から2週間治療を実施した。
 
降圧目標の達成率は24時間後にはプラセボ群46%,リシノプリル群65%,ラベタロール群57%と実薬群で高く,プラセボ群とリシノプリル群に有意差(P ≦ 0.05)が認められた。
 
しかし,72時間後の神経学的悪化(NIHSSスコア4以上の増加または死亡)はプラセボ群10%,リシノプリル群12%,ラベタロール群2%に認められ,プラセボ群に対する実薬群の相対リスク(RR)は0.89と有意な変化はなく,降圧の影響は反映されなかった。
 
1次評価項目の発症2週後の「死亡または身体的依存(mRS>3)」の発生は,プラセボ群59%,リシノプリル群,ラベタロール群ともに61%で,プラセボ群に対する実薬群のRRは1.03と有意差はなく,悪化も改善も見られなかった。
 
これに対して,Potter氏も驚いたとしたのが2次評価項目の3か月後の生存率で,実薬群に対するプラセボ群のハザード比は2.2(95%信頼区間1.0~5.0,P=0.05)と,実薬群で死亡が半減することが判明した()。


 
以上から,同氏は「今回のデータが再現されうるか,フルスケールの試験の進行に期待を持たせる結果だ」と述べた。

なお同試験では,脳卒中急性期の低血圧に対する治療も別途検討されており,同試験には約2,000例が登録される予定であるという。
薬剤間に差異が認められるのか,結果が待たれる。

出典 Medical Tribune 2008.8.7
版権 メディカル・トリビューン社

 「Heart and Kidney - 私たちの近くにあるもの」
制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)

<参考サイト>
Control of Hypertension and Hypotension Immediately Post-Stroke (CHHIPS)Pilot Trial
http://www.scienceondemand.org/stroke2008/lbs/sessions/player.html?sid=080201100.4626&searchQ=undefined
(学会での発表風景がそのままスライドとともに収録されています。臨場感あふれる珍しいサイトで医学英語の勉強にもなると思います)

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