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1か月前より、当院でも遅まきながら頚動脈エコーを行うようになりました。
眼底検査、CAVIと併せて動脈硬化の評価がある程度できるようになったかなと思っているところです。
検査しなければ「知らぬが仏」。
先週の土曜日も、80代の男性に検査を行って結構強い頚動脈病変が見つかりました。
頚動脈にbruitは聴取されません。
また、さしたる症状もありません。
今後、このような症例に対してどのように対処していけばよいのかという新しい課題が見つかってしまいました。
当面、病変の強い症例は、近くの病院の脳外科医にコンサルトしていくことになりそうです。


<関連サイト>
Journal club ~内頚動脈狭窄のステント治療
http://www.dryumi.com/?p=219
頚部内頚動脈狭窄症
http://www.is-brain.com/column/03.html
「狭さく95%」切らずに治療…頸動脈狭窄(服部さん)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20061101ik0a.htm
ステント留置と手術、高リスク頸動脈狭窄患者に同等
2008-04-09 17:00:30 -0400 (ロイターヘルス)発
ニューヨーク(ロイターヘルス) - Stenting and Angioplasty with Protection in Patients at High Risk for Endarterectomy (SAPPHIRE)研究の結果によると、重度頸動脈狭窄の高リスク患者において、塞栓保護装置を用いたステント留置は、動脈内膜剥離術と同程度の長期予後をもたらす。
これまでのSAPPHIREデータ解析で、Dr. Donald E. Cutlipらは、ステント留置による30日後および1年後のアウトカムが、動脈内膜剥離術と比較した場合にも劣らないことを示した。New England Journal of Medicine誌4月10日号で報告された本解析では、3年後の結果について説明している。
3年目までに、事前にエンドポイントと定義された死亡、同側脳卒中または心筋梗塞(治療から30日以内)が、ステント治療患者の24.6%で発症した。手術群における発症率は26.9%であり、ステント治療群よりも高かったものの、有意差ではなかった。
本研究は50%以上の症候性頸動脈狭窄または、80%以上の無症候性頸動脈狭窄を認めた高リスク患者334名を対象とした。3年間の追跡データは、260名の患者について利用可能で、ステント留置群の85.6%、手術群の70.1%が含まれる。
高リスクの基準には、以下のうち1つ以上が含まれた:年齢が80歳を超えている、臨床的に有意な心疾患(心不全、運動負荷検査異常、または開胸心臓手術が必要)、重度肺疾患、対側頸動脈閉塞、対側喉頭神経麻痺、頸動脈内膜剥離術後の狭窄再発、根治的頸部手術歴または頸部への放射線治療歴。
脳卒中は各群においてそれぞれ15例発症したことが報告では示されている。ステント留置群の脳卒中11例、および手術群の9例は同側性であった。
この結果を反映して、著者らは「高リスク患者における3年間の脳卒中または他の主要な有害イベントのリスクに関して、塞栓保護装置を用いる頸動脈ステント留置と頸動脈内膜剥離術の間の有意差については立証することが出来なかった」と結論付けた。
著者らは「治療後3年以内に、血行再建再施行リスクが増大するというエビデンスも見出されていない」と付け加えた。
N Engl J Med 2008;358:1572-1579.
http://kanematsu-rmn.jp/news/kowa-souyaku/news2.php?mode=jpview&num=200804100020582
<番外編>
頸動脈雑音は心筋梗塞および心血管死と関連
2008-05-08 18:30:18 -0400 (ロイターヘルス)発
ニューヨーク(ロイターヘルス)‐心疾患リスク患者で頸動脈雑音があると、心筋梗塞(MI)および心血管死のリスクが2倍以上上昇することが、メタ解析の結果により示されている。
「心疾患リスク患者における頸動脈雑音の聴診は、心血管疾患リスクに対する積極的な改善治療が最も有用と思われる患者の選択に役立つ」と、研究者らはLancet誌5月10日号で報告している。
Walter Reed Army Medical Center(ワシントンDC)のDr. Christopher A. Pickettらは、「頸動脈」および「雑音」の用語が含まれる研究をMedline and Embaseデータベースから検索した。メタ解析には、62,414患者・年の追跡期間に計17,295名の患者を対象とした20件のプロスペクティブ研究と2件の症例対照研究が組み入れられた。
頸動脈雑音があると、MI発症率は100患者・年当たり1.86(2件)から3.69(8件)に上昇した。同様に、心血管死の発生率は雑音が聴診されると100患者・年当たり1.11(4件)から2.85(16件)に上昇した。
雑音がある患者とない患者においてMIと心血管死のリスクを直接比較した試験は、わずか4件であった。これらの研究を統合解析すると、雑音との関連性が認められ、MIおよび心血管死に対するオッズ比は、それぞれ2.15および2.27であった。
「この新しいメタ解析は有望ではあるが、いくつかの疑問が生じる」とDupuytren University Hospital(フランス リモージュ)のDrs. Victor AboyansとPhilippe Lacroixは関連する論説で述べている。それらの疑問とは、「頸動脈雑音がどのように二次予防に影響を与えるのか」、および心血管疾患リスクスコアで得られる以上の予測情報が雑音から得られるかどうかということである。
Lancet 2008;371:1554-1556,1587-1594.
http://kanematsu-rmn.jp/news/kowa-souyaku/news2.php?mode=jpview&num=200805090021572
頸動脈雑音は心筋梗塞および心血管死と関連
2008-05-08 18:30:18 -0400 (ロイターヘルス)発
ニューヨーク(ロイターヘルス)‐心疾患リスク患者で頸動脈雑音があると、心筋梗塞(MI)および心血管死のリスクが2倍以上上昇することが、メタ解析の結果により示されている。
「心疾患リスク患者における頸動脈雑音の聴診は、心血管疾患リスクに対する積極的な改善治療が最も有用と思われる患者の選択に役立つ」と、研究者らはLancet誌5月10日号で報告している。
Walter Reed Army Medical Center(ワシントンDC)のDr. Christopher A. Pickettらは、「頸動脈」および「雑音」の用語が含まれる研究をMedline and Embaseデータベースから検索した。メタ解析には、62,414患者・年の追跡期間に計17,295名の患者を対象とした20件のプロスペクティブ研究と2件の症例対照研究が組み入れられた。
頸動脈雑音があると、MI発症率は100患者・年当たり1.86(2件)から3.69(8件)に上昇した。同様に、心血管死の発生率は雑音が聴診されると100患者・年当たり1.11(4件)から2.85(16件)に上昇した。
雑音がある患者とない患者においてMIと心血管死のリスクを直接比較した試験は、わずか4件であった。これらの研究を統合解析すると、雑音との関連性が認められ、MIおよび心血管死に対するオッズ比は、それぞれ2.15および2.27であった。
「この新しいメタ解析は有望ではあるが、いくつかの疑問が生じる」とDupuytren University Hospital(フランス リモージュ)のDrs. Victor AboyansとPhilippe Lacroixは関連する論説で述べている。それらの疑問とは、「頸動脈雑音がどのように二次予防に影響を与えるのか」、および心血管疾患リスクスコアで得られる以上の予測情報が雑音から得られるかどうかということである。
Lancet 2008;371:1554-1556,1587-1594.
http://kanematsu-rmn.jp/news/kowa-souyaku/news2.php?mode=jpview&num=200805090021572

「Heart and Kidney - 私たちの近くにあるもの」
制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)
<きょうの一曲> 「それが大事」
YouTube - 大事MANブラザーズバンド / 「それが大事」LIVE
http://jp.youtube.com/watch?v=HKg7--TKVtU
それが大事 大事MANブラザーズバンド
http://jp.youtube.com/watch?v=DgtZhfFqpvs&feature=related
それが大事
http://jp.youtube.com/watch?v=MDXtNBc0ml0&feature=related
それが大事 / 大事MANブラザーズバンド
http://jp.youtube.com/watch?v=xg9puhNHPao&feature=related
<番外編>
忙しい人のための「それが大事」
http://jp.youtube.com/watch?v=O_GNHj-wuI8
読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21~
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
があります。
抗血小板薬,抗凝固薬の休薬を考える―それは本当に必要か
眼科手術時の抗血栓療法(続)
硝子体手術,緑内障手術;大手術に準じ休薬する
矢坂
続いて江内田先生から,九州医療センターの抗血栓薬取扱いの指針を示していただけますか。
江内田
当センターでは年間約700~800例の眼科手術を行い,その6割弱が白内障手術,3割が網膜・硝子体手術,緑内障手術は1割弱です。
白内障手術は原則として抗血栓療法継続下で行います。
ただし,ワルファリンはPT-INR(プロトロンビン時間―国際標準化比)が3以下にコントロールされていると思っても,併用薬などの作用で5を超えている場合があります。
そこで手術前日にPT-INRを測定し,適切にコントロールされていることを確認してから手術をするようにしています(表)。
これに対して緑内障手術や硝子体手術の場合,主治医と相談の上で休薬することを基本としています。
私は,硝子体手術を専門にしていますが,その7割は増殖糖尿病網膜症あるいは糖尿病黄斑浮腫といった全身疾患を有する患者です。
こうした例や,網膜細動脈瘤や加齢黄斑変性に伴う硝子体あるいは網膜下の手術などでは,術中の大出血も少なくないからです。
一方,機械弁留置例などの血栓・塞栓症リスクの高い患者では,主治医とヘパリン置換の必要性を協議します。
ワルファリン休薬の場合,半減期が長いため,完全に失活させるのに3~5日かかります。
その間,塞栓症リスクが上がりますから,手術に先行して入院する必要があります。
硝子体手術の場合,白内障とは異なり比較的長期の入院が可能ですので,そうした対応も可能となります。
矢坂
そうすると,硝子体手術や緑内障手術は,日本循環器学会ガイドラインにおける"大手術"の位置付けで,休薬が原則になる,ということですね。
江内田
その通りです。いずれの疾患でも抗血栓療法を休薬する場合,丁寧な説明を行った上で,同意書を取得するようにしています。
矢坂
九州大学病院ではいかがですか。
園田
九州大学病院でもほぼ同様に対応しています。
江内田
眼科手術で一度出血が起こると,圧迫や結紮による止血は難しく,通常は熱凝固か灌流圧を上げることで眼圧を上げて止血します。
硝子体手術では制御不能な出血に陥る例があり,緑内障手術で周辺の虹彩切開を行う際,誤って毛様体を引っかけ前房も含めて硝子体側に内出血を起こすケースがあります。
抗血栓薬の休薬ができない場合は,術中の十分な鎮痛を心がけ,慎重な上にも慎重に手術を行うことが必要です。
今後の課題;眼科専門医と循環器科医との連携が必要
矢坂
抗血栓療法に関するガイドラインは,日本循環器学会が作成しています。
歯科領域では,今年度末に日本有病者歯科医療学会から発表されます。
眼科領域では,眼科手術と抗血栓療法についてのガイドラインは作られていないのでしょうか。
園田
現在のところ,そうした動きはないと思います。
ただ,日本眼科学会ではガイドラインを普及させていこうという動きがありますから,今後,今日のテーマが取り上げられる可能性は十分あると思います。
吉富
矢坂先生が示されたアンケートでは,今も15%前後の眼科医が白内障手術時に休薬していました。
そうした医師の多くは,前房出血を恐れているのでしょう。
私は今日の議論を受け,「前房出血はそれほど恐れなければならないものか」と問題提起したいと思います。
園田
確かに,前房出血は白内障手術では滅多に起きませんし,起きても大半は一晩で消失しますね。
吉富
ですから,抗血栓療法継続による出血リスクと,休薬による塞栓症リスクを秤にかけ,冷静に考える必要があります。
ガイドラインを作るかどうかは別として,日本臨床眼科学会などでこの問題を積極的に啓発していく必要があるでしょう。
矢坂
先ほども申しましたが,一度脳梗塞を起こしてしまうと,7割以上が要介護の状態でしか退院できない,この点は強調したいですね。
ところで,日本循環器学会や日本脳卒中学会は,ガイドライン作成に当たり関連学会との間で調整しながら作っていかなければならないと,注意を促しています。
そうした連携の作業が今,求められていますね。
江内田
逆に,これまで眼科と循環器科などの連携が十分でなかったため,ガイドラインが作られなかったという側面もあるかもしれません。
矢坂
福岡市は医師の研究会が非常に多いそうですが,専門領域を超えた研究会はあるのでしょうか。
園田
眼科だけの研究会はかなりあるのですが,こうした他科との話し合いの機会は珍しいと思います。
吉富
私も,10年以上前から白内障手術時の抗血栓療法は継続していましたが,休薬がそこまで危険とは考えていませんでした。
今日,脳卒中専門医の矢坂先生のお話をうかがって,大変有意義だと感じました。
矢坂
本日は眼科医の先生方と話し合うなか,眼科手術時の抗血栓療法管理の現状をうかがいました。
現在の問題点や今後の課題が明白になったと思います。次のステップは,是非その解決に向け,両科の連携を推進していきたいと思います。
出典 Medical Tribune 2008.9.11
版権 メディカル・トリビューン社
<自遊時間>
m3.comの掲示板を初めてのぞいてみました。
実は私自身、昨年の夏からm3.comを利用するようになった言わば初心者なのです。
ドクターズライフ掲示板の「クラシックの広場」。
クラシック音楽好きのドクターがこんなにいるなんて。
早速お気に入りに入れました。
診療Q&Aもよさげですね。
<きょうの一曲> They Can't Take That Away From Me

Diana Krall - They Can't Take That Away From Me
http://jp.youtube.com/watch?v=BEgScNZkIQU&feature=related
They Can't Take That Away From Me with strings
http://jp.youtube.com/watch?v=OZS0fupt9eg
They can't take that away from me - Ella & Louis
http://jp.youtube.com/watch?v=ZOpl-glNGiA&feature=related
They Can't Take That Away From Me
http://jp.youtube.com/watch?v=ROyoPwIa_0E&feature=related
Fred Astaire Ginger Rogers They Can't Take That Away From Me
http://jp.youtube.com/watch?v=sZ0DWEbEAqA&feature=related
Fred Astaire Ginger Rogers "Can't Take That Away From Me"
ttp://jp.youtube.com/watch?v=j3SNluoMwtE&feature=related
Fascinatin' Rhythm - "They Can't Take That Away From Me"
http://jp.youtube.com/watch?v=8up2P4u8S6E&NR=1
They can't take away from me ella fitzgerald
http://jp.youtube.com/watch?v=i7MqZtTXMeo&feature=related
Ella Fitzgerald - They can't take that away from me
http://jp.youtube.com/watch?v=nOqa3EGi4uw&feature=related
Eva Avila - "They Can't Take That Away From Me"
http://jp.youtube.com/watch?v=q6Im2mhzYmE&feature=related
(トニー・ベネットが指導しています)
"They Can't Take That Away From Me"
http://chobisgarden.blog60.fc2.com/blog-entry-967.html
They Can't Take That Away From Me" from LEGENDS OF JAZZ
http://jp.youtube.com/watch?v=CQy7FtUPeec&feature=related
Maria Claire - They Can't Take That Away From Me
http://jp.youtube.com/watch?v=22HJR9NWLO0&feature=related
読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
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ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21~
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21
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があります。
抗血小板薬,抗凝固薬の休薬を考える―それは本当に必要か
眼科手術時の抗血栓療法
心筋梗塞や脳梗塞といった血栓性疾患のため,抗血栓療法を受ける高齢者が増加している。
当然,そうした患者が眼科手術を受けるケースも多く,その際に抗血栓療法を休薬するか継続するかが常に問題となる。
討論のなか,白内障手術時は抗血栓療法を継続することが眼科医には常識となっていること,一方,多くの循環器科医は休薬すべきと考えていること,すなわち白内障手術の出血リスクに対する認識の違いが明らかになった。
今後,眼科医と循環器科医が連携を図りつつ,ガイドライン作成や啓発活動を行うことの必要性が明確になった。
出席者(発言順)
吉富 文昭 氏 太宰府吉富眼科院長
江内田 寛 氏 国立病院機構九州医療セ ンター眼科科長
園田 康平 氏 九州大学病院眼科講師
司会
矢坂 正弘 氏 国立病院機構九州医療センター脳血管内科科長
休薬による脳梗塞発症;頻度は低いが重症に
矢坂
日本では急速な高齢化に伴って,血栓性疾患が増えています。
そうした高齢者では,種々の疾患から観血的治療が必要となる例も多く,抗血栓療法の中止すなわち休薬の必要性が議論になります。
本日は,そのなかでも頻度の高い眼科手術時の対応について話し合っていきます。
抗血栓療法の中止を考える場合に問題となる脳梗塞は,3つのタイプに分かれます。
脳の細小動脈が詰まるラクナ梗塞,動脈硬化病変の不安定プラークが破れ血管を詰めるアテローム血栓性脳梗塞,塞栓源性心疾患に伴い形成された心内血栓が脳動脈を詰まらせて発症する心原性脳塞栓症です。
日本では近年,アテローム血栓性脳梗塞と心原性脳塞栓症が増えています。
特に心原性脳塞栓症は脳梗塞の3割を占め,その6~7割が非弁膜性心房細動(NVAF)に由来します。
吉富
心房細動を有する高齢者は,とても多いですね。
矢坂
心房細動の有病率は65歳以上の5.9%と言われます。
野球の長嶋氏,サッカーのオシム氏も心房細動による心原性脳塞栓症と報道されました。
心原性脳塞栓症では血栓が太い脳血管を突然塞ぐため,大梗塞を起こします。
NVAF患者ではその予防にワルファリンが推奨されます。
ワルファリンはNVAF例の脳梗塞リスクを7割低下させるからです。
抗血小板薬は,非心原性脳梗塞やTIA(transient ischemic attack)の再発を22%,脳梗塞急性期の再発を11%減らすとの報告があり,脳・心血管疾患の再発予防に広く用いられています。
江内田
抗血栓療法を受けている患者はどのくらいいるのでしょうか。
矢坂
ワルファリンは100万人,アスピリンは300万人以上と言われています。
このワルファリンを抜歯や内視鏡検査などの際に休薬すると,約1%の頻度で血栓・塞栓症を起こすことが報告されています。
国立循環器病センターで行った調査でも,抗凝固療法中に脳梗塞を発症した23例中8例が休薬例で,うち4例は抜歯が契機でした。休薬の8例と非休薬の15例を比べると,休薬例は全例が心原性脳塞栓症で,要介護での退院率が71%,非休薬例の21%と比べると予後が悪いことが分かりました。
園田
休薬後どのくらい経って,脳梗塞を起こすのでしょうか。
矢坂
再開数日後の発症が多く,休薬直後でないため休薬を指示した医師が気づかない例もあります。一方アスピリンを休薬すると,脳梗塞発症のオッズ比が3.4倍上昇します。つまり抗血小板薬,抗凝固薬を休薬すると脳梗塞発症リスクが上昇し,重症化する可能性があります。
白内障手術;技術革新で出血リスクは著明に低下
矢坂
では,眼科手術時の出血にはどんなものがありますか。
吉富
比較的多いのが前房出血ですね。
それから虹彩根部の太い血管を傷つけ,大出血を起こすことがあります。
経験の浅い眼科医が,ときにこうした出血を招きます。
園田
頻度は低いが重篤な出血として上脈絡膜腔出血,いわゆる駆逐性出血があります。
脈絡膜には豊富な血流が集中し網膜などへ栄養を送っています。
眼球圧が高ければ脈絡膜からの出血は起きませんが,眼球圧が低下すると容易に内出血が起きます。
駆逐性出血を起こすと,失明につながりかねないので問題です。
矢坂
切開創が大きいと,眼球圧が下がって駆逐性出血が起きるのですね。
白内障手術で,駆逐性出血の起きる頻度はどの程度でしょうか。
江内田
Lingらのレトロスペクティブなケースコントロールスタディによると,0.04%,1万人中4人に比較的高度な駆逐性出血が起きました。
その危険因子を調べたところ,抗血栓薬を含む心血管系薬の服用も有意な危険因子ですが,緑内障の有無や手術手技の関与の方が強力でした。
Katzらは,2003年に約2万例の白内障手術症例を対象に検討を行っています。
それによると,24.2%が抗血小板薬を,4%が抗凝固薬を服用していました。
手術時に休薬したのは,それぞれ22.5%と28.3%です。そして,抗血栓療法にかかわらず出血頻度は非常に低く,継続群と休薬群に差はないと報告しています。
私たちも,同様の印象を持っています。
白内障手術は侵襲がどんどん小さくなっていますから,駆逐性出血に限らず,出血リスクは抜歯や内視鏡検査に比べ,かなり低下していると言えるでしょう。
吉富
白内障の切開創は,20年前は5~6mmでしたが,今や2mmまでになっています。
ですから私は,特発性血小板減少性紫斑病の患者でも,血小板数が1万/μLを切るような患者でも,普通に手術を行っています。
矢坂
白内障は技術革新により短時間,低侵襲で手術できるため,抗血栓薬を中止する必要がないということですね。
園田先生,その他の眼科手術ではどうなのでしょうか。
園田
緑内障手術,硝子体手術,角膜移植などでは,駆逐性出血のリスクは白内障手術に比べ高いです。
江内田
硝子体手術も,切開創1mm以下の低侵襲手術の時代になっています。
ただ硝子体手術や緑内障手術では,機器の出し入れや手術操作による圧変化が大きく,比較的高圧下で行う白内障手術に比べ術中の出血リスクは高いとの印象があります。
白内障手術時の抗血栓療法;むしろ眼科医が継続支持
矢坂
こうした問題について,医師はどのような認識を持っているのでしょうか。
私たちは国立病院機構の眼科医45名と国立病院機構の脳卒中担当医26名,J-MUSIC(Japan Multicenter Stroke Investigator's Collaboration Study; 脳梗塞急性期医療の実態に関する研究)参加施設の脳卒中診療担当科長103名を対象に,眼科手術時の抗血栓療法についてアンケートを実施しました。
眼科医のワルファリン継続下白内障手術の支持率は87%,抗血小板薬継続の支持率は84%と,8?9割が抗血栓薬の継続を受け入れていました。
ところが脳卒中診療医の回答を見ると,脳卒中既往のあるNVAF例のワルファリン継続率は国立病院機構医師で22%に過ぎず,「中止して眼科医に紹介」が60%を占めました。J-MUSIC参加施設の医師(脳卒中専門医が多い)の継続率は48%と高く,休薬による脳梗塞再発を経験した医師が多いためと思われます。
これに対して,心臓に機械弁を入れていて脳卒中既往がある血栓・塞栓症リスクの非常に高い例でのワルファリン継続率は,国立病院機構医師,J-MUSIC医師でそれぞれ30%,51%とやや増加。
抗血小板療法の継続率は,それぞれ19%,57%と,やはり眼科医より低い値でした(図)。
吉富
脳卒中診療医より眼科医の方が継続に積極的ということですか。
矢坂
そうです。ある種の乖離というか,逆転現象ですね。
吉富
実は,私は他科の先生から「眼科手術前には投薬を一時中止します」と書かれた手紙を受け取ることが多いのですが,毎日のように「いいえ,中止しなくて結構です」という返事を書いています。
矢坂
そうなんですか。
江内田
白内障手術が進歩し出血リスクも減った点を,他科では十分に理解していないのかもしれません。
矢坂
白内障は患者数が多いので,内科や外科と眼科の間で認識の違いがあることは深刻な問題ですね。
園田
緑内障や硝子体手術については,アンケートを取られましたか。
矢坂
眼科医だけを対象に行いました。緑内障手術時の対応としては,ワルファリン,抗血小板薬とも継続を支持する回答は22%に留まりました。
硝子体手術に関しては,継続を支持する回答は両者とも14%と,休薬すべきとの意見が増えています。
白内障以外の眼科手術では,出血リスクが高いため,手技の出血リスクと塞栓症リスクを脳卒中診療医とよく話し合った上で,抗血栓療法の継続・休薬を決めていかないといけないということでしょうね。
出典 Medical Tribune 2008.9.11
版権 メディカル・トリビューン社
<自遊時間>
医師連盟といえば今や「全国医師連盟」を思い浮かべてしまいます。
私の心の中には「連盟」という言葉に対するアレルギー(はっきりいえば「拒否」)反応があります。
以前にもこのブログで取り上げましたが、常々「日本医師会」の政治団体である「医師連盟」に疑問を持ち、今年は会費(くわしくは寄付金)を拒否しました。
小心者の私にとっては精一杯の抵抗(行動)でした。
「日本医師会」からの退会を迫られるかも知れないという心配もありました。
この機会に、いろいろ「医師連盟」について調べようと思ったのですが意外と資料が見つかりません。
関連資料が少ないのはむしろ恣意的とも思えるものでした。
そんな中でいい資料がみつかりました。
なんと元N県医師会副会長が書かれた解説が、日本医事新報の時論に掲載されていたのです(日本医事新報 No.4302 2006.10.7p83〜84)。
期待して読みましたが、内容はあくまでも医師会側に立った無難な内容でした。
しかし、このブログで現在の医療施策に不満を書き綴ったり、選挙で野党に投票されておられる先生は、一度この時論を参考にされて「寄付の拒否」をされてはいかがかと思うのですが。
Actions speaks louder than words.
Deeds,not words.
<きょうの一曲> 卒業写真
徳永英明 卒業写真
http://jp.youtube.com/watch?v=enbZG9OMG4g&feature=related
読んでいただいてありがとうございます。
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ふくろう医者の診察室
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(一般の方または患者さん向き)
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「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21
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ピオグリタゾン の冠動脈硬化進展抑制効果について復習してみました。
ピオグリタゾンは冠動脈硬化の進展抑制効果が高い
2型糖尿病患者における冠動脈アテローム硬化の進展に対するピオグリタゾンとグリメピリドの比較:PERISCOPE無作為化対照試験
Comparison of pioglitazone vs gIimepiride on progression of coronary atherosclerosis in patients with type 2
diabetes: the PERISCOPE randomized controlled trial
JAMA Nissen SE et al. 2008;299:1561~1573
■背景
糖尿病の薬物療法で、冠動脈アテローム硬化の進展抑制が示されている薬物はない。
経口血糖降下薬としては、インスリン分泌促進薬のスルホニル尿素(SU)薬やインスリン感受性改善薬のチアゾリジン系薬剤が広く用いられている。
■目的
2型糖尿病患者で、インスリン感受性改善薬ピオグリタゾンとインスリン分泌促進薬グリメピリドの冠動脈アテローム硬化の進展に及ぼす影響を比較検討する。
■研究デザイン・設定・参加者
略
■結果
略
■結論
冠動脈疾患を合併する2型糖尿病患者において、ピオグリタゾンはグリメピリドと比較して冠動脈アテローム硬化の進展を有意に抑制した。

「Heart and Kidney - 私たちの近くにあるもの」
制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)
以下は
九州大学大学院医学研究院病態機能内科学の岩瀬正典准教授の解説です。
ピオグリタゾンは心血管疾患の発症抑制効果が期待される薬剤
近年、動脈硬化治療薬の評価において、血管内超音波法(IVUS)による冠動脈の動脈硬化プラークの測定が広く用いられるようになりつつある。
例えば、強化スタチン療法が動脈硬化プラークを退縮させるという試験成績(REVERASL、ASTEROID試験が報告される一方、ACAT(acyl-CoA:cholesterol O-acyltransferase)阻害薬剤やCETP(cholesteryl ester transfer protein)阻害薬剤が必ずしも冠動脈プラークの退縮に有効でないことが報告され、IVUSを用いて直接動脈硬化プラークを評価することの重要性が明らかになってきている。
本論文のPERISCOPE試験は、冠動脈疾患を伴う2型糖尿病患者にピオグリタゾンまたはグリメピリドを18カ月間投与し、その前後でIVUSを用い冠動脈プラークのサイズの変化を検討した研究である。
ピオグリタゾンはグリメピリドと比較して体重を2kg多く増加させたが、HbA1cを0.2%、インスリンを6μU/mL、中性脂肪を13mg/dL、収縮期血圧を2mmHg、高感度CRPを0.06mg/dL低下させ、HDL コレステロールを5mg/dL上昇させた。
%atheroma volume(PAV)はグリメピリドで0.73%有意に上昇したが、ピオグリタゾンでは変化なく(normalized total ahheroma volume[TAV]は有意に減少)、ピオグリタゾンはグリメピリドと比べ冠動脈プラークの進行を抑制した。
しかし、”atheroma volume in 10-mm most diseased segment"はグリメピリドも有意に減少させ、ピオグリタゾンとの間に有意差を認めなかった。
心筋梗塞は冠動脈不安定プラークの破綻が原因で起こるが、PERISCOPE試験ではプラー クの性状は検討していない。
IVUSで測定されるプラークサイズと心筋梗塞発症の関連は十分には証明されておらず、最終的にはイベント抑制、すなわち、心筋梗塞の発症を抑制することを示すのが今後の課題である。
2型糖尿病患者に動脈硬化性疾患(心筋梗塞)が好発するのは、欧米と比べ心筋梗塞の発症数が絶対的に少ないわが国においても明らかである。
特に糖尿病患者では非糖尿病患者と比べ冠動脈の多枝病変や石灰化病変、無痛性心筋梗塞や心不全の合併が多く、予後が不良である。
2型糖尿病患者の治療で用いられる経口血糖降下薬が心筋梗塞の発症を抑制するかについては多くの研究が行われてきた。
SU薬トルブタミドを用いた1960年代のUGDP研究では心筋梗塞の発症をむしろ増加させた。
90年代のUKPDS研究ではSU薬は心筋梗塞の発症を増加させなかったが、抑制もしなかった。
しかし、ビグアナイド薬のメトホルミンが初めて肥満2型糖尿病において心筋梗塞の発症を抑制することが報告された。
2005年に発表されたPROactive試験でピオグリタゾンは血管障害複合エンドポイントを有意に抑制しなかったが、サブ解析では心筋梗塞の再発を有意に抑制すると報告され、Chicago研究でもピオグリタゾンがグリメピリドに比べ18カ月後の頚動脈内中膜厚(IMT)の増加を有意に抑制することが示された。
ところが、もう1つのチアゾリジン系薬剤であるロシグリタゾン(わが国では未発売)がメタアナリシスによって有意に心筋梗塞の発症を増加させるという研究結果が2007年に発表され、さらに2008年に入りACCORD試験で目標HbA1cが6%以下の強化治療群では標準治療群に比べ心血管死が増加したというショッキングな発表がなされた。
この強化治療群の90%以上にロシグリタゾンが投与されていた。
ロシグリタゾンとピオグリタゾンは同じチアゾリジン系薬剤に属するが、前者はLDLコレステロールを増加させることから、ロシグリタゾンによる心筋梗塞の増加はチアゾリジン系薬剤のクラス効果ではなく、薬剤特異的と考えられている。
このように経口血糖降下薬と心筋梗塞をめぐる混沌とした状況の中、ピオグリタゾンは心血管疾患の発症を抑制することが期待される薬剤である。
わが国の2型糖尿病患者でピオグリタゾンが心筋梗塞の発症を抑制するか、今後の検討が待たれる。
出典 MMJ 2008Vol.4 No.9
版権 毎日新聞社
<番外編>
10月の終わりに、ピオグリタゾンのシンポジウム(東京)に出席を予定しています。
プログラムを見るかぎりでは循環器科とはあまり関係なさそうですが、かえって知らないことが聴けるような気がします。
CKDなどもそうですが、循環器科とかかわりのある他領域(分野)の講演会は意外と面白いものです。
<きょうの一曲> ジェットストリーム(MR. LONELY)
ジェットストリーム(MR. LONELY)城達也
http://jp.youtube.com/watch?v=GNJjki-PCRc
ジェットストリーム 城達也 (夜間飛行・字幕)
http://jp.youtube.com/watch?v=TzCjwjERoxo
ジェットストリーム
http://jp.youtube.com/watch?v=drHHmqr5TeM&feature=related
ジェットストリーム 城達也 (昼間飛行)
http://jp.youtube.com/watch?v=qinyQg3SHpc&feature=related
ジェットストリーム 城達也 (夜間飛行)
http://jp.youtube.com/watch?v=H23Z3wnAjG4
JET STREAM ミスターロンリー(MR. LONELY)城達也
http://jp.youtube.com/watch?v=cERZqzC2Mwk&feature=related
JET STREAM 夢幻飛行 城達也
http://jp.youtube.com/watch?v=eI5Rartoy1k&feature=related
城達也 ジェットストリーム (エンディング)
http://jp.youtube.com/watch?v=LGcGKVZys7E
<番外編>
笑える!機内放送
http://jp.youtube.com/watch?v=kLF7ShCrt_c&feature=related
ヘタクソすぎる着陸
http://jp.youtube.com/watch?v=isU73otTVWA&feature=related
超低空でエアバス旋回すごすぎてワラタ
http://jp.youtube.com/watch?v=oM-XTKpCeEU&NR=1
超危険な旅客機の着陸
http://jp.youtube.com/watch?v=L8vmEIaMOqU&NR=1
A collection of plane crashes「航空機墜落集」
http://jp.youtube.com/watch?v=8xEWzRqhLc0&feature=related
飛行機事故24連発
http://jp.youtube.com/watch?v=KEYVoA5_B1w&feature=related
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ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
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「井蛙内科/開業医診療録(2)」
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「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21
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第17回日本心血管インターベンション学会学術集会(、平山治雄会長、2008年7月3~5日、名古屋)の記事で勉強しました。
分岐部、CTO、再l狭窄などで手応え
DESのオフラベル使用で肯定的な報告
インターナショナルパネルディスカッション「D ESの適応拡大を検討する-off label使用の是非について」が行われ、分岐部病変や複雑病変、再狭窄病変へのDESの使用について討論された。
すべての演者からDESのオフラペル使用について肯定的な報告がなされた。
セルビアのクリニカル・センター・オブ・セルビア心血管疾患研究所のGoran Stankovic氏は、分岐部病変へのアプローチについて、欧州・バイファーケーション(分岐部)・クラブでのコンセンサスを示した。
これまでのD E Sの研究からStankovic氏は「B MSの時代は終わったと思っている」と結論付けた。
DESについては、分岐部に病変を有する多くの症例の治療に使用されており、高い成功率、優れた安全性、高い効果が示されていると紹介した。
ただ、DESを安全かつ効果的に留置しておく期間については、十分なエビデンスが得られていないとした。
また、どんなステントを用いるにしても、留置する技術が重要であると強調。
「残る課題は、3mm以上の中隔枝の分岐部病変などに2本のステントを必要とする場合、どのような手技とステントがベストかということだ」とした。
さらに、ステント血栓症についても解説し、フォローアップ時には分岐部のステントがステント血栓症の指標になるとした。
2本以上のステントを留置することは、ステント血栓症のリスクを高める要因になる。
ステント血栓症のリスクを下げるには、「予見的なサイドブランチ(側枝)へのステント留置が推奨される」とした。
CTOに対するDES治療は中期予後が期待できる
兵庫県立姫路循環器病センターの林孝俊氏は、慢性完全閉塞病変(CTO)に対するDESの効果について解説。
「日本人のCTOでは、ステント血栓症の発生リスクはあまり高くないだろう」とした。
また「CTOに対するDES治療は中期予後が期待でき、臨床的なスタンダード治療として認められるのではないか」とした。
豊橋ハートセンターの鈴木孝彦氏は、左主幹部に代表される複雑病変に対するDESの有効性について報告した。
鈴木氏は、分岐部病変の治療は難しいが、左主幹部病変に対するDESの治療成績は高く評価できると述べた。
ただしDESの治療成績は、PERFECTレジストリー研究によって、DCA(方向性アテレクトミー)との併用でさらに高まる傾向が示されており、「われわれの経験でもDCA+DESの有用性が裏付けられた」と述べた。
名古屋第二赤十字病院循環器センターの橋本踏青氏は、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)に対するDESのオフラベル使用について紹介した。
STEMIを対象にDESとBMSとを比較した結果、ステント血栓症の発生には両者に差はなかった。
イベント発生率についても差は見られなかったが、再狭窄率とレイトロス(ステント内狭窄)ではDESが有意に小さかった。
済生会熊本病院の堀内賢二氏はj-Cypherレジストリー研究における2年間の追跡結果を基に、BMS留置後の再狭窄病変へのDES(Cypher)の予後について検証した。
その結果、DES留置後のステント内再狭窄は、新規病変群よりもBMS留置後のステント内再狭窄群の方が起こりやすいことが分かった。
また、遅発性ステント血栓症や主要心血管イベント(標的病変再血行再建術を除く)の発生率は、両群に差は認められなかった。
これらのことから、BMS留置後の治療方針について堀内氏は「オフラベルではあるが、DESが第1選択となる」と述べた。
出典 Japan Medicine 2008.9.12
版権 (株)じほう
(注)オフラベル使用; 適応外使用
<関連サイト>
■薬剤溶出性ステント(DES)とベアメタルステントの比較
http://www.ebm-library.jp/circ/analysis/04-01.html
■Analysis of 14 trials comparing sirolimus-eluting stents with bare-metal stents.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17296823?dopt=Abstract
■Kastrati A et al: Analysis of 14 trials comparing sirolimus-eluting stents with bare-metal stents. N Engl J Med. 2007; 356: 1030-9.
http://www.ebm-library.jp/circ/analysis/04-01-4.html
長期生存率,心筋梗塞非合併生存率において,ベアメタルステント(BMS)と比較したsirolimus溶出性ステント(SES)の有意な有効性は認められなかった。
SESの手技後の血行再建術再施行の抑制効果は持続し,ステント血栓症のリスクはBMSと同様であった。
■Very Late Stent Thrombosis
http://blog.m3.com/reed/20080919
<きょうの一曲> ET MAINTENANT
YouTube - ET MAINTENANT
http://jp.youtube.com/watch?v=6H9jQh44p3w
ET MAINTENANT
http://jp.youtube.com/watch?v=xCxRPLGdcC0&feature=related
Et Maintenant
http://jp.youtube.com/watch?v=rYi69R7ERvs&feature=related
Et Maintenant (Lara Fabian - Duet with Florent Pagny - Live)
http://jp.youtube.com/watch?v=6E_mRH9ub70&feature=related
Gilbert Becaud : Et maintenant (≪ Champs-Elysee ≫ 1987)
http://jp.youtube.com/watch?v=TW6QiI7hHGA&feature=related
Et Maintenant
http://jp.youtube.com/watch?v=Ynx0yvtMKsc&feature=related
Et Maintenant, Gilbert Becaud
http://jp.youtube.com/watch?v=Psp8csHGshg&feature=related
Et Maintenant (What Now My Love) Gilbert Becaud
http://jp.youtube.com/watch?v=L6BhSpeG9GM&feature=related
Gilbert Becaud - Et maintenant
http://jp.youtube.com/watch?v=46b5Bnq5AM0&feature=related
Jose Guardiola & Joan Manuel Serrat - Et maintenant
http://jp.youtube.com/watch?v=szWPPyGvN3o&feature=related
Isabelle Boulay - Et maintenant
http://jp.youtube.com/watch?v=eaIjf7wesA0&feature=related
Isabelle Boulay e loira -Et maintenant
http://jp.youtube.com/watch?v=-lLoCzGg3Eg&feature=related
Gilda Giuliani Et Maintenant Live
http://jp.youtube.com/watch?v=mbqJDPQnS_0&feature=related
Ann Christy - Et maintenant
http://jp.youtube.com/watch?v=Ve1-S67y-Pc&feature=related
Et Maintenant par CARO
http://jp.youtube.com/watch?v=XvP7DT7R9Vc&feature=related
Gregory Lemarchal († 30/04/2007) - Et Maintenant
http://jp.youtube.com/watch?v=kAflikeKvew&feature=related
Et Maintenent, de Gilbert Becaud ( par Pernelle Gelsi)
http://jp.youtube.com/watch?v=WTomnql2PlI&feature=related
Serge Lama et Isabelle Boulay - Et maintenant
http://jp.youtube.com/watch?v=4C3CLLbk5xc&feature=related
<コメント>
ジルベール・ベコーって亡くなっていたんですね。
ジルベール・ベコー逝く
http://www.kanshin.com/keyword/25795
今からして思うと、完全にモーリス ラベルの「ボレロ」のリズムです。
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心不全のバイオマーカーはこのブログで以前に
心不全マーカーとしてのBNPの意義
http://blog.m3.com/reed/20080710/_BNP_
NT-proBNPについて
http://blog.m3.com/reed/20070906/NT-proBNP
(コメントもいただいていますので参照ください)
としてとりあげました。
きょうはちょっと古いのですが、TnTとの関連についての論文で勉強しました。
血中心筋TnTなどで早期発見,病態把握,予後予測が可能に
慢性心不全は左室収縮能が低下する病態で,一般的に進行性ではあるものの,その臨床経過は多様である。
例えば,心不全症状が代償されたまま全く症状の悪化を見ない症例もあれば,急速に悪化して死亡への転帰を取る症例もあり,必ずしも全症例が徐々に悪化していくとは限らない。このような病態を,客観的に血液検査で評価できればたいへん有用である。
そこで,兵庫県立尼崎病院循環器内科の佐藤幸人医長,鷹津良樹部長らは,長年心不全患者において血中心筋トロポニンT(TnT)測定を用いた微小心筋傷害の検出に関する臨床研究を行っている。
TnTは専門施設でなくても簡便に測定できるうえ,臓器特異性が非常に高いことなどから,心不全の早期発見,病態把握,予後予測などの指標として確立されることが期待される。
心不全一般の心筋傷害の検出へ
佐藤医長が心不全の診断指標としてTnTの臨床研究を始めたのは1995年,京都大学から県立尼崎病院に転出した直後のことだ。
同医長は「近隣の開業医から心不全と診断された患者の紹介が相次いだ。
しかし,電話だけでは共通の簡便な指標がないため患者の症状がなかなか把握できなかった」と当時を振り返る。
心不全の診断をするためには,心電図,胸部X線,心臓超音波などによる検査をするのが一般的だが,いずれも主観が入りやすいうえ,心不全の状態を把握するにはある程度の経験が必要である。
したがって,心不全の診断は必ずしも容易ではない。
「例えば,肝臓疾患の患者ならGOTやGPTの数値を聞けば,どのような患者かは想像できる。ところが,心不全に関してはこうした施設間較差のない指標がほとんどなかった」という。
そこで,同医長はどのような施設でも判定できる客観的な心不全の指標を探すことにした。
心不全のメカニズムを考えながら,いくつかの候補を検討したが,「臓器特異的で,心筋梗塞でなじみがある」という条件で絞り込んでいった結果,TnTが残った。
トロポニンは心筋フィラメント上の蛋白質であり,TnTは傷害された心筋細胞から検出されると推定されている。
TnTは急性心筋梗塞,不安定狭心症などの急性冠症候群患者では多数の報告があるが,同医長は「慢性心不全においても,TnT測定が心筋傷害の指標として有用なのではないか」と考えた。
同医長らの拡張型心筋症患者での検討では,TnTが観察期間中,持続的に高値を示した患者群では,左室収縮能が悪化し,予後不良であった。
一方,TnTが低値であった患者は経過中,左室収縮能の改善が見られ,予後良好であった。
また,非拡張相の肥大型心筋症患者における検討では,約50%の患者で非拡張相であるにもかかわらずTnTが上昇しており,これらの患者では経過中,心臓超音波検査により収縮能低下と中隔の壁厚減少が見られた。
最近では,心筋症だけでなく心筋梗塞後,高血圧性心疾患,弁膜症,先天性心疾患などの心不全一般での検討も行っている。
その結果,これらの患者のなかにもTnTが持続高値を示す予後不良な患者が存在した。
これらの結果を踏まえ,同医長は「予後不良な心不全患者では心筋傷害が生じており,TnTはそれを反映して高値であると考えられる」と結論付ける。
BNPとTnTを同時測定
次に,佐藤医長らは心不全における血中脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)とTnTの同時測定を試みた。
心不全で心房あるいは心室に負荷がかかると心房,心室から心臓ホルモンが分泌される。
おもな心臓ホルモンには,心房から分泌される心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)と心室から分泌されるBNPとがある。特にBNPは心不全患者での心室の心不全状態を直接反映して心室から分泌されており,BNP測定により心不全時の心負荷の程度を知ることが可能と考えられている。
1998年からBNP測定は外来患者にも適用が拡大され,その簡便さから需要が急速に伸びている。
BNP測定は,
(1)早期心不全の把握
(2)心不全の重症度の把握
(3)心不全の予後予測
(4)心不全の治療指標
として有用とされている。
同医長らのBNP,TnT同時測定と心不全患者の予後の検討では,BNP,TnTはそれぞれ心不全の予後予測の指標ではあるが,異なる意味を持ち,組み合わせることでより予後不良な一群を検出できることが示された(図 1 )。

「理論的にはBNPは現在の心不全の状態を示し,TnTはその心不全状態の原因となった心筋傷害を示している」(表)という。

現在,同医長らはBNPとTnTの同時測定を,慢性心不全の治療指標として検討を進めている。
治療の第 1 目標は「心不全状態を改善してBNPを低下させること」であり,第 2 目標は「心不全状態の原因となった心筋傷害を改善してTnTを低下させることにある」と考えている。
N末端proBNP,H-FABPなどの新しい指標も
心不全において,心筋傷害が生じる機序の解明も進みつつある。
従来,心筋傷害は心負荷,レニン・アンジオテンシン(R-A)系活性,サイトカイン,交感神経活性などにより生じるとされている(図 2 )。

佐藤医長らは微小心筋傷害により上昇するTnTが,心筋線維化の指標であるコラーゲン,炎症マーカーC反応性蛋白質(CRP),交感神経活性を反映するカテコールアミンなどの各液性因子と相関するかどうか解析を行った。
心不全患者を対象に,TnTを高値群と低値群に分けて解析したところ,TnT高値群で微小心筋傷害が見られる症例では交感神経活性,線維化,炎症反応が亢進していることが示唆された。
さらに,最近になって心不全を評価する新しい指標として,N末端proBNPや心臓型脂肪酸結合蛋白質(H-FABP)が登場している。
N末端proBNPとTnTの同時測定により,最も予後不良な心不全患者を検出することが可能であった。
H-FABPは心筋細胞質に比較的豊富に存在する分子量15kDaの小分子蛋白質であり,急性心筋梗塞では同じ細胞質内にあるミオグロビンと同様,鋭敏な遊出動態を示すと言われている。
N末端proBNP,H-FABPについて,同医長は「N末端proBNPはより早期に心負荷を,H-FABPはより微小な心筋傷害を検出できる可能性がある」との見方を示す。
より初期に,より迅速な検出を
今後,人口の高齢化に伴い,心不全患者が増加するのは間違いない。
心不全の危険因子としては,高血圧,糖尿病,高脂血症などがある。
検診が一般化しているわが国では,これらの危険因子を早期に発見することが可能である。
このようにして,医療機関にかかっているリスクの大きい患者の心不全発症を未然に防ぐことが次の課題である。
佐藤医長は「心不全のリスクを背負う高血圧,糖尿病,高脂血症群に対して,それぞれの疾患ごとの検査に心筋傷害や心負荷について鋭敏な生化学指標のスクリーニングを行うことが今後は必要なのではないか。
特に高血圧では生化学指標による治療効果の検討も必要かもしれない」と提言する。
最近では,トロポニン,BNPなどの迅速測定機器も開発されている。全血を用いるので従来の血清,血漿分離が不要であり,15分程度で結果が判明する。
しかも,だれでも簡単に判定できる。
「迅速測定機器の能力が発揮できる場は,慢性心不全ではなく急性心不全である。現在の急性心不全の治療は血行動態指標により行われているが,正確な迅速測定機器の導入が進めば,生化学指標による統一した治療法が確立できるかもしれない。また,外来患者においても,カテコールアミン点滴などの心不全治療も安全に行えるようになるかもしれない」という。
心不全におけるTnT,BNPなどの生化学指標は専門施設でなくても簡便に,再現性,定量性をもって繰り返し測定できるという大きな利点がある。
しかも,臓器特異性が非常に高い。したがって,「将来,心臓病における標準的検査として確立されること」を同医長は期待している。
出典 Medical Tribune 2005.1.27
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
「1週間以内に、NT-proBNP,BNP,HANPのうち2項目以上を併せて実施した場合は、主たるもの1つに限り算定する」という保険請求上の制限があります。
したがって実施日の記載が必要になりますが、1週間以上間隔があいていれば他の検査は可能という解釈となります。
(以前、心エコーとBNPの同月内の実施は一定の”しばり”があったのですが、それはなくなったようです)
TnTは保険適応が「急性心筋梗塞、心筋炎、狭心症」ということなので、心不全という病名は適応外です。
<関連サイト>
第72回日本循環器学会レポート(5)
心血管疾患のバイオマーカー,新たな可能性を探る
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0804/080407.html
■NT-proBNPは,前高血圧の段階から異常値を示す
■NT-proBNPは腎機能の影響を明らかに強く受ける
NT-proBNP迅速測定機の臨床的有用性が示される
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/doctoreye/dr080421.html
■NT-proBNPは心不全の診断,予後予測指標として登場したが,最近では外来での心不全治療のガイドとして用いられたり(Lancet 2000; 355:1126-1130),LIFE(Losartan Intervention For Endpoint reduction in hypertension)試験(J Hypertens 2004;22:1597-1604)やCOPERNICUS(Carvedilol Prospective Randomized Cumulative Survival)試験(Circulation 2004;110:1780-1786)などのように,高血圧,慢性心不全の薬剤多施設研究に用いられるなど,その使用頻度は今後ますます高まるものと期待されている。
■本来,NT-proBNPは遠心分離した血清を検査室でエクルーシスという機器を用いて測定するのであるが,Cardiac ReaderRは全血を用いてベッドサイドで使用可能な小型の迅速測定機であり,NT-proBNP測定では最初の簡便な測定機である(いずれもRoche Diagnostics社)。
■今後,従来のエクルーシスによるNT-proBNPとともに,迅速,簡便性を重視した小型測定機のニーズはますます高まると考えられる。わが国ではCardiac Readerをさらに進化させたハンディタイプのコバス h 232(重量650g,充電可能,心筋トロポニンT,NT-proBNP,ミオグロビン,D-dimerが定量可能)が昨年7月より発売されている。携帯可能となったことで,遠隔地,僻地医療における心リスク指標としての用途のほか,災害時の心疾患発生時,さらには在宅医療への応用も可能と考えられ,今後の発展に期待したい。
心不全の診断?生化学マーカーを活用する
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?id=M3925801&year=2006&type=article
■ガイドラインに記載されたもののなかでは,ノルエピネフリン,レニン,アンジオテンシン II,アルドステロン,バソプレシン,エンドセリン(ET)-1,腫瘍壊死因子(TNF)α,インターロイキン(IL)-6が心臓刺激因子,心房性(A型)ナトリウム利尿ペプチド(ANP),BNP,アドレノメデュリンが心保護因子である。
■BNPに追加する第 2 のマーカーの 1 つとして注目しているのが,炎症のマーカーだ。BNPとともに高い予後予測能を示したIL-6も有用と考えられるが,測定の煩雑さやコストの点で一般臨床向けとは言えない。
近年循環器疾患を含めた幅広い領域で有用性が報告され,普及が進んでいる高感度C反応性蛋白質(CRP)だ。
ただし,IL-6もCRPも心不全に特異的なマーカーではないため,感染症などの影響を受けやすい。
使用の際は他の炎症性疾患を鑑別する必要がある。
一方,BNPとトロポニンT(TnT)の組み合わせが慢性心不全の予後予測に有用であることを主張している研究者もいる。
■心房細動を合併した心不全患者では,心房への負荷が繰り返されて心房筋が線維化し,心不全の代償機転として亢進するはずのANPの分泌が不十分になる。
このため,BNPの上昇に比べ,ANPの上昇の程度が低く,ANP/BNP比が心房損傷の指標になる可能性がある。
■腎不全合併では,血漿BNP値は“見かけ上”高値を示しやすい。
BNPの一部は腎から排泄されるため,腎機能が低下するとBNP排泄量が減少し,心機能とは関係なく血中濃度が上昇するためだ。
<きょうの一曲> 秋桜
山口百恵 秋桜 Momoe Yamaguchi - Cosmos
http://jp.youtube.com/watch?v=nb-PvxXRsNM&feature=related
山口百恵 「秋桜」
http://jp.youtube.com/watch?v=SruhoPj97bU&feature=related
山口百恵~最後の生放送出演で「秋桜」を歌う
http://jp.youtube.com/watch?v=loGAMBs-ZkY&feature=related
秋桜 さだまさし
http://jp.youtube.com/watch?v=hslKwT7yzIo
徳永英明 秋桜
http://jp.youtube.com/watch?v=ff32sD1Kdr4&feature=related
秋桜 福山雅治
http://jp.youtube.com/watch?v=v-LPBQPkYNE&feature=related
夏川りみ / 秋桜
http://jp.youtube.com/watch?v=oIheQv633cU&feature=related
(「秋桜」の歌詞の内容は、「認知症」のおばあさんを見事に言い表していると何かで読んだことがあります。さてどうでしょうか。)
読んでいただいてありがとうございます。
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以前は降圧剤としてファーストチョイスとして降圧利尿剤が使われていました。
その代表的な薬剤はフルイトランです。
今からして思うとあの独特な花びらのような剤型は割って、投与量を調整できるようになっていたのかなとも思います。
私は個人的には、ループ利尿剤の方が、催糖尿病作用などの代謝異常惹起が少ないのではないか、どうしてサイアザイド系利尿剤なのかと思っていました。
昨日届いた日本医事新報に、こんな質疑応答が載っていました。
質問内容は「本誌4382号91頁に、『高血圧症でフロセミドを降圧薬として積極的に使用することはほとんどない。通常、降圧利尿薬を用いるからである』との記載があるが、その理由について」というもので、筆者あての質問です。
以下はその回答です。
高血圧治療薬として利尿薬は、
①サイアザイド系利尿薬およびその類似薬、
②K保持性利尿薬、アルドステロン拮抗薬、
③ループ利尿薬が挙げられているい。
しかし、通常、降圧利尿薬としては①のサイアザイド系利尿薬およびその類似薬を使用するのが、ガイドラインや各種大規模臨床試験の成績から推奨されている。
しかも、通常量の4分の1や2分の1の少量を用いることが副作用を減らし、効果がもたらされることが示されている。
特に、米国ではALLHAT試験の成績を受け、サイアザイド系利尿薬の位置づけが高まった。
我が国ではまだ普及していない部分があるが、上手に使用すれば副作用の発現を抑え、厳格な降圧を目指す上で非常に有効である。
したがって、「通常、降圧利尿薬としてはサイアザイド系利尿薬を用いる」という表現をさせていただいた。
ループ利尿薬は利尿作用は強いが、降圧効果はそれほど強くない。
しかし、うっ血性心不全や腎不全では適応になる。
我が国では降圧薬としてカルシウム拮抗薬(Ca拮抗薬)やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の使用頻度が高
いが、併用薬としては少量サイアザイド系利尿薬の使用が増えている。
例えば、トリクロルメチアジド1mgやインダパミド0.5~1
mgなどである。
特に塩分摂取量が多い我が国では、ARBやアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)の降圧効果が弱い時に
これらを併用すると降圧効果が得られることをよく経験する。現在、世界ではその合剤が使用されており、我が国ではまだロサルタン50mgとヒドロクロロチアジド12・5mgの合剤しか使用できないが、今後増えてくることが推測される。
現実的には、Ca拮抗薬、ARB、少量サイアザイド系利尿薬の三者併用が必要になる患者も多い。
抗アルドステロン薬であるスピロノラクトンや、最近発売になったエプレレノンは低レニン性高血圧、食塩感受性高血圧、治療抵抗性高血圧における併用薬として効果が期待されているが、ガイドライン上の位置づけはまだ決まっていない。
ご存知のように、サイアザイド系利尿薬はループ利尿薬とは異なり、遠位尿細管からのナトリウムの再吸収を阻害して利尿作用を生じる。
各種利尿薬の作用部位、機序や適応、副作用を考え、上手に利尿薬を使用していくことが必要であろう。
九州大学病院循環器内科講師 廣岡良降
出典 日本医事新報 2008.9.20
版権 日本医事新報社

「Heart and Kidney - 私たちの近くにあるもの」
制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)
<コメント>
実は、質問者が疑問に思った内容は、私自身常日頃考えていることで、日本医事新報4382号の指摘された内容も私は読んでいました。
同じ疑問を持つ先生がみえることに意を強くしました。
廣岡先生には申し訳ありませんが、今回の回答の内容は質問者にも私にも期待はずれのものでした。
数日前にCKDの講演会に出席しました。
座長は高名な腎・高血圧分野を専門とする大学教授でした。
講演後の懇親会で知人のドクターと雑談しているとその教授が自ら声をかけてきてくれました。(後から考えると、宴も終わりかけで会場にはほとんど人がいなかったためと思われました)
ともかく気さくに話かけていただいたので、つい「ループ系利尿剤の”降圧剤”オイテンシンは、どうして最近使われないのでしょうか」と調子こいて訊きました。
「あれはもう終わった薬です。RA系を賦活してかえって血圧があがってしまうこともあります。」というご返事でした。
それならサイアザイド系はどうですか、と切り返そうとも思ったのですが、酔いも回り周囲に人がいなくなったので大人しく帰路につきました。
この教授の講演会の座長ぶりは、演者に対する質問やコメントも的を得たもので、座長の人柄もあり会場は温かい空気につつまれました。
もちろん演者の講演内容も素晴らしいもので気分良く帰路につくことが出来ました。
もちろん気分のよかった多くはアルコールのせいだったかもしれませんが。
講演で得られる一番のことは、どこまでわかっていてどこがわかっていないことかということが直接聴けることにあります。
そのあたりを正直にお話いただける演者には好感を持ちます。
今回の講演内容については折をみて紹介したいと思います。
<関連サイト>
糖尿病と高血圧
http://www.e-clinician.net/vol36/no379/pdf/sp12_379.pdf
ちょっと古い文献ですが、耐糖能悪化については、以下のように記載されています。
サイアザイド系 +
非サイアザイド系 -
ループ利尿剤 ±
これだけを見ると「非サイアザイド系」がいいような気がしてきます。
オイテンシン(フロセミド)
http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se21/se2139005.html
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2139005N1022_1_05/
腎臓で尿中の水分が再吸収されますが,本剤の代表である,フロセミドは,ヘンレのループ上行脚と呼ばれる部分に作用し,水分の再吸収を阻害して尿量を増やすため,「ループ利尿薬」と呼ばれています。
エタクリン酸,ブメタニド,ピレタニドは,フロセミドとは構造的にはかなりかけはなれていますが,作用の現れ方が同じため,同様にループ利尿薬と呼ばれます。
利尿剤
http://ns.gik.gr.jp/~skj/drug/diuretics.php3
HYVET
Hypertension in the Very Elderly Trial
80歳以上の超高齢高血圧患者において,サイアザイド系利尿薬indapamideをベースとした降圧治療により脳卒中発症率,死亡率が有意に低下。
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/acc2008/HYVET.html
ALLHATに基く降圧治療FAQ
http://ns.gik.gr.jp/~skj/ht/ALLHAT-FAQ.php3
利尿薬
http://www.naoru.com/rinyouyaku.htm
■降圧薬は何がいいんだ?
降圧薬の選択には二つの原則しかない。一つは副作用がでたら別の降圧薬にする。二つ目は臓器障害がほとんどないなら降圧薬はなんでも良い。心臓を守るのにβブロッカーだの、腎臓にはARBだの、なんだかんだ言われるが、臓器障害が軽いなら、ほとんど、(降圧薬の種類など)そんなの関係ない、である。
■アルファ遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、ACE阻害薬は血糖と血中コレステロール値への短期効果が好ましいので、多くの医師がこれらの薬剤を処方している。しかし、今回の分析で明らかになったように心血管疾患を予防することについては利尿薬のほうが優れており、したがって、高血圧症による不良な健康転帰の予防と、高血圧の降下に関して利尿薬よりも新世代薬を優先して選択することは支持されない。
Wright JT et al. Clinical outcomes by race in hypertensive patients with and without the metabolic syndrome. ALLHAT. Arch Intern Med 2008; 168:207-217
■メタボリックシンドローム患者においてサイアザイド系利尿薬よりもカルシウム拮抗薬、アルファ遮断薬、ACE阻害薬を優先させることは、それらの代謝プロファイルのほうが好ましいものであるにも関わらず、ALLHATの新知見で支持されなかった
メタボリックシンドローム患者でも降圧薬の第一選択薬はサイアザイド系
http://www.m3.com/news/news.jsp?pageFrom=m3.com&sourceType=SPECIALTY&articleId=66979&articleLang=ja
(非常に示唆に富む論文と思います)
利尿薬
http://www.lifescience.jp/ebm/medhist/9606/9606.htm
利尿薬
http://hobab.fc2web.com/sub4-Diuretics.htm
各種降圧薬の特徴と主な副作用~利尿薬
http://minds.jcqhc.or.jp/G0000049_0060.html
利尿薬
http://www.naoru.com/rinyouyaku.htm
サイアザイド系利尿薬
トリクロルメチアジド 「フルイトラン」
ヒドロクロロチアジド 「ダイクロトライド」
ベンチルヒドロクロロチアジド 「ベハイド」
チアジド系類似薬(非サイアザイド系)
インダバミド 「ナトリックス」
クロルタリドン 「ハイグロトン」
トリパミド 「ノルモナール」
メチクラン 「アレステン」
メフルシド 「バイカロン」
<きょうの一曲> 「言葉にできない」
言葉にできない - オフコース - Kotoba ni Dekinai - Off Course
http://jp.youtube.com/watch?v=PLU5eDAoI90&feature=related
言葉にできない
http://jp.youtube.com/watch?v=Z--siVJjgWs&feature=related
言葉にできない:おもしろ編
http://jp.youtube.com/watch?v=8Pd98F3kbwE&feature=related
言葉にできない:悲しい編
http://jp.youtube.com/watch?v=Woqa8iQ5Vgo&feature=related
爆笑画像集 言葉にできない
http://jp.youtube.com/watch?v=SV-whloctGg&feature=related
おもしろ画像集 言葉にできない
http://jp.youtube.com/watch?v=cJmbYRuglz8&feature=related
読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21~
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
があります。
シリーズ
循環器官用薬と飲食物・サプリメントの
相互作用とマネジメント(1)
大西憲明 京都薬科大学 病院薬学教室 助教授
高良恒史 助手
横山照由 教授
降圧薬/Ca拮抗薬
カルシウム(Ca)拮抗薬は,おもに小腸と肝臓に豊富に存在する薬物代謝酵素シトクロムP450(CYP)3A4により代謝され,その効果が消失または減弱することが知られている。
さらに,本薬剤は初回通過効果を受けやすく,他の薬剤との薬物動態学的相互作用例が顕著に多い化合物群の 1つである。
したがって,Ca拮抗薬の体内動態は,CYP3A4を阻害するか,または誘導するような食物・サプリメントの併用の影響を大きく受けるものと考えられる。
グレープフルーツジュースには要注意
なかでも,グレープフルーツジュース(GFJ)とCa拮抗薬の相互作用が最も有名である。
GFJ中のフラノクマリン誘導体が,おもに小腸上皮細胞中のCYP3A4を不可逆的に阻害し,薬物の消化管吸収が増大するため,血中薬物濃度は上昇し,その有害作用が増強されることがある。
また,GFJの阻害強度はCa拮抗薬間で大きく異なるだけでなく,GFJの摂取量,銘柄,摂取タイミングなどの影響を強く受ける。
例えば,ニソルジピンの場合,GFJ同時摂取に伴い,その最高血中濃度は 3 ~ 5 倍に上昇するが,アムロジピンやジルチアゼムでは,2 ~15%増加するのみである。
さらに,その阻害効果は,GFJと薬物を同時摂取した場合より,GFJ飲用後 3 ~6 時間後に薬物を服用したときのほうが顕著に大きくなる。
また,GFJの単回飲用による阻害は,上記の時間帯をピークに経時的に漸減するものの,少なくとも 4 日間程度持続することを理解しておかなければならない。
以上のことから,GFJの同時飲用を回避するだけでは本相互作用は防止できず,GFJ摂取そのものを中止するのがベストである。
しかし,それらの同時摂取を禁じているだけで,併用そのものを禁止していない内容の添付文書が多数現存している。さらに,併用が危険である科学的根拠を示す文献が既に報告されているにもかかわらず,添付文書に反映されていない場合も多いので,医師・薬剤師は最新の情報を入手し,そのデータに基づき細心の注意を払うべきである。
また,一部のCa拮抗薬は,近年注目されている種々雑多な薬物輸送担体の 1 つであるP-糖蛋白質(MDR1)の基質でもあることから,今後はMDR1を介した飲食物-医薬品間相互作用の発現にも注意が必要である。

図は
循環器官用薬と飲食物・サプリメントの
相互作用とマネジメント(1) 2005.1.27
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E5%BE%AA%E7%92%B0%E5%99%A8%E5%AE%98%E7%94%A8%E8%96%AC%E3%81%A8%E9%A3%B2%E9%A3%9F%E7%89%A9%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%AE&perpage=0&order=1&page=0&id=M3804691&year=2005&type=article
の中の図をクリックしていただくと大きくみることが出来ます。
<引用文献>
大西憲明編: 一目でわかる医薬品と飲食物・サプリメントの相互作用とそのマネージメント,フジメディカル出版,2003.
1)N Engl J Med 1984; 310: 951.
2)Biol Pharm Bull 2004; 27: 2006.
3)Eur J Clin Pharmacol 2002; 58: 515.
4)薬誌 1983; 103: 426.
5)Circulation 1998; 98: 2702.
出典 Medical Tribune 2005.1.27
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
多くの書き物には「グレープフルーツジュース」と記載されており、「グレープフルーツ」ではありません。
フラボノイドは果皮と果肉の間の白いところに多いということで、グレープフルーツの「果肉」は問題ないという文献を読んだことがあります。
「グレープフルーツジュース」は果皮と果肉のまるごとミキサーにかけるためいけないんだと納得していました。
しかし最近は果肉もいけないということに変わってきているようです。
それなら「グレープフルーツ」および「グレープフルーツジュース」ということにしていただければすっきりするのですが・・・。
私自身いまだにすっきりはしません。
今回の論文の図でもGFJ(Grapefruit Juice)と記載されておりGF(Grapefruit )との記載はありません。
果肉もダメという文献を探していますが今のところ見つかりません。
Grapefruit Juice Can Interact With Medicines!
http://www.medicinenet.com/script/main/art.asp?articlekey=14760
Grapefruit Juice Can Block Calcium Chanel Blockers
http://longevity.about.com/b/2006/10/03/grapefruit-juice-can-block-calcium-channel-blockers.htm
(このブログに対するコメントで、CCBの効果を弱めるのではなく強めるのである、と誤りを指摘されています)
<参考文献>
知らないと危険なことになりますよ… グレープフルーツと糖尿病薬
http://allabout.co.jp/health/diabetes/closeup/CU20050717A/
グレープフルーツも薬物相互作用があるものとして知られています。グレープフルーツ・ジュースが危険なので、グレープフルーツを食べるのは大丈夫だと教えられた方はいませんか?そんなことはありませんよ。作用は同じです。
http://www.bl.mmtr.or.jp/~shinjou/yaku6.htm
阻害作用が強いGF-I-1,GF-I-2,GF-I-4 はグレープフル
ーツの果肉の部分に存在しており、実の袋や皮、種にはあまり存在していないことがわかっています。このことから、グレープフルーツの果肉においてもジュースと同様に、カルシウム拮抗剤との同時摂取には注意が必要といえます。
Ca拮抗剤とグレープフルーツ
http://blogs.yahoo.co.jp/kumiranngonnrinn/48508462.html
以前はグレープフルーツのフラボノイドは果皮と果肉の間の白いところに多いのでジュースは影響があるが果肉を食べるのは問題ないと言われていましたが詳しいメカニズムについては良く覚えてはいないのですが、ほかの方のレスのとおりグレープフルーツの果皮に薬の成分を阻害する物質が入っ
ているようです。
市販されているグレープフルーツジュースは皮ごと圧搾して作っているために一緒に摂取しないように外来でお話ししています。
もちろん自分で絞って作ったジュースは飲んでもOKということになります。
グレープフルーツジュースと薬
http://www.hyoyaku.org/cntnt.php?cnt=224
<きょうの一曲>
Just The Way You Are
Diana Krall "Just The Way You Are"
http://jp.youtube.com/watch?v=V-a_cCBzXRg&feature=related
素顔のままで
http://jp.youtube.com/watch?v=-jhFs0GHmBs
Billy Joel - Just the way you are
http://jp.youtube.com/watch?v=PpUHu21osiM&feature=related
素顔のままで(訳詞付) - Billy Joel
http://jp.youtube.com/watch?v=N9-CEbvhNX4&feature=related
Billy Joel - Just the way you are
http://jp.youtube.com/watch?v=wAw_gJ6wS44&feature=related
Billy Joel - Just the way you are
http://jp.youtube.com/watch?v=ounJsqomcv8&feature=related
Barry White Just the way you are
http://jp.youtube.com/watch?v=1BFrTxvxKTs&feature=related
Barry White - Just the way you are
http://jp.youtube.com/watch?v=zNWNYxNJV6w&feature=related
Jose Feliciano - Just The Way You Are ( Billy Joel cover )
http://jp.youtube.com/watch?v=qo82VMvmw20&feature=related
Billy Joel - Just The Way You Are (Live in Tokyo, Japan 1998)
http://jp.youtube.com/watch?v=LI_vj-xbNl8&feature=related
Billy Joel "Just the way you are" Live 1977
http://jp.youtube.com/watch?v=QPiK_yGG8ag&feature=related
Just The Way You Are
http://jp.youtube.com/watch?v=FSqW8SPTVnA&feature=related
Just The Way You Are
http://jp.youtube.com/watch?v=5qQBaKNqArY&feature=related
読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21~
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
があります。
脳卒中における血圧管理の重要性
─なぜ,ARBを用いた厳格な降圧が必要なのか─(後編)
外来血圧が低くても夜間や早朝の血圧が高いと脳卒中の抑制は不十分
棚橋
2008年4月よりABPMが保険適用となったのですが,脳卒中を抑制するには特にどの時間帯の降圧が重要だとお考えですか。
北川
それに関しては,2007年にIDACOという疫学研究で非常にしっかりしたエビデンスが発表され,ABPMが施行された日本人を含む7,458例の解析で,夜間血圧の低下が不十分であったり,夜間血圧が昼間の血圧よりも上昇したりする患者では,脳卒中や心血管系イベントのリスクが増大することが明らかにされました。
このように脳卒中は,外来血圧が低くても夜間血圧がきちんと下がっていないと十分に抑制されないことから,確実な降圧作用を有する降圧薬が求められます。
棚橋
早朝の血圧に関しても,モーニングサージがあると脳卒中のリスクが高くなることが指摘されていますので,やはり24時間を通しての厳格な血圧管理が重要となりますね。
ARBは脳卒中の一次予防と二次予防の両方でエビデンスが集積されている
棚橋
脳卒中の予防におけるARBの役割についてですが,近年では脳卒中に対するARBのエビデンスが集積され,一次予防に関してはLIFE,SCOPE,VALUEといった海外の検討に加えて,CASE-JやJIKEI Heart Studyといったわが国の検討でもARBの有用性が明らかにされています。
また,二次予防に関しては,MOSESでARBとCa拮抗薬は降圧作用に差はないものの,脳血管イベントのリスクはARBのほうが低下したことが報告されています。
これらのエビデンスをみますと,ARBとCa拮抗薬の優劣に関してはまだ議論があるかもしれませんが,ARBは脳卒中にかなりよいと申し上げることはできると思います。
さらに近年では,レニン・アンジオテンシン(RA)系抑制薬のさまざまな脳保護作用が報告されていますが,この点についてはいかがでしょうか。
北川
私もRA系抑制薬の脳保護作用には注目しています。
例えば,脳内細動脈リモデリングの抑制は脳循環自動調節能を改善しますし,近年ではアテローム硬化や炎症が非常にホットな話題となっているのですが,これらに対するRA系の関与も明らかにされています(図2)。
また,心原性脳塞栓症では心房細動が重要な危険因子ですが,その心房細動の発現にもRA系が関与しています。
オルメサルタンは24時間血圧をコントロールすることに加えて脳卒中とのかかわりが深い炎症を抑制する
棚橋
北川先生は脳卒中における炎症の役割をご検討されているそうですが,その結果をご紹介いただけますか。
北川
われわれは,アテローム血栓性脳梗塞の原因となる頸動脈プラークの不安定化に炎症がかかわっているのではないかと考え,プラーク不安定化の指標である超音波輝度の低下と,炎症性サイトカインであるIL-6の関係を検討しました。その結果,IL-6が高値であるほどプラーク輝度が低下し,プラークが不安定化することが観察されました(図3)。
さらにわれわれは,従来はあまり検討されていなかった頭蓋内の血管についても検討を行い,アテローム血栓性脳梗塞の原因となる無症候性の主幹動脈狭窄や,ラクナ梗塞の原因となる無症候性脳梗塞も,IL-6やhs-CRPといった炎症の指標と関連していることを報告しています。
棚橋
そのような炎症に対して,ARBはどのように作用するのですか。
北川
ARBの抗炎症作用に関してはこれまであまりはっきりした報告がなかったのですが,EUTOPIAではオルメサルタンがhs-CRPやIL-6を低下させることが報告されています(図4)。
棚橋
降圧効果に関しても,オルメサルタンは24時間にわたり血圧をコントロールすることが報告されていますが(図5),これについてはいかがでしょうか。
北川
オルメサルタンはダブルチェーンドメインがAT1受容体と強力に結合することや,アンジオテンシンII(AII)がなくても誘発されるAT1受容体のシグナルを抑制するインバースアゴニストであることが,強力な降圧作用の根拠になっているのではないでしょうか。
棚橋
本日は,脳卒中における降圧の重要性,さらには脳卒中と炎症のかかわりについて,北川先生から多くの興味深いお話をお伺いすることができました。
脳卒中の予防では実地医家の先生が中心的役割を果たされることになるのですが,脳卒中は降圧で防げることは明らかですので,ぜひ厳格な降圧を実践していただきたいと思います。
また,降圧薬を選択する際には,降圧作用はもちろんですが,北川先生からご指摘がありました炎症に対する作用などが重要なポイントになるのではないかと思います。
出典 Medical Tribune 2008.9.11
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
当院にも10年以上前より24時間ホルター血圧計があります。
夜間血圧測定というと、どうしても寝ながらの血圧測定ということになるので、患者さんに検査を提案することが出来ません(特に最近の患者さんは怖いのでどんな検査も提案を恐る恐るやっています)。
この検査は、本年4月より保険適応となりましたが一度も行っていません。
購入後24時間使用したことも一度もありません。
(数例、数時間行っただけです)
夜間血圧の把握。実際はとても難しいものです。
<参考サイト>
IDACO
高血圧治療ガイドラインの次回改訂ポイント
http://blog.m3.com/reed/20080520/1
自由行動下血圧測定(ABPM)は24時間は要らない? 論文の読み方
http://homepage.mac.com/k_kudo/iblog/B2007620793/C177514499/E20071019224336/index.html
(興味深く読ませていただきました。素晴らしいサイトです。)
自由行動下血圧測定(ABPM)は24時間が望ましい:IDACO
http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=658
LIFE
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2000095.html
SCOPE
http://www.ebm-library.jp/circ/cgi-bin/pre_search.cgi?word_old=&field=all&word=SCOPE&imageField.x=17&imageField.y=9
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2001071.html
VALUE
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2000055.html
http://www.ebm-library.jp/circ/trial_2005.html#esh2005VALUEmonotherapy
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/esh2004/esh200401.html
CASE-J
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2002499.html
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/ish2006/caseJ.html
JIKEI Heart Study
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/wwc-esc2006/jikei.html
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2002503.html
MOSES
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2002387.html
EUTOPIA
EUTOPIA Study その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080604/EUTOPIA_Study_
EUTOPIA Study その2(2/2)
http://blog.m3.com/reed/20080605/EUTOPIA_Study_
自由行動下血圧測定(ABPM)は24時間は要らない? 論文の読み方
http://homepage.mac.com/k_kudo/iblog/B2007620793/C177514499/E20071019224336/index.html
(興味深く読ませていただきました)
<きょうの一曲>
時代
Nakajima Miyuki - Jidai 時代
http://jp.youtube.com/watch?v=ZlhYlQZKko8&feature=related
Miyuki Nakajima 中島みゆき 中島美雪 時代 (じだい) 1993 Version
http://jp.youtube.com/watch?v=Vnue0b9Yc0M&feature=related
徳永英明
http://jp.youtube.com/watch?v=Z1RzSEBKLt8&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=jSZGV2aHGtk
夏川りみ - 時代
http://jp.youtube.com/watch?v=ZKhvbKMbayg&feature=related