戯れ言たれる侏儒
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スタチンで血圧低下

戯れ言たれる侏儒 / 2008.08.27 00:41 / 推薦数 : 1

スタチンのclass effectとして血圧がわずかだが下がるというお話です。
血圧計の目盛りとしてわずか1目盛り程度。
測定誤差がきちんと補正されているのか。
どのような測定法だったのかは元文献をあたっていないのでわかりません。
そして、このわずかな血圧低下が本当に心血管イベントの有意な抑制につながるのか。

スタチン系薬で血圧が有意に低下
正常血圧でも降圧効果認められる
〔ニューヨーク〕カリフォルニア大学サンディエゴ校(カリフォルニア州ラホヤ)家庭・予防医学のBeatrice A. Golomb博士らが実施した大規模ランダム化二重盲検試験で,スタチン系薬はプラセボと比べて,血圧を緩徐ながらも有意に低下させることが示された。詳細はArchives of Internal Medicine(2008; 168: 721-727)に発表された。

脂質低下作用と同等の降圧作用
水溶性スタチンと脂溶性スタチンはいずれも収縮期血圧(SBP)値と拡張期血圧(DBP)値を低下させ,その効果は正常血圧者でも認められた。
この緩徐な降圧効果は,これまでに報告されている
スタチン系薬による脳卒中リスクの低下や心血管イベントの減少に寄与するものと考えられる。

今回の研究では,スタチン系薬によってSBP値とDBP値がともに低下することが示された。
さらに,この降圧効果は,正常血圧で降圧薬による治療を受けていない"Pre-Hypertension"の人でも認められた。Golomb博士は「この効果は,ほとんどの水溶性スタチンと脂溶性スタチンによる脂質低下作用に匹敵する」としている。
 
また,同博士は「スタチン系薬による降圧効果は,そのプラークの進展抑制効果のみでは説明できない心血管への速やかな効果に関連するものと考えられる」とし,「スタチン系薬による降圧効果は緩徐である。しかし,脳卒中発症率とLDLコレステロール(LDL-C)値との関連性は一貫していないものの前者は血圧と強く関連するため,この降圧効果は同薬による一過性脳虚血発作や脳卒中の減少に寄与している可能性がある」と考察している。
 
さらに,スタチン系薬による降圧効果は,ベースライン時に血圧が高かった者を除外した解析で顕著であった。
 
なお,被験者の多くは非高血圧者で,研究には比較的低用量のスタチン系薬が用いられた。

治療後6か月で有意に低下
今回の研究対象は,心血管疾患(CVD)や糖尿病の既往歴がなく,LDL-C値115~190mg/dLの男女973例。
被験者はシンバスタチン投与群,プラバスタチン投与群,プラセボ群のいずれかに割り付けられた。
 
ITT解析の結果,スタチン系薬(シンバスタチンおよびプラバスタチン)群ではSBP値が2.2mmHg(P=0.02),DBP値が2.4mmHg(P<0.001)低下し,プラセボ群に比べ有意に血圧が低下した。
 
また,HDLコレステロール(HDL-C)値が中央値(50mg/dL)を超える者ではSBP値が4.7mmHg低下した(P<0.001)が,HDL-C値が中央値を下回る者ではSBP値の低下はわずか1.5mmHgであった(P=0.30)。
 
なお,DBP値は,HDL-C値が中央値を超える者では2.8mmHg低下し(P=0.01),同値が中央値を下回る者ではDBP値の低下は2.7mmHgであった(P=0.01)。
 
さらに,ベースライン時のSBP値が140mmHg超かつDBP値が90 mmHg超の者を除外し,降圧薬を使用せずに8か月間追跡した。
その結果,追跡開始1か月時点ではスタチン系薬群でSBP値とDBP値が低下したものの,有意ではなかった。
開始6か月時点では,プラセボ群に比べスタチン系薬群において, SBP値とDBP値のベースライン時からの有意な低下が認められた(P<0.05)。
これらの血圧の変化は,スタチン系薬による治療の中止後2か月で消失した。
 
同博士らは「この知見は,スタチン系薬の経時的効果に関するさらなる情報を提供するものである」としている。

他疾患患者での効果は不明
今回の研究では,シンバスタチン投与群,プラバスタチン投与群のいずれにおいてもSBP値とDBP値が2.4~2.8mmHg低下した。
この結果は,降圧薬による影響を受けていない者で得られた。
血圧に対するスタチン系薬の効果は,被験者が既に使用していた降圧薬との相互作用に純粋に起因するものでないということは興味深い。
しかし,糖尿病や心血管疾患の既往のある患者,LDL-C値がきわめて高いか,またはきわめて低い患者,高血圧患者などで同様の効果が得られるか否かは不明である。
 
スタチン系薬が血圧を低下させる機序には,強力な血管拡張因子である内皮一酸化窒素合成酵素の発現亢進や活性化,内皮機能の改善,血流による血管拡張が関与すると考えられている。
スタチン系薬は,アンジオテンシンII 1型受容体の発現の低下を引き起こすと言われている。
 
また,
内皮機能や血管拡張に対するスタチン系薬の効果は,その抗酸化作用によるものであると考えられており,HDL-C値が低い者や糖尿病患者などでは効果が消失あるいは減弱すると言われている。

出典 Medical Tribune 2008.8.21
版権 メディカル・トリビューン社

 

<関連サイト>

高血圧 | Minds 医療情報サービス
MindsID S0028666
スタチンは血圧を下げるか?: ランダム化比較試験のメタアナリシス
http://minds.jcqhc.or.jp/G0000085_S0028666_0004.html
脂質異常症治療薬として広く用いられているスタチンを用いた臨床試験において,血圧に及ぼす影響を解析したメタアナリシスの成績である。全体として収縮期血圧-1.9mmHgと僅かながら有意な降圧効果が認められ,その程度は,血清脂質の変化とは関係なく,血圧高値において大きい傾向があった。
降圧効果が小さいため,降圧薬としてのスタチンの使用は勧められないが,多面的作用の存在を示唆する成績である。高血圧に限らず,メタボリック症候群あるいは生活習慣病の総合的な改善を図る上で考慮されるべき情報である。(石光俊彦)


MindsID S0023232
The Brisighella Heart Study研究における異なる脂質低下療法と血圧コントロールとの関係 
http://minds.jcqhc.or.jp/G0000085_S0023232_0004.html
近年,高脂血症を伴う高血圧患者数は着実に増加してきており,降圧薬とともに脂質低下薬としてスタチン製剤がよく用いられるようになってきた。
このような治療において,スタチン製剤が降圧効果をもたらすという報告も出てきている。
そこで,本研究では,イタリアにおけるBrisighellia Heart Studyの参加者の中から高脂血症と高血圧を合併する患者を選出し,スタチン製剤を投与した場合とスタチン以外の脂質低下薬を投与した場合とで,脂質低下効果および降圧効果を検討した。
その結果,脂質低下薬を投与して脂質が低下すると降圧効果がみられた。
高血圧と高コレステロール血症の著明なものほど血圧が低下しやすく,その際,LDL-コレステロールの低下度には両剤で差がないが,スタチン製剤群で特に降圧効果が著明であった。
スタチン製剤と非スタチン製剤で降圧効果になぜ差がみられたか明らかではないが,スタチン製剤の動脈硬化改善作用が強力なことが降圧効果をより著明にもたらした可能性が考えられる。
 <コメント>
降圧の実数値が記載されていないため、どの程度の降圧かを知りたいところです。

<番外編>

〔独デュッセルドルフ〕ザーナ病院(デュッセルドルフ)ドイツ西部糖尿病健康センターのStephan Martin教授は「毎日,1片のビターチョコレートを摂取するだけで血圧が下がり,血管内皮機能が改善される可能性がある」と糖尿病アップデートで報告した。

低用量のポリフェノールでも有効
ポリフェノールが心血管リスクを低下させることは広く知られ,さまざまな試験で,高用量ポリフェノールが血圧と血管内皮機能に与える優れた効果が実証されている。
 
そこで,ケルン大学では低用量のポリフェノールでも効果があるのか,またポリフェノールを含むチョコレートを毎日食べると実際に血圧が下がるのかを検証すべく,正常高値血圧(前高血圧あるいはステージI)だが,ほかに心臓危険因子のない54~73歳の44人に市販のビターチョコレートまたはポリフェノール非含有のホワイトチョコレートを毎日6.3g摂取させた(30kcal/日)。
 
18週間後,ビターチョコレート群で収縮期血圧が平均2.9mmHg,拡張期血圧が平均1.9mmHg下がり,前高血圧(プレ・ハイパーテンション)罹患率が86%から68%に低下した。一方,ホワイトチョコレート群では変化はなかった。
体重,血中脂質,血糖値,酸化ストレスマーカーは両群とも不変であったが,ポリフェノールと酸化窒素の血漿濃度はビターチョコレート群で上昇していた。
 
Martin教授は「患者には,毎日,一片のビターチョコレートを摂取させるのがよいだろう。ただし,すべてのビターチョコレートのポリフェノール含有量が同じとは限らず,しかもチョコレート製品にその含有量は明示されていない」と述べた。
出典 Medical Tribune 2008.8.14
版権 メディカル・トリビューン社

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
 があります。

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