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第22回国際高血圧学会/第18回欧州高血圧学会の記事で勉強しました。
メタアナリシス・ARBによる心筋梗塞のリスク増加は認められず
ここ数年,ARBが心筋梗塞のリスクを増すかどうかが論争になっていたが,ローマ大学ラ・サピエンツァ校(ローマ)のGiuliano Tocci氏は,最近の大規模臨床試験ONTARGET,PRoFESSまでを含め,11万人を超える対象でのメタアナリシスから,プラセボや他の降圧薬に比べて,ARBによる心筋梗塞リスクの有意な増加は認められなかったと指摘した。
薬剤別の比較でも有意差認めず
2004年,Verma,Straussらが,ARBにより心筋梗塞のリスク増加の懸念があるとの仮説を発表した後,8件のメタアナリシスが報告されたが,Straussらの2件を除くと,リスク増加は認められていないという。
Tocci氏らのグループも既に,2005年3月までのPubMedデータベースを用いて,1次評価項目,2次評価項目の一部として致死性/非致死性心筋梗塞の発症リスクに対するARBの有用性を評価した主要な多施設ランダム化対照試験11試験を同定,そのメタアナリシスにより,ARB群とプラセボ群または他の実薬群との間で,致死性/非致死性心筋梗塞の発症リスクに有意差は認められないことを報告している。
今回の解析対象試験は,ELITE I およびII,Val-HeFT,IDNT,RENAAL,OPTIMAAL,LIFE,VALUE,SCOPE,CHARM-AlternativeおよびPreserved,VALIANT,DETAIL,MOSES,E-COST,Jikei Heart Study,ONTARGET,PRoFESSの18試験。
ARB群5万5,344例とプラセボ,実薬を併せた対照群5万5,249例の比較では,対照群に対するARB群の心筋梗塞のオッズ比(OR)は,試験内分散のみを反映する固定効果モデルでの解析で1.019,試験内分散と試験間分散の両者を反映するランダム効果モデルでの解析では0.992であり,ともに両群間に有意差は認められなかった。
ただし,試験間には有意(P=0.0006)な不均一性が存在した。
新規に加わった症例数の大きいONTARGETのORは1.061,PRoFESSのORは1.032で,ともに対照群とARB群に有意差はなかった。
薬剤別の比較では,プラセボ(OR解析同順で0.990,0.948),利尿薬/β遮断薬(0.977,0.700), Ca拮抗薬(1.112,1.074),ACE阻害薬(ともに1.006)と,いずれも両群に有意差はなく,他の実薬群に対するARB+ACE阻害薬のORも0.993,0.986と,両群に有意差はなかった。
以上から,同氏は「ARBの投与を受けている患者において,心筋梗塞のリスクが増すとのエビデンスは認められなかった」と結論した。
なお,昨年報告されたBlood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration(BPLTTC)のメタアナリシスによると,「冠動脈疾患」としての解析で,ACE阻害薬とARBによる血圧依存性の抑制効果は同等だが,他薬に比べてACE阻害薬には血圧非依存性に約9%のリスク減少が認められ,この点ではARBと有意差があったという。
出典 Medical Tribune 2008.8.7
版権 メディカル・トリビューン社
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ここ数年間に、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)が、心血管イベント・リスクを抱える患者の心筋梗塞リスクを上昇させるという報告が複数あった。カナダAlberta大学のMichael A McDonald氏らは、ARBの心筋梗塞リスクを評価するため、利用可能なすべてのエビデンスの系統的レビューを試みた。その結果、ARBと偽薬、ARBとアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の間で、心筋梗塞リスクに有意な差はないことが示された。詳細はBritish Medical Journal誌電子版に2005年9月29日に報告された。
ACE阻害薬が、左心室機能不全のある患者、最近の心筋梗塞の既往歴がある患者、心血管リスクの高い患者の死亡率と有病率を下げることを示すエビデンスがある。理論上ARBは、ACE阻害薬に比べ、アンジオテンシンIIの作用を阻害する効果は高く、忍容性もより高いと考えられた。
しかし、先の複数の臨床試験では優越性は示されず、逆に心筋梗塞リスクの上昇が示唆された。その結果、医療従事者と患者の間に、ARBの使用に対する不安が生じた。このところの、ロフェコキシブなどの一般的な処方薬の回収も、副作用に対する警戒意識を高めている。
著者らは、ARBの心筋梗塞リスクを確認すべく、各種データベースから抽出した比較対照試験の系統的レビューを実施した。ARBを偽薬またはACE阻害薬と比較した試験19件、3万1569人の患者を分析。うち2件は高血圧、4件は真性糖尿病および糖尿病性腎症、10件は心不全、3件は心筋梗塞または虚血症状を経験して間もない患者が対象。ARBと偽薬を比較したのは11件(2万1062人)、ACE阻害薬との比較は9件(1万625人)だった。
まず、偽薬と比較した試験では、1万656人がARB、1万406人が偽薬に割り付けられていた。ARB群の心筋梗塞発症者は436人(4.09%)、偽薬群では450人(4.31%)。ランダム効果モデルにおいて、ARBの使用と心筋梗塞リスク上昇との間に有意な関係は見られなかった(プールしたオッズ比0.94、95%信頼区間0.75-1.16)。固定効果モデルでも同様となった(0.95、95%信頼区間0.83-1.09)。
ACE阻害薬との比較では、5406人がARB、5219人がACE阻害薬の投与を受けていた。ARB群では435人(8.05%)、ACE阻害薬群では433人(8.30%)が心筋梗塞を発症。ランダム効果モデル(1.01、95%信頼区間0.87-1.16)、固定効果モデル(1.00、95%信頼区間0.87-1.16)のいずれにおいても差は認められなかった。
著者らは、大規模前向き試験などによって、この問題に関する情報が追加されるまでの間、今回の結果が、この種の薬剤の安全性に関する不安を緩和するだろう、と述べている。
本論文の原題は「Angiotensin receptor blockers and risk of myocardial infarction: systematic review」。アブストラクトは、BMJ誌Webサイトの[こちらhttp://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/abstract/bmj.38595.518542.3Av2]で閲覧できる。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200510/401685.html
日経メディカル オンライン 2005.10.5
アンギオテンシン受容体ブロッカーは心筋梗塞のリスクを増すか?
http://www.city-nakatsu.jp/hospital/digest1/digest200609/09_matsui.pdf
アンギオテンシン受容体阻害剤(ARB)に心筋梗塞のリスク
http://www.yakugai.gr.jp/attention/attention.php?id=62
読んでいただいてありがとうございます。
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