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最近、某メーカーのMRさんが「CKD診療ガイド-高血圧編-」の小冊子を持ってきてくれました。
しかし、これらのガイドラインは開業医にとって読み込む時間がないので、行間までガイドライン発刊の趣旨を十分に理解することができません。
そんな時に、専門家のコメントに巡り会うと効率よく勉強することが出来ます。
きょう届いた新着のMedical Tribune誌で勉強しました。
特別企画
「CKD 診療ガイド―高血圧編―」発刊!
そのポイントと上手な使い方を聞く その1(1/2)
このたび「CKD診療ガイド―高血圧編―」が発行された。
昨年刊行された「CKD診療ガイド」は,CKDキャンペーンに大きな役割を果たしているが,今回の「高血圧編」は降圧療法について詳しく説明した冊子である。
その編集を担当した防衛医科大学校腎臓内科准教授の熊谷裕生氏に,本冊子のポイントと上手な使い方についてお話を聞いた。
そのなかで,CKD患者の高血圧治療では,降圧と同時に尿蛋白減少を追求しなければならないこと,その点では基礎と臨床の両面でARBの有効性が証明されており,とりわけバルサルタンのエビデンスが出揃っていることが示された。
熊谷氏は,ARBの使用量増加が近い将来での透析患者減少に結びつくのではないかと期待を表明している。
高血圧-CKDの悪循環を断ち切れ!
―なぜ今回,「CKD診療ガイド―高血圧編―」を作られたのですか。
「昨年発行されたCKD診療ガイドは高い関心を集め,学会刊行物としては異例のヒットとなりました。ただあのガイドで"降圧療法"に言及したのは3ページに過ぎず,CKD患者の血圧管理について,もう少し詳しく知りたいという声が相次いで寄せられました。そこで今回,日本腎臓学会と日本高血圧学会がCKD対策合同委員会を作り,木村玄次郎委員長を中心にこの課題に取り組むことになったのです」
―CKD患者における血圧管理の重要性は,どこにあるのでしょうか。
「CKDは,心血管疾患(CVD)と末期腎不全(ESRD)の両方の強力な危険因子です。この点が明らかになり,国民的に対策を強化する目的で,CKDのキャンペーンが始まりました。高血圧は,このCVDとESRD,両方の危険因子です。しかも,高血圧はCKDを促進し,CKDは高血圧を悪化させるという悪循環を形成しています。したがって,適切な降圧療法で,この悪循環を断ち切ることが何よりも求められています」
降圧と尿蛋白減少を同時に追求
―では,CKD患者における血圧管理の基本的考え方を教えてください。
「CKD患者の降圧目標は130/80 mmHg未満としました。尿蛋白が1g/日以上の場合,さらに厳格に125/75mmHg未満を目指します。血圧が低いほど腎機能(GFR)低下の進展を抑えられるからです。ただし,血圧値を外来血圧だけで判断してはいけません。外来血圧が125/75mmHgだと,自宅では100/60mmHgといった例もありますから,家庭血圧計を活用し日常での血圧状態の把握に努めてください。
第二のポイントは,尿蛋白抑制の重要性です。滋賀医科大学の荒木らは,糖尿病患者216人を対象に検討を行い,最初の2年間にアルブミン尿が50%以上減った患者は,その後8年間のCVDや腎不全による入院,死亡が著明に低下したと報告しています(図1)。

このデータは,尿蛋白減少がCKD進展とCVD発症をともに予防することを示す,世界に誇りうる成績です。CKDでは降圧と同時に尿蛋白を減らす高血圧治療が求められています。第三に,CKD患者では厳格な降圧が必要ですが,急激な降圧は避けなければなりません。腎機能を低下させるおそれがあるので,2~3か月をかけ,状態を見ながら降圧目標を達成するようにします」
第1選択薬はACE阻害薬かARB
―CKD患者の高血圧治療では,どんな降圧薬を用いるべきでしょうか。
「第1選択薬は,RA系抑制薬すなわちACE阻害薬かARBです(図2)。
ACE
阻害薬やARBでは腎保護作用,とりわけ尿蛋白減少作用が明確に認められているからです。CKD患者ではACE阻害薬かARBを用いてしっかりと血圧を下げること,副作用には注意を払いつつ,十分な尿蛋白減少作用が得られるまで,増量することがポイントとなります」
―第2選択薬としては,何を使えばよいのですか。
「第2選択薬としては,利尿薬またはCa拮抗薬を挙げました。体液量過剰の食塩感受性高血圧の場合,利尿薬を用います。この場合,腎機能が正常ならサイアザイド系,腎機能が低下していたらループ利尿薬を選びます。CVDハイリスク例では,Ca拮抗薬が第2選択薬として推奨されます。第3選択薬は,第2選択薬にしなかったCa拮抗薬か利尿薬となります。単剤で130/80mmHgまで降圧することは容易ではありません。ほとんどの臨床試験では,降圧目標を達成するために3~5剤の多剤併用が行われていることを指摘しておきます」
RA系抑制薬開始時は慎重な観察を
―腎機能の低下例では,使用しにくい降圧薬も少なくありませんね。
「腎機能低下例では,用量調節を要する降圧薬も少なくありません。この点から,冊子の末尾に,"腎機能低下時の降圧薬投与量"を付けました。各社の協力を得て,腎機能別に主な降圧薬の投与量をまとめましたので,活用してほしいですね」
―RA系抑制薬の使用に際しては,どんな点に注意すべきですか。
「CKD患者の高血圧ではRA系の抑制が最も重要です。しかし,ときに血清クレアチニン(Cr)上昇や高カリウム(K)血症を生じる例があります。Cr上昇は輸出細動脈の拡張を示す薬理効果なので,投与前値の30%または1mg/dL以内の上昇なら問題はありません。しかし,これを超える上昇を示す場合は,背景に両側性の腎動脈狭窄や心不全,脱水などが潜む例もあり,休薬して腎臓専門医に紹介すべきです。特に高齢者では,夏場の脱水に注意してください。血清Kの上昇もしばしば見られます。この場合も軽度上昇は問題ありませんが,5.5mEq/Lを超す場合は専門医に相談してください(表)。ACE阻害薬もARBも,使い始めの3か月間は2週に1回程度採血を行い,CrやKに注意を払うことが必要です」

出典 Medical Tribune 2008.8.21
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント1>
「CKDは,心血管疾患(CVD)と末期腎不全(ESRD)の両方の強力な危険因子です。・・・ 高血圧は,このCVDとESRD,両方の危険因子です。しかも,高血圧はCKDを促進し,CKDは高血圧を悪化させるという悪循環を形成しています。したがって,適切な降圧療法で,この悪循環を断ち切ることが何よりも求められています」
・・・いみじくも私達が今まで疑問に思っていた「ニワトリかタマゴか」といった話です。
CKDでわかりにくいのは、腎障害に至った原因(病因、Pathogeny)を問題にしていないところにあると私は思っています。
この疑問は今も私の中で解決されていません。
<コメント2>
「CKD患者の降圧目標は130/80 mmHg未満としました。尿蛋白が1g/日以上の場合,さらに厳格に125/75mmHg未満を目指します。血圧が低いほど腎機能(GFR)低下の進展を抑えられるからです。ただし,血圧値を外来血圧だけで判断してはいけません。外来血圧が125/75mmHgだと,自宅では100/60mmHgといった例もありますから,家庭血圧計を活用し日常での血圧状態の把握に努めてください。」
・・・実地医家としては、「ではどうすればいいの」といいたくなってしまいます。
有名な「久山町研究」でも、健診時の血圧が140mmHg未満では脳梗塞の発生は少なく、しかもそれ以下の降圧はあまり意味がないというデータがあります。
CKDと脳梗塞では違うといってしまえばそれまでですが、学会では久山町を上回るような「CKDと血圧」に関する日本でのエビデンスを把握しているのでしょうか。
そして、ガイドラインの中に書かれている「降圧目標は収縮期139mmHg未満かつ拡張期80mmHg未満である」の記述。
この「かつ」の持つ重みはどれほどあるのでしょうか。
そろそろ拡張期圧の呪縛から解かれたいと思うのは私だけでしょうか。
実際には拡張期80mmHg未満を目指すのに収縮期圧が110mmHg以下となることは十分にありうることです。
きっと患者のQOLと服薬コンプライアンスは・・・。
<参考サイト> 降圧ターゲットはSBP単独に
http://blog.m3.com/reed/20080821/_SBP_
<コメント3>
「腎機能が正常ならサイアザイド系,腎機能が低下していたらループ利尿薬を選びます。・・・この場合,腎機能が正常ならサイアザイド系,腎機能が低下していたらループ利尿薬を選びます。」
・・・CKDについての話ですから、「腎機能が正常なら」という言い方はおかしいと思いました。
逆に、昔々ある学会で、心不全の発表で「NYHA1°は本当に心不全ですか?」と質問されて壇上で炎上した先生がみえました。
さて、降圧利尿剤としてサイアザイド系にこだわる理由がよくわかりません。
サイアザイド系の使用により(潜在性?)腎不全が(顕在性?)腎不全に移行しないという保障があるのでしょうか。
代謝系に悪影響を及ぼすサイアザイド系ではなく、ループ系(たとえばオイテンシン)を最初に使うのはどうしていけないのでしょうか。
私自身が降圧剤を服用するとしても、サイアザイド系は少量でも服用したいとは思いません。
先生方はいかがでしょうか。
読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21~
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21
http://wellfrog.exblog.jp/
があります。