戯れ言たれる侏儒
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ONTARGETサブ解析

戯れ言たれる侏儒 / 2008.08.20 00:05 / 推薦数 : 1

「第22回国際高血圧学会/第18回欧州高血圧学会」で発表された「ONTARGETサブ解析」で勉強しました。
このONTARGETのサブ解析では非常に興味のある結果が得られました。
すなわちACE阻害薬+ARB併用療法によるいわゆる「RAS二重阻止」は腎障害を進行させる可能性があるということです。

たしかJIKEI HEART Studyでは多くの患者でこの「RAS二重阻止」がされていました。

ONTARGETサブ解析
ACE阻害薬+ARB併用療法    CKD患者で急性腎不全による透析が増加
心不全を伴わない心血管イベントの高リスク患者に対して,ACE阻害薬ramiprilとARBテルミサルタンの心血管イベント抑制効果に有意差はなかったものの,テルミサルタンのramiprilに対する非劣性を証明,一方,両者の併用療法がイベント抑制効果の増強をもたらすことなく有害事象の増加を招くことを明らかにした大規模臨床試験ONTARGETの発表は,記憶に新しい。
そのサブ解析では,ステージ3~4の慢性腎臓病(CKD)患者では,ramipril群に比べて併用群で急性腎不全による2か月以内の透析が増加したなどの新知見が判明した。

心血管イベント抑制は同等
主解析の対象は,心血管疾患の既往,臓器障害を伴う糖尿病のいずれかを有する55歳以上(平均年齢66.4歳)の高リスク患者2万5,620例。
エアランゲン大学病院(独エアランゲン)のRoland E. Schmieder氏によると,CKDのサブ解析では,このうち推算糸球体濾過量(eGFR)60mL/分/1.73m2未満(ステージ3~4)の6,249例をランダム化した。
 
1次評価項目の「心血管死+心筋梗塞+脳卒中+心不全による入院」の発生率は,1,000人・年当たりramipril群50.77,併用群51.58と両群に有意差はなく〔相対リスク(RR)1.01〕,Kaplan-Meier曲線でも主解析に比べて発生率は高かったものの,3群間に有意差はなかった。
 
次に,事前に設定された腎1次評価項目の「死亡+全透析+血清クレアチニン値の2倍化」は,ramipril群13.6%,テルミサルタン群13.5%,併用群14.6%で,ramipril群とテルミサルタン群に有意差はなかったが〔ハザード比(HR)1.00〕,併用群ではHR1.08と,リスクが有意(P=0.044)に増大した。
 
そこで,透析期間2か月超の慢性透析と,2か月以内の急性透析に分けて比較したところ,慢性透析は群間に有意差はなかったのに対し,急性透析のHRはテルミサルタン群1.47(P=0.2833),併用群2.10(P=0.024)となり,ramipril群に比べて前者で有意ではないが47%のリスク増大が,併用群で2.1倍の有意なリスク増大が確認された。

RAA系二重阻害は専門医監督下で
オックスフォード大学(英オックスフォード)のPeter Sleight名誉教授は,まず全例での主解析において,併用群ではramipril群に比べてSBPで約2mmHg降圧が優れたにもかかわらず,イベント抑制に反映されなかった理由を考察した。
 
同名誉教授は,心血管疾患の既往を伴う高齢の集団では,2mmHgの血圧低下が腎不全,低血圧などをより多く惹起し,腎血管の問題を生じた可能性を指摘。
体液量の枯渇した高齢者では,併用療法によるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系の過度のブロックは危険かもしれない。今後,RAA系の二重阻害は,例外的に専門医の監督下でのみ実施されるべきだ」との解釈を示した。
 
一方,同名誉教授らが実施したベースラインのSBP値による層別化解析(対象2万5,595例)によると,1次評価項目の発生率は,SBPの上昇に伴って有意(P<0.0001)な増加が認められた。
脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA;1次評価項目には含まれない)で,こうした傾向はより顕著であり,一方,心筋梗塞,心血管死の発生率には,SBP値による有意な相違はなかった。
 
同名誉教授は「正常高値またはステージ1の高血圧患者では,SBPの低下による利益は主として脳卒中またはTIAの減少によるものであり,その他の転帰についての利益はほとんどないようだ」と結論した。

出典 Medical Tribune 2008.8.7
版権 メディカル・トリビューン社

 

 「Heart and Kidney - 私たちの近くにあるもの」
制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)

<関連サイト>
注目の降圧薬臨床試験 ONTARGET
http://blog.m3.com/reed/20080404/__ONTARGET
ONTARGETの結果を考察する
http://blog.m3.com/reed/20080412/ONTARGET_
糖尿病からみたONTARGET
http://blog.m3.com/reed/20080413/_ONTARGET
RAS二重阻止
http://blog.m3.com/reed/20071014/RAS_

厳格な降圧がもたらす心保護効果http://medical.nikkeibp.co.jp/all/special/micardis/ontarget/001.html
(ARBの心保護効果とACE阻害薬との併用による相乗効果が期待されるという内容でしたが、今回のONTARGETのサブ解析の結果では・・・)
RAS抑制による厳格な降圧がもたらす臓器保護
ミカルディスの大規模臨床試験ONTARGET
http://medical.nikkeibp.co.jp/all/special/micardis/ontarget/pdf/micardis_0220.pdf
(ここでも併用効果の期待が述べられていました) 

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
 があります。

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