戯れ言たれる侏儒
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< 治療抵抗性高血圧に新しい治療ガイドライン... | メイン | 心血管系イベントの抑制はどこまで可能か?... >

循環器あれこれ 2008.8.2

戯れ言たれる侏儒 / 2008.08.02 00:14 / 推薦数 : 0

剖検所見にもとづく冠動脈疾患の有病率
米国では冠動脈疾患に起因する死亡率が低下傾向に
ある
が、最新の有病率について非自然死の剖検所見を
もとに調査した。
ミネソタ州オルムステッド郡において1981~2004年に発生した死亡件数は全体で3,237例(16~64歳)、事故・自殺・殺人・原因不明の515例のうち425例(82%)において冠動脈の病理学的評価(スコア範囲、0~5)が実施された。
病理報告書をもとに4つの主要動脈 ---- 左前下行(LAD)、左回旋枝(LCX)、右冠動脈(RCA)、左大動脈(LMA) ---- のグレードを解析した。
高グレードの冠動脈疾患はLAD、LCXまたはRCAのい
ずれかで血管内腔断面積が75%以上減少(グレード≧
4)、LMAの断面積が50%以上減少(グレード≧3)と判
定した。
対象425例のうち82%に高グレード疾患が検出され、83%に何らかの疾患を示唆する所見が認められた。
年齢・性別で補正した回帰解析において、全期間(1981~2004年)を通じて、高グレードの冠動脈疾患、何らかの疾患、冠動脈疾患のグレードは経年的に減少していた。
しかし、冠動脈疾患のグレード低下は1995年で終わり、2000年以降は上昇に転じている。
冠動脈疾患の有病率低下が底を打ち上昇し始めている原因が肥満と糖尿病の増加によるものかどうか判断するには、
今後の研究結果を待つ必要がある。

Nemetz PN,et al.  Arch Intern Med 2008;168:264-270.
University of British Columbia,Canada.

出典 MMJ  July  2008 Vol 4  No.7
版権 毎日新聞社
 

<コメント>
左大動脈(LMA)は左主幹部(LMT)のことでしょうか?
冒頭で、米国では冠動脈疾患関連死が減少しているということが述べられていますが、今後は増加に転じるという予測のようです。
病死以外の死亡例での剖検率が82%という数字にまず驚かされます。
そしてその剖検の内容にも。
回帰解析の際には年齢・性別の補正がされていますが、年齢・性別の冠動脈疾患の有病率に興味を持ちますが、どうだったんでしょうか。

 

リスク過小評価は非ST上昇型急性冠症候群への心臓カテーテル検査を阻む原因
非ST上昇型(NSTE)急性冠症候群(ACS)を発症した患者には侵襲性治療の早期施行が望ましいが、一般医から心臓カテーテル検査のため専門施設へ紹介する割合が十分とは言えない。
その理由を明らかにするため、カナダの前向き観察コホートCanadian ACS Regustry Ⅱに登録された患者のうち、NSTE ACS患者2,136人のスコア評価とカテーテル検査施行率の検討を行った。
調査の結果、カテーテル検査を紹介された患者の割合は
64.7%であった。
カテーテル検査を受けた患者は同治療を受けなかった患者に比べ、院内死亡率(0.8 % vs 37%)と1年死亡率(4.0% vs  10.9%)がいずれも有意に低かった。
注目すべき点として、高リスク患者と低リスク患者に対する紹介率が同程度であったことである(62.5% vs 66.9%)。
カテーテル検査へ紹介しなかった理由を医師に質問したところ、もっとも多い理由は「リスクはそれほど高くないと考えた」であったが、実際には約60%の患者はThrombolysis in  Myocardial Infarctionで中等度~高度のリスクに該当していた。
NSTE ACSの高リスク患者の正確なリスク分類ならびに早期侵襲性治療の実施に関して、改善の余地は大きい。

Lee CH,et al.Arch Intern Med 2008;168:291-296.
University of Toronto,Canada.

出典 MMJ  July  2008 Vol 4  No.7
版権 毎日新聞社

<コメント>
文中の理由で挙げられているように「リスクはそれほど高くないと考えた」ということもあるのでしょうが、結局はNSTE ACS患者の診断が困難だったということなのではないのでしょうか。

<関連サイト>
NSTEMI、STEMガイドライン
http://blog.m3.com/reed/20070903

NSTEMI、STEMIという分け方
http://blog.m3.com/reed/20070904/NSTEMI_STEMI_


高血圧症患者におけるDASH食の遵守率が低下傾向
高血圧症患者に有用な生活習慣の改善策として、DASH(Dietry Approaches to Stop Hypertension)食が推奨されている。
本研究では、National Health and Nutrition Examination Survey(NHANES)の1988~1994年と1999~2004年のデータをもとに、DASH食の遵守率を比較検討した。既存の高血圧症を有する対象者4,386人の1999~2004年におけるデータを解析した結果、9種類の栄養成分摂取状況から算出したDASHスコアは2.92であり(年齢とエネルギー摂取量で補正)、食事がDASH食の基準を満たしていた割合は19.4%であった。
DASH食に準じた食事をとっていた対象者の特徴として、高齢、黒人以外の人種、より高い教育水準、糖尿病の罹患があげられた。
DASH食に当てはまる食事の摂取率は、過去のNHANES調査期間(1988~1994)に比べ、最近の調査期間のほうが絶対差で7.3%低く、とくに全脂肪、線維、マグネシウムの摂取量が基準を満たしていない傾向が示された。

Mellen PB,et al.Arch Intern Med 2008;168:308-314 Hypertension Center of the Hattiesburg Clinic,USA.

出典 MMJ  July  2008 Vol 4  No.7
版権 毎日新聞社

<コメント>
DASH食について少し調べてみましたが、意外といつから唱えられるようになったのかということがわかりませんでした。
この論文では遵守率だけが調査対象だったのか、よってもたらされる降圧効果や生命予後改善効果について触れられていないのが少し物足りなくもあります。
アメリカの食生活をそのまま日本に置き換えるわけにはいかないのは勿論ですが、日本でも減塩以外に日本高血圧学会だDASH食のようなものを提唱しているのでしょうか?
高血圧治療ガイドライン (日本高血圧学会)
http://www.jhf.or.jp/a&s_info/guideline/kouketuatu.html
では、食生活に関しては
1)食塩制限6g/日未満
2)野菜・果実の積極的摂取*
*ただし、野菜・果物の積極的摂取は、重篤な腎障害を伴うものでは、高K血症をきたす可能性があるので推奨されない。また、果物の積極的摂取は摂取カロリーの増加につながることがあるので、糖尿病患者では推奨されない。
 
としており、そのあたりにDASH食の考えが盛り込まれているようです。

<関連サイト>
DASH食
http://www.geocities.jp/t_hashimotoodawara/salt6/salt6-04-01.html
食塩摂取量を減らすことだけが目標になっているが、平均寿命との関係で見ると、アメリカでは2000年で男性が74.1歳、女性が79.5歳、日本では男性が77.7歳、女性が84.6歳である。沖縄が長寿である理由に食塩摂取量が少ないことが上げられるが、沖縄男性の平均寿命の大きな変動から考えても、とても食塩摂取量だけが大きな要因となっているとは考えられない。
保健行政としては、もっときめ細かいデータ収集・整理と要因解析を行ってもらいたい。
たばこ塩産業 塩事業版 2004.01.20
(財)ソルト・サイエンス研究財団専務理事  橋本壽夫

(「ソルト・サイエンス研究財団」の理事という立場も勿論あるだろうが、この内容ははたして論理的だろうか)

DASH食事プランをご存知ですか?
http://homepage3.nifty.com/fuchu-yotsuya/mimiyori0008.htm
DASH食  減塩の併用で高い降圧効果!
http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/DASH0418MT.shtml

DASH食
http://health.goo.ne.jp/medical/mame/word/350.html
野菜や果物、豆、魚、全粒粉の穀類、低脂肪の乳製品などを増やし、牛肉や豚肉、甘いお菓子やソフトドリンクなどを減らすことで、カリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維、良質なたんぱく質などを多くとり、脂肪摂取は減らそうというもの。米国人向けに研究されたもので、日本人にはそのまま適応できるのかどうかは、今後の研究データが必要とされる。


「Heart and Kidney - 私たちの近くにあるもの」
制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)
 

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
 があります。

 

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