戯れ言たれる侏儒
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< 血圧上昇と総死亡リスク | メイン | 心疾患高リスク患者とCTの活用 >

新着のMedical Tribune 誌(2008.7.24)の片隅に載っていた記事で勉強しました。
私にとっては、この週の中で一番の記事に思えました。

早速ですが話が少しとびます。 

趣味に関する雑誌(私の場合には音楽やオーディオ)には評論家がいろいろな評論や視聴記を書いています。
多くは予定調和的で、よくもあんなに批評にもなっていないような長い文章が書けるなあと感心してしまいます。
一方、音楽評論でいえば、吉田秀和氏の文章(評論)は読むに値します。
奥様を亡くされた後、しばらく活動を中止してみえました。
最近活動を再開され、新聞の文芸欄ですばらしい評論を目にすることが出来、楽しみに読んでいます(ごく最近はブレンデルについて取り上げていました)。

さて、話は戻って桑島先生。
大規模臨床試験を評論するには絶妙のポジション(所属)です。
座談会の記事はまだしも、国内の大規模臨床試験についての多くの大学教授のコメントには、蕁麻疹が出るほどの美辞麗句が並んでいます。
ところが、桑島先生のコメントは一味違うのです。
以下の内容も、東京都内の某大学で行われた某ARBの大規模臨床試験のことを話されているように受け取ってしまいました。
今後、京都や名古屋の大規模臨床試験の成績が出たときのコメントも今から楽しみにしています。

大規模臨床試験の読み解き方
併用薬やエンドポイントの設定に注目すべき
大規模臨床試験の実施が難しいとされてきたわが国でも,近年,高血圧症領域の大規模臨床試験報告が相次いでおり,これらの結果を日本の臨床現場にどのように反映させていくかが問われている。
そこで,東京都老人医療センターの桑島巌副院長に,臨床試験の読み解き方について解説してもらった。

エンドポイントに影響を与える併用薬の投与状況
臨床試験の結果を読み解く際に最も重要となるのが,一次エンドポイントだが,桑島副院長は「結果が正しく解釈されていないのではないか」と危機感を説く。
例えば,イベント発生率の比較を,時期に区切って分けて示されるような場合がある。
しかし,本来Kaplan-Meier曲線は各治療群に割り付けが開始されてから心血管イベントが発生するまでの時間を比較するものであり,単純に期間ごとの発生率を比較するものではない。
したがって,早期にイベント発生数が少ない群の治療効果が高いことを意味しており,試験開始後数年を経てからイベント発生率が低下して逆転しそうになったからといって「後になってじっくり効いてくる」という解釈は正しくない。
 
エンドポイントとともに重視すべきなのが併用薬の使用状況。
同副院長によると,特に国内の大規模臨床試験では,結果発表からJournal掲載までにタイムラグが発生することが多く,その間に併用薬が公表されない場合は注意すべきという。
併用薬の使用率が極端に異なる場合などは,「ベース薬を純粋に比較しているとは言えない」とした。

客観的指標か?―PROBE法
国内では,倫理的に二重盲検比較試験の実施が難しい事情もあり,PROBE法がよく選択される。
その際の約束事項として,桑島副院長は「治療介入が関係する項目をエンドポイントとしない」点を挙げた。
治療者が割り付けを把握しているPROBE法では,「心不全による入院」や「狭心症によるカテーテル検査」などは程度の差はあれ恣意的な介入があると考えざるをえない。
死亡や心筋梗塞といった厳格なエンドポイントに限定することが結果の信頼性を得る条件になるという。
 
このようなエンドポイントを設定せざるをえない背景として,もともと心血管イベントが少なく,治療レジメンが充実している日本では,患者の心血管イベント発生リスクが低いという事情がある。
国際的にも,スタチン系薬やアスピリンはほとんどの患者に使用されるなど,有意差が付かない試験が多くなってきた。それを反映してか,最近では非劣性試験も多く行われているが,同副院長はコストへの配慮や耐容性,持続性も考慮して臨床現場に応用していくべきと指摘している。

予定外のサブ解析には注意
桑島副院長は,サブ解析の読み解き方にも注意が必要とする。
まず,試験開始前のプロトコル文献に明記されていたサブ解析かどうかを確認する。
予定外のサブ解析は,より注意深く検討しなければならない。
本試験の対象症例数よりはるかに少ない場合は,恣意的な患者選択が行われていないかを確認する必要がある。
 
近年,サブ解析で多く扱われる「糖尿病新規発症」は,同副院長が分析した結果,「やはり降圧が重要」との結果にたどり着いたという。
糖尿病新規発症が重視される研究として,PIUMA study( Hypertension 2004; 43: 963-969)が有名だが,この試験では,糖尿病既往群と新規糖尿病発症群,さらに糖尿病未発症群に分けて心血管イベントを比較したところ,未発症群よりも糖尿病既往群と新規糖尿病発症群でともに有意にイベント発生率が高く,新規,既往での群間差はなかった。このため,糖尿病の新規発症は既に糖尿病を発症していた場合と同程度の心血管イベントリスクと考えられたわけだ。
しかし,同副院長が試験開始時の血圧を確認したところ,24時間血圧が両群で同等に高かったことが判明。
「糖尿病患者ではより厳格に降圧治療を行う必要性が示唆されているにすぎない」と指摘した。
「結果が未公表だったり,エンドポイントの一部の結果を強調したり,後ろ向き解析で補正を行うといった好ましくないことも行われている」と同副院長は指摘。
試験結果を臨床に反映させていく際には,医師自身が正しく読み取る努力をしていくべきとした。

ポイント
■ エンドポイントは発生までの時期を連続的に見る
■ 併用薬の使用状況は重要な情報
■ サブ解析はプロトコル論文で予定されていたものかを留 意する
■ PROBE法のエンドポイントは治療介入による項目が含まれていないか注意する
出典 Medical Tribune 2008.7.24
版権 メディカル・トリビューン社

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読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
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「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21
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