戯れ言たれる侏儒
Profile

ブログ内検索

カレンダー

<< 2008/07 >>
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

新着コメント

新着トラックバック

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

ARBについては、最近AT2受容体への刺激作用が注目されています。
いわゆるAT1受容体の強力な(宣伝文句ではダブルアンカードメインとか高親和性とかいっています)ブロックとのDualEffectというわけです。
AT受容体のブロックが強力であればあるほど、あぶれたATⅡがAT2受容体を、より刺激するという理屈のようです。

ARBはAT2受容体刺激薬であると広言する先生も現れてきています。
このAT2受容体の働き(作用)については、私自身十分理解出来ていたというわけではありません。
学術講演会にでかけても、さらっと軽く紹介されるぐらいで、
活字でもなかなかいい説明がみつかりません。

そんな中、わかりやすい図(以下の文中の図2)の載った記事が目に留まりました。

 

レニン・アンジオテンシン系研究の現在と今後の課題

レニン・アンジオテンシン(RA)系研究の進歩には著しいものがあるが、研究の最前線で大きな牽引力を発揮してきたのがVictor J・ Dzau氏である。
そのDzau氏の研究室には、日本から多くの若い研究者が参加して重要な研究成果を報告し、帰国後は我が国の第一線で研究・診療を続けている。
今回は、そうした”Dzauラボ”に参加した日本人スタッフの先生方にお集まりいただき、ARBの話題も含めてRA系研究の現状と今後の、課題をめぐって話し合っていただいた。

 

基礎研究と臨床成績の両方から証明されたCardiovascular Continuumの意義
堀内
本日の日本人メンバーは、かつて米国のDzau先生の研究ラボに留学した”Dzauラボ”"のスタッフでした。
こうした形で我々の米国における恩師と討論の場を持てることを非常にうれしく思います。
まずDzau先生から、RA系研究の現状をめぐってコメントしていただきたいと思います。

Dzau
私がRA系の研究を始めたのは1950年代末から1960年代前半のことです。
1980年にはレニン蛋白に対する純粋な抗体の作成に成功しました。その後、私は組織RA系にも輿味を持つようになり、局所組織におけるアンジオテンシノーゲンmRAの存在を証明した最初のグループの一員となりました。
 
このようなRA系の基礎研究の途上で、1989年には
Eugene Braunwald先生と協力して、Cardiovascular
Continuum(心血管系イベントの連続性)という概念を作成し、高血圧などの生活習慣病から始まり、やがて心筋梗塞や心不全を発症して死亡に到る一連の心血管イベントの連鎖が存在すること、その連鎖にはRA系が深く関与しているとの考えを表明しました。
このCardiovascular Contmuumの概念は1991年に論文にまとめたのですが(Dzau V.  Braunwald E,Am Heart J 1991;121:1244-1263)、 当時は、Cardiovascular  Continuumの存在そのものをめぐって賛否両論がありました。
しかしその後、ARBなどのRA系阻害薬を使った大規模臨床試験において、RA系の亢進がいかに密接に脳・心・腎などの臓器障害に関与しているかが証明されています(図1)。


 
そして、我々が基礎研究を前進させればさせるほど、Cardiovascular ContinuumにおけるRA系の役割の重要性が示されるといった状況にあります。
この状況はさらに深まるものと思えます。
我々のラボは、1993年、本日の司会の堀内先生を含めた日本人スタッフの協力を得てAT2受容体のクローニングにも成功しました(Mukoyama M et aL J Bio lCheml 993;268; 24539-24542)。
AT2受容体刺激は、生体に良い影響を与えるのではないかと私は考えています。
いつの日にか、、AT2受容体刺激薬による治療も可能になるのではないかと、RA系の臨床での新しい展開に私は非常に大きな期待を寄せているのです。

ARBによるAT1受容体ブロックとAT2受容体刺激の意義
堀内 
数あるARBの中でもバルサルタンは、AT1受容体に対する選択性が高いことが分かっています(表1)。

 


また、AT1受容体やAT2受容体のノックアウトマウスを使った
我々の基礎研究から、バルサルタンはAT1受容体ブロックに加えて、今、Dzau先生が話題になさったAT2受容体刺激というDual sEffectにより、効果を発揮していることが示唆されました(図2)。

Dzau
ヒトではどうなのか、まだ余り詳しいことは分かっていませんね。

堀内 
患者から得られたDCA(方向性冠動脈腫瘍切除術)サンプルを入手して検討したところ、ヒト冠動脈においてもAT1I受容体と同様にAT2受容体の発現も認められましたから(図3)、臨床でも同じことが言えるのではないかと考えています。

ARBによる高齢者高血圧の治療をめぐって
堀内
では続いて、ARBによる高齢者高血圧治療について取り上げたいと思います。

楽木
ESH/ESC(欧州高血圧学会,欧州心臓病学会)による高血圧管理ガイドライン2007では、高齢者の収縮期高血圧に対しては利尿薬とCa拮抗薬を選択することを推奨しており、RA系阻害薬は含まれていません(European Heart Jounal 2007;28:1462-1536)。
これに対して我が国の高血圧治療ガイドライン(JSH)2004
では合併症のない場合の高齢者高血圧に対する一次薬
としてCa拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、少量の利尿薬が挙げられています(図4)。

 

高齢者高血圧におけるARBやACE阻害薬の降圧効果は既に立証されています。
我が国で実施されたハイリス高血圧を対象にARBとCa拮抗
薬アムロジピンの有用性を比較した大規模臨床試験
CASE-J (4,728例、平均年齢63.8歳)では、両薬剤とも
に良好な降圧効果を示しました。70歳代ではARBで
137/75mmHg、Ca拮抗薬で136/74mmHg、80歳代でも各々138/74mmHg、137/73mmHgまでの降圧を達成しています。
高齢者においても、両薬剤で副作用に差は認められませんでした。
この結果から、ARBは高齢者高血圧に対しても非常に有用な薬剤であると考えられます。
 
Dzau 
CASEJでは65歳以上の高齢者はどの位の比率だったのですか?
 
楽木 
約半数を占めていました。

出典 Nikkei Medical 2008.7
版権 日経BP社

 

<追加>

m3.comのブログ「世迷い独り言」でお馴染みの森下竜一先生は、AT1受容体遮断とAT2受容体刺激の重要性について、ある座談会で次のようなコメントをしてみえます。

AT1受容体もAT2受容体も同じ7回膜貫通型なのですが,AT1受容体は昇圧や血管平滑筋細胞の増殖促進などに関与するのに対して,AT2受容体は逆に血管平滑筋細胞の増殖抑制や血管内皮の拡張に関与するなど善玉の働きをしています。
ARBはAT1受容体遮断とAT2受容体刺激の作用がありますから,この2つの作用によって生体をよい方向に導いているわけです。
ARBがAT1受容体を遮断する結果,血中で増加したAIIがAT2受容体と結合してAT2受容体を刺激すると考えられます。
血管保護作用の強いARBはAT2受容体刺激作用も強いと思います。

出典 Nikkei Medical 2008.7
版権 日経BP社

 

<自遊時間>
暑い毎日が続きます。
昨日の土曜日はひょっとして今年一番の暑さだったかも知れません。
そんな中、某メーカーの、カルシウム拮抗剤と心腎連関の講演会を聴きに行きました。
ARBが全盛の中、ある意味新鮮に聴くことが出来ました。
CKDが主体だったので、出席者もなじみの循環器関係の先生が少なく、ある意味でこれまた新鮮でした。
懇親会で乾杯の音頭をとった昔の研究室の後輩(現、某病院院長)は唯一の知っている先生ということで、自分の年を再認識した次第です。
彼とはつい話がはずみ、懇親会を最後に後にしたのは、我々二人。
会場前に居並ぶ数多くのMRさんの見送りを受けて、ちょっぴり恥ずかしい思いをしました。

都会生活のおかげで、毎週のように(?)講演会に無料(しかも懇親会付き)で参加。

ブログのネタさがしの取材とはいえ、こんな快適な医者暮らしでは僻地での診療生活は思いもつきません。

 

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
があります。 

 

固定リンク | コメント (0)