戯れ言たれる侏儒
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JAMA誌に掲載された論文に対する解説で勉強しました。

JAMA Hellings WE, et al. 2008;299:547~554
(University Medical Center,The Netherlands.)

論文名は
「アテローム硬化性プラーク構成成分と頚動脈内膜切除術後の再狭窄発生の関係」
Atherosclerotic plaque composition and occurrence of restenosis after caratid endarterectomy

研究背景:
インターベンション標的部位に存在するアテローム硬化性プラークの構成成分について、今まで再狭窄予測マーカーとしての評価がされていない。
結論 
プラーク構成成分は頚動脈内膜切除術後の再狭窄に関する独立予測因子である。
脂質含有量の多い(脂質リッチ)炎症性プラークの除去は再狭窄のリスク低下と関連している。
<解説>
CEAかCASか、組織I性状で治療方針が決まる?
虎の門病院循環器センター 石綿清雄 内科部長

 

再狭窄は血管治療の効果を損なう大きな問題である。
冠動脈疾患に関しては薬剤溶出性ステント(DES)の登場により特殊な病態を除きほぼ忍容できるレベルにまで再狭窄を予防できるようになったが、頚動脈狭窄に関してはどうであろうか?
主流の治療法は頚動脈内膜切除術 (CEA:Carotid Endarterectomy ) であるが、最近、より低侵襲の Carotic Artery Stenting (CAS) が導入されてきた。
CASは十分な治療効果を有することが認められているが、治療手技として確立されるには現在進行中である臨床試験の結果が待たれる。
これは1990年代に CABG と PCI の比較試験が多く行われ、 PCIの虚血性心疾患における地位が確立されてきた過程によく似ている。
実際、CEAは依然として主流の治療ではあるが、多くの治療が現在低侵襲性の方向にあり、CEAの適応であるがリスクの高い症例にはCASが行われている。
 
さて、CEA後の再狭窄は欧米のいくつかの臨床研究のメタアナリシスより、治療後1年以内に生じる可能性は10%程度であり、以後2年目3%、3年目2%、さらに長期間に再狭窄が生じるリスクは年1%というデータが示されている。
最近発表された最も信頼のおけるAsymptomatic  Carotid Atherosclerosis Study (AOAS)でも、3~18カ月の再狭窄率は7.6%、その後60カ月までは動脈硬化の進展により
1.9%と報告されている。
CEA後に生じる再狭窄病変の主体は冠動脈の再狭窄と同様に平滑筋細胞の増生であり、慢性期には合成型の平滑筋細胞が増生し、細胞外マトリックスであるコラーゲンやプロテオグリカンなどが産生され再狭窄病変が形成される。
また、血管リモデリングも再狭窄の重要な要因である。
術後1~3年の早い時期の再狭窄病変には通常、動脈硬化巣にみられる泡沫細胞や脂肪の集積がみられることはまれである。
一方、数年経過した場合は再狭窄とはいわず、新たに生じた動脈硬化病変として認識すべきである。
 
本論文では、術後再狭窄の予測因子として切除標本の病理学的検討が有用であるとしている点が興味深い。
術後再狭窄の予測因子として切除標本を病理組織学的に検討し、脂質リッチな炎症性プラークの場合には再狭窄が少ない、という新たな知見を提示している。
すなわち、切除標本でマクロファージが多く浸潤し、脂質コアの大きなプラークほど再狭窄のリスクが低いという結果であった。
一般的に、脂質リッチな不安定プラークの治療はCASにしてもCEAにしても再狭窄率は高いという報告が多い。
特にステント治療においては集積する炎症細胞がステントの刺激を受けて反応し、新生内膜の増殖に働くことがその原
因とされている。
しかし、これまでの報告では組織学的な正当性が確認できていなかった。
また,今回の検討は粥腫を切除した後であり、すでに反応する組織は大方取り除かれていることもあり単純な比較は困難であるが、この新たな知見は今後の治療戦略にかかわってくると考えられる。
すなわち、将来的に術前にMRIやMDCTなどでプラーク性状が確認できれば、CEAかCAS、またパッチの使用など治療方針の決定に大いに役立つ可能性がある。


出典 MMJ Vol.4 No.7 2008
版権 毎日新聞社

 

 

「Heart and Kidney - 私たちの近くにあるもの」
制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)
 
<講演メモ>

最近行われた講演のメモからです。

走り書きのメモからの内容のため間違っていることがあるかも知れません。
特別演題(「高血圧治療の歴史と進歩〜ARB最近の話題〜」)
京都府立医大循環器内科 松原弘明教授 
(主催:武田薬品工業)

■ARBはAT2受容体刺激薬である。
■JSH2004は近々改訂になる。
■AT1受容体の発現部位は心基部と心室中隔に限局する。
■AT受容体は心臓にはもともと少ない。
■急性心筋梗塞でAT受容体(動物実験)発現が亢進。
(AT1 3倍、AT2 2倍 増加)
■AT1受容体刺激 40mmHg上昇
 AT2受容体刺激 15mmHg下降
■心筋繊維化はAT2を抑制
■ARBは動脈硬化を抑制する。(血管RA系,骨髄RA系)
■高脂血症マウス
■骨髄細胞にはAT1受容体が多い。
■ARBは糖尿病新規発症を抑制する。
■カンデサルタンは脂肪細胞を小型化する(ラット)。
■カンデサルタンには膵β細胞保護作用がある。
■肥満の定義は、国内と海外では異なる。
 国内 BMI25以上
 海外 BMI28以上
■CHARM試験紹介
■CKDにはACEIよりカンデサルタンがよかった。
■肥満の方ではアムロジピンよりカンデサルタンがよかった。
■カンデサルタン関連の臨床試験の紹介
OGAKI
HIJ-CREATE
CASE-J
E-COST
ARCH-J
(参考:紹介されませんでしたが,その他にChallenge-DM,DIALYSIS、TROPHY,SCOPE,ACCESS,CHARMがあります)
■その他雑談として
京都府立医大は京大より数年前に開設され、歴史的には東大に継ぐ2番目の歴史のある医科大学である。
当時、東大から教授が来ていたが多くの教授は京大に移ってしまい、今に至っても両大学はあまり仲がよろしくない(オフレコ?)。
両大学とも建築ラッシュだが、基礎を深く掘ると遺跡が出て来て工事がストップしてしまう。
したがってある一定以上は掘らないようにして、基礎を打ち込む方式をとっている。(京都方式?)

<参考サイト>

府立医大の歴史
http://www.kpu-m.ac.jp/modules/pico/index.php?content_id=7
京都大学沿革(医学部)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/profile/intro/history/index.htm/

(これらのサイトで見ると前者が明治5年、後者が明治32年となります)
長崎大学医学部
http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/med/top/message.html
(ちなみに気になって長崎大学を調べました。1857年ないしは1861年と書かれています。何と明治以前ということになります。)

<自遊時間>
大学の歴史や沿革というのは関係ないといえば関係ないことで、どうでもいい部類のことかも知れません。
以前にも書きましたが、あの歴史の浅いアメリカの大学でさえ日本に比べればはるかに古い歴史があることに驚かされます。
その例がハーバード大学。
医学部自体の創立がいつだかはわかりませんが、大学自体は1636年。
この頃の日本は・・・と思うと情けなくなります。そしてそんなことを考えると明治前に出来たとかどうかということやどっちが先ということも滑稽なことかも知れません。

たとえば、モンペリエ大学の医学部。
800年前に創設された、ヨーロッパ最古の医学部といわれています。
http://www.nhk.or.jp/sekaimachi/detail/data/070806.html

一方、国内のある医学部の沿革についての医学部長の言葉。
「○○大学医学部はその源を○○藩校に発し、130年有余の歴史と11,000人を超える卒業生を誇る日本でも最古の医学部の一つです。」

何だかなあ・・・。

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21 
http://wellfrog.exblog.jp/ 

 があります。

 

 

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