戯れ言たれる侏儒
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今年1月にプリンス パーク タワー(東京)のコンベンションホールで行われた「RAS抑制」の国際シンポジウムの記事で勉強しました。

 

ARBによるCV Continuum阻止の試み
ドイツ Thomas Unger先生

RA糸は生体のNa保持と血圧維持に不可欠なシステムだが,CV Continuumの各病態に深くかかわることでも知られている。
そのおもな作動物質であるAⅡは,AT1受容体に結合して血管収縮や細胞増殖,炎症などを惹起する一方,AT2受容体に作用してこれらの生理活性を調整すると考えられている。Thomas Unger氏は,CV Continuum阻止に働くARBの作用機序を概説。
また,AT2受容体刺激の意義をめぐって巻き起こっている論
争に触れ,AT2受容体刺激に否定的な報告は,特殊な実験条件からもたらされた可能性があると指摘した。
 
大動脈瘤もCV Continuumの一環か
「今から500年後,CV Continuumという概念が唱えられ,生命維持に不可欠なRA系との関連が示されるであろう」 - 神聖ローマ帝国の時代,皇帝マクシミリアン一世がこう予言したかどうかは,無論,定かではない。
しかしUnger氏は,この自作のストーリーを展開しながら,約2世紀に及ぶRA系研究の成果を賞賛。
これを序章とし,本題に入った。
 
AⅡは,AT1受容体を経由して昇圧を惹起,これに伴う圧ストレスやずり応力の増大により血管壁の肥厚を招く。
加えて,昇圧を介さない直接作用で内皮を傷害,酸化ストレスの亢進や脂質代謝の異常,種々のサイトカインや成長因子,接着因子の発現を促して,動脈硬化進展と血圧上昇を引き起こす。
そして,大動脈瘤も動脈硬化とかかわりが深く,AⅡが主役を果たすCV Continuum進展の一環ではないかという(図1)。

 

実際,同氏らは最近,腹部動脈瘤を有する患者でAT1受容体発現が著明に増強していることを見出している。
 
一方ARBが,AT1受容体ブロックにより血管収縮や細胞増殖,線維化,炎症などを抑えることで,CV Continuumのほぼ全ステップに抑制的に働くことは広く認められるようになってきた。
このARBのベネフィットはATI受容体ブロックにとどまらず,それによって行き場を失ったAⅡが,AT2受容体を刺激する作用からも生じている。

 

 

AT2受容体刺激をめぐる論争
-それは有用か否か?
AT2受容体刺激は,抗増殖,分化,再生,抗炎症など,AT1受容体とは正反対の心血管保護作用をもたらすとされてきた。
その抗増殖作用については,1995年,Unger氏とDzau氏のグループが,それぞれin vitro,in vivoの検討結果を発表している。
しかし,これらの報告は,AT2受容体研究を活発にした一方で,AT2受容体刺激の有用性をめぐる論争のきっかけにもなったという。
AT2受容体刺激は,むしろ細胞増殖促進,動脈硬化促進に働くという,否定的な報告も散見されるようになったのである。
 
このような報告はどこから生じたか。
受容体下流の情報伝達系を調べると,AT2受容体の結合蛋白の1つであるPLZF(promyelocytic leukemja zinc finger)が,成長因子が過剰に存在する特別な条件下でPI3キナーゼ
を活性化,細胞増殖を促進することが判明した(図2)。

 

Unger氏は,「AT2受容体刺激による細胞増殖は,特殊な実験条件が招いた特殊な事例」だと考えている。


Proceedings RAS Inhibition International Symposium
(January 26~27,2008)
発行 ノバルティスファーマ(株)社
編集・制作 (株)メディカルトリビューン社

 

<関連サイト>

AT2受容体
AT1受容体とAT2受容体はそれぞれどんな働きをしているか?
http://www.diovan.jp/faq/q_003.html
アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の作用機序
http://www.gik.gr.jp/~skj/drug/arb.php3
腎内アンジオテンシンII 産生とAT1
受容体の新たな機能
http://plaza.umin.ac.jp/JPS1927/fpj/topic/topic119-6-353.htm

PLZF
A Novel Signaling Paradigm: Possible Role of Angiotensin II
Receptors in Cardiac Hypertrophy
http://www.saitama-med.ac.jp/jsms/vol31/04/jsms31_207_209.pdf
Promyelocytic leukaemia zinc finger protein (PLZF) is a glucocorticoid- and progesterone-induced transcription factor in human endometrial stromal cells and myometrial smooth muscle cells
http://molehr.oxfordjournals.org/cgi/content/abstract/9/10/611
SHP-1
SHP-1 とTh2細胞分化・気道炎症
http://www.m.chiba-u.ac.jp/class/meneki/popupTh11.htm

 

 

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。

他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
 があります。

 

 

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