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ezetimibe(エゼチミブ)は新規の薬剤で,スタチンとの併用でLDL-Cの低下作用が格段に上がることが分かっています。
このLDL-Cを低下させることにより、心血管イベントを抑制することはスタチンの一連の試験で明らかにされているわけですが、エゼチミブとの併用がさらなる効果を上げることは当然期待されるところです。
ご承知のように、最近のENHANCE 試験では強力なLDL-Cの低下作用は示したものの,家族性高コレステロール血症(FH)の頸動脈の内中膜肥厚度(IMT)の改善をもたらしませんでした。
この結果が,エゼチミブの有効性を否定するものか否か議論になっているところです。
この試験のデザイン上の問題点については次のようなことが指摘されています。
すなわち、対象者はFHであるが,他の危険因子はほとんどなく,年齢も約46歳で半数が女性であること。
さらにその81%はスタチン治療を受けている患者であり,FHとしては低リスク群といえることです。
その結果もあり、もともとのベースラインの頸動脈のIMTは約0.7mmと正常範囲でした。
そして試験期間は2年であり,正常のIMTの改善を観察するには短期間過ぎたのかも知れません。
2011年に終了する臨床的アウトカムをみるIMPROVE-ITという試験もあるようです。
きょうはバイエル CVRM シンポジウム in 東京
Bayer Symposium on Cardiovascular Risk Management, 2008
さらに重要性を増す心血管リスクの多角的管理戦略
のシンポジウム紹介記事で勉強しました。
特別講演
脂質異常症のUnmet Needsを満たすコレステロール吸収阻害の新戦略
演者:
森下 竜一 氏 大阪大学大学院臨床遺伝子治療学教授
座長:
竹下 彰 氏 九州大学名誉教授
血清LDLコレステロール(LDL-C)値を下げることにより脳・心血管イベントの発症が抑制されることは,よく知られている。
現在,LDL-C低下療法はスタチンを中心とした合成系の抑制が主流であるが,脳・心血管イベントの抑制効果は30%にとどまっており,いまだunmet needsが存在する。
加えて,食習慣の欧米化により日本人においてもコレステロール摂取量は増加している。
こうした状況下,新たに登場したのが,小腸コレステロールトランスポーター阻害剤エゼチミブである。
エゼチミブは単独でLDL-Cを約20%低下させるだけでなく,酸化コレステロールの吸収も抑える。
大阪大学大学院臨床遺伝子治療学教授の森下竜一氏は,エゼチミブによる吸収阻害の臨床的意義を明らかにし,「スタチンとの使い分けあるいは併用によって,より合理的で効率的な脂質低下療法が可能になるだろう」と指摘した。
"今,そこにある危機"
日本人の血清コレステロール値は年々上昇しており,現在ではほぼ米国人と同レベルになっている。
これは,食生活の欧米化に起因するコレステロール摂取量の増加とも深く関連している。
かつて長寿県と言われた沖縄の平均寿命が,全国平均より低下した。
この"沖縄クライシス"は,ハンバーガーに象徴される食習慣の欧米化が沖縄では本土より20年先行した点に起因しており,今後,全国で沖縄と同様の状況が再現される可能性が高い。
森下氏はこうした現状を"今,そこにある危機"と呼び,コレステロール対策の必要性を訴えた。
コレステロールの吸収亢進が脳・心血管イベントと関連
LDL-C低下療法は現在,スタチンによるコレステロール合成の抑制が主流である。
スタチンは初回投与量で確実なLDL-C低下をもたらすが,用量の倍増による増強効果は約6%程度であることが明らかにされている。
さらに,その脳・心血管イベントの抑制効果は,いまだ十分と言えるレベルではない。
同氏は,その理由をコレステロールの供給源から説明した。すなわち,血中コレステロールの供給源には肝臓における合成と小腸での吸収の2つの経路がある。
したがって,スタチンで合成系を抑えても,吸収系によるコレステロール供給は残ることになり,十分な効果が得られないわけである。
また,合成系を抑制すると,生体反応として代償的に小腸におけるコレステロール吸収が亢進することも報告されており,スタチンの効果が相殺されていることが考えられる。
さらにコレステロール吸収の亢進は,脳・心血管イベントの発症に関係することがDEBATE studyなどのプロスペクティブ研究で明らかになり,にわかに吸収系の制御に注目が集まるようになった(図 1)。

LDL-C低下療法におけるunmet needsを満たすエゼチミブ
そうしたなか登場したのが小腸コレステロールトランスポーター阻害剤エゼチミブである。
エゼチミブはNiemann-Pick C1 Like1(NPC1L1)蛋白に作用することで,コレステロールの吸収を選択的に阻害する。
国内の臨床試験では,10mg/日単独投与でLDL-Cを18%低下させるだけでなく,中性脂肪を下げ,HDL-Cを上げるなど,血清脂質全般に好ましい影響を与える成績が得られている(図 2)。

加えて,超悪玉とされるsmall, dense LDLも著明に低下させ,コレステロールの質的な改善効果も期待できる。
また,スタチンにエゼチミブを追加することでLDL-Cはさらに約25%低下し,スタチン単独増量に比べ効率的なLDL-C低下効果が得られるのみならず,血清脂質全般に好ましい影響が認められる。
さらに,エゼチミブは食品の調理や保存によって生成する酸化(劣化)コレステロールの吸収をも阻害する。
こうした食事由来の酸化コレステロールは LDLの酸化を早め,動脈硬化を促進することが明らかにされている。
エゼチミブはコレステロールのみならず,その酸化物の吸収をも阻害することで,体内に入る酸化ストレスを抑える。
森下氏は「ここにもエゼチミブの大きな意義がある」と強調した。
このように,LDL-C低下療法では,合成系だけでなく吸収制御の臨床的意義が大きい。
とりわけ,コレステロール摂取量が増加している現代日本人の高コレステロール血症患者では重要な位置付けになる。特に,糖尿病,肥満合併例,冠動脈疾患の既往例など,コレステロール吸収が亢進している病態では,エゼチミブの効果が期待されるという。
さらに同氏は,メタボリックシンドローム合併例におけるエゼチミブの血管内皮機能やインスリン抵抗性に及ぼす好ましい影響を紹介。
「脂質異常症の治療ではLDL-Cだけでなく,代謝異常全般の治療が求められており,エゼチミブはメタボバスターとして大きな武器になる可能性がある」と締めくくった。
出典 Medical Tribune 2008.6.26
版権 メディカル・トリビューン社
<参考サイト>
エゼチミブ(商品名:ゼチーア)
http://blog.m3.com/reed/20070927/1
ENHANCE試験
http://blog.m3.com/reed/20080418/ENHANCE
コレステロール吸収阻害の臨床的意義
http://blog.m3.com/reed/20080115/1
エゼチミブの臨床的有用性を考える
http://blog.m3.com/reed/20080116/1
エゼチミブの臨床的有用性 その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080502/1
エゼチミブの臨床的有用性 その2(2/2)
http://blog.m3.com/reed/20080503/2
ENHANCE試験をめぐる論争 その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080428/1
ENHANCE 試験をめぐる論争 その2(2/2)
http://blog.m3.com/reed/20080429/ENHANCE__
ENHANCE
Ezetimibe and Simvastatin in Hypercholesterolemia Enhances Atherosclerosis Regression
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2002764.html
エゼチミブの臨床的位置付け
http://blog.m3.com/reed/20080614/1
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/
2008.5.21~ 「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
~2008.5.21
があります。
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