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バイエル CVRM シンポジウム in 東京
Bayer Symposium on Cardiovascular Risk Management, 2008
さらに重要性を増す心血管リスクの多角的管理戦略
のシンポジウム紹介記事で勉強しました。
このシンポジウムは”リスク因子の多角的管理”がテーマで、高血圧、糖尿病、脳卒中、脂質異常症の4分野のエクスパートの講演が行われました。
血圧管理
高血圧臨床試験の読み方;
試験デザイン,診断基準,治療レベルに注目
演者: 琉球大学大学院薬物作用制御学教授
植田 真一郎 氏
座長: 千葉大学大学院循環病態医科学教授
小室 一成 氏
最近,降圧薬に関する国内の大規模臨床試験成績が相次いで報告されている。
しかし,これらから得られた結論は時に明確でなく,種々の議論が生じている。
琉球大学大学院薬物作用制御学教授の植田真一郎氏は,内外の試験成績を読み解きつつ日本での臨床試験の課題を探った。
現代の比較試験は解釈が難しい
臨床試験は仮説が明確で,研究デザインが実地臨床に即した適切なものであれば,解釈はやさしい。
初期の高血圧臨床試験VA study(1967)やVA2(1970)がそれで,わずか73例対70例,186例対194例の比較で心血管イベントに著しい差が出たため,利尿薬による降圧の意義が証明された。
その後の新規降圧薬の登場と臨床試験成績を踏まえ,現在の高血圧ガイドラインでは,脳・心血管疾患の発症・進展阻止には「厳格な降圧」が最も重要である点を強調する。
一方で試験の関心は,β遮断薬,Ca拮抗薬,ACE阻害薬,ARBなどのクラス間比較あるいは薬剤間の比較に移行した。
ただし,どの降圧薬もある程度血圧を下げるため,イベント発生率に差は出にくくなった。
植田氏は,現代の比較試験の解釈が難しくなった背景をこう説明した。
二重盲検法とPROBE法,その長所と短所を見極める
そのうえで同氏は,臨床試験成績を読み解く視点を示した。
1つは試験デザインで,おもなものとして二重盲検法とPROBE*法がある。
日本では二重盲検法は実施しにくく,CASE-JやJATOS, JIKEI HEART Studyなど多くがPROBE法を採用している。PROBE法は実地臨床に近く,治療方針の比較に向く。
イベント判定は割り付け内容を知らない委員会が行うが,主治医はこれを知っているため主観の排除が難しい。
JIKEI HEART Studyに関して Staessenが指摘した「reporting eventsにおけるバイアスを除去できないのではないか」という点である。
*prospective, randomized, open-labeled, blinded-endpoint
これに対して二重盲検法は,観察バイアスが少なく単剤同士の比較に適している。
半面,実地臨床から乖離し,同意取得や患者コンプライアンス維持が難しく,費用も増大しがちである。
このように,試験デザインにはそれぞれ長所と短所があり,検証できることも異なる。
植田氏は「試験を解釈するときには,この点を見極めることが大事だ」と語った。
また試験法としては,実薬対実薬,実薬対プラセボという選択がある。
薬剤の実力を見るには,二重盲検法による実薬とプラセボの比較が理想的で,同氏はその優れたデザインの1例としてACTIONを挙げた。
この試験は,循環器医による十分な治療を受けている安定狭心症患者を対象に1日1回型ニフェジピン製剤(ニフェジピンGITS,本邦未承認)とプラセボを二重盲検法で比べたもの。
一次エンドポイントに差はなかったものの,ニフェジピン群でCa拮抗薬では初の心不全新規発症抑制が認められ,さらに高血圧合併例では脳卒中や狭心症悪化が抑制された。
つまり,1日1回型ニフェジピン製剤の「厳格な降圧作用」による効果と,「降圧によらない」効果が確認されたと言える。
また,この試験はエンドポイントの診断基準が厳格で,結果の信頼性が高い。
例えばALLHATでは,息切れなどの症状と浮腫などの他覚所見があれば心不全とされたが,ACTIONでは「入院と抗心不全治療による改善」が基準となった(表)。

"On top of best practice"が試験の倫理性を担保
もう1つ,臨床試験の倫理性を担保する重要な視点として植田氏は,"on top of best practice"の概念を示した(図)。

対象が専門医による最善の治療を受けていることを基本として,薬剤追加による上乗せ効果を比較するのである。
例えば冠動脈疾患患者を対象としたACTIONとHOPEを比較すると,前者では80%にβ遮断薬,68%に抗高脂血症薬が用いられたが,後者では40%と29%だった。
実施時期に3年ほど差があるが,ACTIONを基準にするとHOPEはon top of best practiceではないことになる。
最近のPEACE,CAMELOTなどでは8割に抗高脂血症薬が投与されており,その時点での"最善の治療"が尽くされている。
そのため試験薬間の差は出にくくなり,ここにも最近の臨床試験の難しさがあるという。
今後,求められる低リスク高血圧への介入試験
こうした点を踏まえ,最後に日本での臨床試験の課題に触れた。
日本でのエビデンス構築に関連して常に問題となるのは,心血管疾患,特に心筋梗塞発症率の低さである。そのため,有意差を出すには膨大な参加者を要する。
同時に,多数の危険因子への介入が必要となるため,倫理面を含めプロトコール作成が難しい。
さらに,二重盲検試験の実施が困難だという事情もある。
植田氏は,「この壁を超えるには,これまでの臨床試験で何を学び,何が得られなかったかを整理する必要がある」とした。
今後,行うべき試験としては,
(1)国際的にもエビデンスが未確立の低リスク高血圧患者を対象とした介入試験,
(2)高リスク高血圧(冠動脈疾患,脳卒中の既往)における多因子介入
があり,さらに
(3)ランダム化比較試験以外の試験デザインの考案
も求められるという。
出典 Medical Tribune 2008.6.26
版権 メディカル・トリビューン社
<番外編>
心房細動へのワルファリンの積極的使用その2(2/3)
東京慈恵医大 谷口郁夫教授
日本医事新報 2007.10.13
■ワルファリンの適正使用情報には
1mgを朝1回服用から開始して1週間ごとにPT-INRを朝1回服用から開始して1週間ごとにPT-INRを測定して0.5〜1mgずつ増量していき、1カ月以上かけて維持量を決定する
と記載されている。
■通常の維持量は2〜6mg/日であり、一般的には1日2mg、朝1回で開始して、2週間ごとにPT-INRを測定して0.5〜1mgずつ増量していく。
■高齢者では維持量は少ない傾向にある。
(Gage BF,et al:Ann Intern Med134:465,2001)
<コメント>
少ないワルファリン量で済むということなのか、コントロールが不十分ということなのか原著を読まないとわからない)
■PTは検査法により検査試料トロンボプラスチンが動物種や臓器により異なるために、凝固時間が標準化されていなかった。
(その問題点を解決したのが試薬ごとに係数を設定し、換算することによって標準化したPT-INR)
■一方TTは、ウシ由来の組織トロンボプラスチンを使用しているためばらつきが少ない。
■治療域 TT 10〜20%
PT-INR 1.8〜2.8
■強化抗凝固療法ではTTでは測定不能(PT-INRが適する)
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/
2008.5.21~ 「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
~2008.5.21
があります。