戯れ言たれる侏儒
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JMS-1試験

戯れ言たれる侏儒 / 2008.07.02 00:02 / 推薦数 : 0

高血圧治療の領域で、ACEIやARBが全盛の中でβ遮断剤やα遮断剤、さらにがαβ遮断剤はすっかり影をひそめてしまった感があります。
臨床場面ではACEIやARBで降圧が不十分な時に、これらの薬剤(特に副作用の少ないARB)を増量するかCCBや前述の降圧剤を追加するか(勿論ACEIやARBを最初に処方した場合)、しばしば迷うところです。
そんな中で久しぶりにα遮断剤ドキサゾシンの話題です。
 

家庭血圧により早朝高血圧患者をα遮断薬で治療すると尿中アルブミン量が低下する:JMS-1試験
自治医科大学循環器内科教授
苅尾 七臣 氏

Japan Morning Surge(JMS)-1研究では,早朝高血圧患者をα1遮断薬であるドキサゾシン追加投与群と現在の降圧治療を継続する群(対照群)とに無作為化割り付けし,尿中アルブミン量とB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の変化を比較した。
その結果,ドキサゾシン追加投与群では,尿中微量アルブミン/クレアチニン比(UAR)の低下が見られた。
苅尾氏らは,こうしたUARの低下がα1遮断薬追加による単純な降圧効果により起こるのか,それとも他にドキサゾシンの局所UAR低下作用とともに起こるのかを検討するために,降圧度で階層化したサブグループ解析を実施した。
α1遮断薬の効果は降圧作用と局所UAR低下作用との相加的作用であることを報告した。

UAR高値群でドキサゾシンの追加投与によるUAR低下効果が強い
JMS-1研究では,家庭血圧測定における早朝収縮期血圧(SBP)の平均値が135mmHg以上で,3か月以上降圧薬を変更していない外来高血圧患者611例(ドキサゾシン追加投与群308例,対照群303例)を6か月間追跡した。
試験登録時の患者背景は高脂血症の有病率を除いて両群で差がなく,各種降圧薬の使用割合も両群で差は見られなかった。
 
6か月後の降圧度はドキサゾシン追加投与群で有意(P<0.001)に大きく,対照群との差は早朝SBPで8.9mmHg,就寝前SBPで4.8mmHgであり,ドキサゾシンの追加により早朝の高血圧がより改善された。
 
UARは対照群では変化がなく,ドキサゾシン追加投与群で有意(P<0.001)に低下したが,低下量は3.4mg/gCrと顕著ではなかった。
そこで今回,登録時UARが30mg/gCr以上のサブグループ(238例全体の39%)に絞って解析を行ったところ,対照群の低下量が8.1mg/gCrに対してドキサゾシン追加投与群では27.9mg/gCrと有意に低下した(P<0.001)。

ドキサゾシン追加投与による降圧度とUARの改善は独立して相関
続いて,全体を早朝SBPの変化度により3群(>0mmHg,-10~0mmHg,≦-10mmHg)に分類し,UARの低下度との相関を調べた結果,UARが低下したのは降圧を達成した2群のみで,さらに,UAR低下度と降圧度との間に有意な相関が認められた。

これらの3群をそれぞれドキサゾシン追加投与群と対照群とに細分類し同様の検討を行った結果,降圧度とUAR低下度の相関は対照群においても確認されたが,ドキサゾシン追加投与群では,降圧とは独立した影響が認められた。

年齢,性,body mass index(BMI),登録時SBPで補正した多重線形回帰分析の結果,早朝血圧と就寝前血圧の両方において,SBP低下とドキサゾシン投与はそれぞれ独立したUAR改善の予測因子であることが確認されたが,両者の交互作用は低かった。

苅尾氏は「早朝か就寝前かにかかわらず,降圧自体とα1遮断薬の追加投与は,それぞれ独立して尿中アルブミン量の低下と関係しており,特に微量アルブミン尿患者では効果が高かった」と結果をまとめ,「レニン・アンジオテンシン系阻害薬による厳格な降圧に,交感神経活性化を阻害する薬剤を追加することで,より強力な腎保護作用が発揮され,高血圧から慢性腎臓病(CKD)と心血管疾患の悪循環に至る経路を抑制できるであろう」と指摘した。

【監修者のコメント】
早朝高血圧は高血圧治療において大きな問題である。
以前からモーニングサージは交感神経活動と関係があり,α1遮断薬であるドキサゾシンの就寝前服用が行われてきた。また,早朝高血圧は高血圧性臓器障害を来しやすいことも報告されており,特に尿中アルブミン量が多いことも報告されている。
 
一般的に早朝高血圧の治療は,当然早朝の降圧が重要と考えられている。それらの目的でドキサゾシンが使用されていたが,なかなか早朝血圧をコントロールできない症例も認められる。
本研究でも20%の症例でドキサゾシンの降圧効果を認めなかったが,80%においては有効であり,やはり早朝高血圧の成因に交感神経系が大きく関与していることは間違いない。
 
本研究は,ドキサゾシンが単純に交感神経を抑制して降圧することによってUARを改善しているわけではないことを,降圧度を階層別に分けて証明した価値のある研究である。
つまり,ドキサゾシンを投与しない対照群においてもUARの改善は認められるが,対照群と降圧度を合わせて比較したところ,ドキサゾシン群で有意なUARの改善が認められたことを報告している。
この機序として,腎糸球体の輸出細動脈の交感神経を抑制するために,糸球体内圧に影響してUARが改善する可能性が考えられている。
 
したがって,早朝高血圧の治療にはドキサゾシン単独よりも,レニン・アンジオテンシン系阻害薬との併用が望ましいことも示唆された。しかし,ドキサゾシンが効きにくい症例もあり,年齢,肥満や腎機能の程度などの影響にも興味が持たれる。  

監修:東京慈恵会医科大学循環器内科教授 谷口郁夫
http://www.medical-tribune.jp/cgi-local/esh2008.cgi/6-24/14.html

リャド◆静かなる水面◆シルク
http://page10.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/m53278880 

 

<参考ブログ> 

JMS-1
http://www.ish2006.jp/jms1/index.html

苅尾氏はこのUARの低下について,ドキサゾシン追加投与による「早朝および就寝前の収縮期血圧の低下と相関していた」と解説した。
 
もう1つの主要エンドポイントであるBNPについては,コントロール群で変化を認めず,ドキサゾシン追加投与群で9.5pg/mLの軽度上昇が認められたが,ドキサゾシンのみを投与した群とドキサゾシンとβ遮断薬を投与した群に分けた解析では,ドキサゾシンのみでは全く変化が認められなかった。
同氏は「β遮断薬がBNPの血中半減期を延長させたという可能性もあるが,今後,心機能や大血管系スティフネスについてのサブ解析でこのBNP上昇の意味を確認する必要がある」と述べた。
 
以上の結果から同氏は,今回の結論を「家庭血圧測定で明らかになるコントロール不良の早朝高血圧に対し,ドキサゾシンの就寝前追加投与は血圧をコントロールするとともに,微量アルブミン尿を改善した」とまとめた。

http://www.ttmed.com/cardiology/jp/ish2006/pdf/10.pdf
血漿中BNP 値は予想に反してドキサゾシ
ン群で増加した( 9 . 5 v s 0 . 0 p g / m L 、p <
0.001)が、この増加は3 ヶ月以降にβ遮断薬を
追加したサブグループでのみ有意であった。この
BNP 値が増加した理由については、α遮断薬とβ
遮断薬の併用による心機能への悪影響の可能性と、
β遮断薬の薬理作用によるBNP の半減期の延長
が影響している可能性が示唆された。
Japan Morning Surge-1 JMS-1
早朝高血圧は高血圧治療において大きな問題である。
以前からモーニングサージは交感神経活動と関係があり,α1遮断薬であるドキサゾシンの就寝前服用が行われてきた。また,早朝高血圧は高血圧性臓器障害を来しやすいことも報告されており,特に尿中アルブミン量が多いことも報告されている。
 
一般的に早朝高血圧の治療は,当然早朝の降圧が重要と考えられている。それらの目的でドキサゾシンが使用されていたが,なかなか早朝血圧をコントロールできない症例も認められる。
本研究でも20%の症例でドキサゾシンの降圧効果を認めなかったが,80%においては有効であり,やはり早朝高血圧の成因に交感神経系が大きく関与していることは間違いない。
 
本研究は,ドキサゾシンが単純に交感神経を抑制して降圧することによってUARを改善しているわけではないことを,降圧度を階層別に分けて証明した価値のある研究である。
つまり,ドキサゾシンを投与しない対照群においてもUARの改善は認められるが,対照群と降圧度を合わせて比較したところ,ドキサゾシン群で有意なUARの改善が認められたことを報告している。
この機序として,腎糸球体の輸出細動脈の交感神経を抑制するために,糸球体内圧に影響してUARが改善する可能性が考えられている。
 
したがって,早朝高血圧の治療にはドキサゾシン単独よりも,レニン・アンジオテンシン系阻害薬との併用が望ましいことも示唆された。しかし,ドキサゾシンが効きにくい症例もあり,年齢,肥満や腎機能の程度などの影響にも興味が持たれる。


早朝高血圧にα1遮断薬が有効
β遮断薬併用は心機能に有害な可能性も指摘、JMS-1試験報告から
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/ish2006/200610/501674.html
その結果、早朝血圧は、ドキサゾシン群では対照群に比べて顕著に低下した(-13mmHg 対 -4mmHg、P<0.001)。UARは、ドキサゾシン群では3.4mg/g Cr減少したが、対照群では変わらなかった。またドキサゾシン単独では2.4mg/g Crの減少だったが、ドキサゾシンとβ遮断薬の併用では、5.6mg/g Cr減少し、いずれも腎臓保護作用のあることが示された。

ところが、β遮断薬を追加投与した群ではBNPが9.5pg/mL増加した(P<0.001)。これについて苅尾氏は、「α、βのアドレナリン作用阻害が重なることで、心機能に対しては有害に働く可能性が示された」と考察していた。

JMS-1
http://www.ebm-library.jp/circ/doc_japan/J0026.html
家庭血圧における早朝高血圧は血圧レベルとは独立して高血圧性臓器障害と関連。
JMS-1
http://www.ebm-library.jp/circ/doc_japan/J0027.html
家庭血圧において起立性高血圧を評価する場合,就寝前より起床時の方が高血圧性臓器障害と関連。
JMS コホート研究
http://www.ebm-library.jp/circ/doc_japan/J0025.html
高血圧ガイドラインの血圧分類による死亡リスクは,男性では中等症以上,女性では重症高血圧で有意に上昇。 

 

<番外編>
心房細動へのワルファリンの使用その1(1/3)
東京慈恵医大 谷口郁夫教授
日本医事新報 2007.10.13 

■ワルファリン・カリウム(商品名ワーファリン)1962年に国内で発売。
■世界的にはワルファリン・ナトリウムが使用されている。
■両者間に差はないがワーファリンの名前は海外で通用しない。
(商品名クマディン,Coumadin)
■血液凝固因子を直接抑制する薬物ではなく、肝臓でビタミンK依存性性凝固因子(第Ⅱ,Ⅶ,Ⅸ,
Ⅹ)の生合成を抑制することによって抗凝固作用、血栓形成の予防作用を示す。
■ビタミンKを含有する食物はその作用を減弱させ、肝細胞癌のマーカーである血清PIVKA-Ⅱが高値を示すので、ワルファリン服用者では注意が必要である。
■65歳以上では心房細動の発生率は急増している。
(65歳以上で5.9%、80歳以上では10%)
■75歳以上の心房細動患者では、年間脳塞栓症発症リスクは6%。
■海外の多くの報告では、アスピリンによる脳梗塞低下率は20%以下であり、アスピリンの有用性は低いと考えられる。
■日本人の臨床試験において、リスクの低いNVAF患者に対する低用量アスピリンの効果は非服用群と差がなかった。(2006年JAST研究) JAST;Japan Atrial Fibrillation Stroke Trial
■JASTの結果からは、60歳以下のリスクのない心房細動患者には、アスピリン投与の必要はない。
■高リスクの心房細動患者では、アピリンとクロピドグレルとの併用でさえワルファリン単独投与よりも有意に脳梗塞発症率が高いという報告がある。
(Connolly S,et al:Lancet367:1903,2006)
■経口の抗トロンビン薬のキシメラガトランは副作用のため治験中止となった。
■従って、中等度以上のリスクの脳塞栓症予防にはワルファリンが唯一の薬物になっている。

<自遊時間>
医師であり漫画家でもある茨木保先生のことについては昨日の
HIJ-CREATE試験/アムロジピンとカンデサルタンの併用効果
http://blog.m3.com/reed/20080701/JMS-1_1
で書かせていただきました。
きょう、たまたま医学雑誌「medicina」2008.6を読んでいたら、彼が書かれた「まんが 医学の歴史」が紹介されていました(実は広告です)。
「医学は、人間を助けるために、人間が作り上げたもの」という素晴らしい副題もついています。
現在は婦人科を開業してみえるようですが、忙しい中の漫画の執筆。
頭がさがります。
プロはだしと思っていた漫画。
実はすでにプロだったんですね。

医学を描く
http://www007.upp.so-net.ne.jp/tibaraki/
いばらきレディースクリニック
http://ibaraki-ladies.jp/
(「猫山先生」のイメージと違って、立派なクリニックでちょっとびっくり)

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。

他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/
2008.5.21~ 「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
~2008.5.21
があります。

 

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