戯れ言たれる侏儒
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心疾患高リスク患者のスクリーニングにはCTの積極活用が必要
〔米オハイオ州クリーブランド〕
心疾患高リスク患者のスクリーニング・ガイドラインが改討されようとしている。
これはSHAPE(心筋梗塞予防のためのスクリーニングとその教育)対策委員会が提言したもので,テキサス大学サウスウェスタン医療センター(テキサス州ダラス)循環器内科のJason Lindsey博士らがArchives of Internal Medicine(2008; 168: 1055-1062)に発表した。

Ca沈着と血管閉塞をスキャニング
SHAPEが新しく提言する内容はCTを用いて冠動脈のカルシウム(Ca)沈着と閉塞を検出し,治療を必要とする高リスクの患者を同定するというもの。
 
Lindsey博士らは同大学のダラス心臓研究データをもとに,CTを用いて冠動脈のCa沈着と閉塞をスクリーニングすれば,コレステロール低下療法の適応患者をより多く同定できることを明らかにした。
CTスキャンにより,高リスクと分類された患者の数は増えたという。
 
同博士らは「われわれはSHAPEの提言に従い,冠動脈石灰化の撮影検査を追加することで,現行のリスク評価が改善されるか否かについて明らかにした」と述べている。

コレステロール低下療法の適応が27%増加
執筆責任者で同センターのJames de Lemos博士は「ダラス心臓研究の参加者にSHAPEの提言を適用してみると,コレステロール低下療法適応と診断される人の数は,現行のガイドラインを適用した場合に比べ27%増加する」と説明。「しかし,この提言が現行のガイドラインに組み込まれるか否かの判断は今後の経過を見てからになる。
今回の調査終了時にはまだ臨床的なアウトカムについては判断できないが,リスク評価という観点からは,これらのガイドラインが治療に与える影響がいかに大きいかを推し量るモデルとなるであろう」と述べている。
 
2004年に発表された現行のガイドラインでは,心筋梗塞あるいは脳卒中リスクを3つのカテゴリーに分類している。
リスクの高い人とは,
(1)心筋梗塞や狭心症の既往歴を有する
(2)血管形成術または心臓バイパス術を受けている
(3)上肢・下肢・脳などの血管に閉塞を来している
(4)糖尿病である
(5)10年以内の心筋梗塞リスクを20%増大させる複数の危険因子を持っている
    ・・・人である。
 
6,000例を対象とした多民族集団ベースのダラス心臓研究の一環として,心疾患の診断,予防,治療の改善を目的として実施された今回の研究では,目標のコレステロール値に到達できなかった患者の割合は加齢に伴い増加し,そのピークは55~65歳であることも明らかとなった。
出典 Medical Tribune 2008.7.24
版権 メディカル・トリビューン社

 

<関連サイト> 

冠動脈の石灰化と心筋梗塞のリスク
http://www.jhf.or.jp/q&adb/db4/4/1244s.html
冠動脈の石灰化は動脈硬化の進展の最終段階ではありますが、冠動脈の狭窄度とは必ずしも一致しない。

冠動脈石灰化でカテーテル検査は必要か
http://www.jhf.or.jp/q&adb/4-3/2783s.html

ヘリカルCTを用いた冠動脈石灰化スコアの有用性に関する検討
http://www.jcmi2002.med.kyushu-u.ac.jp/jcmi-kakunin/JCMI22/3-F-4-1/paper.html

ヘリカルCT搭載検診車による冠動脈石灰化の検出 : 出現頻度と冠危険因子および冠動脈疾患との関係
http://ci.nii.ac.jp/naid/110004664372/
冠動脈石灰化は60歳未満の男性群,または冠危険因子を多く持つ男女で冠動脈疾患と強く関係すると考えられた。

Coronary Calcium as a Predictor of Coronary Events in Four Racial or Ethnic Groups
http://content.nejm.org/cgi/content/short/358/13/1336
NEJM Volume 358:1336-1345  March 27, 2008  Number 13
Conclusions The coronary calcium score is a strong predictor of incident coronary heart disease and provides predictive information beyond that provided by standard risk factors in four major racial and ethnic groups in the United States. No major differences among racial and ethnic groups in the predictive value of calcium scores were detected.

Quantification of coronary artery calcium using ultrafast computed tomography
http://content.onlinejacc.org/cgi/content/abstract/15/4/827?ijkey=88d9637b16e0a0048aa5d37e6bc50af4b8db431b&keytype2=tf_ipsecsha
 J Am Coll Cardiol, 1990; 15:827-832

MDCT,電子ビームCTによる石灰化スコア
http://blog.m3.com/reed/20080426/MDCT_CT_

エストロゲン療法と冠動脈石灰化
http://blog.m3.com/reed/20070923/1
専門医の期待に応える64列MDCTの高画質
http://blog.m3.com/reed/20070930/1

 

読んでいただいてありがとうございます。
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ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/?2008.5.21
「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21 
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新着のMedical Tribune 誌(2008.7.24)の片隅に載っていた記事で勉強しました。
私にとっては、この週の中で一番の記事に思えました。

早速ですが話が少しとびます。 

趣味に関する雑誌(私の場合には音楽やオーディオ)には評論家がいろいろな評論や視聴記を書いています。
多くは予定調和的で、よくもあんなに批評にもなっていないような長い文章が書けるなあと感心してしまいます。
一方、音楽評論でいえば、吉田秀和氏の文章(評論)は読むに値します。
奥様を亡くされた後、しばらく活動を中止してみえました。
最近活動を再開され、新聞の文芸欄ですばらしい評論を目にすることが出来、楽しみに読んでいます(ごく最近はブレンデルについて取り上げていました)。

さて、話は戻って桑島先生。
大規模臨床試験を評論するには絶妙のポジション(所属)です。
座談会の記事はまだしも、国内の大規模臨床試験についての多くの大学教授のコメントには、蕁麻疹が出るほどの美辞麗句が並んでいます。
ところが、桑島先生のコメントは一味違うのです。
以下の内容も、東京都内の某大学で行われた某ARBの大規模臨床試験のことを話されているように受け取ってしまいました。
今後、京都や名古屋の大規模臨床試験の成績が出たときのコメントも今から楽しみにしています。

大規模臨床試験の読み解き方
併用薬やエンドポイントの設定に注目すべき
大規模臨床試験の実施が難しいとされてきたわが国でも,近年,高血圧症領域の大規模臨床試験報告が相次いでおり,これらの結果を日本の臨床現場にどのように反映させていくかが問われている。
そこで,東京都老人医療センターの桑島巌副院長に,臨床試験の読み解き方について解説してもらった。

エンドポイントに影響を与える併用薬の投与状況
臨床試験の結果を読み解く際に最も重要となるのが,一次エンドポイントだが,桑島副院長は「結果が正しく解釈されていないのではないか」と危機感を説く。
例えば,イベント発生率の比較を,時期に区切って分けて示されるような場合がある。
しかし,本来Kaplan-Meier曲線は各治療群に割り付けが開始されてから心血管イベントが発生するまでの時間を比較するものであり,単純に期間ごとの発生率を比較するものではない。
したがって,早期にイベント発生数が少ない群の治療効果が高いことを意味しており,試験開始後数年を経てからイベント発生率が低下して逆転しそうになったからといって「後になってじっくり効いてくる」という解釈は正しくない。
 
エンドポイントとともに重視すべきなのが併用薬の使用状況。
同副院長によると,特に国内の大規模臨床試験では,結果発表からJournal掲載までにタイムラグが発生することが多く,その間に併用薬が公表されない場合は注意すべきという。
併用薬の使用率が極端に異なる場合などは,「ベース薬を純粋に比較しているとは言えない」とした。

客観的指標か?―PROBE法
国内では,倫理的に二重盲検比較試験の実施が難しい事情もあり,PROBE法がよく選択される。
その際の約束事項として,桑島副院長は「治療介入が関係する項目をエンドポイントとしない」点を挙げた。
治療者が割り付けを把握しているPROBE法では,「心不全による入院」や「狭心症によるカテーテル検査」などは程度の差はあれ恣意的な介入があると考えざるをえない。
死亡や心筋梗塞といった厳格なエンドポイントに限定することが結果の信頼性を得る条件になるという。
 
このようなエンドポイントを設定せざるをえない背景として,もともと心血管イベントが少なく,治療レジメンが充実している日本では,患者の心血管イベント発生リスクが低いという事情がある。
国際的にも,スタチン系薬やアスピリンはほとんどの患者に使用されるなど,有意差が付かない試験が多くなってきた。それを反映してか,最近では非劣性試験も多く行われているが,同副院長はコストへの配慮や耐容性,持続性も考慮して臨床現場に応用していくべきと指摘している。

予定外のサブ解析には注意
桑島副院長は,サブ解析の読み解き方にも注意が必要とする。
まず,試験開始前のプロトコル文献に明記されていたサブ解析かどうかを確認する。
予定外のサブ解析は,より注意深く検討しなければならない。
本試験の対象症例数よりはるかに少ない場合は,恣意的な患者選択が行われていないかを確認する必要がある。
 
近年,サブ解析で多く扱われる「糖尿病新規発症」は,同副院長が分析した結果,「やはり降圧が重要」との結果にたどり着いたという。
糖尿病新規発症が重視される研究として,PIUMA study( Hypertension 2004; 43: 963-969)が有名だが,この試験では,糖尿病既往群と新規糖尿病発症群,さらに糖尿病未発症群に分けて心血管イベントを比較したところ,未発症群よりも糖尿病既往群と新規糖尿病発症群でともに有意にイベント発生率が高く,新規,既往での群間差はなかった。このため,糖尿病の新規発症は既に糖尿病を発症していた場合と同程度の心血管イベントリスクと考えられたわけだ。
しかし,同副院長が試験開始時の血圧を確認したところ,24時間血圧が両群で同等に高かったことが判明。
「糖尿病患者ではより厳格に降圧治療を行う必要性が示唆されているにすぎない」と指摘した。
「結果が未公表だったり,エンドポイントの一部の結果を強調したり,後ろ向き解析で補正を行うといった好ましくないことも行われている」と同副院長は指摘。
試験結果を臨床に反映させていく際には,医師自身が正しく読み取る努力をしていくべきとした。

ポイント
■ エンドポイントは発生までの時期を連続的に見る
■ 併用薬の使用状況は重要な情報
■ サブ解析はプロトコル論文で予定されていたものかを留 意する
■ PROBE法のエンドポイントは治療介入による項目が含まれていないか注意する
出典 Medical Tribune 2008.7.24
版権 メディカル・トリビューン社

ベル串田 油彩8号『少女』
http://page15.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/t80862402
 

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血圧上昇と総死亡リスク

戯れ言たれる侏儒 / 2008.07.29 00:02 / 推薦数 : 0

ごく最近聴いた学術講演会で、降圧剤の種類によらず降圧することで心血管死を減らすことが出来るという話がありました。
これはサイアザイド系降圧利尿剤を使った降圧でも同様であるということでした。
結構古い文献でのスライドもありましたが、ここは温故知新。
謙虚にその事実を受け止めなければいけないと思いました。
私達は、臓器保護作用が期待できるという比較的新しい降圧剤を処方することによって、一番重要な”厳格な降圧”をおろそかにしているのかも知れません。

ARBの講演会全盛の中、余りにもクラスエフェクトだの多面的作用だの薬剤特異性だのといった話が多かったような気がします。
昨今の厳しい降圧目標達成には、大抵は2剤以上の降圧剤が必要になります。
したがって、どのようなコンビネーションが適しているかといった各症例へのテーラーメイド治療の発想が一番重要かも知れません。

この講演会でも、以下の記事中の図がスライドで紹介されていました。

血圧上昇に伴い総死亡リスクが直線的に増加
日本人の総死亡リスクは男女とも血圧上昇に伴い直線的に増加することが,地域住民約18万人を対象とした国内13コホートの統合データ解析で明らかにされ,Hypertension(2008; 51: 1483~1491)に掲載された。
特に,より若い年齢層の男性の血圧上昇に伴う調整総死亡リスク増加が顕著で,収縮期血圧10mmHg上昇当たり40歳代で1.37倍,50歳代で1.23倍であった。
今回の知見は,循環器領域では日本人単独で初の統合データ解析であり,公衆衛生施策や高血圧治療指針にも影響を与えそうだ。

若年層は血圧上昇に伴う死亡率増加が顕
今回の多施設共同研究EPOCH-JAPAN(the Evidence for Cardiovascular Prevention From Observational Cohorts in Japan Research Group,主任研究者:滋賀医科大学社会医学講座福祉保健医学・上島弘嗣教授)の解析責任者である同科の村上義孝特任講師は「わが国の代表的な13のコホート研究の協力によりデータを統合し,巨大データベースを構築することで,個々のコホートでは十分な数にない40歳代や高血圧前症についても多数のサンプルが集まり,信頼性の高い解析結果が得られた」と,日本人における血圧と総死亡率の関連を示す詳細な解析結果を,男女別,40~80歳代の年齢階級別に提供した意義を述べた。
 
EPOCH-JAPANの対象は,北海道から九州に分布する10の地域コホートと3つの全国規模コホートの計13コホートで構成され,それぞれ1,000例以上の規模と実測された健診データ,10年前後の追跡期間を有する。
40~80歳代男女18万8,141例のうち,心血管疾患の既往のない17万6,389例(男性6万5,463例,女性11万926例)を解析対象とし,血圧上昇とその後の総死亡との関連について,ポワソン回帰分析を用い,喫煙,飲酒習慣,BMIについて補正したハザード比(HR)を推定した。
 
その結果,収縮期血圧,拡張期血圧とも10mmHg上昇するごとにその後の総死亡リスクが直線的に増加する傾向が見られた()。


70~80歳代に比べて40~50歳代では死亡率は低いものの,血圧上昇に伴う総死亡リスク増加が顕著であった。

また,降圧薬服用者を除いた解析でも同様の傾向が示されている。

血圧10mmHg上昇当たりの総死亡リスクは40歳代男性で1.37倍に
EPOCH-JA PANでは,平均追跡期間9.8年で1万7,757例の死亡が認められた。
収縮期血圧10 mmHg上昇当たり総死亡の多変量調整ハザード比(HR)は,男性40歳代,50歳代,60歳代,70歳代,80歳代の順に1.37,1.23,1.16,1.14,1.09。
女性はそれぞれ1.19,1.16,1.21,1.12,1.07()。


 
米国高血圧合同委員会(JNC7)の分類と総死亡との関連を見ると,男女ともすべての年齢層で血圧が上昇するほど総死亡リスクが増加する傾向が示された。
特に男性の40~50歳代,女性の50~60歳代では,正常血圧に比べて,ステージ2高血圧では総死亡リスクの増加が著しく,女性の50歳代では高血圧前症でもリスクが有意に増加していた。
正常血圧に対する高血圧前症,ステージ1高血圧,ステージ2高血圧の総死亡の多変量調整HRは,40歳代男性では,それぞれ1.45(95%信頼区間0.89~2.38),1.28(同0.70~2.34),3.38(同1.76?6.50),50歳代女性では,それぞれ1.33(同1.06~1.68),1.56(同1.19~2.04),1.85(同1.30?2.64)だった。

高血圧前症レベルのPAF約10%
血圧上昇の予防による死亡減少効果を示した指標である人口寄与危険度(PAF)は,対象者全員が正常血圧であれば男性22.7%,女性17.9%,正常血圧か高血圧前症であれば男性11.9%,女性10.9%減少すると推定された。
血圧は加齢に伴う上昇があり,高血圧予防では高血圧前症レベルの目標設定が現実的と考えられるが,それでも約10%の死亡率抑制効果が期待できることが示された。
 
滋賀医科大学社会医学講座福祉保健医学の村上義孝特任講師は「公衆衛生施策の立案などに際して詳細な基礎資料を提供することができた。
血圧上昇に伴う総死亡リスクは40~50歳代では急峻に,高齢者においても着実に上昇しており,"The lower the better"の原則が確認された。
血圧上昇による死亡リスクはある閾値を超えると増加するのではなく,直線的に増加することが明らかになった」と話す。
また,若年層では死亡率そのものが低く,高血圧前症の予防に関しては議論が必要だが,40~50歳代の未治療高血圧に対する受診勧告の重要性は再認識すべきと指摘している。

心血管死亡に特化した解析へ
データ統合解析は国際共同研究が主流で,英オックスフォード大学のグループの世界各国61コホート,100万人を対象とした報告(Lancet 2002; 360: 1903-1913)が最大である。

中高年世代では血圧が心血管死亡に強く関連することや,比較的若い年齢層の40~60歳代では死亡率が低いものの血圧上昇に伴うリスク増大はやはり顕著で,収縮期血圧20mmHg上昇当たりの心血管死亡リスクは2倍に上昇すると報告されている。
ほかに,アジア・オセアニア地域の国際共同研究( J Hypertension 2003; 21: 707-716)もあるが,日本人に絞った統合データの解析は今回が初めてである。
 
今回の研究では,血圧と心血管死亡との関連が検討されていないが,一般に心血管死亡は総死亡の3~4割を占めており,本研究結果はそれを如実に反映していると見ることはできる。
研究グループでは,既に各コホートから約20項目のデータを収集し,さらなるデータベースの整備を進めている。
喫煙習慣あるいは肥満と総死亡との関連について,さらに心血管死亡をエンドポイントとした解析も計画されており,今後の進展が期待される。

出典 Medical Tribune 2008.7.24
版権 メディカル・トリビューン社

 「Heart and Kidney - 私たちの近くにあるもの」
制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)

<コメント>

きょうの記事や、今や旬(?)のCKDの面からは、血圧は"The lower the better"ということになります。
2型糖尿病を有する米国先住民(インディアン)における無症候性のアテローム動脈硬化症の進展を比較検討したStop Atherosclerosis in Native Diabetics Study(SANDS)で、115 mmHg以下まで積極的に下げる群(積極治療群)では、標準治療群と心血管疾患イベントの発生率には差はなく、降圧薬に関係した有害イベント発生率と重度な有害イベント発生数は,積極治療群で高かったと報告されています。
何だかよくわからなくなってしまいます。

糖尿病患者の血圧とLDL-C目標値
http://wellfrog2.exblog.jp/d2008-07-29

 

<関連サイト>

高血圧死の危険、40代男性突出 厚労省が18万人調査
http://www.asahi.com/science/update/0705/TKY200807050110.html
http://hs-web.shiga-med.ac.jp/asahi080705.pdf

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昨日の続きです。

ARBによる血管保護について
堀内 
続いてバルサルタンによる血管保護の問題に移りたいと思います。
森下先生、よろしくお願い致します。

森下 
我が国において望月正武先生らが実施された大規模臨床試験JIKEI  HEART Studyでは、バルサルタン群で解離性大動脈瘤のリスクが81%有意に減少しました
(Mochizuki S et al. Lancet 2007;369:1431-1439)。
この成績は、我々の実験結果を裏付けるものとなりました。

堀内
その実験結果についてご紹介願います。

森下
ウイスターラットを使った腹部大動脈瘤モデル(elastase
infused model ) を作成して検討したところ、同モデルでは高血圧が転写因子NFκBやetsの増加を介して腹部大動
脈瘤を進展・増悪に関与していることが分かりました(Shiraya
S et al. Hypertension 2006; 48:628-636)。
さらに同モデルを使った検討では、血圧に影奪を及ぼさない投与量のバルサルタンが、非投与の場合に比べて有意に腹部大動脈瘤のサイズを減少させました。
その作用機序には、バルサルタンの持つMMP(matrix metalloproteinase)やNFκBなどの発現抑制効果が関与するとのデータも得ています。

Dzau
しかし腹部大動脈瘤と解離性大動脈瘤では病因がかなり違うのではないでしょうか。

森下
大動脈瘤は最終的に解離に到ると考えられます。

Dzau
マウスによる検討で、ARBがマルファン症候群の大動脈瘤を予防したことも報告されていますね(Habashi
JP et al. Science 2006; 312:117-121)。
 
森下
ARBは腹部大動脈瘤と解離性大動脈瘤の両方に関与しているNFκBの優れた阻害薬だと思います。
我々は、NFκBが脳動脈瘤形成に関与しているとの成績も報告しました(Aoki et al. Circulation 2007;116:2830-2840)。

Dzau
それは非常に興味ある報告です。

堀内
JIKEI  HEART Studyで得られた解離性大動脈瘤の成績は、従来治療(Ca拮抗薬、ACE阻害薬、β遮断薬など)にARBを加えて得られたものでした。
解離性大動脈瘤の薬剤選択に関して、Dzau先生はどうお考えですか?

Dzau
解離性大動脈瘤の治療には、従来からβ遮断薬が使われてきました。
しかしその後、ACE 阻害薬の登場に伴い次第にACE 阻害薬の単独使用も行われるようになりました。
しかし、JIKEI  HEART Studyでは臨床におけるARB追加の有用性が示され、基礎研究でもマルファン症候群における大動脈瘤予防のデータが示されたわけですから、解離性大動脈瘤に対するβ遮断薬 + RA系阻害薬併用の有用性を基礎研究から裏付ける作業が必要とされています。
 

ARBの糖尿病新規発症抑制作用をめぐって
堀内 
大規模臨床試験においてバルサルタンが糖尿病新規発症を抑制するとの報告が相次いでいます。
これは肥満、インスリン抵抗性あるいはこれらと関連したメタボリック・シンドロームにおけるAT1受容体ブロックの重要性を示していると思いますが、伊藤先生、バルサルタンの持つ糖尿病新規発症抑制作用に関してお話しいただけますか。

伊藤
これまでのRA系阻害薬による糖尿病新規発症抑制の成績は、すべてサブ解析のデータです。
しかし現在、耐糖能異常症例にバルサルタンを使った大規模臨床試験NAVIGATORが進行中です。
NAVIGATORでは心血管疾患既往または危険因子を有する耐糖能異常の約1万例を対象に、バルサルタンと速効型インスリン分泌促進薬ナテグリニド(2×2形式)による糖尿病進展抑制効果や心血管イベント抑制効果をプロスペクテイブに比較検討しています。両薬剤ともに食後高血糖を抑制すると思います。
しかし、バルサルタンはインスリンを低下させるのに対して、ナテグリニドはインスリン分泌を促進させます。
NAVIGATORではこうした作用機序の異なる薬剤が使われているので、糖尿病新規発症に関与する病態の違いを知ることもできるのではないかと期待しています。
     
Dzau
ナテグリニドの作用時間は短いので、血中インスリンを上昇させないことも考えられるのではないでしょうか。
       
伊藤
ナテグリニドは膵β細胞を刺激するためその機能を弱める可能性が考えられます。
ARBのように膵β細胞保護作用はありません。
これまでのサブ解析でARBが糖尿病の新規発症を抑制した
機序には、血流改善によるインスリンのデリバリー改善だけでなくARBの持つ膵β細胞保護作用(インスリン分泌の改善:膵リモデリング)が関与しているのかも知れません。
非常に興味のある点です。
 
Dzau
アンジオテンシンⅡ(AⅡ)が脂肪細胞の分化を抑制して脂肪細胞を大型化させ、悪影響を及ぼすという仮説(Sharma AM Hypertension 2002;40:609-611)をどう思いますか?

伊藤
Dzau先生らはバルサルタンを使って、間葉幹細胞のAT2受容体が脂肪細胞の分化を抑制することを報告なさいましたが(Matsushita K et al. Hypertension2006;
48:1095-1102)、脂肪細胞の分化についてはAT1受容体
を介する作用も考えられ、話は非常に複雑です。
いずれにせよSharmaの仮説は、臨床的には明確な結論がまだ得られていないと思います。
 
RA系研究の今後の課題(ARBの新しい可能性)
堀内
では最後にRA系研究の今後の課題について話し合いたいと思います。
Dzau先生、いかがでしょうか?

Dzau
本日話題になったマルファン症候群や解離性大動脈瘤におけるRA系の役割やARBの占める位置については、さらに研究が進むでしょう。
メタボリック・シンドロームでも同様のことが言えると思います。
また、ARBの脳卒中予防と関連して、脳梗塞サイズ縮小、認知機能改善や痴呆予防などの問題も将来の課題として残されています。
そして、それらの機序として、やはりARBの持つAT2受容体刺激の意義を確かめなくてはなりません。
私は特に間葉幹細胞におけるAT2受容体の機能に興味があります。

伊藤
代謝の分野では、現在、脂肪細胞が話題ですが、多くの研究者が神経系を介したinterもtissuecommunication
の代謝における意義に興味を示しています。AⅡは神経系
にも影響を与えるので、inter - tissue communicationのAⅡによる制御は重要と思われます。

森下
我々は最近、アミロイドβを脳質内に注入して作成したアルツハイマー病のマウスモデルの認知機能障害が、
ARB投与で改善されることを報告しました。
一方、やはりアルツハイマー病のマウスモデルを使った検討で、種々の降圧薬の中でも唯一バルサルタンだけが脳のβアミロイド蛋白値を低下させると同時に、空間学習能力を改善させたとの報告が出ました(図5)。

 

 


今後、臨床で検証していく必要があると思います。
さらに、AT1受容体ノックアウトマウス(卵巣を摘出した閉経後モデル)を使った我々の基礎研究から、ARBが破骨細胞の活性化を抑制するとのデ一夕が得られています(Shimizu H et al. FASEB J 2008; Feb6:18256306(P,SE,B,D))。
これはARBによるRA系抑制が、骨粗しょう症に有用であることを示唆するデータだと思います。

Dzau
いずれもARBの今後の可能性を考える上で、興味深いですね。
スタチンのようにARBにも多彩なpleiotropic effectsがあるように思います。
今後、基礎研究の成果を臨床試験で裏付けることが大切です。

楽木
RA系に関しては、プロレニン受容体、ACE2、Ang-(1-7)なども話題になっており、研究面でも新しい展開が期待できます。

Dzau
RA系研究にはまだ多くの可能性が残されていると思います。
RA系に対する興味は尽きることがありません。

堀内
本日はDzauを囲んで有意義な時間を過ごすことができました。
Dzau先生、”Dzauラボ”の皆さん、ありがとうございました。

Dzau
私は皆さんのようなスタッフを持ったことを非常に誇りに思っています。
ありがとう。

出典 Nikkei Medical 2008.7
版権 日経BP社

 

 

<関連サイト>
心腎連関 その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080320/1
ARBによるCV Continuum阻止の試み
http://blog.m3.com/reed/20080716/1
オルメサルタンのRA系抑制の新展開
http://blog.m3.com/reed/20080609/_RA_
心血管病を考慮した高血圧治療
http://blog.m3.com/reed/20080531/1
組織レニン
http://blog.m3.com/reed/20070914/1
(Dzau先生に関するエピソードも紹介しています)

<コメント>
最後のくだり(師弟愛)は感動すら覚えます。

Dzau先生は、たしかデューク大学におみえになると聞いています。

先日帰ってきましたが、医学部6年生のわが子が、短期留学先の選定で留学前に迷っていました。
候補はペンシルバニア大学、デューク大学、ジョンズホプキンス大学、ノースカロライナ大学チャペルヒル校など。
いずれも錚々たる大学です。
ちょうど、Dzau先生がデューク大学にみえるということを知ったので(http://blog.m3.com/reed/20070914/1)、生の姿がみえるということで勧めたことを思い出しました。
(結局はジョンズホプキンス大学に留学しました)

話がちょっととびます。
大腸がんの進行度分類にデューク分類というのがあります。
きょうのきょうまでデューク大学の分類と思っていました。
本当はデュ-クス博士が論文に発表したもので、ただしくはデュ-クス分類というようです。

とても恥ずかしい気持ちです。何故なら留学前のわが子にとくとくとデューク大学とデューク分類について話していたからです。

ジョンズホプキンス大学といえば何といってもウイリアム・オスラー博士でしょうが、日本人とのかかわりでいえば、私は故佐川喜一先生(元Johns Hopkins大学教授、Authur C Guytonの後継者として循環生理学を発展させた日本人)、国立循環器病センター研究所長 菅 弘之先生、九州大学 砂川 賢二先生の熱い師弟愛を思い出さずにはいられません。
ちょうどきょうのDzau先生達のような。

<参考>

ガイトン臨床生理学
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2000dir/n2380dir/n2380_07.htm
“やまもも”言いたい放題(「濃い人間関係」)
http://www5b.biglobe.ne.jp/~yamamomo/kaihobox/kaiho012.html
ポストゲノム研究におけるフィジオーム-(統合生理学)研究の必要性
http://wwwsoc.nii.ac.jp/psj/opn/65-4-1.html
九州大学 砂川 賢二
http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K002448/index.html

 

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ARBについては、最近AT2受容体への刺激作用が注目されています。
いわゆるAT1受容体の強力な(宣伝文句ではダブルアンカードメインとか高親和性とかいっています)ブロックとのDualEffectというわけです。
AT受容体のブロックが強力であればあるほど、あぶれたATⅡがAT2受容体を、より刺激するという理屈のようです。

ARBはAT2受容体刺激薬であると広言する先生も現れてきています。
このAT2受容体の働き(作用)については、私自身十分理解出来ていたというわけではありません。
学術講演会にでかけても、さらっと軽く紹介されるぐらいで、
活字でもなかなかいい説明がみつかりません。

そんな中、わかりやすい図(以下の文中の図2)の載った記事が目に留まりました。

 

レニン・アンジオテンシン系研究の現在と今後の課題

レニン・アンジオテンシン(RA)系研究の進歩には著しいものがあるが、研究の最前線で大きな牽引力を発揮してきたのがVictor J・ Dzau氏である。
そのDzau氏の研究室には、日本から多くの若い研究者が参加して重要な研究成果を報告し、帰国後は我が国の第一線で研究・診療を続けている。
今回は、そうした”Dzauラボ”に参加した日本人スタッフの先生方にお集まりいただき、ARBの話題も含めてRA系研究の現状と今後の、課題をめぐって話し合っていただいた。

 

基礎研究と臨床成績の両方から証明されたCardiovascular Continuumの意義
堀内
本日の日本人メンバーは、かつて米国のDzau先生の研究ラボに留学した”Dzauラボ”"のスタッフでした。
こうした形で我々の米国における恩師と討論の場を持てることを非常にうれしく思います。
まずDzau先生から、RA系研究の現状をめぐってコメントしていただきたいと思います。

Dzau
私がRA系の研究を始めたのは1950年代末から1960年代前半のことです。
1980年にはレニン蛋白に対する純粋な抗体の作成に成功しました。その後、私は組織RA系にも輿味を持つようになり、局所組織におけるアンジオテンシノーゲンmRAの存在を証明した最初のグループの一員となりました。
 
このようなRA系の基礎研究の途上で、1989年には
Eugene Braunwald先生と協力して、Cardiovascular
Continuum(心血管系イベントの連続性)という概念を作成し、高血圧などの生活習慣病から始まり、やがて心筋梗塞や心不全を発症して死亡に到る一連の心血管イベントの連鎖が存在すること、その連鎖にはRA系が深く関与しているとの考えを表明しました。
このCardiovascular Contmuumの概念は1991年に論文にまとめたのですが(Dzau V.  Braunwald E,Am Heart J 1991;121:1244-1263)、 当時は、Cardiovascular  Continuumの存在そのものをめぐって賛否両論がありました。
しかしその後、ARBなどのRA系阻害薬を使った大規模臨床試験において、RA系の亢進がいかに密接に脳・心・腎などの臓器障害に関与しているかが証明されています(図1)。


 
そして、我々が基礎研究を前進させればさせるほど、Cardiovascular ContinuumにおけるRA系の役割の重要性が示されるといった状況にあります。
この状況はさらに深まるものと思えます。
我々のラボは、1993年、本日の司会の堀内先生を含めた日本人スタッフの協力を得てAT2受容体のクローニングにも成功しました(Mukoyama M et aL J Bio lCheml 993;268; 24539-24542)。
AT2受容体刺激は、生体に良い影響を与えるのではないかと私は考えています。
いつの日にか、、AT2受容体刺激薬による治療も可能になるのではないかと、RA系の臨床での新しい展開に私は非常に大きな期待を寄せているのです。

ARBによるAT1受容体ブロックとAT2受容体刺激の意義
堀内 
数あるARBの中でもバルサルタンは、AT1受容体に対する選択性が高いことが分かっています(表1)。

 


また、AT1受容体やAT2受容体のノックアウトマウスを使った
我々の基礎研究から、バルサルタンはAT1受容体ブロックに加えて、今、Dzau先生が話題になさったAT2受容体刺激というDual sEffectにより、効果を発揮していることが示唆されました(図2)。

Dzau
ヒトではどうなのか、まだ余り詳しいことは分かっていませんね。

堀内 
患者から得られたDCA(方向性冠動脈腫瘍切除術)サンプルを入手して検討したところ、ヒト冠動脈においてもAT1I受容体と同様にAT2受容体の発現も認められましたから(図3)、臨床でも同じことが言えるのではないかと考えています。

ARBによる高齢者高血圧の治療をめぐって
堀内
では続いて、ARBによる高齢者高血圧治療について取り上げたいと思います。

楽木
ESH/ESC(欧州高血圧学会,欧州心臓病学会)による高血圧管理ガイドライン2007では、高齢者の収縮期高血圧に対しては利尿薬とCa拮抗薬を選択することを推奨しており、RA系阻害薬は含まれていません(European Heart Jounal 2007;28:1462-1536)。
これに対して我が国の高血圧治療ガイドライン(JSH)2004
では合併症のない場合の高齢者高血圧に対する一次薬
としてCa拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、少量の利尿薬が挙げられています(図4)。

 

高齢者高血圧におけるARBやACE阻害薬の降圧効果は既に立証されています。
我が国で実施されたハイリス高血圧を対象にARBとCa拮抗
薬アムロジピンの有用性を比較した大規模臨床試験
CASE-J (4,728例、平均年齢63.8歳)では、両薬剤とも
に良好な降圧効果を示しました。70歳代ではARBで
137/75mmHg、Ca拮抗薬で136/74mmHg、80歳代でも各々138/74mmHg、137/73mmHgまでの降圧を達成しています。
高齢者においても、両薬剤で副作用に差は認められませんでした。
この結果から、ARBは高齢者高血圧に対しても非常に有用な薬剤であると考えられます。
 
Dzau 
CASEJでは65歳以上の高齢者はどの位の比率だったのですか?
 
楽木 
約半数を占めていました。

出典 Nikkei Medical 2008.7
版権 日経BP社

 

<追加>

m3.comのブログ「世迷い独り言」でお馴染みの森下竜一先生は、AT1受容体遮断とAT2受容体刺激の重要性について、ある座談会で次のようなコメントをしてみえます。

AT1受容体もAT2受容体も同じ7回膜貫通型なのですが,AT1受容体は昇圧や血管平滑筋細胞の増殖促進などに関与するのに対して,AT2受容体は逆に血管平滑筋細胞の増殖抑制や血管内皮の拡張に関与するなど善玉の働きをしています。
ARBはAT1受容体遮断とAT2受容体刺激の作用がありますから,この2つの作用によって生体をよい方向に導いているわけです。
ARBがAT1受容体を遮断する結果,血中で増加したAIIがAT2受容体と結合してAT2受容体を刺激すると考えられます。
血管保護作用の強いARBはAT2受容体刺激作用も強いと思います。

出典 Nikkei Medical 2008.7
版権 日経BP社

 

<自遊時間>
暑い毎日が続きます。
昨日の土曜日はひょっとして今年一番の暑さだったかも知れません。
そんな中、某メーカーの、カルシウム拮抗剤と心腎連関の講演会を聴きに行きました。
ARBが全盛の中、ある意味新鮮に聴くことが出来ました。
CKDが主体だったので、出席者もなじみの循環器関係の先生が少なく、ある意味でこれまた新鮮でした。
懇親会で乾杯の音頭をとった昔の研究室の後輩(現、某病院院長)は唯一の知っている先生ということで、自分の年を再認識した次第です。
彼とはつい話がはずみ、懇親会を最後に後にしたのは、我々二人。
会場前に居並ぶ数多くのMRさんの見送りを受けて、ちょっぴり恥ずかしい思いをしました。

都会生活のおかげで、毎週のように(?)講演会に無料(しかも懇親会付き)で参加。

ブログのネタさがしの取材とはいえ、こんな快適な医者暮らしでは僻地での診療生活は思いもつきません。

 

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心不全とQRS時間延長

戯れ言たれる侏儒 / 2008.07.26 00:04 / 推薦数 : 0

心不全患者の単純な心電図QRS時間の延長から臨床的にどこまで考えるか?
心不全の増悪で入院し左室駆出率(LVEF)の低下がみられる患者では、QRS持続時間が延長している例が多く、QRS持続時間延長は退院後の高い疾患罹患率および死亡率の独立の予測因子であることが明らかとなった。
心不全入院患者は退院後の疾患罹患率および死亡率が高いことが知られているが、入院中のQRS持続時間の予後予測因子としての価値はあまり検討されていなかった。

EVEREST試験のレトロスペクティブな事後解析
本研究は、心不全で入院したLVEF≦40%の患者を対象とした二重盲検プラセボ対照無作為化試験Efficacy of Vasopressin Antagonism in Heart Failure Outcome Study With Tolvaptan(EVEREST)のレトロスペクティブな事後解析である。
2003年10月~2006年2月に北米、南米、ヨーロッパの359地区から4,133例が登録された。

登録時にペースメーカーもしくは植込み型除細動器を使用していた1,029例、およびベースライン時にQRS持続時間の報告がなかった142例を除外した2,962例が解析の対象となった。
そのうち、1,641例はベースライン時のQRS持続時間が正常(<120ms)であり、1,321例が延長(≧120ms)していた。主要評価項目は、全原因死亡、および心血管死/心不全による入院の複合エンドポイントの2つとした。

フォローアップ期間中央値9.9ヵ月におけるおもな結果は以下のとおり。
●全原因死亡率:QRS持続時間延長群で有意に高い
・QRS持続時間正常群:18.7%
・QRS持続時間延長群:28.1%
 (ハザード比:1.61、95%信頼区間:1.38~1.87) 
 
●心血管死/心不全による入院の複合エンドポイント:QRS持続時間延長群で有意に高い
・QRS持続時間正常群:32.4%
・QRS持続時間延長群:41.6%
 (ハザード比:1.40、95%信頼区間:1.24~1.58)
 
●補正後のQRS持続時間の延長と主要評価項目の関連
・QRS持続時間の延長と全原因死亡リスクの増加が有意に相関
 (ハザード比:1.24、95%信頼区間:1.02~1.50)
・QRS持続時間の延長と心血管死/心不全による入院のリスクの増加が有意に相関
 (ハザード比:1.28、95%信頼区間:1.10~1.49)
 
●QRS持続時間延長群のうち、入院中の最終の心電図検査でQRS持続時間が正常化していたのは105例(3.6%)にすぎなかった。

 

 「Heart and Kidney - 私たちの近くにあるもの」
制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)

<監修者のコメント>
本研究は、心不全患者の単純な心電図QRS時間の延長から、循環器診療において、その予後と最新の治療選択に関する臨床的意義をどこまで考察できるか? という重要なトピックを扱っている点から取り上げた。

まず、重要な点は、左室収縮不全による心不全入院患者において、QRS延長(≧120ms)は対象者の44%と高頻度に見られ、ハードエンドポイントである総死亡を補正前では61%、補正後においても24%の増加と明確に予後不良に関連している点である。
入院時に延長していたQRS時間は、その後、短縮することもあるが、それはまれで、例え短縮しても予後不良に関連している。

また、QRS時間の予後への影響は、心不全のその原因に冠動脈疾患の有無に関わらない。

本研究対象者の左室機能が低下した心不全患者では、β遮断薬、レニンアンジオテンシン抑制薬(ACE阻害薬かアンジオテンシン受容体拮抗薬)、利尿薬(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を含む)等の十分な薬物療法をしているにもかかわらず、一年以内に25%以上が死亡している。

その死因の2/3以上は、心不全死か突然死である。

この重症心不全患者の心不全死に対する最新治療として、QRS時間の延長から、次の手段として心臓同期化療法(CRT)の適応を考える必要がある。
一般的に、左室収縮能が低下した患者において、QRS時間の延長は左室壁の部位により収縮期がずれる左室同期不全を意味する。
実際に組織ドップラーをも用いた心エコーによる検討では、左室駆出分画35%未満のQRS>120 msを示す患者の60%以上に、左室同期不全がみられる。
このような例では、両室ペーシングによる心臓同期化療法(CRT)により、機能的僧房弁逆流の改善や心筋酸素消費量の低下がみられ、長期的には左室リモデリングが改善することが期待できる。
以前、本誌2007年11月26日号にとりあげたEF35%未満でNYHAIIIの心不全患者を対象にCRTの有用性を検討した無作為化試験RethinQ研究では、QRSの延長がない(<130ms)の心不全患者にCRTを行っても、運動耐容能の改善作用は期待できないことが示されている。

([監修] 自治医科大学 循環器科 教授 苅尾七臣)
http://www.carenet.com/news/cardiology/newsnow/det.php?nws_c=4742

<原著>
Clinical implications of QRS duration in patients hospitalized with worsening heart failure and reduced left ventricular ejection fraction.
Wang NC et al. JAMA. 2008; 299: 2656-2666.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18544725?ordinalpos=26&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum

<コメント>
気になったところ2点。
レトロスペクティブなら、そのついでに入院前の心不全のない時点での心電図上のQRS持続時間が検討されていれば知りたいこと。
もう1点はQRS持続時間以外にl-VATの検討がされていないこと。

 

 トレンツ・リャド『モナコの薔薇』
http://page8.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/h65345391

 <自遊時間> 
ついに判を押しました。

超音波診断装置(エコー)選びも最終段階。
数日前から業者の動きも慌ただしくなり、値引き競争になっていました。
こちらも半日単位で購入予定機種がコロコロ変わるいい加減さ。
開業医ゆえ、上位機種、さらには中級機種は最初から候補になっていません。
具体的には東芝のNemioXG、日立のApron EUB-7000HV、GEのLOGIQ P6の3機種が候補でした。

最終的に今日契約したのはGEでした。

コンパクトということも魅力ですが、何だか感性に訴えるものがあったからです。
決定打となったのはデジタルRAWデータ・マネージメントでした。
そして以下の言葉でした。
「GE Healthcareでは先生方の検査環境や患者様のことを念頭に置いて、日本を含む世界中の開発チームが密接にリンクしながら24時間365日、超音波診断装置を開発し続けています。」

LOGIQ P5
http://stg-japan.gehealthcare.com/cwcjapan/static/rad/us/msujlogiqp5.html

A fresh look at Ultrasound.
先生方がお探しの超音波診断装置がここにあります。
http://stg-japan.gehealthcare.com/cwcjapan/static/rad/us/index.html

 

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JAMA誌に掲載された論文に対する解説で勉強しました。

JAMA Hellings WE, et al. 2008;299:547~554
(University Medical Center,The Netherlands.)

論文名は
「アテローム硬化性プラーク構成成分と頚動脈内膜切除術後の再狭窄発生の関係」
Atherosclerotic plaque composition and occurrence of restenosis after caratid endarterectomy

研究背景:
インターベンション標的部位に存在するアテローム硬化性プラークの構成成分について、今まで再狭窄予測マーカーとしての評価がされていない。
結論 
プラーク構成成分は頚動脈内膜切除術後の再狭窄に関する独立予測因子である。
脂質含有量の多い(脂質リッチ)炎症性プラークの除去は再狭窄のリスク低下と関連している。
<解説>
CEAかCASか、組織I性状で治療方針が決まる?
虎の門病院循環器センター 石綿清雄 内科部長

 

再狭窄は血管治療の効果を損なう大きな問題である。
冠動脈疾患に関しては薬剤溶出性ステント(DES)の登場により特殊な病態を除きほぼ忍容できるレベルにまで再狭窄を予防できるようになったが、頚動脈狭窄に関してはどうであろうか?
主流の治療法は頚動脈内膜切除術 (CEA:Carotid Endarterectomy ) であるが、最近、より低侵襲の Carotic Artery Stenting (CAS) が導入されてきた。
CASは十分な治療効果を有することが認められているが、治療手技として確立されるには現在進行中である臨床試験の結果が待たれる。
これは1990年代に CABG と PCI の比較試験が多く行われ、 PCIの虚血性心疾患における地位が確立されてきた過程によく似ている。
実際、CEAは依然として主流の治療ではあるが、多くの治療が現在低侵襲性の方向にあり、CEAの適応であるがリスクの高い症例にはCASが行われている。
 
さて、CEA後の再狭窄は欧米のいくつかの臨床研究のメタアナリシスより、治療後1年以内に生じる可能性は10%程度であり、以後2年目3%、3年目2%、さらに長期間に再狭窄が生じるリスクは年1%というデータが示されている。
最近発表された最も信頼のおけるAsymptomatic  Carotid Atherosclerosis Study (AOAS)でも、3~18カ月の再狭窄率は7.6%、その後60カ月までは動脈硬化の進展により
1.9%と報告されている。
CEA後に生じる再狭窄病変の主体は冠動脈の再狭窄と同様に平滑筋細胞の増生であり、慢性期には合成型の平滑筋細胞が増生し、細胞外マトリックスであるコラーゲンやプロテオグリカンなどが産生され再狭窄病変が形成される。
また、血管リモデリングも再狭窄の重要な要因である。
術後1~3年の早い時期の再狭窄病変には通常、動脈硬化巣にみられる泡沫細胞や脂肪の集積がみられることはまれである。
一方、数年経過した場合は再狭窄とはいわず、新たに生じた動脈硬化病変として認識すべきである。
 
本論文では、術後再狭窄の予測因子として切除標本の病理学的検討が有用であるとしている点が興味深い。
術後再狭窄の予測因子として切除標本を病理組織学的に検討し、脂質リッチな炎症性プラークの場合には再狭窄が少ない、という新たな知見を提示している。
すなわち、切除標本でマクロファージが多く浸潤し、脂質コアの大きなプラークほど再狭窄のリスクが低いという結果であった。
一般的に、脂質リッチな不安定プラークの治療はCASにしてもCEAにしても再狭窄率は高いという報告が多い。
特にステント治療においては集積する炎症細胞がステントの刺激を受けて反応し、新生内膜の増殖に働くことがその原
因とされている。
しかし、これまでの報告では組織学的な正当性が確認できていなかった。
また,今回の検討は粥腫を切除した後であり、すでに反応する組織は大方取り除かれていることもあり単純な比較は困難であるが、この新たな知見は今後の治療戦略にかかわってくると考えられる。
すなわち、将来的に術前にMRIやMDCTなどでプラーク性状が確認できれば、CEAかCAS、またパッチの使用など治療方針の決定に大いに役立つ可能性がある。


出典 MMJ Vol.4 No.7 2008
版権 毎日新聞社

 

 

「Heart and Kidney - 私たちの近くにあるもの」
制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)
 
<講演メモ>

最近行われた講演のメモからです。

走り書きのメモからの内容のため間違っていることがあるかも知れません。
特別演題(「高血圧治療の歴史と進歩〜ARB最近の話題〜」)
京都府立医大循環器内科 松原弘明教授 
(主催:武田薬品工業)

■ARBはAT2受容体刺激薬である。
■JSH2004は近々改訂になる。
■AT1受容体の発現部位は心基部と心室中隔に限局する。
■AT受容体は心臓にはもともと少ない。
■急性心筋梗塞でAT受容体(動物実験)発現が亢進。
(AT1 3倍、AT2 2倍 増加)
■AT1受容体刺激 40mmHg上昇
 AT2受容体刺激 15mmHg下降
■心筋繊維化はAT2を抑制
■ARBは動脈硬化を抑制する。(血管RA系,骨髄RA系)
■高脂血症マウス
■骨髄細胞にはAT1受容体が多い。
■ARBは糖尿病新規発症を抑制する。
■カンデサルタンは脂肪細胞を小型化する(ラット)。
■カンデサルタンには膵β細胞保護作用がある。
■肥満の定義は、国内と海外では異なる。
 国内 BMI25以上
 海外 BMI28以上
■CHARM試験紹介
■CKDにはACEIよりカンデサルタンがよかった。
■肥満の方ではアムロジピンよりカンデサルタンがよかった。
■カンデサルタン関連の臨床試験の紹介
OGAKI
HIJ-CREATE
CASE-J
E-COST
ARCH-J
(参考:紹介されませんでしたが,その他にChallenge-DM,DIALYSIS、TROPHY,SCOPE,ACCESS,CHARMがあります)
■その他雑談として
京都府立医大は京大より数年前に開設され、歴史的には東大に継ぐ2番目の歴史のある医科大学である。
当時、東大から教授が来ていたが多くの教授は京大に移ってしまい、今に至っても両大学はあまり仲がよろしくない(オフレコ?)。
両大学とも建築ラッシュだが、基礎を深く掘ると遺跡が出て来て工事がストップしてしまう。
したがってある一定以上は掘らないようにして、基礎を打ち込む方式をとっている。(京都方式?)

<参考サイト>

府立医大の歴史
http://www.kpu-m.ac.jp/modules/pico/index.php?content_id=7
京都大学沿革(医学部)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/profile/intro/history/index.htm/

(これらのサイトで見ると前者が明治5年、後者が明治32年となります)
長崎大学医学部
http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/med/top/message.html
(ちなみに気になって長崎大学を調べました。1857年ないしは1861年と書かれています。何と明治以前ということになります。)

<自遊時間>
大学の歴史や沿革というのは関係ないといえば関係ないことで、どうでもいい部類のことかも知れません。
以前にも書きましたが、あの歴史の浅いアメリカの大学でさえ日本に比べればはるかに古い歴史があることに驚かされます。
その例がハーバード大学。
医学部自体の創立がいつだかはわかりませんが、大学自体は1636年。
この頃の日本は・・・と思うと情けなくなります。そしてそんなことを考えると明治前に出来たとかどうかということやどっちが先ということも滑稽なことかも知れません。

たとえば、モンペリエ大学の医学部。
800年前に創設された、ヨーロッパ最古の医学部といわれています。
http://www.nhk.or.jp/sekaimachi/detail/data/070806.html

一方、国内のある医学部の沿革についての医学部長の言葉。
「○○大学医学部はその源を○○藩校に発し、130年有余の歴史と11,000人を超える卒業生を誇る日本でも最古の医学部の一つです。」

何だかなあ・・・。

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ENHANCE試験については今までにも取り上げました。

エゼチミブの臨床的位置付け
http://blog.m3.com/reed/20080614/1
ENHANCE試験
http://blog.m3.com/reed/20080418/ENHANCE
ENHANCE試験をめぐる論争 その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080428/1
ENHANCE試験をめぐる論争 その2(2/2)
http://blog.m3.com/reed/20080429/ENHANCE__

 

ENHANCE試験は、ネガティブデータだったため、その後もいろいろくすぶっているようですし、アングロサクソンは我々日本人と違って、いろんなことに尾を引くようです。
 

ENHANCE試験といえば、頚動脈のIMTの計測値論争です。
いわば「ノミのき○た○」ないしはその「や○ざ○」論争です。
IMTのような微妙な計測値は、超音波装置の性能や計測者によって当然変化するはずです。
少なくとも超音波装置は同一にすべきと思いますが、恥ずかしながら原著を読んでいないのでよくわかりません。

 

エゼチミブ・シンバスタチン併用めぐる終わりなき論争

今年初め、、ENHANCE(Effect of Ezetimibe Plus Simvastatin vs Simvastatin Alone on Atherosclerosis in the Carotid Artery)試験の主な結果が学会や医学専門誌ではなく、プレスリリースの形でメディアに発表された。
このとき示されたエゼチミブ・シンバスタチン配合剤のアテローム硬化に対する進展抑制効果について、専門家のあいだで論争がいまだに続いている。
それについてJAMA(2008;299:2266)が取り上げている。
 

2カ月後に開催された米国心疾患学会(AAC)総会で、ENHANCE試験の詳細なデータがようやく発表された。
AACはこの件についてすぐに専門委員会で検討し、活発な販売促進が展開されている本剤は、低比重リポ蛋白コレスデロール(LDL-C)値の低下が必要な患者への切り札として
残すべきだという見解を発表した。

AACでENHANCE試験の結果を発表した筆頭研究者、Academic Medical Center(オランダ)Jhon.JP.Kastelein博士によると、ENHANCE試験は24カ月間の無作為化、二重盲検、対照試験で、家族性高コレステロール血症患者720人を対象に実施された。
対象患者はエゼチミブ・シンバスタチン併用群(10mg/80mg配合剤)もしくはシンバスタチン単独群(80mg)に無作為に割り付けられた。
 
1次エンドポイントは、アテローム硬化進展の代理マーカーとして、頚動脈内膜中膜複合体厚(IMT)平均の変化を用いた。Kasteleinは、IMTに関して2つの治療群間に有意差は認められなかったが、エゼチミブ・シンバスタチン併用群ではシンバスタチン単独群に比べ、LDL-C値が有意に低下したと報告している(Kastelein.J.JP,et al.N.Engl J Med 2008;358:1431~1443)。
 
Kasteleinによる発表に続いて、Yale大学内科教授のHarlan  M. Krumholzが壇上から見解を述べている。
「これらは明らかにネガティブな成績であり、実地診療における高脂血症治療を見直す必要がある。特に、米国内ではエゼチミブの適切な処方を考えるべきだ」。
実際、ENHANCE試験の結果が公表されるまで、米国内におけるエゼチミブの売り上げは高コレステロール血症治療の市場で約15%を占めていた。
 
エゼチミブ・シンバスタチン配合剤は2004年に米食品医薬品局(FDA)から承認されたが、臨床上の有用性を明確に示すエビデンスがあったわけではない。
しかし、積極的な販売活動によって売り上げが何十億ドルに
も)膨らんだ、とKrumholzは述べている。
これは医療費だけではなく、患者全般に影響する問題でもある。
例えば、スタチンが臨床転帰を改善するというエビデンスは多数報告されているにもかかわらず、LDL-C低下作用のみを重視して高用量スタチンの代わりにエゼチミブ・シンバスタチン配合剤を処方してきた医師も少なくないからだ、と彼は指摘する。
   
ENHANCE試験(2004年開始)の解析結果が、そろってから発表されるまでに時間がかかった問題を調べている米国議会の議員もいる。
Chuck Grasserley上院議員は3月末に、エゼチミブ・シンバスタチン配合剤を販売している合弁会社の親会社、Merck社とScering-Plough社の幹部に疑義を問う書簡を送っている。
  
専門医はSchering-PloughとMerckからの依頼で実施された同様な別の臨床試験、IMPROVE-IT(Examining Outcomes in Subjects With Acute Coronary Syndrome: Vytrin[Ezetimibe/Simvastatin] vs Simvastatin)に対しても批判的な意見を寄せている。
IMPRONE-ITもエゼチミブ・シンバスタチン併用とシンバスタチン単独を比較した試験だ。
Harvard大学医学部内科教授のJerry Avornによると、エゼチミブ・シンバスタチン併用療法とシンバスタチン単独療法を受ける患者の臨床転帰を比較するという研究デザイン自体に問題がある、と指摘する。
かりにIMPRONE-ITでエゼチミブ・シンバスタチン併用の優
位性を支持する結果が出たとしても、併用群ではエゼチミブ(10mg)、シンバスタチン(40mg)、単独群でもシンバスタチンの用量は40mgに設定されており、80mg用量での比較が行われていない、と理由を説明する。

IMPROVE-IT試験の終了時期が2012年に延びたと最近発表され、エゼチミブ・シンバスタチン併用の是非をめぐる論争はいっそう激しくなっているようだ。
試験実施研究者の説明によると、当初11,000人の患者を
登録する予定だったが、さらに7,000人追加する必要があるからだという。
そして、ある程度の件数の臨床イベントを集積するためにも、試験期間の延長が必要と説明している。
IMPROVE-ITの終了がエゼチミブ・シンバスタチン配合剤の承認から8年後にもなることについて、 Avornは次のように批判している。
「この薬が他剤より有用なのかどうかはっきりするまで、何年間も販売が継続される。この間に何百万人もの患者に処方され、何十億ドルもの医療費が使われるのを眺めているのは奇異な状況と言わざるを得ない」
 
出典 MMJ Vol.4  No.7  2008
版権 毎日新聞社

 「Heart and Kidney - 私たちの近くにあるもの」
制作 Heart and Kidney制作委員会
(シオノギ製薬 配布物)

<自遊時間>

長らく愛用した超音波装置がご臨終になった話は以前にさせていただきました。
いよいよデモも終わり、機種選定は最終段階に入りました。
カラードップラーといえば今や当たり前のことです。
そして頚動脈エコーでのIMT測定、そして椎骨動脈の描出も当たり前の時代のようです。
CWは開業医には不要かも知れませんが欲しいような気もします。
東芝、日立、GEの中からファイナルアンサーを迫られています。
ここはちょっと奮発して老後のボケ防止のおもちゃとして・・・。
あるハリウッドスター(男優)が妊娠した奥さんのために(自宅と別荘に最上級機種を2台、しかも言い値で)購入して新聞沙汰(医師法違反?)となったメーカーに決まりそうです。
自分なりに清水の舞台から飛び・・・です。
当然、最上級機種なんかではありませんが。

読んでいただいてありがとうございます。
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「井蛙内科/開業医診療録(2)」
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「井蛙内科/開業医診療録」~2008.5.21 
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前回の
PRoFESS 血小板療法の比較(2008.7.18)
http://blog.m3.com/reed/20080718/PRoFESS
___
に続きPRoFESSに関する記事で勉強しました。

テルミサルタン群とプラセボ群、脳卒中再発抑制において有意差なし
PRoFESSの結果-脳卒中再発予防効果
カナダ マクマスター大学教授のSalim Yusuf氏

2008年5月、フランスのニースで開催された第17回欧州脳卒中学会(ESC2008)のLarge clinical trials のセッションで、脳卒中再発予防の評価を目的とした大規模臨床試験PRoFESS(Prevention Regimen For Effectively avoiding Second Strokes)の結果が発表された。

まず、抗血小板療法に関する結果が報告され、続いてテルミサルタンとプラセボを比較した結果が、カナダ マクマスター大学教授のSalim Yusuf氏によって発表された。

これまでの大規模臨床試験によって、降圧療法は、脳卒中の再発を抑制することが示されている。

例えば、PROGRESS(Perindopril Protection Against Reccurrent Stroke Study)では、ACE阻害薬と利尿薬の併用を4年間行うことで、収縮期血圧は9mmHg低下し、脳卒中再発抑制が示された。

また、HOPE(Heart Outcomes Prevention Evaluation Study)では、ハイリスク高血圧患者にACE阻害薬が4.5年間投与され、3mmHgの降圧によって脳卒中再発抑制が示されている。

そこでPRoFESS試験では、追跡期間2.4年(中央値)という早期の段階での脳卒中再発抑制が検討された。

比較されたのは、テルミサルタン(Telmi群)の1万146例とプラセボ(Plac群)の1万186例。
1次アウトカムは脳卒中再発、2次アウトカムは、脳卒中再発・心筋梗塞・血管死・心不全新規発症および悪化の複合アウトカムと糖尿病新規発症とされた。

試験開始時の血圧はPlac群144.1/83.8mmHg、Telmi群144.2/83.8mmHgとほぼ同じであり、試験期間を通じてTelmi群ではPlac群と比較して収縮期血圧は3.8mmHg、拡張期血圧は2.0mmHg低下した。

その結果、1次アウトカムの脳卒中再発に関しては、Telmi群に5%のリスク減少がみられたが、有意差は認められなかった。
Telmi群におけるリスクは、0~6カ月では7%増加、6カ月を過ぎた期間では12%減少だった。

また、Telmi群おける複合アウトカムは6%のリスク減少、糖尿病新規発症は18%のリスク減少がみられたが、いずれも有意差はみられなかった。

この結果についていYusuf氏は、「6カ月を過ぎた時期からリスク減少がみられているので、テルミサルタンの長期投与によって、ベネフィットが得られる可能性が示唆された」と述べた。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/special/ATT08/hcp/topics/200807/507252.html

 

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<関連サイト>
PRoFESS 
脳梗塞2次予防にみる最新の動(2008.4.14)
http://wellfrog.exblog.jp/tags/PRoFESS/

 

PRoFESS試験と治療ガイドラインの関係
http://medicineblog.blog32.fc2.com/blog-entry-34.html

(以下、サイトの内容からの抜粋です)
■ 抗血小板薬に関するリコメンデーションは、
(1)非心原性虚血性卒中またはTIAの患者には、卒中の再発やその他の心血管イベントのリスクを削減するために、抗凝固薬より抗血小板薬を推奨する(クラスⅠ、エビデンスレベルA)
(2)当初の治療に際して、アスピリン(50-325mg/日)、dipyridamole徐放製剤とアスピリンの併用、そしてclopidogrelは、何れも容認できる選択肢である(I、A)
(3)アスピリン単剤よりもdipyridamole徐放製剤との併用を推奨する(I、B)
(4)直接比較試験に基づいて、アスピリン単剤に代えてclopidogrelを考慮すべきかもしれない(IIb、B)
(5)アスピリン以外の抗血小板薬の選択に関する十分なエビデンスはない。
(6)抗血小板薬の選択は患者のリスク因子や耐容性、その他の臨床的特徴に基づかなければならない。

PRoFESS試験では、dipyridamole徐放製剤とアスピリンのコンビ薬の効果がclopidogrelと比べて非劣性であることが確認されませんでしたが、clopidogrelのほうが優れていた訳でもありません。AHA/ASAのガイドラインには矛盾しないことになります。

■血圧管理に関するリコメンデーションは、
(1)虚血性卒中またはTIAを経験して超急性期を超えた人には卒中の再発やその他の血管イベントを防ぐために血圧治療を推奨する(I、A)
(2)効果は高血圧症の有無を問わないので、全ての虚血性卒中またはTIA患者について、上記の推奨を考慮すべきである(IIa、B)
(3)血圧低下目標は不確かであり、また、患者毎に決定されるべきだが、効果に関連が見られるのは平均10/5 mm Hgの削減であり、また、JNC-7(血圧管理ガイドライン)は120/80 mm Hg未満を通常血圧と定義している(IIa、B)

解説文によれば、高血圧症患者の卒中・心血管イベント一次予防に有効であるというエビデンスは豊富に存在する一方で、卒中・TIAの二次予防に関するエビデンスは限られているのだそうです。
降圧剤の選択に関する推奨も明確には記されていません。
メタアナリシスでは、利尿剤や利尿剤とACE阻害剤の併用で顕著な再発予防効果が見られましたが、ACE阻害剤単剤やベータブロッカーでは見られなかった、と記されています。
ACE阻害剤はHOPE試験とPROGRESS試験が紹介されていますが、良いとも悪いとも言っていません。
前者は解釈を巡って意見がまとまらなかったのではないかという印象です。
脳卒中再発予防におけるACE阻害剤の効用が明確でないならば、PRoFESS試験のインプリケーションは、ARBも効果が明確でないのでやっぱり利尿剤が一番、ということになるのかもしれません。

■ 血圧管理目標を達成するために複数の薬を併用しなければいけない患者にとっては、個々の薬の優越はそれほど重要ではないかもしれません。

 

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ACCOMPLISH アゲイン

戯れ言たれる侏儒 / 2008.07.22 00:01 / 推薦数 : 0

ACCOMPLISH試験についてはすでに
ACCOMPLISH試験
http://blog.m3.com/reed/20080601/ACCOMPLISH_
でとりあげています。
最近、JAMAにその内容が論文として出たということで再度とりあげてみました。
現行のJNC7のガイドラインでは、ステージ1高血圧症の初期治療としてチアジド系利尿薬の単剤での使用を勧めています。
日本でこのような治療をする先生はまずいないはずです。
そして、ステージ1高血圧症の段階で2剤が処方されていることが多いのではないでしょうか。
しかも今回のACCOMPLISH試験で評価されたCCB+ACEI(ARB)です。
何をいまさらといった感じは否めません。
考えてみればJNCは米国合同委員会、JAMAは米国医師会雑誌というわけですから彼岸の話というくくりでいいのかも知れません。
米国一のプロ野球チームを決めるシリーズをワールドシリーズと呼ぶ国です。
JNCを気にせずに日本独自(日本発)のガイドラインを作成して欲しいものです。
このことは喘息治療ガイドラインなどにもあてはまることです。

Ca拮抗薬・ACE阻害薬併用の有用性をめぐる論議
JAMA ( 2008; 299: 2263~2264 )によると、ステージ2高血圧症患者の治療において、アンジオテンシン変換酵素 (ACE)阻害薬とCa拮抗薬(CCB)の併用療法は、ACE阻害薬とチアジド系利尿薬の併用療法に比べ、心血管疾患の発症率および死亡率が20%低いという知見が最近、米国心疾患学会(ACC)で報告された。
両治療群の差が事前に定めた基準より有意に大きかったため、同臨床試験 ( ACCOMPLISH;Avoiding Cardiovascular  Events in  Combination Therapy in Patients Living with
Systolic Hypertension ) は途中で中止されたという。

「高血圧症の予防、発見、評価、治療に関する米国合同委員会」第7次報告書( JNC-7 )による現行のガイドライン(http://www.nhlbi.nih.gov/guidelines/hypertension/jnc7fulll.pdf)では、ステージ1高血圧症(収縮期血圧139~160 mmHg、拡張期血圧89~100 mmHg)の患者に対する初期治療として生活習慣の改善とチアジド系利尿薬の使用を推奨している。
一方、高リスクのステージ2高血圧症(収縮期血圧160 mmHg以上、拡張期血圧100 mmHg以上)に対しては生活習慣の改善ならびに2種類の薬剤、通常は利尿薬とACE阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、β遮断薬またはCCBの併用を推奨している。

高血圧症患者の6割がコントロール不良
現在、米国には高血圧症の患者が約7300万人いると推定される(高血圧症であることを知らない患者も含む)。
しかし、このうち血圧がJNCの推奨目標値である140/90 mmHg未満にコントロールされている患者はわずか約3分の1だ、とACCOMPLISHの筆頭研究者でMichigan大学医学部内科教授のKenneth A. Jamersonは指摘する。
 
JamersonらがCCBとACE阻害薬の併用療法を評価しようと考えた根拠は、動物モデルで両剤の組み合わせが血管機能を改善し、-酸化窒素(NO)値の上昇がもっとも高く、心血
管系の保護作用が期待されたからだ。
  
ACCOMPLISHは無作為化、二重盲検、対照試験として米国と北欧諸国で11,462人の患者を登録して実施された。被験者は55歳以上(平均68歳)で心血管疾患の高リスク者であった(収縮期血圧160mmHg以上、または現在降圧薬を服用している、心血管・腎疾患の既往)。
試験が中止されるまで最長36カ月間追跡された。
患者はベナゼプリル(ACE阻害薬)とアムロジピン(CCB)の配合剤もしベナゼプリルとヒドロクロロチアジド(利尿薬)の配合剤(対照群)のいずれかを無作為に投与された。
 
30カ月後、両群とも血圧が低下し、収縮期血圧が平均約130mmHg、拡張期血圧は約80mmHgに低下した。
注目すべき点は、CCB・ACE阻害薬の併用群では対照群に比べ、心血管疾患の発症・死亡が20%少なかったことだ。
 
ステージ2高血圧症をCCB・ACE阻害薬併用療法で治療した場合の他の利点として、それほど高価でないこと、配合剤として製剤化が可能であること、そのため良好な服薬遵守
が期待できることだ、とJamersonはあげている。

ガイドラインも変更?
現行のガイドラインはステージ2高血圧症の患者に対する併用療法にチアジド系利尿薬を含めるよう推奨しているが、今回の新しい治験からは、ガイドライン変更の必要性が示唆さ
れる。

「今回の臨床試験で明らかにしたように、CCB・ACE阻害薬併用は利尿薬と他の降薬の併用に比べ優れている」とJamersonは言う。
なお、彼自身が現行のJNCガイドラインの作成委員であった。
 
しかし、ACCOMPLISH試験の結果のみで日常診療における降圧療法が変わるという予測は、時期尚早だと言う専門家もいる。
その1人、Jhons Hopkins大学医学部内科教授のLawrence J. Applel も