戯れ言たれる侏儒
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今日はHIJ-CREATE試験について勉強しました。
ARBとACEいとの直接対決の臨床試験は意外と少ないようです。
ある意味当然かも知れませんが。

冠動脈疾患および腎機能障害を有する高血圧患者においてARBベースの治療とACE阻害薬ベースの治療が心血管イベントに及ぼす影響

〜HIJ-CREATE試験より〜
HIJ-CREATE試験グループ
仙台循環器病センター循環器科医長
八木 勝宏 氏

ESH-ESC高血圧管理ガイドラインでは,腎機能障害を有する高血圧患者への薬物療法としてアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)およびACE阻害薬が推奨されている。
しかしながら,主要心血管イベント(MACE)の減少についてARBとACE阻害薬を比較した研究はほとんどない。
The Heart Institute of Japan Candesartan Randomized trial for Evaluation in Coronary Artery Disease(HIJ-CREATE)試験グループの八木氏らは同試験の事後解析を行い,冠動脈疾患および腎機能障害を有する高血圧患者において,
カンデサルタンをベースとした治療が,ACE阻害薬による治療よりもMACEリスクを有意(P=0.013)に減少させることを示した。

冠動脈疾患と腎機能障害を有する高血圧例でイベント抑制効果を検討
HIJ-CREATE試験では,冠動脈造影で確認された冠動脈疾患を有する高血圧患者2,049例を対象として,カンデサルタンをベースとする治療がMACEに及ぼす影響について,非ARB(ACE阻害薬など)をベースとする標準治療と比較された。
MACEは,心血管死亡,非致死性心筋梗塞,入院を必要とする心血管イベント(不安定狭心症,心不全,脳卒中など)と定義された。
試験は多施設でPROBE法(前向き・ランダム化・オープンラベル・エンドポイント盲検化)により実施された。
 
八木氏らは今回,試験開始前に腎機能障害〔推算糸球体濾過値(eGFR)60mL/分未満〕が認められた患者について,カンデサルタンをベースとした治療とACE阻害薬をベースとした治療を比較した。
腎機能障害が認められたのは1,022例で,うち509例はカンデサルタン群に,513例は非ARBベース療法群に割り付けられ,非ARBベース療法群のうちの362例はACE阻害薬ベースの治療であった(ACE阻害薬群)。

経過観察期間中央値は4.3年であった。
 
試験開始前の背景因子については,β遮断薬を投与されていた患者がカンデサルタン群(44%)よりもACE阻害薬群(53%)で有意(P=0.012)に多かったものの,その他の因子はいずれも両群間で有意差が認められなかった。

カンデサルタンがMACEリスクを減少
血圧は,拡張期血圧(DBP)がカンデサルタン群で低く推移する傾向にあったが,収縮期血圧(SBP),DBPともに両群間で有意差は見られなかった。
eGFRは,両群ともベースラインとほぼ同等のレベルで推移し,両群間に有意差は認められなかった。

MACEの発生率はカンデサルタン群のほうがACE阻害薬群よりも低値で推移し,ハザード比は0.74(95%信頼区間0.58~0.94,P=0.013)であった。
MACEの内訳について見ると,カンデサルタン群では入院を必要とする不安定狭心症のリスクが29%減少した(P=0.042)。

以上の結果について,八木氏らは「本研究では蛋白尿のデータは検討していない。また,これは事後解析であり,その解釈には注意を要する」と断ったうえで,「冠動脈疾患および腎機能障害を有する高血圧患者において,カンデサルタンをベースとした治療は,ACE阻害薬をベースとした治療よりも,主要心血管イベントリスクの減少に有利に作用する」とまとめた。

【監修者のコメント】
HIJ-CREATE試験は,冠動脈造影で冠動脈疾患を有する高血圧患者に対し,カンデサルタン群とARB以外でおもにACE阻害薬を用いた既存治療群を比較したものであるが,本研究はこの冠動脈疾患患者のなかで慢性腎臓病(CKD)をも合併する症例に限定して心血管イベント発生をサブ解析したものである。
その結果,MACEの発生についてカンデサルタン群のほうがACE阻害薬群よりもより有用であることが示唆された。
入院を要する冠動脈疾患においてMACEに有意差が出ることは臨床上の意義が大きい。
なかでも不安定狭心症の発症は,カンデサルタン群で有意に抑制されていた。
あくまでも試験後のpost-hoc解析なので症例数も異なり,β遮断薬の併用率は非ARB群のほうが有意に多い。
しかし,冠動脈疾患に対してβ遮断薬の併用が少ないにもかかわらず,カンデサルタンがMACEの抑制に有用であったとも言える。
ARBとACE阻害薬のどちらがより有用であるかは多くの大規模臨床試験の結果からも結論が出ておらず,一般的には同等の効果と考えられている。
一方,CKDが心血管イベントの独立した危険因子として注目されるようになり,リスクの層別化の指標として見直されてきている。
本研究のように単純に冠動脈疾患患者のMACEに差が出なくても,CKDを加えて層別化すると差が出る可能性がある。
冠動脈疾患もCKDも動脈硬化性変化の進展を観察していることになるため,今回の研究は動脈硬化の進展抑制にARBのほうがACE阻害薬よりも有用であることを示唆している。
今後,本研究のように過去の臨床試験のサブ解析からCKDを層別化して検討すると,さらなる新しい知見が出てくる可能性が示唆される。

監修:東京慈恵会医科大学循環器内科教授 谷口郁夫

<コメント>
「冠動脈疾患もCKDも動脈硬化性変化の進展を観察している」という監修者のコメント。
思わず納得しそうになってしまいます。
CKDという概念が出てきた時、腎疾患の病因によらずCKDの定義を満たせばよいという考えに疑問を持たれた方も多いのではないのでしょうか。
慢性腎炎によるCKDと高血圧や糖尿病が原因のCKDで、MACEの頻度は同じでしょうか。
そのあたりにCKDの「危うさ」を感じます。

最近でこそ慣れましたが、個人的には、KIDNEY DISEASEという英語表現に何となく違和感を感じています。
腎不全はKIDNEY FAILUREとはいいません。
逆にCOPDはPULMONARYでありLUNG(これならCOLDと言い易い)とはいいません。
RENALと表現するとRESPIRATORYと混同するからでしょうか。
このあたりはなぜ、横浜国大だけが国立がつくのかというのと同じなのかも知れません。
CKDのKやCOPDのPに相当する部分が形容詞がいいのか名詞がいいのか。
意外と気になってしまいます。

<参考ブログ>
HIJ-CREATE
http://blog.m3.com/reed/20071128/HIJ-CREATE

高性能ACEI(その5)
http://blog.m3.com/reed/20071129/_ACEI_
問題は血圧をSurrogateマーカ(代用評価項目)とすると、それだけでは組織RASの抑制は不十分であることが明らかにされています(下がっていてもRASの抑制ができていない;ARBとの併用が有用ですが)。
そこで、ACEIの投与量と使いかたが非常に重要となります。後者を十分臓器保護として使用するならば、分割頻回投与が有効です。前者の場合なら分割投与よりむしろ一回の量を増やす方が有効です。
繰り返しますが、一番重要な点は降圧でなくて(もちろん大切ですが)、いかに臓器保護を24時間しっかり得るかです。

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。

他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/
2008.5.21~ 「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
~2008.5.21
があります。

 

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