戯れ言たれる侏儒
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高血圧と高尿酸血症

戯れ言たれる侏儒 / 2008.06.22 00:50 / 推薦数 : 2

きょうは高尿酸血症を勉強しました。

尿酸の専門家には失礼な言い方ですが、循環器領域では高脂血症の中の「中性脂肪」と同様に地味な領域でした。
中性脂肪はメタボリックシンドロームの概念の普及とともに一躍檜舞台に踊り出ました。
一方、高尿酸血症はCKDとともに表舞台に出たでしょうか。
しかし、CKDの中での高尿酸血症の位置づけは相変わらず地味です。
意義が今一つはっきりしないからです。
私の勉強不足のためか高尿酸血症がメタボリックシンドロームと関連があるといっても、どのような形で関与しているのかはっきりしません。

第72回日本循環器学会総会・学術集会ファイアサイドセミナ-
高血圧患者の臓器保護のために高尿酸血症をどう管理するか
尿酸は直接的に血管を障害することが近年の研究において明らかになった。
また高血圧に高尿酸血症を合併した場合,心血管イベント発症の危険性が増すことも判明しているため,心血管保護,腎保護の観点から高尿酸血症治療の重要性が高まっている。
 
座長は東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科教授の細谷龍男氏。


演題1
心・腎・血管保護を目指して
尿酸トランスポーター制御による高尿酸血症の治療戦略―
鳥取大学大学院医学系研究科再生医療学部門 教授 
久留 一郎 氏
尿酸トランスポーター(URAT1)活性亢進から排泄低下型高尿酸血症が発症
高血圧患者は高尿酸血症を合併しやすいことが知られているが,その主因としては,腎臓からの尿酸排泄が低下するために生じる高尿酸血症(排泄低下型高尿酸血症)であると考えられている。

排泄低下型高尿酸血症の発症には,尿酸トランスポーター(URAT1)の活性亢進が密接に関係している。
URAT1は腎近位尿細管に局在し,尿酸の再吸収に関与していることが明らかになっている。
したがってURAT1の活性亢進は尿酸の再吸収を促進し,高尿酸血症の発症につながると考えられる。
久留氏は「高血圧では神経体液性因子の活性化やインスリン抵抗性がURAT1の活性を亢進し,それにより排泄低下型高尿酸血症が引き起こされる」と想定している。
同氏の検討では「高血圧に合併する高尿酸血症の65%は排泄低下型である」という。

高尿酸血症は腎・心血管障害の独立した危険因子
高尿酸血症が痛風発症の独立した危険因子であることはよく知られている。
最近では,これが腎障害の危険因子であることも明らかになってきた。
わが国の観察研究の結果からは, IgA腎症患者では血清尿酸値が7.0mg/dL以上,健常者では8.5mg/dL以上で,腎不全発症の独立した危険因子になることが示されている。また,台湾における介入研究の結果からは,高尿酸血症を治療すると,血清尿酸値が低いほど腎機能低下を抑制できることが示されている図1)。


 
高血圧合併高尿酸血症は,さらに,心血管障害と密接に関連することも明らかになってきた。
複数の大規模な観察研究の結果を踏まえると,血清尿酸値が男性で7.5mg/dL以上,女性で6.2mg/dL以上になると,心血管イベントのリスクが高まることが示されている(図2) 。

 

URAT1はヒト血管内皮や平滑筋細胞にも発現
高尿酸血症による心血管障害の機序としては,尿酸が産生される際に発生する酸化ストレスと,尿酸そのものによる血管障害の2つの可能性が推測される。
このことを検証する目的で,久留氏は高血圧自然発症ラットを用いた実験を行った。
その結果,内頸動脈結紮により生じる内膜増殖が尿酸降下薬の前処置により抑制された。
また,血管平滑筋の培養実験において,添加した尿酸濃度に依存した増殖の促進が認められた。

最近ではURAT1はヒトの血管内皮や平滑筋細胞にも発現していることが報告されている。
またKangらはヒト血管内皮や平滑筋細胞のURAT1を介して尿酸の取り込みが亢進すると炎症が誘導されること,また,この炎症はURAT1阻害薬により抑制されることを示している。
同氏も,高尿酸血症群では正常尿酸群に比べて血管内皮機能が有意に低下しており,内皮機能と血清尿酸値との間には有意な負の相関が認められることを臨床でも確認している。
また,尿酸降下薬により血清尿酸値を低下させると,内皮機能は改善し,血清尿酸値の低下幅と内皮機能の改善には有意な正相関が見られることを認めている。
 
以上から同氏は「尿酸はURAT1を介して血管内皮や平滑筋細胞に取り込まれ,血管の炎症を惹起し,内皮機能障害から動脈硬化を促進することで心血管イベントに関与すると考えられる」と述べた。

URAT1阻害作用により腎・心血管保護作用も発揮するベンズブロマロン
高血圧患者の血清尿酸値の管理については,日本痛風・核酸代謝学会により「6-7-8の原則」(2002年)が提唱されている。
すなわち,痛風性関節炎の発症抑制を期待するのみならず,腎・心血管障害のリスクの減少も考慮するならば,血清尿酸値管理の目標は5.0~6.0mg/dLとし,尿酸値が7.0mg/dL以上8.0mg/dL未満であれば生活習慣を改善しながら経過観察し,8.0mg/dL以上になれば治療開始を考慮するというものである。
 
降圧薬のなかには血清尿酸値がわずかに下がる薬剤もあるが,これら単独で血清尿酸値の良好なコントロールを得ることは容易ではない。
そこで尿酸降下薬を併用することになるが,この場合は,前述のように高血圧合併高尿酸血症の65%は排泄低下型であることから,これを是正する作用のあるURAT1阻害薬ベンズブロマロンを用いることが望ましい。
 
ベンズブロマロンは臨床血中濃度でヒトのURAT1を強力に阻害し,尿酸の細胞内取り込みを抑制して,尿酸排泄を促進することが認められている(図3)。

 

最近の検討から,ベンズブロマロンは尿酸生成抑制薬であるアロプリノールに比べ,血清尿酸値の低下作用のみならず,血管内皮機能の改善作用にも優れることが示されている。
 
久留氏は「高血圧合併排泄低下型高尿酸血症の治療で腎・心血管障害のリスク軽減まで視野に入れるならば,ベンズブロマロンは第1に選択されてしかるべき薬剤といえる」と結んだ。


演題2
高血圧における高尿酸血症の実態と課題
独立行政法人国立病院機構九州医療センター高血圧内科 科長 土橋 卓也 氏
男性のみならず女性でも心血管疾患のリスクとなる高尿酸血症
土橋氏はこの10年来,自施設における高血圧外来患者の実態を,種々の臨床指標を用いて多角的に調査している。今回の発表で同氏は利尿薬および尿酸降下薬服用者を除く1,067例(男性461例,女性606例)を対象に,高尿酸血症の実態について解析した成績を報告した。
 
それによると,平均血清尿酸値は男性6.4mg/dL,女性5.0mg/dLで,7.0mg/dL以上の高尿酸血症を呈した例は男性の34.1%,女性の6.6%と,特に男性において高率であった。
しかし,疫学研究に基づき,血清尿酸値が心血管疾患に対するリスク閾値であると考えられている男性7.5mg/dL,女性6.2mg/dLの値を超える例は男性23.0%,女性16.0%と,女性においても決して少なくない頻度であることが示された。
 
1,067例の血清尿酸値の規定要因を多変量解析した結果では,尿酸クリアランス(CUA)が圧倒的に強い規定因子(partial r=?0.63)であり,次いで性別(男性であること),尿中食塩排泄量が大きい,年齢が若い,BMI値が高いなどの因子が関与していることが明らかになった。

メタボリックシンドロームを背景とする高尿酸血症も多い
 男性≧7.0mg/dL,女性≧6.2mg/dLを高尿酸血症とすると,高尿酸血症は男性157例,女性97例の計254例であった。
その背景因子を非高尿酸血症群と比較すると,年齢が若い,BMI値が高い,中性脂肪が高い,HDLコレステロール値が低い,血清クレアチニン値が高い,などの特徴を有していた。
さらに尿酸動態に関しては,尿酸産生量(EUA),CUA,CUA/Ccr比がいずれも低値であった。
 
また日本痛風・核酸代謝学会の「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」に則り病型を診断すると,尿酸排泄低下型(CUA<6.2mL/minあるいはEUA<0.48mg/kg/h)が全体の92.1%を占めるという結果が示された。
 
土橋氏は「高血圧合併高尿酸血症患者は,他の代謝異常や臓器障害も有していることが示唆される」という。
そこで同氏は,ウエスト周囲径を測定した高尿酸血症患者287例について,メタボリックシンドローム(MetS)の頻度を検討した。
その結果,男性では39.3%,女性では18.2%がMetSであった。
また,MetSの有無別で高尿酸血症の頻度を見ると,男性MetS患者では50.0%,女性MetS患者では6.7%が高尿酸血症患者であった(図1)。

 

降圧治療では尿酸値への影響を考慮して薬剤を選択
土橋氏らの施設の高血圧外来患者における血圧管理状況を見ると,日本高血圧学会による「高血圧診療ガイドライン(JSH2004)」が推奨している降圧目標値<130/85mmHgの達成率は全体で34.0%,<140/90mmHgまで閾値を上げても達成率は72.5%であった。
しかも,これら達成例の多くが,単剤ではなく多剤の降圧薬の併用例である。
 
3剤以上の降圧薬を用い,血圧コントロールに苦慮している症例の背景因子を検討すると,MetS型のプロファイルを持つことが多いことが示されている。
高血圧合併高尿酸血症でも,MetS型のプロファイルを持つものは血圧コントロールに苦慮することが想定されるが,そこで留意が必要なのが,降圧薬による高尿酸血症への影響である。
 
主要降圧薬の血清尿酸値に及ぼす影響については,長時間作用型Ca拮抗薬やACE阻害薬,α遮断薬,ARB(ロサルタン)は尿酸値を低下させ,利尿薬とβ遮断薬は尿酸値を上昇させることが知られている。
したがって,高血圧合併高尿酸血症における降圧治療では,まず,Ca拮抗薬やACE阻害薬,α遮断薬,ロサルタンなどを優先して選択するのが原則であるが,降圧目標の達成のためには少量利尿薬の併用も必要である。
この場合,血清尿酸値が心血管疾患のリスク閾値を超えるようなら,尿酸降下薬の使用を考慮することになる(図2)。


 
同氏は「尿酸降下薬の選択では,高尿酸血症が尿酸排泄低下型か尿酸産生過剰型かの病型分類を的確に行い,前者であれば排泄促進薬を,後者であれば生成抑制薬を選択することが重要である」という。
実際に同氏の検討では,生成抑制薬投与中で排泄低下が疑われた例において排泄促進薬のベンズブロマロンに切りかえたところ,UUA/Ucrの増加を伴った血清尿酸値の著明な低下を認めている。
前述の同氏の調査で,高血圧に合併した高尿酸血症の92.1%が排泄低下型であったことを考慮すると,ベンズブロマロンの有用性は極めて高いといえる。

利尿薬の有用性を踏まえて尿酸値も十分に管理する
降圧に対する利尿薬使用の有用性についてはALLHAT試験等で十分示されている。
Ca拮抗薬とACE阻害薬またはARBの併用でも十分な降圧が得られないとき,少量の利尿薬の併用が奏効することが多い。
しかしながら,利尿薬は脂質や糖,尿酸代謝に影響があるため,前述の高血圧合併高尿酸血症に対する降圧薬の選択では,最も臨床医を悩ませる問題となっている。
 
実際,高齢者の収縮期高血圧を対象に,利尿薬を基礎薬とした降圧治療の有用性を証明したSHEP試験において,尿酸値が1mg/dL以上上昇した群では,冠動脈イベントの発症リスクを抑制できないことが報告されている。
また,対象の多くで利尿薬が併用されたLIFE試験においても,ロサルタン群ではβ遮断薬のアテノロール群に比し尿酸値が0.5mg/dL低く,この尿酸値の差が両群間に見られた1次エンドポイントの差の29%に寄与していると報告されている。
 
土橋氏の施設でも,利尿薬の使用頻度は高血圧患者全体の9.5%,3剤併用症例に限っても27.8%にとどまっている。
 
利尿薬の使用に際してはマイナス面が強調されすぎる印象があるが,食塩摂取量の多い日本では血圧の厳格なコントロールのために少量利尿薬の使用が必要不可欠と考えられる。
利尿薬使用により尿酸値が上昇した場合は,病型にあった第一選択薬として排泄促進薬であるベンズブロマロンが適切と考えられる。
同氏は「今後, 高尿酸血症に対する介入試験を行い,心血管疾患予防を目的とした尿酸管理に関するエビデンスを確立する必要がある」と述べて講演を終えた。

出典 Medical Tribune 2008.6.19
版権 メディカル・トリビューン社


読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。

 

他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/
2008.5.21~ 「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
~2008.5.21
があります。

 

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