戯れ言たれる侏儒
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循環器あれこれ 2008.6.20

戯れ言たれる侏儒 / 2008.06.20 00:11 / 推薦数 : 0

降圧目標は130/80mmHg未満
新たな高血圧ガイドラインでリスク群が拡大
〔独エアランゲン〕最新の欧州の高血圧ガイドラインは,より明確で実際的なものに生まれ変わり,誤解を招きかねない表現を避け,降圧目標を130/80mmHg未満に設定する必要がある患者群を拡大するとともに,新たな治療基準を提唱している。
フリードリッヒ・アレクサンダー大学 病院(エアランゲン)のRoland Schmieder教授は,同ガイドラインについてDeutsche Medizinische Wochenschrift(2007; 132: 2464-2466)で報告した。

CHDにも厳格な降圧目標の適用を
欧州における今回のガイドラインでは,米国で用いられている「前高血圧」(収縮期血圧120~139mmHg)という名称に代えて,明確に上昇した高血圧リスクを示す「正常高値」(130~139mmHg)という概念を用いたり,心血管リスクが低いとの誤解を招きかねない「軽度高血圧」という概念をやめるなど,疾患の過小評価を招かないよう工夫が加えられた。
 
具体的には,まず,高血圧性の血管障害を検出するパラメータとして, 従来の頸動脈内膜中膜複合体厚に,脈波伝播速度と足関節/上腕血圧比(ABI)が追加された。
また,微量アルブミン尿は高血圧診断におけるルーチン検査とされているが,"微量"という語が決して"些細な血管損傷"を想起させるものであってはならないと警告している。
 
心肥大の診断にはSokolow-Lyon Indexに加えてCornell Indexも有用である。
また,腎機能検査では,クレアチニン盲目領域においても機能低下を検出可能なCockroft-Gaultの計算式が有用だ。MDRD簡易式は,GFR値が60mL/分/1.73m2未満の場合に初めて使用すべきである。
 
単剤療法と併用療法のいずれを選択すべきかについては,心血管リスクが中等度以下で,降圧目標が140/ 90mmHg未満である第1度高血圧の場合のみ単剤療法で治療を開始し,それ以外では最初から併用療法を行うよう推奨している。
併用療法を必要とする患者の範囲は拡大している。
降圧目標を130/ 80 mmHg未満に設定すべき対象は,もはや慢性腎臓病,蛋白尿,または糖尿病の患者だけでなく,冠動脈疾患(CHD),もしくは脳卒中発症後の高血圧の患者についても同目標域への厳格な誘導が推奨されている。
最新の研究から,この"リスク群"の血圧を130/80mmHg未満にすると予後がかなり改善することが示された。
併用可能な薬剤としては,利尿薬,β遮断薬,Ca拮抗薬,ACE阻害薬,アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)および作用の弱いα遮断薬が挙げられている。

出典 Medical Tribune 2008.6.5
版権 メディカル・トリビューン社

<参考サイト> 

高血圧性心肥大の除外に心電図は不適
http://neuro.blog40.fc2.com/blog-date-200710.html
 

左室肥大の除外に心電図を用いるべきではない
Accuracy of electrocardiography in diagnosis of left ventricular hypertrophy in arterial hypertension: systematic review
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/335/7622/711
(上記の元文献)

高血圧患者の左室肥大診断に、現行の心電図クライテリアは役立たない
http://intmed.exblog.jp/6082277/


頸動脈雑音が心筋梗塞の発症と心血管死を予測
頸動脈雑音が心血管イベント発生の予測因子になりうることを示すデータが,米ウォルターリード陸軍医療センターのグループによりLancetの5月10日号に発表された。
 
頸動脈雑音は動脈硬化のマーカーと考えられているが,脳血管イベントの予測因子としては弱い。
同グループは,頸動脈雑音が心筋梗塞の発症および心血管死を予測するかどうかを検討する目的でメタ解析を行った。対象となった研究は前向き研究20件を含む計22件で,患者総数は1万7,295例,追跡期間の中央値は4年(2?7年)であった。
 
解析の結果,100患者年当たりの心筋梗塞発症率は頸動脈雑音がない群の1.86に対し,雑音がある群では3.69と高率であった。
また,100患者年当たりの心血管死亡率も頸動脈雑音がある群で高かった(1.11対2.85)。頸動脈雑音がある群とない群を直接比較した4件の研究では,雑音がある群の心筋梗塞発症および心血管死のオッズ比はそれぞれ2.15,2.27であった。
 
同グループは「聴診による頸動脈雑音の検出は,心血管リスクに対する積極的治療戦略の対象となる患者の選別に役立つ可能性がある」としている。
Pickett CA, et al. Lancet 2008; 371: 1587-1594.

出典 Medical Tribune 2008.6.5
版権 メディカル・トリビューン社


CABG歴を有する患者への強力なLDL-C低下療法の有益性を確認
冠動脈バイパス術(CABG)歴を有する患者に対する強力なLDLコレステロール(LDL-C)低下療法の明らかな有益性が,TNT(Treating to New Targets)試験の事後解析で確認された。
結果は,Journal of the American College of Cardiologyの5月20日号に発表された。
 
TNT試験では,CABG歴のある4,654例を含む冠動脈性心疾患患者1万1例をアトルバスタチン80mg/日投与群または10mg/日投与群にランダムに割り付け,中央値で4.9年間追跡した。
主要評価項目は,初回の主要心血管イベント(心臓死,非致死的心筋梗塞,蘇生した心停止,脳卒中)の発生であった。
 
初回の主要心血管イベント発生率はCABG歴がある群11.4%,CABG歴がない群8.5%であった(P<0.001)。
CABG歴がある群の試験終了時の平均LDL-C値はアトルバスタチン80mg群が79mg/dL,10mg群が101mg/dLで,主要イベント発生率は10mg群の13.0%に対し,80mg群では9.7%と有意に低かった〔ハザード比(HR)0.73,95%信頼区間(CI)0.62~0.87,P=0.0004〕。

CABG歴がある群の追跡期間中の血行再建術の再施行率も,10mg群の15.9%に対して,80mg群では11.3%とやはり有意に低率であった(HR 0.70,95%CI 0.60~0.82,P<0.0001)。

Shah SJ, et al. J Am Coll Cardiol 2008; 51: 1938-1943.
出典 Medical Tribune 2008.6.5
版権 メディカル・トリビューン社 

<参考サイト> 

TNT
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2002341.html
ハイリスク患者におけるLDL-C低下療法の有効性は確立されたものの,どこまで下げるべきかという根源的な疑問に答えるエビデンスが今まで十分ではなかった。
これまで行われた試験として,PROVE ITやREVERSALがそれに近いが,異なったスタチンでの比較になっており,純粋にLDL-Cの値による差であるのか議論のあるところであった。TNTは以前より,このような疑問に答える究極的な試験であると期待されていた。
TNTの結果から,安定した冠動脈疾患でもLDL-Cを100mg/dl未満,75mg/dlまでは,下げたほうがリスク低減化に繋がることが証明された。
比較が同じ薬剤であるので,薬剤のもつ特異性には関係なく、直接LDL-Cの値に関連したエビデンスが得られといえる。ただし,強力なLDL-C低下群では,死亡率には差はないものの肝機能の悪化は認められるので,リスクの高い患者に限って強力な治療が許されるものと考えられる。(寺本)

カトラン リトグラフ 青い山  
http://page16.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/u25520352

 <番外編>
イルベサルタンがいよいよ発売されます。
それに関連した講演会の案内が舞い込んできます。
黒船到来か?
大した船ではないのか?
この船にはIRMA2とINDNTという護衛艦を従えて来航します。

第6のARB:irbesartan (商品名:イルベタン錠、アバプロ錠)http://rockymuku.sakura.ne.jp/zyunnkannkinaika/IDNT.pdf
イルベサルタン:長時間作用を特徴とする6番目のARB
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/200805/506625.html
今回承認されたイルベサルタンは、半減期が10.1~15.2時間と長いことが特徴であり、24時間降圧効果が持続する「長時間作用型」に分類される。海外では、既に1997年から欧州各国や米国で承認されており、2008年1月現在、世界86カ国で販売されている。また2002年には、欧州および米国で、糖尿病性腎症(2型糖尿病を合併する高血圧症における腎症)への適応も取得している。

IRMA2
http://rockymuku.sakura.ne.jp/zyunnkannkinaika/IRMA2.pdf
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2001152.html
INDNT
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2001151.html

塩野義製薬、高血圧症治療剤「イルベタンR錠 50㎎、100㎎」の製造販売承認取得
http://www.nikkan.co.jp/newrls/rls0418g-18.html

 

ラミプリルを対照薬としてテルミサルタンの有用性を証明しようとしたONTARGET試験。
結果は非劣性を示すだけの結果となってしまいました。
この試験を評価するには、日本で発売されていないラミプリルを知らなければなりません。
どうやら治験が途中で終わって国内での発売には至らなかった薬剤のようです。
エナラプリルとの比較試験では、エナラプリルのほうが降圧は優れる傾向。
そしてカプトプリルとは降圧は同程度でラミプリル群に咳が多かった。
この二つの治験データがあるようです。
世界的には売れている薬剤なのでしょうが、日本人に治験を2つも行なっていながら、発売されていないというのは余り魅力のあるACEIではなかったんでしょうか。
(HOPE、AASK、DREAM、AIREなどの大規模試験がラミプリル伝説を生んでいるようです)
HOPE
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2000014.html
AASK
http://www.ebm-library.jp/circ/trial_2001.html#ahaaask
DREAM
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2002509.html
AIRE
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c1999080.html


注目の降圧薬臨床試験 ONTARGET
http://blog.m3.com/reed/20080404/__ONTARGET
ONTARGETの結果を考察する
http://blog.m3.com/reed/20080412


<自遊時間>
きょうは「ショッキングー」な出来事がありました。
恥ずかしくていえないぐらい古いアロカの超音波検査装置(もちろんカラードップラーなし)が壊れました。
明日、修理に業者に来て貰う予定ですが多分オシャカです。
IMTもきちんと計測したい、カラードップラーで弁膜症や心機能の評価をきちんとしてみたい。
そんなことを思っていたところですから、買い替えの絶好の機会かも知れません。
ポラロイドの生産終了で眼底カメラの買い替えが必要ですし、自現機も買い替えがやっと終わったところです。
デジタル化になかなか踏み切れずに結局自現機を購入しました。
レントゲン装置自体もそろそろ怪しくなってきています。
2011年のレセプトの電子化もあるし。
もう少し歳をとっていたら廃業のいいチャンスだったんですが。
ブルーです。

 

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。

他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/
2008.5.21~ 「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
~2008.5.21
があります。

 

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ONTARGETはラミプリルを持ち上げることで自らの地位を守ったかもしれませんがPRoFESSはどうでしょうか?プラセボ対象のRCTで20000例以上の規模でありながらプライマリーの脳卒中、セカンダリーの主要血管イベントで有意差が出ず、更に糖尿病の新規発症でも差が出ませんでした。ちなみにプラセボに含まれるACE-Iは両群3割程度とかなり低く、血圧も同じにコントロールされた試験です。この試験の解釈について教えてください。
written by とし / 2008.07.17 01:36
とし 様。

コメント有難うございました。
私自身、一開業医のため、とても大規模臨床試験を「解釈」するような立場ではありません。
PRoFESS試験は、ご指摘のようにnon-inferiority(非劣性)試験のようです。
2008年5月、フランスのニースで開催された第17回欧州脳卒中学会(ESC2008)で、PRoFESS試験の2次アウトカムおよび3次アウトカムに関する結果や、テルミサルタンとプラセボを比較した結果が報告されており、今後も更なるサブ解析が進むのかも知れません。
しばらく動向をみていきたいと思います。
一度、このPRoFESS試験を整理するつもりです。
またのコメントよろしくお願いします。
<関連ブログ>
PRoFESS 血小板療法の比較
http://blog.m3.com/reed/20080718/PRoFESS___
written by 戯れ言たれる侏儒 / 2008.07.18 08:19

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