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冠攣縮性狭心症についてはこのブログですでにとりあげて来ました。
日本人の狭心症 その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080328/1
第72回日循シンポジウム「冠攣縮」
http://blog.m3.com/reed/20080510/_72_
この冠攣縮性狭心症は欧米人と比べ3倍多いともいわれています。
現在冠動脈疾患はPCIに代表されるように形態学的異常(これは直接見ることができるため、万人に対する説得力がある)に対する治療が主体になっています。
冠スパスム(機能的異常)については、泰江先生が市立静岡市民病院におみえになった時に、早朝の冠動脈造影とエルゴノヴィン負荷は伝説にもなっています。
そして東京女子医大の遠藤先生が二フェジピン、泰江先生がジルチアゼムとカルシウム拮抗剤論争も、今となっては懐かしい話になってしまいました。
このようにブームは遠い昔にあったというのが循環器医の実感でしょうか。
日本人に多いということは常に心しないといけないことなのでしょうが、逆にいえば横文字の論文で採用されにくいということもあるのかも知れません。
そのことと関係があるかどうかはわかりませんが、最近の若い循環器医は「冠攣縮性狭心症」ないし「冠攣縮の関与」を軽視する傾向があるように思えます。
取り越し苦労でなければよいのですが。
突然死や心筋梗塞合併は有名ですが、「冠攣縮性心不全」というトピックス的な話もあるようです。
特別企画
第72回日本循環器学会総会・学術集会ランチョンセミナー
冠攣縮性狭心症の診断基準と薬物治療
日本人の虚血性心疾患の特徴として,欧米人に比し罹患率は低いものの,その発症には冠攣縮が深く関与していることが知られている。
しかし,冠攣縮の発生機序には不明な点が多く,虚血性心疾患の発症における冠攣縮の関与を診断すべき基準も明確になっていない。
本セミナーでは,現在,日本循環器学会が作成を進めている冠攣縮性狭心症に関するガイドラインの趣旨を,熊本大学大学院循環器病態学教授の小川久雄氏が報告した。
また,冠攣縮性狭心症の薬物治療について,特にCa拮抗薬の役割に焦点を当て,岐阜大学医学部附属病院第二内科准教授の西垣和彦氏が報告した。
座長は東北大学大学院医学系研究科循環器病態学教授の下川宏明氏が務めた。
座長
下川 宏明 氏 東北大学大学院医学系研究科循環器病態学 教授
講演 I
小川 久雄 氏 熊本大学大学院循環器病態学 教授
講演 II
西垣 和彦 氏 岐阜大学医学部附属病院第二内科 准教授
講演 I
冠攣縮性狭心症の診断基準作成に向けて
熊本大学大学院循環器病態学 教授 小川 久雄 氏
施設ごとの診断基準にばらつき
小川氏は,まず,厚生労働省が全国15施設を対象に,冠攣縮性狭心症の頻度を調査した結果を報告した(図)。

そのデータによると,狭心症患者2,251例中の921例(40.9%)が冠攣縮性狭心症で,日本人の狭心症の成因に冠攣縮が深く関与していることが如実に示された。
施設ごとの冠攣縮性狭心症の頻度には大きなばらつきがあるが,これは冠攣縮性狭心症の診断基準が施設により異なっていることをうかがわせる。
「こうした現状を是正し,標準的な診療指針を確立する意味でも,統一的な診断基準の作成は急務」と同氏は説明した。
不安定狭心症や突然死にも深く関与
冠攣縮とは,「心臓の表面を走行する比較的太い冠動脈が一過性に異常に収縮した状態」と定義され,冠攣縮が原因と考えられる狭心症を冠攣縮性狭心症と呼ぶ。
狭心症発作時のST上昇を特徴とする異型狭心症も冠攣縮性狭心症の1 つである。
また,冠攣縮が不安定狭心症や突然死に関与していることも明らかになっている。
きわめて複雑な病態を示す冠攣縮性狭心症の診断は,発作時の状況,心電図所見,心臓カテーテル検査における冠攣縮薬物誘発試験,心筋シンチグラフィー,過換気負荷試験などの結果から総合的になされなければならない。
これらをどのように組み合わせれば,最も的確な冠攣縮性狭心症の診断に結び付けることができるのか,「診断基準作成のための模索は,なおも続いている」と同氏は述べた。
服薬中断による再発作は軽視できない
小川氏は冠攣縮性狭心症の具体例を数例紹介し,そのなかで,冠攣縮性狭心症の診断とともに,治療の難しさについても強調した。
冠攣縮性狭心症は経過良好のように見えても,Ca拮抗薬などの服用を怠れば再発作を起こす傾向が強い。
その傾向は初診から10年以上経過しても,また,冠動脈狭窄の進展がなくても続く場合もあり,服薬中断が突然死を招くこともある(表)。

同氏は「冠動脈インターベンションの普及により,ともすれば冠攣縮への関心が薄れがちだが,その重要性を再認識するためにもガイドラインの早急な完成が求められている」と講演を結んだ。
講演 II
冠攣縮性狭心症の薬物治療
岐阜大学医学部附属病院第二内科 准教授 西垣 和彦 氏
完全閉塞の誘発が心血管イベント発現の規定因子に
冠攣縮性狭心症は致死性の不整脈や心筋梗塞を誘発し,突然死の原因となる。
西垣氏は,冠動脈造影にて確定診断し得た冠攣縮性狭心症患者1,146例を3.8年間(中央値)追跡し,心血管イベント発現の規定因子について後ろ向きに検討した成績を報告した。
それによると,解析対象となった1,047例中34例(3.2%)に心血管イベントが発現し,その内訳では非致死性心筋梗塞が24例で最も多く,他に心不全死 6 例,致死性心筋梗塞 2 例,致死性脳梗塞2 例であった。
心血管イベント発現の規定因子は,年齢( ≧ 65歳),糖尿病,冠動脈有意狭窄の存在,そしてエルゴノビン負荷による冠動脈完全閉塞の誘発であった。
発作予防に最も処方されているCa拮抗薬
冠攣縮性狭心症の治療は,一般療法(発作の誘因の除去,冠動脈硬化の危険因子の除去,適度の運動)に加えて薬物療法が行われる。
薬物療法では,発作時には硝酸薬が用いられるが,発作予防のためには硝酸薬とCa拮抗薬がよく用いられている。
前述の検討の対象となった冠攣縮性狭心症患者1,047例で薬物処方の状況を調査したところ,最も処方率が高いのはベニジピンを含むCa拮抗薬で73%であった(図 1)。
また,その発作予防効果も良好で,確定診断時と遠隔期では,狭心症発作スコアが2.1から0.5へ,日常生活において問題とならない程度にまで有意な改善が認められた。
Ca拮抗薬の心血管イベント抑制効果の違い
Ca拮抗薬には多くの種類が存在し,心血管イベント抑制効果が異なる可能性がある。
そこで西垣氏は,Ca拮抗薬を 1 種類だけ服用していた患者の予後を,propensity scoreでマッチングして比較した。
その結果,ベニジピンは心血管イベントの回避率が高いことが示された(図 2)。
その理由として同氏は,ベニジピンは
(1)冠血管への作用選択性が高い,
(2)一酸化窒素(NO)産生亢進,
(3)水酸化ラジカルの産生抑制および抗酸化作用,
(4)虚血心筋保護効果
―の 4 つの特徴を挙げている。
ベニジピンは他のCa拮抗薬に比して冠血管への作用選択性がおよそ14~33倍高いと報告されている。
また,ベニジピンはウサギを用いた動物実験でeNOS mRNA,eNOS蛋白を発現させ,間質のNOxレベルを増加させること,水酸化ラジカルの産生抑制があること,さらに虚血プレコンディショニング効果があることをわれわれは報告している。
同氏は「冠攣縮性狭心症患者の予後を改善するCa拮抗薬として,ベニジピンは優れた薬剤である」とし「今後の冠攣縮性狭心症治療において最も優先して使用すべきCa拮抗薬といえる」と当成績の論文の結語をもって述べ,講演を終えた。
出典 Medical Tribune 2008.6.5
版権 メディカル・トリビューン社
読んでいただいてありがとうございます。
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他に
ふくろう医者の診察室
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「井蛙内科/開業医診療録(2)」
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2008.5.21~ 「井蛙内科/開業医診療録」
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~2008.5.21
があります。
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