戯れ言たれる侏儒
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第72回日循総会  不整脈

戯れ言たれる侏儒 / 2008.06.11 00:03 / 推薦数 : 0

第72回日本循環器学会特集の記事で「不整脈」を勉強しました。

 

不整脈
亀田メディカルセンター(千葉県)循環器内科の水上暁氏らは,心室性頻拍(VT)と心室細動(VF)の治療に関するコホート研究の結果について報告。
第一選択薬としてリドカインが投与された24例中18例は改善せず,薬剤が新規III群薬ニフェカラントに変更されていることがわかった。
同氏は「ニフェカラントの有効率は全体で68%と高く,第一選択薬としてもっと使用されてよい可能性がある」と述べた。

ニフェカラントは68%に有効
ACLS(二次心臓救命処置)のアルゴリズム(米国心臓協会,2005年)では,VT/VFの場合,抗不整脈薬としてIII群薬アミオダロン,Ib群薬リドカイン,マグネシウムが推奨されているが,その使用実態は不明だった。
水上氏らの研究対象は,2005年12月~07年7月に千葉県内の9病院に入院した持続性VT/VF患者38例(男性28例,女性10例)。

抗不整脈治療の実際と転帰について検討した。
 
不整脈のタイプは,単形性VT 26例,多形性VT7例,VF5例。非薬物治療は,電気的除細動24例,ペースメーカー治療(連続刺激)2例,カテーテルアブレーション1例であった。
薬物療法では,第一選択薬としてリドカインが24例(63%)に投与されたが,有効は6例(25%)と少なかった。
一方,ニフェカラントは第一選択薬として投与された14例中12例(86%),リドカインが無効であった17例中9例(53%),計31例中21例(68%)で有効であった。
 
転帰は,1か月以内の早期死亡13例(うっ血性心不全8例,多臓器不全3例,不整脈2例),生存25例で,植え込み型除細動器7例,経口抗不整脈薬治療17例であった。

抗不整脈薬の副作用は,リドカイン中毒2例を除いて,ニフェカラント投与例で発生し,Torsades de Pointes(TdP)5例,徐脈2例,QT延長6例であった。
 
水上氏は「ニフェカラントはQT延長などの副作用モニタリングが必須だが,致死性不整脈には第一選択薬としてより有効な薬剤を選ぶ必要がある」と述べ,昨年VT,VFに認可されたアミオダロン注射剤,ニフェカラントに関するデータ集積に期待を示した。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41191091&year=2008

出典 Medical Tribune 2008.5.8
版権 メディカル・トリビューン誌

 

<ニフェカラント 関連サイト>

III群抗不整脈薬塩酸ニフェカラント(シンビットR注)の薬理作用および臨床効果
http://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/119/2/119_103/_article/-char/ja
ニフェカラント(シンビットR,MS-551)は純粋なIII群抗不整脈薬であり,III群薬としては本邦初の注射剤として1999年6月に製造承認を受けた.
本剤は心筋細胞膜のK+電流のうち主としてIKrを抑制することにより活動電位持続時間を延長し,有効不応期を延長させることで抗不整脈作用を示す.
本剤の治療上の意義は致死性の心室性不整脈である心室頻拍,心室細動からの救命にある.
ニフェカラントはその作用機序に基づきリエントリーが関与する心室頻拍および心室細動に対して効果を示し,既存の抗不整脈薬の様に心機能を抑制することはなかった.
特に既存の抗不整脈薬が無効な症例または低心機能により既存の抗不整脈薬の使用が制限される症例に対して高い効果を示し,心機能を悪化させた例はなかった.
重篤な副作用は全て過度のQT時間の延長に基づく催不整脈作用(TdP: torsades de pointes,心室頻拍等)であり使用にあたっては注意を要するが,本剤は従来ならば治療不可能であった患者を救命できる可能性を持つ薬剤として期待されている.

新しいKチャネル遮断薬の登場
http://www.lifescience.co.jp/cr/zadankai/0010/3.htm
三田村 
従来からあるたくさんの種類の抗不整脈薬は,そのほとんどがNaチャネルをターゲットにした薬剤です。
そのNaチャネル遮断薬の予後に対する影響が,CASTによって,かなり危惧されるようになりました。
そこで,Kチャネルをターゲットにしてはどうかという考え方が出てきました。ところが,Kチャネルにしても,SWORD(Survival With Oral d-Sotalol)とよばれる大規模試験の結果,d-ソタロールという薬が,心筋梗塞後の患者において,予後をむしろ悪化させるということが判明したのです。
それで,Naチャネル遮断もKチャネル遮断も必ずしも予後を良くしないということで,新しい抗不整脈薬の開発は滞ってしまったのですが,最近になって日本でもKチャネル遮断薬としてソタロール,あるいはニフェカラントといわれる薬剤が市場に出てきました。

われわれがしばしば経験する難治性の心室性不整脈は,多くは慢性心不全のように心機能の低下した症例で出てくる不整脈です。
ところが,心機能が低下した症例では,Naチャネル遮断薬は陰性変力作用が働いて,ますます心機能を悪くしてしまいます。
あるいは,伝導を遅くすることによって,新たなリエントリー回路を作ったり,リエントリーの維持を助けてしまう可能性があります。

そこで,もしリエントリーであれば,不応期を延ばすことによってリエントリーを断ち切れるのではないかという考え方から,Kチャネル遮断薬が登場したわけです。
しかもKチャネル遮断薬は,原則として心機能を抑制しません。

実際,急性の,心機能が非常に悪くて心室性不整脈が出て,Naチャネル遮断薬のリドカインが効かない,プロカインアミドも効かないというような不整脈では,Kチャネル遮断薬のニフェカラントが有効であるという場面があります。

ソタロールは経口薬なので使い方が少し違います。基本的に予防的な目的で使われます。
それとKチャネル遮断薬ではありますが,同時にβ遮断作用もあるので,極端に心機能の悪い症例には使えず,心機能がある程度は保たれた症例で使うということになります。

新しいKチャネル遮断薬が出てきたもう1つの背景は,これまでわれわれは,いろいろな薬剤が効かなくて心機能が悪い症例では,最後の手段としてアミオダロンをよく使ってきました。
ところがアミオダロンは,必ずしも使いやすい薬ではなく,使い始めてから本来の効果を発揮するまでに数週間以上かかることもあります。
救急の場面では,そこまで待っていられません。それと,肺線維症という重篤な副作用を起こす可能性があるという面で,それに代わる薬が待たれていたわけです。

そのようなことから,ソタロールとニフェカラントの2つの薬剤を,アミオダロンよりも前の段階で使ってみるという場面が,今後増えてくるかな,という印象をもっています。

カトラン 「黒い瓶とゼラニウムの花束」リト
http://page19.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/x35835860?u=;artfolio11
 

<追加>
HYVETについては以下のブログで以前にとりあげました。

HYVET http://blog.m3.com/reed/20080407/HYVET
HYVET試験アゲイン
http://blog.m3.com/reed/20080511/1
きょうは2008年6月4日のMT proの記事で再度HYVETの勉強をしてみました。

超高齢者における降圧の意義がHYVET試験で明らかに
日本の大規模観察研究でも注目のエビデンス
北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟

背景:エビデンスがなかった超高齢者の降圧療法
日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2004」によれば,「高齢者においても高血圧の基準は一般成人と同様140/90mmHg以上とする」とされている。
しかし,同時に「高齢者において140/90mmHg未満が妥当であるか否かは,現在のところエビデンスがない」とも記載されている。

実際,久山町研究では80歳以上の超高齢者では収縮期血圧が140mmHg以上になっても心血管合併症リスクの上昇が認められず(Arch Intern Med 2003; 163: 361-366),欧州(J Am Geriatr Soc 2006; 54: 912-918)や米国(J Am Geriatr Soc 2007; 55: 383-388)の観察研究でも80歳ないし85歳以上の超高齢者では収縮期血圧140mmHg未満の集団のほうが,140mmHg以上の集団よりも生存率が低くなっていた。

このような状況のなかで超高齢者の高血圧を治療することの利益と害を検討するための前向きランダム化介入試験HYVETがN Engl J Med(2008; 358: 1887-1898)に報告された。
また,わが国でもJ-HEALTH研究(Hypertens Res 2008; 31: 469-478)の結果が報告された。

結果1:積極的治療は血圧コントロールを改善
HYVET試験では,80歳以上で収縮期血圧160mmHg以上が持続している高血圧症患者が登録され,2か月間降圧薬を中止してプラセボを内服した後,3,845例が積極的治療群(1,933例)とプラセボ群(1,912例)にランダムに割り付けられた。
積極的治療群では,150/80mmHg未満になるよう利尿薬インダパミドおよび必要があればACE阻害薬ペリンドプリルが投与された。

追跡期間の中央値は1.8年,平均値は2.1年であったが,試験開始2年後の時点で積極的治療群の4分の1のみがインダパミド単独で治療されており,4分の3の患者はインダパミドとペリンドプリル両薬の投与を受けていた。

その結果,積極的治療群では試験開始時に比べて収縮期血圧で29.5±15.4mmHg,拡張期血圧で12.9±9.5mmHgの低下を認め,この時点で収縮期血圧で15.0mmHg,拡張期血圧で6.1mmHg,プラセボ群より低くなっていた(プラセボ群でも14.5±18.5/6.8±10.5mmHgの低下を認めていた)。

結果2:積極的降圧治療は死亡率を軽減
このような降圧レベルの違いの結果,2年間での全死因死亡(全死亡)は積極的治療群ではプラセボ群に比べ21%低下しており(P=0.02),脳卒中による死亡も39%低下し(P=0.046),また,心不全も64%低下していた(P<0.001)。
ただし,主要エンドポイントであったすべての脳卒中の低下(30%)は有意ではなかった(P=0.06)。

結果3:積極的降圧治療は重篤な副作用を増加させず
なお,血清K値,尿酸値,血糖値,血中クレアチニン値の変化には両群間で統計学的な差異はなく,重篤な副作用は積極的治療群で358イベント,プラセボ群で448イベントと,プラセボ群で有意に多かった。

考察:150/80mmHg以上あるいは150/85mmHg以上なら薬物療法で140/90mmHg未満を目指すべき
高齢者に対する降圧治療の効果を示すこれまでの前向き研究の論文としては,複数の研究のメタ解析であるINDANA groupからの報告(Lancet 1999; 353: 793-796)(1,670例)があるくらいであった。

この報告では,降圧治療により脳卒中では34%の有意な減少を認めたものの,全死亡に差異はなく,逆に有意ではないものの降圧治療群で6%の増加を認めていた。
単一の研究で3,845例のデータを取り扱うHYVET試験において,全死亡の減少という結果を得られたことは本当に意義深いと言えよう。

ごく最近わが国ではJ-HEALTH研究(26,512例)の結果が報告されたが(Hypertens Res 2008; 31: 469-478),この観察研究からは,75歳以上(4,176例)では収縮期血圧150mmHg以上もしくは拡張期血圧85mmHg以上で心血管疾患の発症率が増加し,また,85歳以上(692例)でも140/90mmHg以上(96.8/1,000人・年)のほうが140/90mmHg未満(42.4/1,000人・年)より2倍心血管疾患の発症率が高いことが示されていた。
前述の久山町研究(Arch Intern Med 2003; 163: 361-366)(588例)では超高齢者の血圧―心血管イベント発症率関係は若年者のそれとは異なる可能性が示唆されていたが,J-HEALTH研究により超高齢者でも若年者のそれとほぼ同様であることが確認されたと言えよう。

こうした最近の研究結果を考えると,わが国の超高齢者においても150/80mmHg以上(HYVET試験)あるいは150/85mmHg以上(J-HEALTH研究)であれば薬物療法の対象とし,140/90mmHg未満を目指すべきと思われた。

*超高齢者という用語は学術的に定義されていない。
しかし,後期高齢者という用語が75歳以上を指すものとして法律上規定されているため,本稿では後期の高齢者を包括する概念として超高齢者という用語を用いた。
したがって,75歳以上であっても,80歳以上であっても,85歳以上であっても超高齢者で統一した
 

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。

他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/
2008.5.21~ 「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
~2008.5.21
があります

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