戯れ言たれる侏儒
Profile

ブログ内検索

カレンダー

<< 2008/06 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30

新着コメント

新着トラックバック

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

 昨日の後半です。

RA系と血管機能障害の最新知見と高血圧治療における意義(続)

血管障害の新知見
─血管内皮前駆細胞の低下と心血管系イベントリスクに相関─
下川 
最近,血管障害と血管内皮前駆細胞(EPC)の関係が注目されており,血中EPCの低下が心血管系イベントのリスクになることが報告されています。
この知見について,池田先生,ご解説いただけますか。

池田 
骨髄由来の幹細胞の一種であるEPCは,骨髄から血中に誘導され血管修復に寄与すると考えられています。
臨床においては,腎不全により透析を実施している患者において,血中のEPC数が低下していることが報告されており,これらの患者における血管障害進展との関係が注目されます。
また,安定狭心症患者においても血中のEPC数が低下していることが報告されています。
合併症別に見た場合,高血圧,糖尿病,高脂血症,喫煙のうち,特に糖尿病を合併する症例においてEPCが低下していることから,糖尿病そのものがEPC低下を引き起こす重大な要因と考えられます。
また,最近Wernerらが血中のEPC数が低い患者では長期の心血管系イベントリスクが高いことを報告し,EPC数の低下は心血管系イベントの新たな危険因子であると捉えられるようになりました。

下川 
EPCの低下は,心血管系イベント発生のどの段階において重要と考えられているのでしょうか。
池田 
EPCは,動脈硬化の初期段階である血管内皮機能の障害から,その後の動脈硬化進展のプロセスに対しても抑制的に働くと考えられますし,さらに虚血性心疾患などの病態においても,血管新生の促進を介して重要な役割を持つと考えられます。
また,心血管系イベントが発生するかなり前の段階より,EPCの低下が起きていることがわかっており,EPCは血管新生作用を介してさまざまな血管障害の進展抑制に寄与していると考えられます(図 2)。

 

 

下川                                骨髄細胞にはAT1受容体が発現するとの報告がありますが,A IIの増大は,骨髄細胞やEPCの動態に何らかの影響を及ぼすことは考えられるのでしょうか。

池田 
その可能性は十分に考えられます。
例えば,Bahlmannらは,2型糖尿病患者の血中EPC数が健康人に比べて有意に低下していること,また,ARBオルメサルタンの投与により,プラセボに比べて,有意にEPC数が増大することを報告しています。
詳しい機序はまだ明らかにされていませんが,オルメサルタンは,AT1受容体拮抗作用により酸化ストレスや炎症の抑制を介してEPCのアポトーシスを抑えることで,その血中半減期を延長させているのではないかと私自身は考えています。

下川 
EPCによる血管修復については,さらに新しい可能性が期待できそうですね。

炎症・酸化ストレス抑制に着目した治療の現状と高血圧治療の意義
下川 
次に,実地臨床でわれわれが遭遇する高血圧患者に対し,炎症や酸化ストレスに着目した治療方針を立てる際に参考になる知見を紹介していきたいと思います。
最近注目された臨床報告の1つとしてオルメサルタンによる炎症抑制への影響を検討した臨床試験EUTOPIAがありますが,野出先生,ご解説いただけますか。

野出 
臨床使用している薬剤には各種の基礎・臨床試験において炎症抑制が確認されているものがいくつかあり,そのなかの1つにARBオルメサルタンがあります。
hsCRP上昇(> 3 mg/L)かつIL-6・ICAM-1などの炎症性因子の上昇を示す高血圧患者を対象とした臨床試験EUTOPIAでは,オルメサルタン単独投与により,hsCRP,hsTNF-α,IL-6,MCP-1の有意な低下が確認されました(図 3)。

 

下川 
高血圧や高脂血症,あるいは両者を合併した病態では,両薬剤の併用が,相加的な炎症抑制をもたらすと考えられます。
池田先生は,オルメサルタンによる高血圧治療の過程で期待される炎症抑制の臨床的意義について,どうお考えでしょうか。

池田 
高血圧などで生じる血管障害に対するオルメサルタンの改善機序としては,降圧のほか,炎症や酸化ストレスの抑制がおもに関与していると考えています。
また,臨床データではないのですが,私たちはマウスの心移植モデルにおいて,オルメサルタンの投与が移植拒絶を遅延させることを見出しています。
このマウスでは,オルメサルタンの投与によって血中のIL-12p70,TNF-α,IL-6などの炎症性サイトカインが有意に低下したことから,これらの抑制を介して移植片に対する拒絶が抑制されたと考えています。

下川 
Schiffrin先生は,いかがですか。

Schiffrin 
高血圧に伴う動脈硬化性疾患および心血管系イベントを抑制するには,高血圧治療に加えて,高脂血症・高血糖・肥満などの危険因子を包括的に管理することが求められます。
高血圧に関しては,しっかりとした降圧治療が非常に重要なことは確かですが,心血管系イベントの危険因子はそれだけではありません。
本日の皆さんとのお話からも,A IIが血管に動脈硬化性変化をもたらす炎症や酸化ストレスの活性化を亢進させる重要な因子の1つであることは明白であると思います。
強い降圧効果を示し,さらに,A II抑制を介する薬理作用を有するオルメサルタンは,高血圧をはじめとする包括的な心血管系危険因子の抑制を鑑みた治療において重要な役割を果たす治療薬だと思います。

下川 
本日は,動脈硬化進展の過程における酸化ストレスや炎症の詳細な機序の中心にA IIが存在することが改めて認識できました。
 
既にさまざまな大規模臨床試験やメタアナリシスで明らかにされている通り,高血圧は数ある心血管系危険因子のなかで臨床的介入の意義が確立している重要な因子の1つです。
オルメサルタンは優れた降圧効果が確認されている薬剤の1つですが(図 4),本日のお話からは酸化ストレスや炎症の抑制を介して,組織局所における動脈硬化の進展を抑制する可能性もあることがうかがえました。

 


http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41210141&year=2008
出典 Medical Tribune 2008.5.22
版権 メディカル・トリビューン社

 

<番外編>
少し前の話です。
あるメーカーのMRに「高血圧ナビゲーター第2版(メディカルレビュー社)」という立派な書籍をいただきました。
その中の「本書の用語について」で、「アンジオテンシン受容体拮抗薬をAⅡA,
アンジオテンシンⅡ受容体ブロッカーおよびアンジオテンシンⅡタイプ1(AT1)受容体ブロッカーをARBと記載した」とありました。

何だか頭が混乱しそうです。
ブロッカーとアンタゴニスト。
カルシウム拮抗剤も最近はCCB(ブロッカー)と呼ばれます。

そして言い方が定着しているARBに対して、アンジオテンシン変換酵素阻害薬は定まった言い方がないように思います。
ACEIとアルファベットで呼ぶ言い方はほとんど耳にしません。
ACEインヒビターが一般的でしょうか。
私はいつもこの言葉を発する時につかえてしまいます。

最近「循環器学用語集 第3版」が届きました。
それで「アンジオテンシン変換酵素阻害薬」をみると

ACE     アンジオテンシン変換酵素
〜inhibitor  ACE アンジオテンシン変換酵素阻害薬
(略語の記載なし)
一方
ARBはきちんと略語が市民権を得ています。

〜薬と〜剤の使い分けもよくわかりません。

 

<追加>
先述の「高血圧ナビゲーター第2版(メディカルレビュー社)」では以下のような「用語解説」が出ています。(P260)

「バルサルタンは、その強力な降圧作用が評価され、世界で最初にアンジオテンシンⅡ受容体ブロッカー(ARB)という名称が認められた薬剤である。一方、同じアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬であるロサルタンはアンジオテンシンⅡ受容体アンタゴニスト(AⅡA)という名称で承認されている」

いま思い出しましたが、この書籍をプレゼントしてくれたのはバルサルタンを販売しているメーカーのMRでした。

 

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/
2008.5.21~

「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
~2008.5.21

があります。

固定リンク | コメント (0)