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< DELTA-MI | メイン | EUTOPIA Study その1(1/... >
学会にはほとんど出席しないのでわかりませんが、循環器内科医と心臓外科医が同じ壇上でデイスカッションする機会は最近は結構あるものなんでしょうか。
ある発表によると、国内でのCABGとPCIの件数は2004年で、約1万7000件対15万件。比率としては1:8.4。
米国では1:2~3とのことです。
きょうはいつも問題となるPCIとCABGの選択基準。特にLMT病変についての見解を勉強しました。結局は施設によって技量も事情も異なるため、なかなか基準化が難しいというのが現状のようです。
第21回日本冠疾患学会
~PCIとCABGの治療選択~
基準化に向けた状況把握が課題
保護されていない左冠動脈主幹部(LMT)の治療選択については,日本循環器学会の「冠動脈疾患におけるインターベンション治療の適応ガイドライン」のなかで,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の原則禁忌と明記されている。しかし,薬剤溶出ステント(DES)の登場以降,LMTや 3枝病変など,複雑病変に対してもPCIが選択される傾向にある。京都市で開かれた第21回日本冠疾患学会〔会長=京都府立医科大学心臓血管・呼吸器外科・夜久均教授(外科系),京都大学循環器内科・木村剛教授(内科系)〕では,内科・外科の合同シンポジウム「PCI,CABGのガイドラインを考える」(座長=国立循環器病センター・北村惣一郎センター長,湘南鎌倉総合病院心臓センター・齋藤滋センター長)で,PCIとCABGの治療選択についてさまざまな角度から問題提起がなされた。
内科医の立場から
PCIのエビデンスづくりが急務
天理よろづ相談所病院(奈良県)循環器内科の中川義久部長は,内科医の立場から,PCIの治療効果に関するエビデンスづくりが求められている点を指摘した。
同部長によると,血行再建術としてPCIより先に登場した冠動脈バイパス術(CABG)は,まず薬物治療との治療効果をランダム化試験で比較し,その有用性を確認したうえで普及が進んだのに対して,PCIについては登場以降,エビデンスが不十分な状況が続いているという。
特に国内のデータが不足しているが,この背景にはPCIのデバイスや技術進化の過程が速いため,試験実施期間のタイムラグを考えると,その必要性が疑問視されていた面もある。
さらに,欧米では合併症を減らすために適応範囲を制限する傾向にあったのに対し,わが国では患者利益を優先してきたため,適応を制限するのではなく,複雑病変に対しても技術を向上させることで合併症を減らそうと試みてきた経緯を同部長は指摘。
その結果,治療効果の評価機能が欠如しているのが現状であるという。
近年,データ集積と情報開示が不可欠と考えた循環器内科医らにより,DESが上市された際に日本初となるレジストリー調査j-CYPHERが実施され,遅まきながら日本でもエビデンスの蓄積が進んでいる。
同部長は「信頼に足るレジストリー調査のなかで評価すべき基準を構築すべきではないか」と述べた。
外科医の立場から
ガイドラインを遵守した治療選択を
国立循環器病センター心臓血管外科の小林順二郎部長は,外科医の立場からCABGも技術進化が著しく低侵襲化傾向にあることを説明。
ガイドラインを遵守した治療選択が望ましいとした。
CABGの実施件数は世界的に減少傾向にあり,日本でも2002年以降減少に転じている。
日本の2006年のCABG件数は,2002年と比べて17%減少していた。
これに対し,CABG件数に対するPCI件数の比は年々増加傾向で,2006年は12.1倍となっている。
PCIとCABGの比較試験には,糖尿病患者を対象にレジストリー調査とランダム化比較試験が行われたBARI試験がある。
治療後の死亡率について,レジストリー調査では有意差がなかったが,ランダム化比較試験ではCABGが有意に低かった。
また,CABGとPCIの全例登録が義務付けられている米ニューヨーク州の報告では,左前下行枝近位病変を含む 3 枝病変は,死亡のハザードリスクがPCIと比べてCABGのほうが36%低かった。
同部長は,術式の改善はPCIだけでなくCABGでも著しいと指摘。
心機能低下症例や糖尿病患者などでは静脈グラフトに代わって両側内胸動脈を使用することで治療成績が向上している。
侵襲が低い心拍動下のoff-pump CABGの普及も進み,日本胸部外科学会の報告では,2004年の段階で単独CABGの60%をoff-pumpが占めていた。
この実施率は欧米と比較しても高く,初回待機的off-pump CABGの病院死亡率も1.3%と低率である。
同部長は「DESの登場により再狭窄が減少したとは言え,LMT,入口部,分岐部病変は禁忌とされており,遅発性血栓症のリスクも報告されている状況下では,米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)のガイドラインを遵守すべき」と述べた。
施設からの報告
基準化には施設間格差が課題
済生会横浜市東部病院循環器科の村松俊哉部長は,治療法の選択基準には施設間格差が課題であることを指摘した。
まず,同部長は以前所属していた川崎社会保険病院での 5 年間のLMT病変の治療成績を報告。
CABGかPCIかの選択が議論されるLMT病変であるが,同院では105例全例に対してPCIが施行されていた。
このうち,不安定狭心症が14%を,治療領域としては分岐部が59%を占めていた。
PCI留置後,院内でイベントが発生したケースはなかった。平均227日間の追跡による遠隔期の再狭窄率は14.3%で,血管血行再建術は10.5%であった。
現在,同部長が勤務する横浜市東部病院では2007年 4 月の開院以来CABGが33件,PCIは734件となっているが,施設によってこの比は著しく異なっており,その治療成績もまちまちである。
この背景にはCABGやPCIの手技レベルが均一化できず,施設間で設備規模が異なる,さらに患者側から強い希望が出される場合などの課題がある。
同院ではLMTで分岐部を含む症例に対してはCABGが第一選択となっているが,同部長は「PCIやCABGの選択基準については課題が伴いやすい」と述べた。
運用面の課題
遵守状況を把握すべき
ガイドラインの運用面の課題について,横浜市立大学市民総合医療センター心臓血管センターの木村一雄教授が解説。
医師によって治療成績が大きく異なる可能性が低い薬物療法と違い,PCIやCABGでは術者によって成績が異なることから,まずはガイドラインの遵守状況について把握することが必要と述べた。
ガイドライン作成において参考とされるエビデンスは,総じて設備が整い経験豊富な術者によるランダム化試験であり,このような質の高いエビデンスをすべての施設,医師に適応するのには無理がある。
ガイドラインの遵守状況により結果が異なる例としては,術者当たりの年間プライマリPCI施行件数が16件以下である場合は,血栓溶解療法のほうが死亡率は低かったとする米国からの報告( JAMA 2000; 284: 3131-3138)や,昼間に実施したPCI不成功例が 4 %なのに対して,夜間は約 7 %に増加していたとするオランダの施設からの報告などがある。
ACC/AHAガイドラインの2005年の改訂では治療の質についても言及し,個々の術者の技量について検討する必要性が指摘されている。
待機的PCI施行件数が年間75例を下回る術者については,PCIの優位性が低下するほか,来院から初回バルーン拡張までを90分以内にすることがPCIの優位性を保証する指標とされている。
そこで同教授らは,わが国でのガイドライン遵守状況を横浜市立大学第二内科関連施設において検証した。
過去 1 年間に来院した発症12時間以内のST上昇型心筋梗塞患者のうち緊急冠動脈造影検査を施行した385例の来院から初回バルーン拡張(door-to-balloon)までの時間は,3 次救急病院の63分に対して市中病院は104分であった。この差は病院到着から心カテ室入室までの時間差によるものであったという。
また,市中病院では夜間でさらに時間がかかる傾向にあった。
3 次救急病院と市中病院の梗塞サイズの比較では,発症から来院まで 2 時間以内である場合は 3 次救急病院で梗塞サイズが縮小する傾向にあったが,2 時間以上かかる場合は有意差がなかった。
同教授は「発症 2 時間以内で来院した場合は,door-to-balloon時間が短いほど梗塞サイズは小さくなる。このため,発症早期こそdoor-to-balloon時間が重要」と指摘。
実際にdoor-to-balloon時間は30日死亡を規定する因子であったという。
以上から同教授は,すべての施設がガイドラインの条件に合致する状況でPCIが施行されているわけではない現状を踏まえ,「術者が自施設の成績とガイドラインを比較しながら,治療方針に反映させていくことが責務である」と述べた。
アンケートから
建設的な標準化作業が求められる
PCIに携わる医師はPCIとCABGの治療選択についてどのように考えているのか。
日本医科大学外科・心臓血管外科の落雅美教授は,日本心血管インターベンション学会と日本冠疾患学会の関東・東北・北海道在住の評議員105人(100施設)に対してアンケートを実施した。
74人(70.5%)から得た回答の結果を報告し,「内科外科の建設的な基準化作業が必要」と述べた。
まず,DESの登場によりPCIの適応が変わったかどうかについては,94.5%が「大きく変わった」,「多少変わった」と答えており,PCIの実施率が増加傾向にあることを裏づけていた。
次に,保護されていないLMTの治療方針については「ガイドラインに準拠する」,「CABGの適応」などの理由から13.9%が「CABGを選択」と答えているが,65.3%は「原則CABGだが症例によってPCIを選択」と答えている。
この理由には,「部位や形態によってはPCIで十分可能」や「DESが登場する前からPCIを施行しているが,手術死亡率が低く,低侵襲」などが挙げられており,同教授は「内科医の実感から出た意見であろう」と述べた。
複雑 3 枝病変の治療方針については,「原則CABGを選択」の回答が55.6%を占め,CABGを優位と評価する意見がある一方,DESの登場によりPCIも可能になったとする意見や,外科の成績により判断が左右されるなど,施設により異なる現状も浮き彫りにされた。
虚血性心疾患治療における外科治療の位置付けについては,完全血行再建を目指すうえで必要不可欠と重要視する意見が大半であったが,「術者の技術や施設間格差をなくすための標準化も必要」,「CABG施行施設が多すぎて年間50症例以下の施設もある」との指摘もあったという。
PCIについても,「野放図にPCI偏重となっている事態に対して質的なチェックシステムがない」との問題提起もあり,同教授はアンケートに寄せられた重要な提言として,「内科外科双方の学会が話し合い,適切な専門医数,施設数を合理的に決める必要がある。
さもないと,症例数偏在が進行し,成績の劣る少数症例施設が存続して,外科内科の水かけ論が続く事態になる」との意見を示した。
出典 Medical Tribune 2008.2.21
版権 メディカル・トリビューン社

田中忠雄 「薔薇」 6号
http://page19.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/x35950139
<コメント>
CABGとPCIの治療法を検討した23試験(総症例数9,963人)を対象に、早期および遠隔期で複数の検討項目を検討した論文があります。
Systemic review: The comparative effectiveness of percutaneous coronary intervention and coronary artery bypass graft surgery
Bravata DM et al. ANN INTERN MED 147:703-716,2007
それによれば、周術期死亡率は両群に差がなかったのに、治療に関連した脳梗塞発生率がCABG群に有意に高いという外科側に不利な結果でした。
外科側のい言い分として、多くが人工心肺を使った心停止下CABGであったということがあげられます。
一方、狭心症寛解と血行再建術再施行率ではCABG群が優位という結果でした。
国内では、現在心拍動下CABG(OPCAB)が標準術式(約60%)になっているという話も聞きます。
動脈硬化の強い症例には脳梗塞などの人工心肺関連合併症を防ぐためにも、上行大動脈操作を行わない動脈グラフトを用いる工夫もされています。
効果や合併症が同じなら、患者は当然ながら低侵襲なPCIを選択します。
外科治療の適応は重症化した病変に限られるのはこれからも同じと思われます。
病変が重症でも、患者の状態自体が重症ならPCIが選択されるかも知れません。
逆に、出血傾向のある患者や、薬剤アレルギーのため抗血小板剤が服用できない症例はOPCABの適応例かも知れません。
読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/
2008.5.21~
「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
~2008.5.21
があります。
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