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心筋梗塞の傷害軽減に新薬
第I相安全性試験を終了
〔米ノースカロライナ州ダーラム〕デューク臨床研究所(ダーラム)で行われていた心筋梗塞による心筋傷害を抑制する新薬KAI-9803の第I相安全性試験が終了した。
ヒトで初めて行われた同薬の臨床試験結果はCirculation(2008; 117: 886-896)に発表された。
筆頭研究者でデューク大学(ダーラム)循環器科のMatthew Roe博士は「長い間このような薬剤が求められていた」と述べている。
再灌流による傷害を抑制
KAI-9803は,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行直後に見られる心筋細胞死の引き金となる酵素δプロテインキナーゼCの活性を阻害する。
PCIはバルーン血管形成術やステント留置術などの手技で,心筋梗塞を来す冠動脈の狭窄や閉塞を排除し,血液を再灌流させる。
今回の臨床試験(DELTA-MI)はKAI-9803の有効性を証明すべくデザインされたものではないが,初期データから有望な薬剤であることが示唆された。
Roe博士は「あまり認識されていないが,急性心筋梗塞で心臓が傷害を受ける重要な時点は2つある」と説明。
1つは,冠動脈が閉塞されたため心臓に血液と酸素が供給されなくなった時点。
もう1つは,PCIの施行による再灌流で,正常な血流が再開した時点である。
同博士は「虚血初発時に介入することは不可能かもしれないが,再灌流時に引き起こされる傷害を抑制する方法はある」と述べている。
同博士らは,心筋梗塞を起こしたPCI適応患者154例を,KAI-1803の4用量群とプラセボ群のいずれかにランダムに割り付けた。患者にはPCIに加えてKAI-9803の冠動脈内への直接注入を行った。
同博士は「心筋梗塞により傷害を受けた心臓に血流が回復する直前と,さらに回復した直後の2回,KAI-9803を投与することが治療目標だった。
傷害された領域に同薬を投与すると,δプロテインキナーゼCにより引き起こされる一連の傷害イベントを阻止できる」と述べている。
ポンプ機能も短時間で回復
これまでの動物実験で,KAI-9803は心筋傷害を軽減するほか,心筋のポンプ機能を短時間で回復させることが示されている。
Roe博士は「DELTA-MI試験は,KAI-9803のヒトにおける安全性を確認することを目的にデザインされたが,重大な副作用は見られなかった。
また,心筋傷害の軽減や心筋における電気伝導不安定の改善など,心臓への血流の回復に一致した好ましい薬理作用の徴候が数多く認められた」と述べている。
以上から,同博士らは,KAI-9803がヒトにおける心筋梗塞による心筋傷害の抑制に有用である可能性を持つと考えている。
今回の試験は,米国,カナダ,ブラジルおよび欧州の48施設の研究者がデータを提供し,KAI Pharmaceuticals社から助成を受けた。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41210052&year=2008
出典 Medical Tribune 2008.5.22
版権 メディカル・トリビューン社
<参考サイト>
プロテインキナーゼ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%86%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%82%BC
プロテインキナーゼC(CキナーゼまたはPKC、EC 2.7.11.13)は少なくとも10種類以上のアイソザイムから構成されるタンパク質ファミリーである。1977年に西塚泰美らによって発見された。PKCは、その構造、活性化機構、生理機能によって、在来型(conventionalあるいはclassical:α、βI、βII、γ)、新型(novel:δ、ε、η、θ)、非典型(atypical:ζ、λ/ι)の3つのサブファミリーに分類される。在来型PKCは主にカルシウムイオン(Ca2+)、ジアシルグリセロール、あるいはホスファチジルセリン (PS) などのリン脂質によって活性化される。新型PKCはカルシウムイオン結合活性を失っており、ジアシルグリセロールによる活性化を受ける。ジアシルグリセロールは細胞膜、核膜の構成成分であるホスファチジルイノシトール (PI) からホスホリパーゼCによって産生されるため、在来型・新型PKCはシグナル伝達経路においてホスホリパーゼCの下流に位置する。一方、非典型PKCはカルシムイオンおよびジアシルグリセロール結合活性を持たない。在来型PKCの1種であるCαを日本では特にCキナーゼと呼ぶことがある。
KAI-9803
http://www.kaipharmaceuticals.com/?option=com_content&task=view&id=18&Itemid=40
KAI’s lead product candidate, KAI-9803, is an isozyme-selective delta protein kinase C (δPKC) inhibitor designed to reduce ischemia and reperfusion injury as an adjunct to current treatments for acute myocardial infarction (AMI, commonly referred to as heart attack). KAI intends to begin enrolling patients in a phase 2b trial later this year. KAI-9803 has received a Fast Track designation from the FDA.
Delta PKC plays a critical role in the cellular processes associated with apoptosis and necrosis in injury casued by ischemia and reperfusion such as AMI. Unlike other agents that have been studied for myocardial protection in AMI, KAI-9803 acts upstream of both the apoptotic and necrotic pathways by inhibiting δPKC translocation into the mitochondria. KAI-9803 has demonstrated significant improvements in infarct size following AMI in multiple animal models (rat, rabbit and pig) associated with improvements in cardiac function.
ACC07(DrYumi)
http://www.dryumi.com/?p=260
ABSORB trial:世界初の組織に吸収される冠動脈ステントのスタデイ
ARMYDA-ACS
FUSION 3
ALPHA
EVEREST
DELTA-MI:Protein kinase Cを抑制する事で心筋梗塞を小さくできるかもしれない
METEOR
VALIDD:心臓拡張障害の治療としてValsartanが有効かもしれない
SPIRIT 3:evelorimusを用いたDESをTAXUSと比較したスタデイ
西塚泰美
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E5%A1%9A%E6%B3%B0%E7%BE%8E
西塚泰美先生を偲んで
http://www.med.nagoya-u.ac.jp/Yakuri/whats_kaibuchi_ken/kaibuchi_page/hitorigoto-9.html
有識者からのメッセ-ジ
http://kidorui.chem.eng.osaka-u.ac.jp/page4-3.htm
<コメント>
プロテインキナーゼCはノーベル賞候補の西塚先生が発見したものですね。
受賞されないまま亡くなられたこと、そして日本で今回の発表のような薬剤が開発されないことは残念です。
iPS細胞の山中教授と同様に京大と神戸大。
何だか因縁じみたものを感じるのは私だけでしょうか。
読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/
2008.5.21~
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~2008.5.21
があります。