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横浜労災病院・西川哲夫先生が書かれた記事で勉強しました。
本邦では3500万人以上が罹患している高血圧症の診療の上で注目されている疾患が、原発性アルドステロン症(PA)である。
現在まできわめて稀な2次性高血圧症と考えられてきたが、最近になって、その頻度は、高血圧症の数%を占める割合の高い疾患であることを筆者らは報告してきた。
PAを病型分類すると、
①副腎腺腫(aldosterone producing adenoma;APA)
②両側副腎過形成(idiopathic hyperaldosteronism;IHA)
に大きく分けることが可能である。
筆者らの検討からは、片側病変の本疾患が80%以上を占めているので、積極的に病変側の同定により外科的処置が可能である。
いずれの病型でも、低レニン性高アルドステロン血症性高血圧を示し、副腎病変の同定には副腎静脈採血を行う。
アルドステロン過剰分泌が片側性か両側性かを確認する。片側副腎病変であればその摘出を、両側病変では抗アルドステロン薬などによる薬物療法を行う。
過剰アルドステロン血症による心血管障害の発症進展を防ぐ必要があるので、早期診断・治療が必要である。
〔フロセミド2時間立位負荷試験方法〕
高血圧症例では可能な限り全例を対象に、30分間ベッド上安静後に採血する。
筆者らは血漿レ二ン活性(PRA)が1.0ng/ml/時未満、血漿アルドステロン濃度(PAC)が12.0ng/dl以上を指標にしてスクリーニングするが、PAC/PRA比(aldosterone-renin ratio:ARR)が20以上であれば本疾患を疑う。
上記スクリーニングを行った後にフロセミド2時間立位負荷試験を行い、2時間後のPRA値を測定し、2.0ng/ml/時未満の症例はPAの可能性が高い。
フロセミド2時間立位負荷試験方法は、スクリーニングの際と同様に午前中、朝食を欠食の状態で30分間ベッドと安静後に血圧と脈の測定を行い、何時に負荷前採血するとよい)。その後、肘静脈からフロセミド40mgのボーラス投与を行い、ベッドを離れ立位になる。
ナースの目の届く範囲内(起立低血圧に陥り、目眩、動悸、ふらつきを訴えると危険であるため)の室内歩行を許可し、排尿も自由に行ってもらう。
120分間の軽歩行を行ってもらうが、立っていられない方も稀にいる。
その際は、立位を中止し座位後ただちに血圧、脈拍測定し、刺激後の採血を行う。
脱水が著明と高いままであった。
IHAでは、38.5と本態性高血圧症のそれに比較し、わずかに高値を示した。
すなわち、フロセミド(ラシックス40mg静注)+立位負荷2時間後のARRでAPAとIHAとの鑑別の一つの指標と考えられるが、最終的には副腎静脈サンプリングで左右差を明確にすべきである。
フロセミド2時間立位負荷試験は外来でも行えるが、気分が悪い、動悸がひどいといった症状を訴える患者も多く、入院の上、病棟内で行うよう心がけている。
また脳卒中、心筋梗塞後の症例は禁忌である。
出典 日本医事新報 No.4380 2008.4.5P91
版権 日本医事新報社
<参考サイト>
アルドステロン研究の現在
http://blog.m3.com/reed/20080623/1
原発性アルドステロン症診断におけるACTH 負荷副腎静脈採血法の有用性
http://endo80.umin.jp/CH/C-10.pdf
「原発性アルドステロン症はコモンディジーズか?」
http://endo80.umin.jp/symposium/S-5.pdf
アルドステロンブロックの臨床的意義とそのターゲット患者像に迫る
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E3%83%AC%E3%83%8B%E3%83%B3&perpage=0&order=0&page=2&id=M41180401&year=2008&type=allround
<コメント>
血中のレニンは直接測定できないためレニン「活性」として測定します。
どうして直接測定できないのかはよくわかりません。
高血圧患者をみた場合に、最初から「本態性高血圧」と決め付けてしまいがちです。
かくいう私も、正直レニンやアルドステロンをルーチンには測定していません。
正常K値のPAも結構いるとのことですから、すくなくとも治療開始前には測定しておくべきと思われます。
講演などでその気になっても診察室では忘れてしまいます。
低レニンをみつけるのに随時のレニン測定はむしろいいような気もするのですが、どうなんでしょうか。
座位や立位が一種の負荷試験となり、それでも「低レニン」であるという結果が出ればそれはそれでいいように思うのですが。(負荷状態でもレニン分泌が抑制)
読んでいただいてありがとうございます。
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今日はHIJ-CREATE試験について勉強しました。
ARBとACEいとの直接対決の臨床試験は意外と少ないようです。
ある意味当然かも知れませんが。
冠動脈疾患および腎機能障害を有する高血圧患者においてARBベースの治療とACE阻害薬ベースの治療が心血管イベントに及ぼす影響
〜HIJ-CREATE試験より〜
HIJ-CREATE試験グループ
仙台循環器病センター循環器科医長
八木 勝宏 氏
ESH-ESC高血圧管理ガイドラインでは,腎機能障害を有する高血圧患者への薬物療法としてアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)およびACE阻害薬が推奨されている。
しかしながら,主要心血管イベント(MACE)の減少についてARBとACE阻害薬を比較した研究はほとんどない。
The Heart Institute of Japan Candesartan Randomized trial for Evaluation in Coronary Artery Disease(HIJ-CREATE)試験グループの八木氏らは同試験の事後解析を行い,冠動脈疾患および腎機能障害を有する高血圧患者において,カンデサルタンをベースとした治療が,ACE阻害薬による治療よりもMACEリスクを有意(P=0.013)に減少させることを示した。
冠動脈疾患と腎機能障害を有する高血圧例でイベント抑制効果を検討
HIJ-CREATE試験では,冠動脈造影で確認された冠動脈疾患を有する高血圧患者2,049例を対象として,カンデサルタンをベースとする治療がMACEに及ぼす影響について,非ARB(ACE阻害薬など)をベースとする標準治療と比較された。
MACEは,心血管死亡,非致死性心筋梗塞,入院を必要とする心血管イベント(不安定狭心症,心不全,脳卒中など)と定義された。
試験は多施設でPROBE法(前向き・ランダム化・オープンラベル・エンドポイント盲検化)により実施された。
八木氏らは今回,試験開始前に腎機能障害〔推算糸球体濾過値(eGFR)60mL/分未満〕が認められた患者について,カンデサルタンをベースとした治療とACE阻害薬をベースとした治療を比較した。
腎機能障害が認められたのは1,022例で,うち509例はカンデサルタン群に,513例は非ARBベース療法群に割り付けられ,非ARBベース療法群のうちの362例はACE阻害薬ベースの治療であった(ACE阻害薬群)。
経過観察期間中央値は4.3年であった。
試験開始前の背景因子については,β遮断薬を投与されていた患者がカンデサルタン群(44%)よりもACE阻害薬群(53%)で有意(P=0.012)に多かったものの,その他の因子はいずれも両群間で有意差が認められなかった。
カンデサルタンがMACEリスクを減少
血圧は,拡張期血圧(DBP)がカンデサルタン群で低く推移する傾向にあったが,収縮期血圧(SBP),DBPともに両群間で有意差は見られなかった。
eGFRは,両群ともベースラインとほぼ同等のレベルで推移し,両群間に有意差は認められなかった。
MACEの発生率はカンデサルタン群のほうがACE阻害薬群よりも低値で推移し,ハザード比は0.74(95%信頼区間0.58~0.94,P=0.013)であった。
MACEの内訳について見ると,カンデサルタン群では入院を必要とする不安定狭心症のリスクが29%減少した(P=0.042)。
以上の結果について,八木氏らは「本研究では蛋白尿のデータは検討していない。また,これは事後解析であり,その解釈には注意を要する」と断ったうえで,「冠動脈疾患および腎機能障害を有する高血圧患者において,カンデサルタンをベースとした治療は,ACE阻害薬をベースとした治療よりも,主要心血管イベントリスクの減少に有利に作用する」とまとめた。
【監修者のコメント】
HIJ-CREATE試験は,冠動脈造影で冠動脈疾患を有する高血圧患者に対し,カンデサルタン群とARB以外でおもにACE阻害薬を用いた既存治療群を比較したものであるが,本研究はこの冠動脈疾患患者のなかで慢性腎臓病(CKD)をも合併する症例に限定して心血管イベント発生をサブ解析したものである。
その結果,MACEの発生についてカンデサルタン群のほうがACE阻害薬群よりもより有用であることが示唆された。
入院を要する冠動脈疾患においてMACEに有意差が出ることは臨床上の意義が大きい。
なかでも不安定狭心症の発症は,カンデサルタン群で有意に抑制されていた。
あくまでも試験後のpost-hoc解析なので症例数も異なり,β遮断薬の併用率は非ARB群のほうが有意に多い。
しかし,冠動脈疾患に対してβ遮断薬の併用が少ないにもかかわらず,カンデサルタンがMACEの抑制に有用であったとも言える。
ARBとACE阻害薬のどちらがより有用であるかは多くの大規模臨床試験の結果からも結論が出ておらず,一般的には同等の効果と考えられている。
一方,CKDが心血管イベントの独立した危険因子として注目されるようになり,リスクの層別化の指標として見直されてきている。
本研究のように単純に冠動脈疾患患者のMACEに差が出なくても,CKDを加えて層別化すると差が出る可能性がある。
冠動脈疾患もCKDも動脈硬化性変化の進展を観察していることになるため,今回の研究は動脈硬化の進展抑制にARBのほうがACE阻害薬よりも有用であることを示唆している。
今後,本研究のように過去の臨床試験のサブ解析からCKDを層別化して検討すると,さらなる新しい知見が出てくる可能性が示唆される。
監修:東京慈恵会医科大学循環器内科教授 谷口郁夫
<コメント>
「冠動脈疾患もCKDも動脈硬化性変化の進展を観察している」という監修者のコメント。
思わず納得しそうになってしまいます。
CKDという概念が出てきた時、腎疾患の病因によらずCKDの定義を満たせばよいという考えに疑問を持たれた方も多いのではないのでしょうか。
慢性腎炎によるCKDと高血圧や糖尿病が原因のCKDで、MACEの頻度は同じでしょうか。
そのあたりにCKDの「危うさ」を感じます。
最近でこそ慣れましたが、個人的には、KIDNEY DISEASEという英語表現に何となく違和感を感じています。
腎不全はKIDNEY FAILUREとはいいません。
逆にCOPDはPULMONARYでありLUNG(これならCOLDと言い易い)とはいいません。
RENALと表現するとRESPIRATORYと混同するからでしょうか。
このあたりはなぜ、横浜国大だけが国立がつくのかというのと同じなのかも知れません。
CKDのKやCOPDのPに相当する部分が形容詞がいいのか名詞がいいのか。
意外と気になってしまいます。
<参考ブログ>
HIJ-CREATE
http://blog.m3.com/reed/20071128/HIJ-CREATE
高性能ACEI(その5)
http://blog.m3.com/reed/20071129/_ACEI_
問題は血圧をSurrogateマーカ(代用評価項目)とすると、それだけでは組織RASの抑制は不十分であることが明らかにされています(下がっていてもRASの抑制ができていない;ARBとの併用が有用ですが)。
そこで、ACEIの投与量と使いかたが非常に重要となります。後者を十分臓器保護として使用するならば、分割頻回投与が有効です。前者の場合なら分割投与よりむしろ一回の量を増やす方が有効です。
繰り返しますが、一番重要な点は降圧でなくて(もちろん大切ですが)、いかに臓器保護を24時間しっかり得るかです。
読んでいただいてありがとうございます。
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検診でもwhole heart coronary MRAが可能に
これまで冠動脈疾患診断の主役であった冠動脈造影は侵襲性が高いため,治療を前提としないものはマルチスライスCTによる冠動脈検査に置き換わりつつある。
一方,心臓領域のMRIは放射性同位元素を用いた核医学CT(SPECT)による血流評価,心筋バイアビリティなどの機能検査とマルチスライスCTによる冠動脈狭窄など形態検査の両方を併せた情報が得られる利点があり,しかも放射線被曝がない。
従来,CTは冠動脈狭窄や動脈硬化性プラークの診断に,MRIは心筋血流や心筋梗塞,壁運動の評価に有用と考えられてきたが,心臓用32チャネルコイルなどの開発によって,MRIによる冠動脈狭窄やプラークの診断も可能となってきた。
三重大学病院中央放射線部副部長の佐久間肇准教授らは,MRIにより心臓全域の冠動脈診断が可能なwhole heart coronary MRAに2004年から取り組んでいる。
同准教授に現在の心臓MRIでどこまでがわかるのか,また,CTやSPECTとの比較における優位点を聞いた。
心筋梗塞・狭心症診断ではSPECTをしのぐ
佐久間准教授によると,64列マルチスライスCTの冠動脈狭窄診断能は感度が80%台後半,特異度が90%台と非常に高い。
しかし,問題は放射線被曝で,マルチスライスCTによる冠動脈造影検査を行うと,1回当たりの被曝線量は胸部単純X線写真1,000回分に相当するという。
そのため,現在マルチスライスCTによる冠動脈造影の適応は冠疾患リスク症例における冠動脈病変の除外診断が中心となっている。
一方,MRI検査のうちシネMRIは心機能と局所壁運動を評価でき, 遅延造影MRIでは心筋梗塞巣や線維化を診断できる。
さらに,負荷パーフュージョンMRIでは心筋虚血が診断できる。
心筋梗塞および狭心症の診断においてMRIはSPECTをしのいでおり,しかも検査費用はSPECTよりも安価である。
「心臓画像診断の流れを中長期的に見ると,現在は,SPECTによる心筋梗塞や虚血の検査をMRIが肩代わりしようとしている過程にあり,被曝がないのでCTのような検査対象者の制限もない」と同准教授。
32チャネルコイルの開発で画質が向上,検査時間は短縮
図1は同部で行われている心臓MRI検査の流れである。

シネMRIと負荷パーフュージョンMRI,遅延造影MRIは従来と変わりないが,冠動脈MRアンギオグラフィー(MR血管撮影:MRA)で使用される信号検出用のコイルが従来の5ないし8チャネルに代わり,32チャネルとなった(図2)。
このコイルの開発により,以前は平均13分程度かかっていたwhole heart coronary MRAが数分以内で撮れるようになり,画質も向上した。
佐久間准教授によると,現在,負荷心筋パーフュージョンMRIの適応は中等度の冠疾患リスク群で負荷心電図所見がはっきりしない場合や,負荷心電図が実施不能の場合,マルチスライスCTにおいて冠動脈狭窄が認められた場合に心筋虚血の有無を判定する目的に推奨されている。
一方,遅延造影MRIは心筋梗塞,心不全,心筋症,各種心筋疾患に適応があるとされており,心筋梗塞診断における心臓MRIの高い診断能が評価された形となっている。
冠動脈診断におけるCTの優位性は変わらないが,「心筋梗塞の診断ではMRIをまず実施する時代になってきた」と同准教授は強調する(図3)。
また,予後診断においても心臓MRIの有用性が認められている。同大学内科の栗田泰郎氏らは,負荷心筋パーフュージョンMRIと遅延造影MRIを実施し,両方ともに正常な群はどちらかに異常が認められた群に比べて,予後が有意に良好であることを報告している。
心筋虚血と冠動脈狭窄を一気に診断
冠動脈の診断・治療では心筋虚血と冠動脈狭窄の情報が最も重要だが,whole heart coronary MRAではこの両方が一度に把握できる。
同撮像法はMRAの一種で,心臓全体の高分解能3次元画像を一度にまとめて撮影する方法である。
32チャネルコイルの開発により,検査時間が短縮されただけでなく,従来は呼吸が安定しない患者ではうまく撮影できず成功率が86%程度だったのが,ほぼ100%に改善しているという。
周知のように,X線CTに比べてMRIのスキャン時間は長いので,呼吸による体動の影響を受けやすい。
そこで,横隔膜の位置情報をもとに呼吸による体動に追従するようにリアルタイムで体軸方向に撮影位置をずらしながら心臓全体を撮れるようにしたのがwhole heart coronary MRAである。
もちろん,マルチスライスCTでも心臓全体の冠動脈は撮れるが,MRIでは被曝がないうえに造影剤を必要とせず(1.5テスラ時),CTが苦手とする石灰化した血管でも内部が観察できるという利点がある(図4)。
32チャネルコイルで検査時間が短縮され,成功率が改善したことから,whole heart coronary MRAはルーチンに使える撮像法になっている。
MRAがCTよりも優れている対象は川崎病や冠動脈奇形の小児,ヨード過敏症例,冠動脈高度石灰化例などだが,佐久間准教授は「現在の成功率や画質からすれば,32チャネルコイルによる冠動脈MRAは検診に使ってもよいレベルに来ていると思う」と語る。
現在,3テスラの装置でもwhole heart coronary MRAが検討されており,その診断能は64列マルチスライスCTに匹敵することが最近の海外学会で報告されているという。
ただし,3テスラ装置で同法を行う際にはMRI用造影剤が必要になる。「1.5テスラ装置は造影剤を使わない冠動脈スクリーニングに,3テスラ装置は造影剤を使った冠動脈病変の精査に用いられるのではないか」
同准教授らは,さらなる心臓MRI診断の普及を目指し,技師・医師向けの各種教育プログラムを実施している。
「MRI装置の普及にもかかわらず,心臓MRIが今ひとつ普及しない理由は,心臓MRI撮影がCTよりも難しく,教育研修が不足しており,撮影条件が標準化されておらず,心臓MRIの有用性に対する認知度が低いことにある」と同准教授は心臓MRI教育に熱意を燃やしている。
出典 Medical Tribune 2008.1.31
版権 メディカル・トリビューン社
<参考サイト>
CVデバイスとMRI
http://blog.m3.com/reed/20080110/CV_MRI__
MDCT,電子ビームCTによる石灰化スコア
http://blog.m3.com/reed/20080426/MDCT_CT_
専門医の期待に応える64列MDCTの高画質
http://blog.m3.com/reed/20070930/1
MDCTによる不安定プラークの診断
http://blog.m3.com/reed/20080423/MDCT_
<自遊時間>
超音波装置が壊れた話は先回しました。
現在、新規購入に向けて業者を呼んで検討中です。
壊れた装置を購入した時点では、「超音波装置はアロカ」という頭がありました。
したがって開業時には何の迷いもなくアロカを購入しました。
しかしデジタル化が進むにつれ販売の勢力図も随分塗り替えられたようです。
大体4社にしぼりましたが、現時点での知識では
GE
性能はよさそうだが高そう。但しデモ機がお値打ちで購入できるかもしれない。
日立
自社製品で出来ているが高そう。
業者も価格では恐らく当社は負けますと言っていた。
東芝
一部、松下の部品を使用。
アロカ
デジタル化の波に少し遅れている。
日立が株を少し保有。
日立との技術提携から将来は・・・。
業者はデモはいかがといっていますが、見ても恐らく分からないのでどうしようかと迷っています。
開業医なのでそんないい機械も要らないし、といったところですが、購入は急いでいます。
ポラロイド社がポラロイドの生産を打ち切るので眼底カメラも買い換えないといけないし・・・頭が痛いです。
読んでいただいてありがとうございます。
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ふくろう医者の診察室
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2008年6月14~19日,ドイツ・ベルリンで盛会のうちに幕を閉じたHypertension 2008。
欧州高血圧学会(ESH)と国際高血圧学会(ISH)の合同開催となった今学会は,世界各国から8,500人以上の参加者が集まった。
降圧目標の達成には効果増強,副作用減少の両面から積極的な併用療法を
降圧治療のエビデンスは絶え間なく登場し,どの薬剤の組み合わせがよいのか,高血圧患者の降圧目標値はどうあるべきか,初発予防,再発予防,サブグループによる解析が続々と出されている。
ALLHATで,降圧薬の単独治療の限界が示されて以来,現在は複数の降圧薬による併用療法の臨床試験が多く実施され,そうしたエビデンスが各種ガイドラインでも推奨されている。
週末セッション特集“Getting Patients to BP Goals: More Combo Therapy”(降圧目標を達成するには:もっと併用療法を)では,併用療法の重要性に関する多くの演題が取り上げられた。
ドイツ・フリードリッヒアレキサンダー大学のRoland E. Schmieder氏は降圧管理不良の高血圧患者のうち,3分の1が薬剤を増量されていない と指摘。
現在のガイドラインでは単剤で降圧目標を達成できない場合と心血管疾患のリスクが高い場合には併用療法が推奨されているとした。
また,併用療法においてどの薬剤を組み合わせるかについては,英国・ロンドン大学のNeil R. Poulter氏が最近の臨床試験の結果から,ACE阻害薬もしくはARBとCa拮抗薬の組み合わせを第一選択とするのが望ましい としている。
ドイツ・リューベック大学のHeribert Schunkert氏は,重症高血圧,左心肥大,収縮期高血圧や肥満など降圧困難な例にはARBとサイアザイド系利尿薬の併用を考慮すべきと述べている。
さらに,欧米では既に広く使用されている降圧薬の合剤に関するセッションでは,固定用量の合剤使用により高血圧に関連する死亡の減少,単剤に比べ収縮期血圧の降圧がより迅速に得られるほか,単剤の増量に比べ,より明らかな降圧が得られるといったことが紹介された。
エビデンスに追い付かない日常臨床―欧州では3分の2が未治療
しかし,現実には降圧目標を達成できている高血圧患者の割合は,決して高くないことが明らかにされている。
欧州においては高血圧患者の3分の2以上が降圧治療を受けておらず,治療を受けている人のうち,140/90mmHg未満を達成している人の割合は10%に満たないという。
“高血圧は修正可能なリスク” とも言われるが,なかなか理想と現実のギャップは埋まらないようだ。
降圧目標が達成できないのは医師のせい?
レクチャー“Is Physician's Inertia a Major Cause of Not Reaching Target Blood Pressure?”(目標血圧を達成できないのは医師の努力が足りないせい?)では,スペインの高血圧患者を対象とした臨床試験で主治医に取ったアンケート結果が紹介されている。
それによると,治療しているにもかかわらず降圧管理がうまくいかない原因について,医師たちはおもに次のような理由を挙げている。
最も回答頻度が高かったのは「生活習慣改善への意欲不足」(64.3%)で,「服薬コンプライアンスに問題」(38.2%),「選んだ薬剤の効果不足」(31.7%)が続いている。
一方で,興味深いことに,同じスペインからのデータにおいて,医師が高血圧患者に対して,薬剤の変更・追加や用量の調節などの治療方針を適宜変更している割合はわずか15.4%という数字も明らかになっており,こうした背景も血圧管理が改善しない状況に関連している可能性が指摘されている。
ノルウェー・オスロ大学のSverre E. Kjeldsen氏は, 大規模臨床試験での降圧目標達成率は日常臨床での20~30%に比べ,40~60%と2倍程度であるとしながらも,なぜ臨床試験の場においてさえも降圧目標が達成されないのかとの疑問を投げかけた。
同氏が調査研究者として携わったLIFE試験において,治療開始6か月時点で収縮期血圧の低下が停滞してしまった理由を調査したところ,収縮期血圧が140mmHgを超えたままにもかかわらず,初期治療からの投与薬剤の増量が行われていない症例が多数見つかったという。
似たような事例はほかにもあるようで,ASCOTやVALUEなどの例も紹介されている。
同氏は,この理由として「調査研究者の努力不足以外の何者でもない」と述べている。
また,こうした臨床試験上の問題を解決するために必要な方策として同氏らは,VALUE実施時,収縮期血圧が血圧管理の改善の要となることをもっと啓発する必要があると考えた。そして,収縮期血圧が目標値+10mmHgを超えるすべての症例のリストをつくり,試験コーディネーターに送り,経過報告を継続させることなどを提言している。
同氏は「降圧目標達成に必要とされる薬剤の増量には“介入のための介入”が機能しなくてはならない―そして医師自身が血圧管理に積極的に取り組み,降圧目標未達成の原因として“医師側の努力不足”があることを認めなければならない」と述べている。
次回ISH開催国カナダの“高血圧大国”返上の模様も紹介
また,“It is working in Canada! Report on behalf of the Canadian Hypertension Education Program”(頑張っています! カナダにおける高血圧啓発プログラム(CHEP)レポート)では,次回のISH開催国カナダの高血圧治療の意外な惨状(?)が「ひどい降圧管理? カナダを責めないで」という見出しで紹介されている。
人口1,200万人を擁するカナダ有数の都市,オンタリオにおける高血圧患者の割合は1995年から2005年の間に60%も増加しているという。
一方,高血圧の実態と管理に関する同地域の調査からは,治療による降圧管理を受けている人の割合は1992年の12.1%から,2006年には65.7%と大幅に改善しているほか,高血圧を自覚している人は87%で,治療を受けている人は82%と,高血圧治療に対する状況がよくなっている。
この数字は他の国の同じ規模を有する地域に比べても飛び抜けて優れているという。
高い有症率にもかかわらず,介入の状況が改善している点について,記事ではCHEPによる啓発の効果があったと述べられている。
カナダ・カルガリー大学のNorm R. C. Campbell氏は,CHEPが成果を上げた秘訣として,この種の血圧管理の必要性に関する啓発プログラムの繰り返しの実施,内容に一貫性があり,かつシンプルであること,そして実行しやすいことを挙げている。
同プログラムの内容は,年間40の出版物に載せられるほか,ブックレットとして14万人のプライマリケア医や2万人を超える専門医に配られているほか,ホームページ上でも公開されているという。
このプログラムはオンタリオ以外の地域でも実施されているそうだが,依然として糖尿病の合併や未治療の高血圧によりカナダ全土の成人の3分の2が心血管疾患の高リスク群とされ,高血圧患者の4分の1以上が何の治療も受けていない。
同氏は,今学会で「高血圧そのものの予防が最も重要で,それによりカナダ国民の90%を状況改善に導くことが可能だ」とし,「CHEPはカナダの高血圧管理の状況に劇的な変化をもたらした。
他の国でもこのボランティアをベースにしたプログラムは適応可能だ」と述べた。
そして,次回バンクーバーで開催されるISH2010に,CHEPに関心のあるグループを招待するとしている。
これらのトピックスを含む期間中のハイライトニュースは,ESHホームページで読むことができる。
http://www.eshonline.org/education/congresses/2008/esh/index.php
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0806/080620.html
出典 MTpro 2008.6.20
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
文中のinertiaという単語。
不学にして初めて見ました。
最初はラテン語かスペイン語が紛れ込んでいるのかとおもいましたが立派な英単語でした。
名詞 inertia(不活発、緩慢、ものぐさ、無力)
形容詞 inert,inertial
<番外編>
Journal Watch Online 2008.6.16
No. 08-0612-04
年齢を考慮して特定の降圧薬を選択する必要はない
No Need to Select Specific Antihypertensive Drugs According to Age
2008 June 12
いくつかのガイドラインでは、患者の年齢に基づいた降圧薬の選択を推奨している。
たとえば、若年患者では高齢者と比較しレニン濃度が高い傾向があることからアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬およびβブロッカーが、高齢患者では利尿薬が、最初の血圧降下薬として推奨されている。
しかしこれらの推奨を支持するエビデンスはほとんどない。
190,000人以上の患者を対象とする31個のプロスペクティブなランダム化試験のメタアナリシスが行われ、比較的若年の成年患者(65歳未満)と高齢患者(65歳以上)に対する、さまざまな降圧療法による心血管系イベント(脳卒中、冠動脈性心疾患および心不全)の相対リスク低減効果について比較検討した。
降圧薬をプラセボ群と比較、またはより強化した降圧療法をそれより強度の低い降圧療法とを比較した試験では、2群間に年齢による相対リスク低減に有意な差は認められなかった。
異なるクラスの降圧薬を比較した試験でも同様の結果が得られた。最後に、降圧の単位ごとでも、得られたリスク低減効果に2群間の差はなかった。
コメント:若年高血圧患者および高齢高血圧患者の両方に、血圧コントロールによる効果が認められた。しかしこの研究では、年齢を考慮した特定の降圧薬の選択的使用を推奨するエビデンスは得られなかった。
Paul S. Mueller, MD, MPH, FACP
Published in Journal Watch General Medicine June 12, 2008
Citation(s):
Turnball F et al. for the Blood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration. Effects of different regimens to lower blood pressure on major cardiovascular events in older and younger adults: Meta-analysis of randomised trials. BMJ 2008 May 17; 336:1121.
Original article (Subscription may be required)
http://www.bmj.com/cgi/content/full/336/7653/1121?linkType=FULL&journalCode=bmj&resid=336/7653/1121
Medline abstract (Free)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18480116?dopt=Abstract
<コメント1>
この論文をどのように解釈すればいいのでしょうか。
比較的若年の成年患者(65歳未満)と高齢患者(65歳以上)の分け方の妥当性もよくわかりませんが、高齢者高血圧患者の治療に問題提起をしています。
<コメント2>
高血圧の治療は循環器科の専門の先生が行っているとは限りません。
むしろそうでないほうが多いのではないでしょうか。
循環器の医師は高血圧の治療の専門家と思っていますが、高血圧の専門家は意外と少ないものです。
私自身、大学時代に高血圧に関連した研究を行っていたので日本高血圧学会の立ち上げ(第1回は横浜の金子好宏教授)の時に会員になりました。
(研究が終わってからは退会)
学会員だからといって専門家とはいえませんが、現在この学会の会員はどのくらいいるのでしょうか。
地方によっては、高血圧の研究を行っている医学部がないという場合もあるでしょう。
何が言いたいかというと、循環器専門医だからといって高血圧治療のエキスパートとは限らないということ、だからこそ謙虚な気持ちを持つことが必要だろうということです。
きょうの論文では目標血圧達成の動機付けを患者にきちんと行うべし、と解釈しました。
幸い、開業医の診察机はマイデスクです。
私の机の上にはiMacが置いてあります。
説明の時間がきちんととれないことがつらいところですが5分診療するとして、説明用に仕込んだパワーポイントで適正血圧の意味するところを説明しています。
久山町のデータなんかは説得力もあり、患者の食いつき方も実感します。
他には業者のパンフやラミネートした説明書を使っています。
雑談用の日本地図や世界地図、拡大鏡も必須アイテムとして引き出しに忍ばせています。
マイデスクで診察できること、冬は足元に小さいオイルヒーターを忍ばせることができること、好きなBGMを流すことが出来ること、好きな絵を診察室に掛けれること、好みの素敵なナースを自分で選べること(時節柄これは無理)。
どんな大学教授でも病院部長でもできないぜいたくです(?)
。
開業医は、病院での長期投薬による高血圧管理よりアドバンテージがあるはずです。
こまめな治療ができるからです。
それでも患者は大病院へ。
<追加>
NSTEMI、STEMIという分け方
http://blog.m3.com/reed/20070904/NSTEMI_STEMI_
に論文紹介の追加を行いました。
読んでいただいてありがとうございます。
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「井蛙内科/開業医診療録(2)」
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2008.5.21~ 「井蛙内科/開業医診療録」
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~2008.5.21
があります。
Brugada型症候群についてはすでにこのブログでとりあげてきました。
たまたま心電図所見についての記載を医学雑誌で見つけたので復習の意味を込めて勉強してみました。
欧州心臓学会の提唱の中ではType Ⅰがcoved型、Type Ⅱ、Ⅲがsaddle-back型に分類される。
さらに欧米、特にBrugadaグループは、saddle-back型の心電図は大きな問題とはならないとし、coved型心電図(Type Ⅰ)のみをBrugada型心電図としている。
しかし、心停止既往例での心電図でも、ST部分の形態がsaddle-back型の症例が存在すること、さらにはSTの形態が、時間とともにcoved型からのsaddle-back型、saddle-back型からcoved型へと揺れ動くことも知られており、Brugada型心電図自体の診断も容易ではない。
日本での多施設共同研究登録時心電図では、saddle-back症例にも心事故例が存在することが報告されていることから、わが国ではsaddle-back型心電図もBrugada型心電図とする施設が多い。
saddle-back型心電図は、通常の不完全右脚ブロック症例、右側胸部誘導rsr’波形との鑑別診断がつきにくい。
しかし、Brugada型心電図症例では次のような特徴があるとされている。
①Brugada型心電図では、まずJ点から直接上向きには振れず、必ずJ点から平行ないしは下向きに振れた後、上向きT波に移行する(saddle-back型の定義)。
②このJ点付近の波形がシャープでないこともBrugada型心電図の特徴として挙げられる。
通常の不完全右脚ブロックでは、若干r’波形がシャープである。
③QRS幅が通常の不完全右脚ブロックに比較し、若干延長していることが多い。特に右側胸部誘導でのS波の底から立ち上がっていく波形に若干の遅延が認められ、r’頂上付近の波形にゆっくりとした成分が含まれることが多い。
このようにsaddle-back型心電図と診断するが、やはりcoved型心電図症例と比べてその予後はよいとされている。
Prioriらによると、予後規定因子は薬剤負荷などによらず、自然に記録した心電図でcoved型波形を示すことと、失神の既往が重要という。
現時点ではこの報告を支持し、saddle-back型心電図では頻回に心電図記録、すなわち食事後(特に夕食後など)、夜間安静時など、各種状況やホルター心電図検査などを用い、coved型波形を証明していくことが必要と思われる。
Brugada型心電図症例に対してどのような処置をするかであるが、これにはまず予後の検討が必要である。
主にcoved型心電図症例の疫学的検討では、年間200例に1例の心事故が起こると報告されている。
現時点で日本での多施設前向き共同研究では、Brugada症候群や突然死の家族歴、失神の既往、心房細動の既往やQRS幅の延長などが、心事故発生と関連しているという。
通常は失神の既往と突然死、ないしはBrugada症候群の家族歴があった場合に、植込み型除細動器(ICD)の適応としている。
また、電気生理学的検査(EPS)の有用性に関しても議論が多い。
EPSで心掌細動が誘発された場合にはICDの適応とすべきというBrugadaらの提唱がある。
Prioriらは、EPSの陽性的中率は低く、たとえEPSにて心室細動が誘発された場合でもICDの適応とはならないとしている。
日本の少数例の報告でも、Prioriらと同様の結果を示した報告が多いが、結論は出ていない。
saddle-back型心電図症例が健診などで指摘された場合、まずは頻回に心電図記録を行い、coved型心電図の有無を検討しておく。
それと何時に、coved型でも同様であるが、突然死、Brugada症候群の家族歴、心房細動の有無などを慎重に調べていく。
失神や家族歴がみられる場合には、速やかに専門医への紹介が必要である。
出展 日本医事新報 No.4380 2008.4.5P90
版権 日本医事新報社
<参考ブログ>
Channelopathy
http://blog.m3.com/reed/20070916/Channelopathy
Brugada症候群の治療
http://blog.m3.com/reed/20071102/Brugada_
Brugada症候群の心電図診断 その1(1/3)
http://blog.m3.com/reed/20080325/Brugada__
Brugada症候群の心電図診断 その2(2/3)
http://blog.m3.com/reed/20080326/Brugada_
Brugada症候群の心電図診断 その3(3/3)
http://blog.m3.com/reed/20080327/Brugada
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ESH/ISH2008(独ベルリン2008年6月14日〜19日)
第18回欧州高血圧学会
第22回国際高血圧学会
のハイライトニュースで勉強しました。
正常高値血圧者の潜在的心血管障害のマーカーとして何を測定すべきか?
The Cardiovascular Research Unit, Glostrup University Hospital, Copenhagen, Denmark
Thomas Sehestedt 氏
正常範囲内であっても相対的に血圧が高い群は,低い群に比べて心血管疾患のリスクが高いことが知られている。
そのため欧州高血圧学会(ESH)の高血圧治療ガイドラインでは,正常高値血圧に対しても,心血管疾患危険因子が3つ以上ある場合,あるいは潜在的臓器障害が示唆される場合は降圧治療を推奨している。
Sehestedt氏らはデンマークの地域住民を対象とした追跡調査のデータを解析し,この潜在的臓器障害のマーカーとして尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)と脈波伝播速度(PWV)または頸動脈プラークの組み合わせが優れることなどを報告した。
尿中アルブミン/クレアチニン比,脈波伝播速度,左室重量係数,頸動脈プラークの意義を検討
Sehestedt氏らは,1993~94年に諸検査が行われた41歳,51歳,61歳,71歳の被験者のうち,心血管疾患,糖尿病,薬物治療がない1,968例を対象に今回の解析を行った。
従来の一般的な心血管疾患危険因子についてのほか,潜在的臓器障害のマーカーとして,細小血管障害を反映するUACR,動脈の硬さを反映するPWV,左室肥大を反映する左室重量係数(LVMI),動脈硬化症の進行を反映する頸動脈のプラークについて検討した。
エンドポイントは心血管疾患死,非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中という3つのイベントを合わせたものとし,2003年時点の追跡結果で評価した。
平均追跡期間は9.5年である。
従来の危険因子で検出できない高リスク例を潜在的臓器障害マーカーで検出
ベースラインでは1,968例中624例(31.7%)が至適血圧,698例(35.5%)が正常血圧,357例(18.1%)が正常高値血圧,289例(14.7%)が高血圧に分類された。
この分類別にエンドポイントの発生率を見ると,最も発生率が高かったのは高血圧群であったが,発生者全体に占める割合を見ると,4分の3がその他の正常範囲血圧の群であった(図1)。

Sehestedt氏らは,正常範囲血圧群のなかでもイベント発生率が高い正常高値血圧群に注目し,同群におけるイベント発生率を潜在的臓器障害の有無別に比較した。
その結果,潜在的臓器障害がない175例では6例(3.4%)にイベントが認められたのに対し,潜在的臓器障害がある182例では19例(10.4%)に認められた。
潜在的臓器障害を示唆するマーカー別に見ると,UACR陽性例では3例中1例,PWV陽性例では112例中12例,頸動脈プラーク陽性例では98例中13例,LVMI陽性例では32例中5例にイベントが認められた。
心血管疾患のリスクを評価するESHリスクチャートや欧州心臓学会(ESC)のHeart Scoreだけでは感度は必ずしも十分ではないが,今回検討した潜在的臓器障害マーカー,なかでもUACRと頸動脈プラークまたはPWVの組み合わせにより良好な感度が得られ,同氏はこれらの組み合わせをマーカーとして有望と結論付けた(表)。

ただし,正常高値血圧群に潜在的臓器障害の検査が常に必要というわけではない。
正常高値血圧群357例のうち,Heart Score 5以上の136例(イベント発生率13%),およびESHリスクチャート危険因子3以上の18例(同11%)については潜在的臓器障害検査の施行は必要ないと考えられ,検査施行を検討すべきは,潜在的臓器障害が見つかった66例(同6%)を含む残りの203例(57%)と言える(図2)。

同氏は「Heart ScoreとESHリスクチャートで層別化することにより,潜在的臓器障害の検査をしなければならない症例数を少なくできる」と指摘した。
【監修者のコメント】
正常高値血圧の定義は日本高血圧学会では収縮期血圧が130~139mmHgで拡張期血圧85~89mmHgとしている。
特に正常高値血圧者に薬物治療を行うかどうかは非常に難しいところである。
確かに,明らかな心血管危険因子が認められるならば積極的な治療を患者に説明しやすいが,単に血圧が130/85mmHg以上だけではなかなか薬物療法に踏み切ることができないのが現実である。
しかし,実際は正常高値血圧者でも臓器障害が進行している症例も多く,血圧による臓器障害を完全に除外できるのは120/80mmHg未満の至適血圧であることが知られている。ただ,120/80mmHg以上の人を全例管理していくことは不可能であり,潜在的心血管障害の合併を検出することは治療戦略に大きく影響する。
そのためには既存の検査では限界があり,本研究ではUACRと頸動脈プラークまたはPWVを組み合わせることが重要であると結論付けている。
これは現時点では納得できる指標ではあるが,日常臨床でエコーやPWVをこれらの対象者全例に施行することは不可能であり,全例に行う必要がないこともコメントされている。
設備的な観点からは,世界的なガイドラインに推奨されることは難しいかもしれない。
しかし,日本の診断技術,設備は充実しているため,測定するかどうかの問題かもしれない。
単純には,血圧のスクリーニングのレベルを130/85mmHg以上にして管理していく姿勢は重要である。
これらの指標をもとに積極的に治療介入したとき,降圧目標値はいくつに設定するか,また,実際に臓器障害の改善効果と予防や予後との関係などをどう評価するかは,大きな問題である。
今回発表の指標だけでなく,今後も他の有用な指標を常に評価し,臓器障害の進展を抑制していくことが重要である。
監修:東京慈恵会医科大学循環器内科教授 谷口郁夫
http://www.medical-tribune.jp/cgi-local/esh2008.cgi/index.html?
出典 MT pro
版権 メディカル・トリビューン社
<自遊時間>
一昨夜、米国から子供が帰って来たことはお話しました。
私自身、短期間も含めて留学したことはないのでいろんな土産話に反応してしまいます。
昨夜は同じく医学生の弟が土産のTシャツを早速パジャマがわりに着ていました。
”HOPKINS”と胸に書かれています。
そこで広島カープにいたホプキンス選手をつい思い出してしまいました。
私自身、広島カープのファンではありませんが、どっかの球団と違って、あの金銭力でそこそこの成績を残す姿には共感を覚えます。
ゲイル・ホプキンス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%97%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B9
ペパーダイン大を卒業後、ホワイトソックス、ロイヤルズ、ドジャースでプレーした後、ルーツ監督に請われ1975年広島東洋カープに入団。主に一塁手として出場し、読売ジャイアンツとの優勝決定戦(1975年10月15日)では勝負を決する3ランを放つなどセ・リーグ初優勝に貢献。
翌年もチームの主軸として活躍した。
1977年には南海ホークスへ移籍し1シーズンプレーした後、引退。
引退後は選手時代から勉強を重ねていた医者の道を志しシカゴ・ラッシュ医大に再入学、整形外科医になりその後ミッション系大学で聖書学も教え始めたという異色の経歴を持つ。
広島在籍時には試合前に広島大学で実験を行っていたことや休み時間に医学書を読むなどということもあったという。
現在オハイオ州で病院を開業し、自らも整形外科医として患者の診察にあたっている。
また、地元大学で准教授として聖書学の講義を担当している。
ホプキンス
http://www.chugoku-np.co.jp/Carp/50y/retu/8/990812.html
最近”ふ~ん”と思ったこと
http://www.vi.cs.is.nagoya-u.ac.jp/watanabe-lab/graduates/01year/hiroyuki/lab/index.cgi
「鉄人」衣笠が憧れるタフな男 世界の「鉄人」衣笠祥雄が、自分よりずっとタフな男だと称える旧友がいる。衣笠の脳裏に焼きついているのは、その男が試合前のロッカールームで本を読みふけっていた姿だ。
衣笠は1975年シーズンを、昨日のことのように覚えている。「ゲイルの入団が決まってすぐに、当時のジョー・ルーツ監督から、僕が10年間、守っていた1塁から3塁に移ってくれと言われた。
ゲイルが1塁を守れるようにさ。
でも、別に気にしなかった。
だって、僕のほうがゲイルより足があって(守備範囲が広く)、肩もいいからね」衣笠はそう言うと、温かい笑顔を見せた。 ホプキンスはシカゴ・ホワイトソックス、カンザスシティ・ロイヤルズ、ロサンゼルス・ドジャースで7年間、メジャーリーガーとしてプレーした後、日本に来た。
彼は衣笠に反論したりしなかった。「そう、そう。僕はあまりに足が遅いから、『ゾウ足』と呼ばれていた。
今でも電子メールのアドレスに、その名前(zoashi)を使っているよ」
●野球選手になって、医師になって、宣教師になる
しかし衣笠がとりわけ記憶に残っているのは、75年シーズンだという。
「その年にゲイルがやって来て、僕たちは勝てるんだという信念を植えつけてくれた。(広島は)それまで一度も優勝していなかったんだ。ゲイルは体のあちこちを痛めていたのに全試合出場して、ホームラン(33本)と打点(91点)はチーム1位だった」 「あれはシーズン129試合目(10月15日)、後楽園球場でジャイアンツと対戦したときだ。9回表にゲイルが逆転の3ランを打ったとき、僕は優勝したと確信した。あの瞬間は絶対に忘れない。僕の野球人生で、まちがいなくトップ5に入る思い出だ」
もうひとつ、衣笠が昔のチームメイトについて忘れられない光景がある。
練習や試合の前のロッカールームで、ホプキンスが生物学のテキストや医学書を読んでいた姿だ。
「ゲイル、ずっと聞いてみたかったんだけど、医者になろうと思ったのはいつごろ?」
衣笠の目は、あこがれのスターに会ったときのように輝いていた。
「プロの野球選手にも医者にもなれるなんて、どうしてそんなふうに思えたの? 日本では野球選手なら、目標はそれだけだ。僕にはずっと野球しかなかった」
「18歳でペッパーダイン大学に入ったとき、人生で3つの目標を決めた」とホプキンス。
「野球選手になること、医者になること、宣教師になること。そして、神のおぼし召しにより、3つとも達成できそうだ」
●シーズン終了とともに医学校へ入学
実際、13年間の野球生活のあいだも、ホプキンスは勉強を中断することはなかった。
現役中の74年には、生物学の博士号を取得している。
75年から医学校へ進むつもりだったが、長年低迷していた広島カープがホプキンスを説得。
1年契約には、75年シーズンの終盤に優勝は無理だと決まったらすぐに、日本を離れてもいいという条件が入っていた。
ホプキンスは、9月には帰国して医学校の新学期に間に合うだろうと考えていたのだ。
ところが、優勝争いは広島を交えて最後まで白熱した。
そしてホプキンスは、医学校に進む計画を延期したことを、今も後悔していない。
「あの1975年は、僕たちみんなにとって、本当に特別なシーズンだった。最後の巨人戦を終えて広島に戻ったとき、ある年配の男性が僕のところに来て、『もう死んでもいい』と言った。
平日に急きょパレードをやったのに、40万人も集まってくれたんだ。
僕たちは広島の市民に誇りを与えることができた。だから、帰れるはずがなかったよ。
76年も広島で過ごすことにしたくらいだ」
76年のシーズンが終わるとすぐに、ホプキンスはシカゴのラッシュ医科大学に定時制で入学。
77年も日本で南海ホークスのユニフォームを着た。引退後の78年から学業に専念し、86年に整形外科のドクター・ホプキンスとなった。
●与えられた才能のすべてを最大限に生かすこと そして、外科医として17年間、活躍したホプキンスは今年で60歳。
第3の人生を歩もうとしている。
「フルタイムの外科医は引退して、10月1日からは、ウエストバージニア州にあるオハイオ・バリー・カレッジという小さなキリスト教系の大学で、生物学の教授になる。
これが僕にとっての宣教師の道だ。
たぶん野球チームも手伝えるだろう。
今週、学長のロバート・スティーブンス博士といっしょに日本へ来たのは、日本の学生を呼ぶためだ」
かつては世界一タフな野球選手だった衣笠は、この旧友は自分よりずっとタフで、少なくとも精神的にははるかにたくましいと感心していた。
「僕にはとてもできないよ」衣笠は何度も言った。
「2つや3つの分野のトップレベルで抜きん出るなんて、日本ではありえない」
だが、ドクター・ホプキンスは「できるはずだ」と言う。75年に広島が優勝したときのヒーローは以前、次のように語っていた。
「日本でも、まちがいなくスカラー・アスリート(秀才アスリート)になれたと思う選手に何人か会った。
頭脳はまったく問題がなかった。ただ、彼らは野球しかやっていなかった。ちょうど会社員みたいだね。
昼も夜も会社に身をささげ、家族との楽しい生活を犠牲にしても仕方がないと思い込んでいる人たちだよ」
「日本のチームメイトも友人も、バランスの取れた生活を送っているようには見えなかった。
すべてのエネルギーを、たった1つの目標に注ぎ込んでいるみたいだ。悲しいことだね。
神様は、すべての人にさまざまな才能を与えてくださっているのに。与えられた才能のすべてを最大限に生かすことは、僕たちの義務なんだ」
読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/
2008.5.21~ 「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
~2008.5.21
があります。
最近、心臓血管研究所(東京)の山下武志先生の講演で、「抜歯の際、ワーファリン中止を指示する歯科医は東京では藪医者といわれるご時世だ」といわれました。
抗血小板剤も同じようなことと思われます。
必要で処方」しているわけですから、「いいおー!」と返書は書けません。
ましてや当院は医療訴訟になれば一家は勿論のこと職員も路頭に迷う一零細企業です。
返事は「アスピリンは必要のため処方しています。打ち切りの有無については貴科のお考えに従って行って下さい」ということになります。
今後、同じような症例はどんどん増えてくると思います。
DESの症例では、先生方はどのように対処してみえるのでしょうか。
さて、きょうはアスピリンについて勉強しました。
アスピリンによる1次予防効果が優れるハイリスク群が明らかに
アスピリンによる1次予防は、10年心血管疾患リスクが『>10%の男性』および『>15%の女性』において費用対効果が優れることが、Markovモデルを用いたシミュレーション研究で確認された。
アスピリンは心血管イベントの1次予防に有効なことが示されているが、アスピリンのベネフィットがより高いサブグループについては不明であった。
心血管リスクのレベルが異なる種々の年齢の男女で比較
アスピリンの費用対効果を、心血管リスクのレベルが異なる種々の年齢(45、55、65、75歳)の男女で比較するようデザインされたMarkovモデルを用いて、心血管イベント予防例数、質調整生存年(QALY)、10年間の費用を予測した。イベント発生率はオランダ人口統計データから算出し、アスピリンの相対的な有効性について性特異的メタ解析を行った。結果の信頼性を評価するために、感度解析およびモンテカルロ・シミュレーションを実施した。
おもな結果は以下のとおり。
●55歳のコホートにおけるアスピリンの1次予防効果
・男性の心筋梗塞の予防効果:127イベント/10万人・年の低減
・女性の虚血性脳卒中の予防効果:17イベント/10万人・年の低減
●55歳の男性ではアスピリンによるQALYの改善が示唆された
・増分費用効用比:11万1,949ユーロ/QALY(1ユーロ=1.27ドル、2007年6月現在)
●心血管リスクが中等度(2倍に上昇)の55歳の男性、およびリスク因子のない65歳と75歳の男性(10年心血管疾患リスク>10%)でアスピリンの費用対効果を認めた
●心血管リスクが高度(5倍に上昇)の65歳の女性、中等度の75歳の女性(10年心血管疾患リスク>15%)でアスピリンのベネフィットを認めた
●これらの結果は、薬物治療コスト、アスピリン治療の有効性、アスピリン使用の効用値に対し高い感度を示した
●以上の結果より、10年心血管疾患リスク>10%の男性および10年心血管疾患リスク>15%の女性で、アスピリンによる1次予防の費用対効果が確認された
[監修者のコメント]
本研究は、一次予防におけるアスピリンの心血管イベント発症抑制効果の性差を、費用対効果の観点から研究した点である。
費用対効果は各国により異なる。
また、その詳しい分析の新規性はよくわからないが、本研究を取り上げた理由は、血栓症の1次予防の考え方が重要と考えたからである。
血栓症予防・治療で使用される抗凝固薬や抗血小板薬などの血栓症治療薬と、降圧薬やスタチンなどとの大きな違いは、出血合併症が臨床的には無視できない割合で生じることである。
このことは、1次予防に関しては特に副作用に敏感なわが国では大きな問題となる。
1次予防の費用対効果の最も優れた血栓症予防・治療薬はアスピリンである。
しかし、心血管疾患の発症リスクが低い患者にアスピリンを投与することは、得られる予防効果よりも出血合併症のリスクが上回る。
アスピリンの2次予防目的の使用は、我が国では、2000年より、
1)狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)
2)心筋梗塞
3)虚血性脳卒中(一過性)能虚血発作・TIA、脳梗塞)
の発症既往を有する患者では、再発・2次予防に保険適応が認められており、コンセンサスが得られている。
問題は、一次予防である。
本研究は、心血管リスクが中等度(2倍に上昇)の55歳の男性、およびリスク因子のない65歳と75歳の男性(10年心血管疾患リスク>10%)でアスピリンの費用対効果が優れることを示した。
この費用対効果は明確な性差を認め、心血管リスクが高度(5倍に上昇)の65歳の女性、中等度の75歳の女性(10年心血管疾患リスク>15%)でアスピリンの有用性が見られた。
アスピリンの1次予防効果には、合併する心血管リスク、年齢、性別が大きく影響することが示された。
しかし、あくまでも、これらのデータは欧米人のものである。これまで、わが国ではアスピリンの1次予防の臨床的エビデンスがなかったが、現在、心血管リスクを有する高齢者を対象に、アスピリンの1次予防効果を検討する大規模臨床研究Japanese Primary Prevention Project with Aspirin (JPPP)が進行中である。
本研究より、近い将来、わが国のどのようなハイリスク群にアスピリン投与が有用であるかが、費用対効果も含めて明らかになるであろう。
([監修] 自治医科大学 循環器科 教授 苅尾七臣)
http://www.carenet.com/news/cardiology/newsnow/det.php?nws_c=4419
<原著>
Cost-effectiveness of aspirin treatment in the primary prevention of cardiovascular disease events in subgroups based on age, gender, and varying cardiovascular risk.Greving JP, Buskens E, Koffijberg H, Algra A.
Circulation. 2008 Jun 3;117(22):2875-83. Epub 2008 May 27.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18506010?ordinalpos=31&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum
新しい血小板活性化バイオマーカーの臨床的意義は?
新たにみつかった血小板の内皮分泌蛋白であるSCUBE1[signal peptide-CUB(complement C1r/C1s, Uegf, and Bmp1)-EGF(epidermal growth factor)-like domain-containing protein 1]の血漿濃度は、急性冠症候群(ACS)および急性虚血性脳卒中(AIS)で有意に上昇するが、慢性期に存在する冠動脈疾患(CAD)では上昇しないため、急性血栓性疾患における血小板活性化の優れたバイオマーカーとなる可能性があることが、これらの疾患を有する患者と健常対照の比較研究で明らかとなった。ACS、AISでは血小板の活性化が重要であり、血小板が刺激されるとSCUBE1の血漿濃度が上昇する。SCUBE1のアミノ末端のEGF様繰り返し構造はリストセチン誘導性の血小板凝集だけでなく、血小板の接着能をも増強することがわかっており、そのためSCUBE1は血小板の内皮接着分子として機能し、心血管の生物学において病理学的な役割を担っている可能性が示唆されていた。
検出は症状発現後約6時間で可能に
ACS(40例)、AIS(40例)の血漿SCUBE1濃度を酵素免疫測定法(ELISA)で測定し、健常対照(40人)および慢性CAD(83例)の測定値と比較した。患者血漿中のSCUBE1蛋白の解析には2次元電気泳動法およびウェスタンブロット法を用いた。
おもな結果は以下のとおり。
●血漿SCUBE1濃度
・健常対照およびCADでは実質的に検出不能
・ACS:205ng/mL(中央値)、p<0.01
・AIS:95.1ng/mL(中央値)、p<0.01
●血漿SCUBE1濃度の上昇は症状発現後約6時間で検出可能となり、84時間まで持続した。
●血漿SCUBE1濃度は、脳卒中の重症度(NIH脳卒中スケール)の、他の因子の影響を受けない独立の予測因子であった(β=3.18、p<0.001)。
●ACSではより小さなSCUBE1フラグメントが検出されたことから、病的状態下ではSCUBE1は蛋白分解的に働いている可能性がある。
[監修者のコメント]
本研究の新規性は、急性期動脈血栓症の診断や病態把握に有用な新たな血小板活性化バイオマーカーSCUBE1を提示した点である。
特に、急性期病態に血小板の活性化の関与が示唆されている急性冠症候群や、急性期虚血性脳卒中の中でもアテローム血栓性脳梗塞でそのレベルが増加しており、血小板活性化の関与が少ないといわれるラクナ梗塞では上昇していないことから、SCUBE1は臨床的に血小板活性化を評価するバイオマーカーとなる可能性が示唆される。
このSCUBE1は、不活性血小板のα顆粒に蓄積されており、血小板が活性化されると血小板表面に移動し、プロテアーゼにより切断されて、可溶性フラグメントとして血漿中に放出される。現在、切断部位やどのようなプロテアーゼが切断するかはわかっていない。しかし、SCUBE1には複数のアイソフォームがあることから、その切断過程は複雑であり、切断自体も急性期血栓症の病態を反映している可能性がある。
急性冠症候群では、急性期の再灌流療法とともに抗血小板療法をあわせて行なうが、その際、残存する血小板機能が急性期合併症や心血管予後に影響を与える。今後、アスピリンをベースに、チエノピリジン系薬剤や新たな抗血小板薬をどの時期にどのように組み合わせて、より有効な抗血小板療法を達成するかに関するエビデンス作りが必要であるが、その評価として、血小板機能を何での評価するかが重要である。
現在の血小板凝集検査、既存の血小板活性化マーカー、血小板マイクロパーティクルなどは採血条件や検査までの時間などの影響が大きく、煩雑である。今後、安定した新規血小板活性化バイオマーカーの開発が待たれる。
([監修] 自治医科大学 循環器科 教授 苅尾七臣)
http://www.carenet.com/news/cardiology/newsnow/det.php?nws_c=4418
<自遊時間>
昨夜、医学生のわが子が3か月ぶりにアメリカの短期留学から帰ってきました。
ボストン経由デトロイト発。
デトロイトからは13時間。日本時間の22日午後4時にデトロイトをたって日本には23日午後5時着。
何だか変です。
到着する2時間前に機内で朝食を食べたなんてことを言っています。
これから少しずつアメリカの医療事情を聞こうと思っています。
すっかりたくましくなって帰ってきたわが子にいささか興奮気味で、アルコールのピッチがあがってしまいました。

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2008.5.21~ 「井蛙内科/開業医診療録」
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~2008.5.21
があります。
アルドステロン研究の現在―最近の研究成果―
アルドステロンは従来,単なる水・ナトリウム(Na)保持ホルモンと考えられてきたが,最近の研究では昇圧作用のほか腎,心,血管などの臓器障害への関与が明らかにされている。
そのため,「アルドステロンブロック」は臓器保護も期待できる高血圧の新たな治療戦略として注目を集めている。
ここでは,第30回日本高血圧学会を機に来日したアルドステロン研究の第一人者Gordon H. Williams氏と4人の若手研究者によるディスカッションのハイライトを紹介する。
司会:
安東 克之 氏 東京大学大学院医学系研究科分子循環代謝病学講座准教授
出席者(発言順):
Gordon H. Williams 氏 Professor of Harvard Medical School, and Brigham and Women's Hospital
西坂 麻里 氏 九州大学病院循環器内科
一色 政志 氏 東京大学大学院医学系研究科腎臓・内分泌内科
下澤 達雄 氏 東京大学医学部附属病院検査部講師
安東
本日は,アルドステロン研究を担う若手研究者の発表をもとに,Williams先生とディスカッションを進めたいと思います。僭越ながら,私から発表をさせていただきます。
エプレレノンの早期一過性投与が,食塩によって誘導された高血圧治療および腎障害進展抑制に有効
安東
正常血圧でアルドステロンの上昇が見られる方は,将来的に高血圧になっているという報告があります(図 1)。

そこで,早期のアルドステロン増加が高血圧,ひいてはそれによる心血管/腎合併症の進展に寄与している,との仮説を検証するため,選択的アルドステロンブロッカーであるエプレレノンの高血圧発症早期の一過性投与による降圧効果および腎障害の進展抑制について検討しました。
高食塩食(8%)を与えたDahl食塩感受性ラット(以下,Dahlラット)を,薬剤非投与群,エプレレノン群,ヒドララジン群に分け,通常食塩食(0.3%)ラットを対照群としました。
高食塩食は6?16週に与え,薬剤は4~10週に投与しました。
エプレレノン群では非投与群に比べ収縮期血圧が低下し,投与中止後も降圧効果は持続しました。
一方,ヒドララジン群では著明な降圧効果が見られたものの,投与を中止すると血圧は上昇に転じました。
尿蛋白は薬剤非投与群に比べ両薬剤投与群とも有意に減少しましたが,エプレレノン群はヒドララジン群よりも低下しました。薬剤中止後は,エプレレノン群では対照群と同等の尿蛋白レベルが持続したのに対し,ヒドララジン群では増加し,非治療群と同程度になりました。
血清クレアチニンは,尿蛋白とほぼ同様の傾向を示しました。
以上により,食塩感受性高血圧におけるエプレレノンの早期投与は,食塩によって誘導された高血圧の治療および腎障害進展抑制に有効であることが示唆されました。
また,エプレレノンによる早期治療について,食塩非負荷の脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP)でも類似の予備的試験を行っています。
SHRSPに6週間エプレレノンを投与して尿蛋白を見たところ,降圧効果は対照群とほぼ同等にもかかわらず,投与中は蛋白尿が減少しました。
しかし,投与中止14週後には対照群と同じ値まで戻っていました。
Williams
初期段階での臓器障害の進行度を推測すると,DahlラットとSHRSP,2つの検討を簡単に比較することはできません。
ただ,Dahlラットで得られた降圧効果がSHRSPで見られなかった点は考えさせられます。
これはDahlラットの血圧上昇がSHRSPとは別の機序である可能性を示唆するものです。
また,SHRSPの検討は治療開始前に高血圧未発症でも,ある程度の障害は進んでいる可能性があります。
西坂
Dahlラットでの検討を,食塩低負荷で行っていますか。エプレレノンに対する反応の違いによって尿中Na排出量が異なる可能性があると思います。
これらのラットにおいて尿蛋白レベルと尿中Na排出量の変化が相関しているのか,気になるところです。
安東
残念ながら,尿中Na排出量は測っていません。
食塩負荷量2%,4%などで比較すれば,さらに興味深い知見が得られるかもしれません。
一色
最近 ,TROPHY(Trial of Preventing Hypertension)試験において前高血圧に対するARBの降圧延長効果が報告されました。
安東先生のデータはこの試験の結果とよく似ているようですが,その点はいかがでしょうか。
安東
Dahlラットにおいて,ARBで同様の実験も行っています。ARB投与中は尿蛋白が減少していますが,中止するとこの効果は消失してしまいます。
腎保護に関しては,エプレレノンとARBで作用メカニズムが異なると思います。
臓器障害の抑制にはMRの阻害が重要
安東
では次に,下澤先生の検討データを発表していただけますか。
下澤
われわれは,高血圧における臓器障害ではミネラロコルチコイド受容体(MR)の活性化が重要との仮説のもと,検討を行いました。
高食塩,低食塩を負荷したラットにアンジオテンシンII(AII)を追加したところ,アルドステロンは低食塩と比べ高食塩負荷ラット群で有意に低下しましたが,コルチコステロンは低食塩,高食塩負荷どちらも大きな変化がありませんでした。
この結果から,高食塩負荷ラットではMRに対するアルドステロンの影響が小さいと考えることができます。
酸化ストレスは低食塩+AII負荷と比べ,高食塩+AII負荷ラットで有意に亢進していました。
また,高食塩+AII負荷ラットでは心拡張能の低下が認められ,同時に脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の遺伝子発現が亢進しました。
また,MRの下流にあるナトリウム?水素イオン交換輸送体(NHE-1)が亢進しており,拡張不全とMR活性化との関連性が示唆されました。
高食塩+AII負荷ラットにエプレレノンを投与したところ,心機能が改善され,MRの活性化も抑制されました。
MRは酸化ストレス(高グルコース負荷)のみでは活性化されず,コルチコステロン/アルドステロンあるいはコルチコステロンを追加すると有意に活性化されました。
この活性化はエプレレノンにより抑制されましたが,グルココルチコイド受容体阻害薬のRU486では抑制されませんでした。MRは高い酸化ストレス下でコルチコステロンにより活性化されると推察されます。
以上より,高食塩負荷ラットではアルドステロンが低濃度でも酸化ストレスが高いため,MRが活性化され拡張不全を来すと推察されます。
臓器障害の抑制にはアルドステロン合成よりもMR活性化の抑制が重要だと結論しました。
Williams
アルドステロンは低値でもMRを活性化させる可能性があるので,アルドステロンの影響が小さいかどうかは議論の余地があります。
また先生は,アルドステロン単体では心機能にどのような影響を及ぼすとお考えですか。
下澤
マウスでの検討から推察すると,アルドステロンのみでは心への影響を確認できません。
高食塩負荷のうえでアルドステロンを投与すると心機能障害を起こします。
Williams
私もそう思います。ポイントは,アルドステロン単体と心血管疾患の直接的な関連性を導くのは困難ということです。
先生の場合は酸化ストレスに注目しており,その点は正しいと思います。
また,低食塩負荷ラットで酸化ストレスが抑制されていた点に興味があります。
この理由や機序を導き出すのは難しいですが,別の視点から考えると,アルドステロンやAIIの機序を探るヒントにもなりそうです。
アルドステロンブロックは可能な限り早い段階での実施が望ましい
安東 続いて,西坂先生からお願いいたします。
西坂
治療抵抗性高血圧(RH)の割合は30?40%と高く,高血圧の重症度が上がるに従って原発性アルドステロン症の併発頻度は高くなります。
また,ACE阻害薬使用患者で検討されたCONSENSUS試験(Cooperative North Scandinavian Enalapril Survival Study)の報告によると,死亡群は生存群に比べてベースラインのアルドステロン値が有意に高いことがわかっています〔Swedberg K, et al: Circulation 82(5): 1730-1736, 1990〕。
さらに,レニン?アンジオテンシン系(RAS)阻害薬投与時にもアルドステロンが増加する「アルドステロン・ブレイクスルー現象」に留意する必要があります。
まず,アルドステロンをブロックするエプレレノンの降圧効果ですが,日本にはSarutaらがまとめた降圧データがあり,用量依存的な降圧効果が認められています(図 2)。

心血管疾患の改善に関する報告で代表的なのはRALES試験(Randomized Aldactone Evaluation Study)です。
同試験では,アルドステロンブロックにより,全死亡率がプラセボに比べ30%低下しました〔Pitt B, et al: N Engl J Med: 341(10): 709-717, 1999〕。
アルドステロンブロックにより,内皮機能の指標である血流依存性血管拡張反応(FMD)や左室肥大(LVH)の改善も報告されています〔Farquharson CA, Struthers AD: Circulation 101(6): 594-597, 2000; Pitt B, et al: Circulation 108(15): 1831- 1838, 2003〕。
エプレレノンは,L-NAME/AIIで処置された食塩負荷動物における心傷害スコアの改善が報告されています。
また同じ検討では,低食塩負荷のみの群においても心傷害スコアの改善が認められました(図 3)。

この結果に関連して,われわれは血圧が同程度かつアルドステロンが高値の患者で尿中Na,つまり塩分摂取量が少ないほどFMD,LVHの障害の程度が軽微であることも明らかにしています。
総じて,RH患者などのアルドステロン過剰状態の特徴として(1)腎機能障害が多い
(2)24時間血圧値が高い
(3)白衣高血圧が少ない
(4)内皮機能障害が多い
(5)左室肥大が多い
(6)閉塞性睡眠時無呼吸
が多いとされています。
これらはいずれも心血管リスクであることから,RASのみならずアルドステロンも早期に抑制することが重要です。
加えて,アルドステロン過剰状態においては特に,塩の摂取が心血管疾患の重要な因子であることが示唆されました。
Williams
今後は,アルドステロン過剰発現や薬剤への反応性の違いなどについて,遺伝子解析による検討を進めるのが望ましいですね。
例えばアドレナリンβ2受容体で,ある遺伝子型を持つ低レニン性高血圧においては,アルドステロンレベルが少し高いのです。そのようなわずかな変化から,新たな知見が生まれる可能性があると思います。
西坂
患者のDNAを保存していますが,遺伝子解析は今後の検討課題です。
下澤
アルドステロンやMR拮抗薬に対するレスポンダー/ノンレスポンダーは存在するでしょうか。
また,その背景には遺伝子レベルの違いがあるとお考えですか。
Williams
アルドステロンが作用を発現するのはMRを介してのみなので,遺伝子レベルではアルドステロン合成酵素を考慮に入れていません。
MRの遺伝子レベルでの違いに注目しています。
エプレレノンは,ATP誘導性NO産生に対するアルドステロンの作用を阻害する
安東
最後に,一色先生からデータを発表していただきます。
一色
アルドステロンは血管拡張作用を有するとする報告がある一方で,収縮阻害作用を持つとする報告もあります。
われわれのグループが着目したのは,アルドステロンの急性作用の生理学的な意義を解明することです。
そこでわれわれは,急性のアルドステロン処置における血管内皮機能,特に血管内皮での一酸化窒素(NO)産生への影響をラット大動脈リング標本で検討しました。
その結果,急性アルドステロン処置はアセチルコリンで誘導された血管弛緩を用量依存的に増強し,エプレレノンはその血管弛緩増強を抑制しました。
一方,ニトロプルシドナトリウム(SNP)による血管弛緩はアルドステロンの影響を受けなかったことから,アルドステロンの作用は主に内皮細胞側の因子に規定されることが示唆されました。
また,ウシ大動脈内皮細胞でNO産生に対する検討を行っています。
それによると, ATP(10μM)は内皮型NO合成酵素(eNOS)をリン酸化(pho-Ser1179。Ser1179はヒトのSer1177)させましたが,急性アルドステロン処置(10分)がこのeNOSリン酸化を有意に増強しました。
加えて,エプレレノンとホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)阻害薬のLY294002はこの作用を阻害しています。
また,長時間(20時間)のアルドステロン処置をすると,リン酸化増強効果は消失しました。
以上により,アルドステロンは血管内皮においてリガンドによるNO産生を増強しますが,その機序はMR,PI3Kを介するものであることが明らかとなりました。
そして,エプレレノンはアルドステロンの増強作用を抑制すると考えられます。
Williams
インキュベーション時間が10分では,アルドステロンの効果を見るには不十分かもしれません。
ただ,10分で相違を見出せる可能性もゼロではないでしょう。
その点において,お示しのデータは示唆に富んでいます。
安東
このモデルで酸化ストレスの検討を行えば,アルドステロンの作用の変化を評価できる可能性がありますね。
一色
はい。興味深いトピックで,さらにその機序を検討する必要があると思います。
安東
たいへん有意義なディスカッションができました。Williams先生,最後にひと言お願いします。
Williams
私も若い研究者と素晴らしいアイデアを共有できたことに満足しています。
今後はヒトを対象にした研究を推進してほしいと思います。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41230461&year=2008
出典 Medical Tribune 2008.6.5
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
最近、安東克之先生の講演を聴きました。
CARTER試験を実質的にやられた方のようです。
しばしば「うちの藤田は・・・」といってみえたことが印象的でした。
考えてみれば、会社でも対外的には、上司でもこのような表現が一般的です。
何だかとても、意気込みが感じられ好感を持ったことを覚えています。
何でも筑波大で一緒に研究してみえたとのことです。
記憶違いでなければ、群馬大でも研究してみえたようですので永井良三先生とも接点があったのかも、と略歴を聞いていて思いました。
経緯はどうでもいいといってしまえばそれまでですが、研究者のにとってよき指導者との「出会い」は大切なことと思います。
このことは研究に限ったことでは勿論ありませんが。
安東克之
http://plaza.umin.ac.jp/~niken/%88%C0%93%8C%8D%8E%94V.html
分子循環代謝病学講座
http://plaza.umin.ac.jp/~kid-endo/a-3-13.html
腎障害合併高血圧患者におけるL/N型Ca拮抗薬の抗蛋白尿効果
シルニジピン投与の位置づけの再考を--CARTER研究
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jsn2008/200806/506689.html
腎障害合併高血圧患者におけるL/N型Ca拮抗薬の抗蛋白尿効果
シルニジピン投与の位置づけの再考を・・・CARTER研究
東大腎臓・内分泌内科の安東克之氏は、昨年Kidney International誌に掲載されたCARTER試験のデータを紹介し、慢性腎臓病(CKD)治療におけるCa拮抗薬の位置づけの再考を促した。
少なくとも腎保護作用に関してはL型Ca拮抗薬とL/N型Ca拮抗薬は別の薬剤と考えるべきだという。
6月1日、第51回日本腎臓学会のLate Breaking Clinical Trialsにおいて発表した。
CARTER(Cilnidipine versus Amlodipine Randomized Trial for Evaluation in Renal Disease)は、すでにレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬を服用している腎障害合併高血圧患者において、シルニジピンとアムロジピンの尿蛋白抑制作用を比較した無作為化試験である。
対象は、RA系阻害薬を2~3カ月以上服用するも血圧が130/85mmHg以上、かつ現在Ca拮抗薬を服用していない20~80歳の腎障害患者339例で、シルニジピン5~20mg/日群(179例)とアムロジピン2.5~7.5mg/日群(160例)に無作為割り付けされた。
腎障害は「蛋白尿≧300mg/g・Cr」としたが「血清クレアチニン3.0mg/日以上」の患者は除外されている。
試験開始時に投与されていたARB、ACE阻害薬の内訳は、両群で有意差はなかった。
1年間の追跡期間中、血圧の推移は両群で同等であり、最終的にシルニジピン群が133.1/75.6mmHg、アムロジピンが134.5/77.9mg/日まで低下した。
しかし試験開始1年後の蛋白尿/クレアチニン比の変化率は、シルニジピン群では-14.4%の低下が見られたが、アムロジピン群では+13.9%であり、両群間には有意差があった。また「試験前の尿蛋白の高低」「年齢」「性別」「試験終了時130/85mmHg未満達成の有無」で分けたいずれのサブグループで比較しても、シルニジピン群ではアムロジピン群と比較し蛋白尿の有意な減少が認められた。
安東氏はCKDにおける降圧治療の第一選択はRAS阻害薬であるが、第二選択薬としてCa拮抗薬を投与する場合にはL/N型Ca拮抗薬が抗蛋白尿効果に優れるとした。
またRAS阻害薬とL型CCBもしくは利尿薬の最新の併用スタディを引用し、「CARTER試験の結果を踏まえ、L/N型Ca拮抗薬をどのように位置づけるか、今後の課題である」と述べた。
なお、コメンテーターの名大腎臓内科学の松尾清一氏はCARTER試験の結果を、腎臓におけるCaチャネルの分布と交感神経活動に対する作用の違いから解説した。
また高血圧治療ガイドラインも引用し、シルニジピンは唯一N型チャネルを抑制するCa拮抗薬として記載されていることも示し、今後抗蛋白尿作用だけでなく、腎機能の予後に対する長期の影響も検討すべきだろう」と述べた。
<自遊時間>
胸部・腹部大動脈瘤を合併した70代男性の高血圧患者にセララ50mg1錠を追加投与しました。
1か月後来院され「乳首が何だかチクチクする」といわれました。
タナトリル投与してすぐに、変な咳が出るといった女性の方も最近みえました。
体調も変になるということで、薬を1日おきに減らして結局3回のみの服用で飲めないということで自分で中止されました。
とにかく患者さんは正直です。
自分で薬の勉強をするでもなく、副作用がきちんと把握できるのです。
「スーパーのことが一番わかるのはパートのおばさんである」という話を聞いたことがあります。
現場を知らない社長さんには分かりません。
医療のことは、現場を知らない厚労省の○○官僚にはわからないのと同じです。
副作用について、薬剤師、MRなどには本当は分からないのです。
今まで、副作用についてMRを通して学術によくコンタクトをとってきましたが、考えてみれば変なことをしてきたものです。
読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
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2008.5.21~ 「井蛙内科/開業医診療録」
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~2008.5.21
があります。
きょうは高尿酸血症を勉強しました。
尿酸の専門家には失礼な言い方ですが、循環器領域では高脂血症の中の「中性脂肪」と同様に地味な領域でした。
中性脂肪はメタボリックシンドロームの概念の普及とともに一躍檜舞台に踊り出ました。
一方、高尿酸血症はCKDとともに表舞台に出たでしょうか。
しかし、CKDの中での高尿酸血症の位置づけは相変わらず地味です。
意義が今一つはっきりしないからです。
私の勉強不足のためか高尿酸血症がメタボリックシンドロームと関連があるといっても、どのような形で関与しているのかはっきりしません。
第72回日本循環器学会総会・学術集会ファイアサイドセミナ-
高血圧患者の臓器保護のために高尿酸血症をどう管理するか
尿酸は直接的に血管を障害することが近年の研究において明らかになった。
また高血圧に高尿酸血症を合併した場合,心血管イベント発症の危険性が増すことも判明しているため,心血管保護,腎保護の観点から高尿酸血症治療の重要性が高まっている。
座長は東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科教授の細谷龍男氏。
演題1
心・腎・血管保護を目指して
尿酸トランスポーター制御による高尿酸血症の治療戦略―
鳥取大学大学院医学系研究科再生医療学部門 教授
久留 一郎 氏
尿酸トランスポーター(URAT1)活性亢進から排泄低下型高尿酸血症が発症
高血圧患者は高尿酸血症を合併しやすいことが知られているが,その主因としては,腎臓からの尿酸排泄が低下するために生じる高尿酸血症(排泄低下型高尿酸血症)であると考えられている。
排泄低下型高尿酸血症の発症には,尿酸トランスポーター(URAT1)の活性亢進が密接に関係している。
URAT1は腎近位尿細管に局在し,尿酸の再吸収に関与していることが明らかになっている。
したがってURAT1の活性亢進は尿酸の再吸収を促進し,高尿酸血症の発症につながると考えられる。
久留氏は「高血圧では神経体液性因子の活性化やインスリン抵抗性がURAT1の活性を亢進し,それにより排泄低下型高尿酸血症が引き起こされる」と想定している。
同氏の検討では「高血圧に合併する高尿酸血症の65%は排泄低下型である」という。
高尿酸血症は腎・心血管障害の独立した危険因子
高尿酸血症が痛風発症の独立した危険因子であることはよく知られている。
最近では,これが腎障害の危険因子であることも明らかになってきた。
わが国の観察研究の結果からは, IgA腎症患者では血清尿酸値が7.0mg/dL以上,健常者では8.5mg/dL以上で,腎不全発症の独立した危険因子になることが示されている。また,台湾における介入研究の結果からは,高尿酸血症を治療すると,血清尿酸値が低いほど腎機能低下を抑制できることが示されている(図1)。

高血圧合併高尿酸血症は,さらに,心血管障害と密接に関連することも明らかになってきた。
複数の大規模な観察研究の結果を踏まえると,血清尿酸値が男性で7.5mg/dL以上,女性で6.2mg/dL以上になると,心血管イベントのリスクが高まることが示されている(図2) 。

URAT1はヒト血管内皮や平滑筋細胞にも発現
高尿酸血症による心血管障害の機序としては,尿酸が産生される際に発生する酸化ストレスと,尿酸そのものによる血管障害の2つの可能性が推測される。
このことを検証する目的で,久留氏は高血圧自然発症ラットを用いた実験を行った。
その結果,内頸動脈結紮により生じる内膜増殖が尿酸降下薬の前処置により抑制された。
また,血管平滑筋の培養実験において,添加した尿酸濃度に依存した増殖の促進が認められた。
最近ではURAT1はヒトの血管内皮や平滑筋細胞にも発現していることが報告されている。
またKangらはヒト血管内皮や平滑筋細胞のURAT1を介して尿酸の取り込みが亢進すると炎症が誘導されること,また,この炎症はURAT1阻害薬により抑制されることを示している。
同氏も,高尿酸血症群では正常尿酸群に比べて血管内皮機能が有意に低下しており,内皮機能と血清尿酸値との間には有意な負の相関が認められることを臨床でも確認している。
また,尿酸降下薬により血清尿酸値を低下させると,内皮機能は改善し,血清尿酸値の低下幅と内皮機能の改善には有意な正相関が見られることを認めている。
以上から同氏は「尿酸はURAT1を介して血管内皮や平滑筋細胞に取り込まれ,血管の炎症を惹起し,内皮機能障害から動脈硬化を促進することで心血管イベントに関与すると考えられる」と述べた。
URAT1阻害作用により腎・心血管保護作用も発揮するベンズブロマロン
高血圧患者の血清尿酸値の管理については,日本痛風・核酸代謝学会により「6-7-8の原則」(2002年)が提唱されている。
すなわち,痛風性関節炎の発症抑制を期待するのみならず,腎・心血管障害のリスクの減少も考慮するならば,血清尿酸値管理の目標は5.0~6.0mg/dLとし,尿酸値が7.0mg/dL以上8.0mg/dL未満であれば生活習慣を改善しながら経過観察し,8.0mg/dL以上になれば治療開始を考慮するというものである。
降圧薬のなかには血清尿酸値がわずかに下がる薬剤もあるが,これら単独で血清尿酸値の良好なコントロールを得ることは容易ではない。
そこで尿酸降下薬を併用することになるが,この場合は,前述のように高血圧合併高尿酸血症の65%は排泄低下型であることから,これを是正する作用のあるURAT1阻害薬ベンズブロマロンを用いることが望ましい。
ベンズブロマロンは臨床血中濃度でヒトのURAT1を強力に阻害し,尿酸の細胞内取り込みを抑制して,尿酸排泄を促進することが認められている(図3)。

最近の検討から,ベンズブロマロンは尿酸生成抑制薬であるアロプリノールに比べ,血清尿酸値の低下作用のみならず,血管内皮機能の改善作用にも優れることが示されている。
久留氏は「高血圧合併排泄低下型高尿酸血症の治療で腎・心血管障害のリスク軽減まで視野に入れるならば,ベンズブロマロンは第1に選択されてしかるべき薬剤といえる」と結んだ。
演題2
高血圧における高尿酸血症の実態と課題
独立行政法人国立病院機構九州医療センター高血圧内科 科長 土橋 卓也 氏
男性のみならず女性でも心血管疾患のリスクとなる高尿酸血症
土橋氏はこの10年来,自施設における高血圧外来患者の実態を,種々の臨床指標を用いて多角的に調査している。今回の発表で同氏は利尿薬および尿酸降下薬服用者を除く1,067例(男性461例,女性606例)を対象に,高尿酸血症の実態について解析した成績を報告した。
それによると,平均血清尿酸値は男性6.4mg/dL,女性5.0mg/dLで,7.0mg/dL以上の高尿酸血症を呈した例は男性の34.1%,女性の6.6%と,特に男性において高率であった。
しかし,疫学研究に基づき,血清尿酸値が心血管疾患に対するリスク閾値であると考えられている男性7.5mg/dL,女性6.2mg/dLの値を超える例は男性23.0%,女性16.0%と,女性においても決して少なくない頻度であることが示された。
1,067例の血清尿酸値の規定要因を多変量解析した結果では,尿酸クリアランス(CUA)が圧倒的に強い規定因子(partial r=?0.63)であり,次いで性別(男性であること),尿中食塩排泄量が大きい,年齢が若い,BMI値が高いなどの因子が関与していることが明らかになった。
メタボリックシンドロームを背景とする高尿酸血症も多い
男性≧7.0mg/dL,女性≧6.2mg/dLを高尿酸血症とすると,高尿酸血症は男性157例,女性97例の計254例であった。
その背景因子を非高尿酸血症群と比較すると,年齢が若い,BMI値が高い,中性脂肪が高い,HDLコレステロール値が低い,血清クレアチニン値が高い,などの特徴を有していた。
さらに尿酸動態に関しては,尿酸産生量(EUA),CUA,CUA/Ccr比がいずれも低値であった。
また日本痛風・核酸代謝学会の「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」に則り病型を診断すると,尿酸排泄低下型(CUA<6.2mL/minあるいはEUA<0.48mg/kg/h)が全体の92.1%を占めるという結果が示された。
土橋氏は「高血圧合併高尿酸血症患者は,他の代謝異常や臓器障害も有していることが示唆される」という。
そこで同氏は,ウエスト周囲径を測定した高尿酸血症患者287例について,メタボリックシンドローム(MetS)の頻度を検討した。
その結果,男性では39.3%,女性では18.2%がMetSであった。
また,MetSの有無別で高尿酸血症の頻度を見ると,男性MetS患者では50.0%,女性MetS患者では6.7%が高尿酸血症患者であった(図1)。

降圧治療では尿酸値への影響を考慮して薬剤を選択
土橋氏らの施設の高血圧外来患者における血圧管理状況を見ると,日本高血圧学会による「高血圧診療ガイドライン(JSH2004)」が推奨している降圧目標値<130/85mmHgの達成率は全体で34.0%,<140/90mmHgまで閾値を上げても達成率は72.5%であった。
しかも,これら達成例の多くが,単剤ではなく多剤の降圧薬の併用例である。
3剤以上の降圧薬を用い,血圧コントロールに苦慮している症例の背景因子を検討すると,MetS型のプロファイルを持つことが多いことが示されている。
高血圧合併高尿酸血症でも,MetS型のプロファイルを持つものは血圧コントロールに苦慮することが想定されるが,そこで留意が必要なのが,降圧薬による高尿酸血症への影響である。
主要降圧薬の血清尿酸値に及ぼす影響については,長時間作用型Ca拮抗薬やACE阻害薬,α遮断薬,ARB(ロサルタン)は尿酸値を低下させ,利尿薬とβ遮断薬は尿酸値を上昇させることが知られている。
したがって,高血圧合併高尿酸血症における降圧治療では,まず,Ca拮抗薬やACE阻害薬,α遮断薬,ロサルタンなどを優先して選択するのが原則であるが,降圧目標の達成のためには少量利尿薬の併用も必要である。
この場合,血清尿酸値が心血管疾患のリスク閾値を超えるようなら,尿酸降下薬の使用を考慮することになる(図2)。

同氏は「尿酸降下薬の選択では,高尿酸血症が尿酸排泄低下型か尿酸産生過剰型かの病型分類を的確に行い,前者であれば排泄促進薬を,後者であれば生成抑制薬を選択することが重要である」という。
実際に同氏の検討では,生成抑制薬投与中で排泄低下が疑われた例において排泄促進薬のベンズブロマロンに切りかえたところ,UUA/Ucrの増加を伴った血清尿酸値の著明な低下を認めている。
前述の同氏の調査で,高血圧に合併した高尿酸血症の92.1%が排泄低下型であったことを考慮すると,ベンズブロマロンの有用性は極めて高いといえる。
利尿薬の有用性を踏まえて尿酸値も十分に管理する
降圧に対する利尿薬使用の有用性についてはALLHAT試験等で十分示されている。
Ca拮抗薬とACE阻害薬またはARBの併用でも十分な降圧が得られないとき,少量の利尿薬の併用が奏効することが多い。
しかしながら,利尿薬は脂質や糖,尿酸代謝に影響があるため,前述の高血圧合併高尿酸血症に対する降圧薬の選択では,最も臨床医を悩ませる問題となっている。
実際,高齢者の収縮期高血圧を対象に,利尿薬を基礎薬とした降圧治療の有用性を証明したSHEP試験において,尿酸値が1mg/dL以上上昇した群では,冠動脈イベントの発症リスクを抑制できないことが報告されている。
また,対象の多くで利尿薬が併用されたLIFE試験においても,ロサルタン群ではβ遮断薬のアテノロール群に比し尿酸値が0.5mg/dL低く,この尿酸値の差が両群間に見られた1次エンドポイントの差の29%に寄与していると報告されている。
土橋氏の施設でも,利尿薬の使用頻度は高血圧患者全体の9.5%,3剤併用症例に限っても27.8%にとどまっている。
利尿薬の使用に際してはマイナス面が強調されすぎる印象があるが,食塩摂取量の多い日本では血圧の厳格なコントロールのために少量利尿薬の使用が必要不可欠と考えられる。
利尿薬使用により尿酸値が上昇した場合は,病型にあった第一選択薬として排泄促進薬であるベンズブロマロンが適切と考えられる。
同氏は「今後, 高尿酸血症に対する介入試験を行い,心血管疾患予防を目的とした尿酸管理に関するエビデンスを確立する必要がある」と述べて講演を終えた。
出典 Medical Tribune 2008.6.19
版権 メディカル・トリビューン社
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他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/
2008.5.21~ 「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
~2008.5.21
があります。
現在、80歳過ぎの弓部の胸部大動脈瘤の方と、70台の胸腹部大動脈瘤の方を内科的に経過観察中です。
大病院の血管外科にコンサルトしたのですが、ステントの適応もないとのこと。
こわごわ診察しているのが現状です。
年年歳歳齢を重ねられるので手術の可能性はどんどんなくなっていきます。
大動脈瘤径もボーダーラインです。
行くも地獄、戻るも地獄。
この言葉で思い出したことがあります。
村民に「熱い油に手を入れろ」命令 インド地方の無謀な裁判
インドのある村で、学校から食糧が盗まれる事件があった。長老たちは村民の男性150人に、無実を証明するために煮えたぎる油に手を浸せと命令した。
村の男性150人は、油が沸騰する大釜から銅の指輪をつまみ出すよう命じられた。
裁判では、この命令を拒否した50人が犯人に違いないとした。
現在、大勢の村民がやけどを治療中だ。
ちょっと、話がそれてしまいました。
そんなわけで(?)、きょうは「腹部大動脈瘤とステント(血管内修復)」を勉強しました。
開腹修復と血管内修復ともに利点と欠点
〔ニューヨーク〕インペリアルカレッジ(ロンドン)のRoger M. Greenhalgh,Janet T. Powellの両教授は,腹部大動脈瘤(AAA)の血管内修復に関する臨床的論評をNew England Journal of Medicine(NEJM,2008; 358: 494-501)に発表し,「開腹修復と血管内修復は双方とも利点と欠点がある。
いずれも高い技術を要するため,どちらを選択するにせよ,定評のあるセンターで経験豊かな血管外科医または血管インターベンション専門医が行うことが重要」と述べている。
5.5cm以下では破裂リスクは低い
Greenhalgh教授らは「基本的に,血管内修復は開腹修復より低い早期死亡率に関連するが,のちに再介入を要するリスクが高く,長期アウトカムの確実性が低いことにも関連する。血管内修復を選択した患者には特に,術後の一貫した定期的なフォローアップが不可欠であることに留意すべきである」と述べている。
また,同教授らは「重要な点として,患者はAAAの修復を調査した試験で得られた知見について偏りのない情報を受け,両治療法の利点と欠点を検討すべきである」と主張している。
AAAはしばしば無症候性であるため,他の目的で腹部画像検査を行った結果として検出される場合が多い。
最も一般的な症状は腹部痛または背部痛である。
動脈瘤の既往を持つ同胞がいる者は,自身も動脈瘤を発症するリスクが高いと考えるべきである。
加えて,アテローム動脈硬化症患者はリスクが高い。
また,AAAは他の心血管疾患やさまざまな心血管イベントと関連する。
直径5.5cm以下のAAAでは破裂リスクは低いが,これより大きくなるにつれてリスクは急速に上昇する。
患者に症状がない場合,動脈瘤が直径5.5cmを超えて壊れやすくなった場合,または直径が毎年1cmを超えて増大する場合は,介入が推奨されることが多い。
いくつかの研究で,これらの基準に達するまで動脈瘤の開腹修復を待っても,早期の介入と比べて患者のリスクが増大しないことが示されている。
AAAの最初の臨床症状は破裂である場合が多い。破裂すると,患者の10%しか手術室に到達するまで生存できず,さらに手術死亡率は40%を超える。
一方,ACE阻害薬やスタチン系薬を投与されている患者はいずれも破裂リスクが低下する。
AAAの診断は通常,超音波検査で始まりCT,MRIを用いて確定診断される。
血管内修復は早期死亡率低い
AAAに関して開腹修復と血管内修復を比較した最も重要な研究はEVAR試験1,DREAM試験,EVAR試験2である。EVAR試験1の詳細は両教授らがLancet(2005; 365: 2179-2186)に,DREAM試験の詳細はRadbout大学ナイメーヘン医療センター(オランダ・ナイメーヘン)のJan D. Blankensteijn教授らがNEJM(2005; 352: 2398-2405)に, EVAR試験2の詳細は試験1と同じ研究者らがLancet(2005; 365: 2187-2192)にそれぞれ発表している。
患者1,082例によるEVAR試験1では,術後30日以内の死亡率は血管内修復群で1.7%,開腹修復群で4.7%であった(P<0.001)。
術後4年死亡率は血管内修復群では開腹修復群の約2分の1であった(P=0.04)。
全死因死亡率は血管内修復群で26%,開腹修復群で29%であったが,統計学的に有意ではなかった。
また血管内修復群の20%,開腹修復群の6%で再介入を要した。
DREAM試験には患者351例が参加。やはり,術後30日以内の死亡率は血管内修復群で有意に低かった。
術後2年目の全体的な生存率に有意差はなかった。
再介入は血管内修復群のほうが多く,動脈瘤関連の死亡は開腹修復群のほうが多かった。
EVAR試験2は開腹修復の候補者ではない患者338例を血管内修復群と介入なし群にランダムに割り付けた。
同試験では,介入なし群と比べて,血管内修復群で便益は認められなかった。
合併症とその後必要とした治療は,血管内修復群のほうが多かった。
患者の適性が重要
AAAに対する開腹修復は十分に確立された方法で,きわめて効果的であると同時に重大なリスクに関連する。
血管内修復と比べて,開腹修復は集中治療または救急治療の利用が多く,入院期間が長く,手術による痛みも強く,術後30日以内の死亡率が高い。
また開腹修復は,血管内修復とは異なり全身麻酔を要する。しかし開腹修復後は,AAAに関連する治療の必要性が血管内修復より少ない。
手術リスクの高い患者と併存症のある患者は開腹修復の候補者として適していないため,患者の選択が重要である。
開腹修復の候補患者に血管内修復を行うと,便益が得られることが試験で証明されている。
対照的に,外科手術の候補ではない患者に血管内修復を行った場合の便益は不明である。EVAR試験1は,術後30日以内の死亡率の点では最も適合する患者が最大の便益を得ることを示している。
血管内修復の候補患者は,特定の解剖学的要件を満たす必要があり,それは通常,CTで評価される。
その要件には,例えば動脈瘤頸部の形と長さ,腸骨動脈の直径などが関連する。さまざまな研究から,AAA患者の14~54%が血管内修復の解剖学的基準に適合することが判明している。
血管内修復では術前にグラフトを正確に決定しなくてはならないが,それは術前画像検査を行わなければならない。
移植後,通常は1か月と6か月時に,またその後は毎年1回,CT血管造影検査を行う。
AAAの血管内修復には多様な有害イベントが関連する。EVAR試験1では,血管内修復に割り当てられた患者543例中4例が動脈瘤破裂を発症したため,開腹修復に切り替えられた。
血管内修復では,虚血性合併症と腎臓合併症の可能性がある。
加えて血管内修復の有効性は,動脈瘤の瘤部から血流を継続的に排除することによりもたらされるが,これはおよそ患者の5例に1例で完全には達成されない。
グラフトの移動,グラフトまたは末梢血管の狭窄または閉塞,動脈瘤またはグラフトから遠位の動脈部位のいずれかの拡張が起こる可能性がある。
主要な臨床試験では4年間のフォローアップに関する結果が報告されているが,血管内修復の長期間の耐久性については確立されていないとしている。
出典 Medical Tribune 2008.6.19
版権 メディカル・トリビューン社

<参考サイト>
腹部大動脈瘤エンドグラフトは臨床試験をパスしたか
http://www.nv-med.com/tct/03/pdf/03.pdf
大動脈瘤の治療には積極的にステントグラフトを
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jcs2007/200703/502754.html
「大動脈瘤治療は手術かステンドグラフトか?」で、慈恵医大血管外科学の大木隆生氏(米国Albert Einstein医科大学外科学教授)は、「日本でも積極的にステントグラフトを用いたEVAR(Endovascular Aneurysm Repair:血管内治療)を取入れるべきだ」と提言した。
大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2006年改訂版)
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2006_takamoto_h.pdf
展望;ステントグラフト治療の普及に向け実施基準および調査体制の確立を
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E8%85%B9%E9%83%A8%E5%A4%A7%E5%8B%95%E8%84%88%E3%80%80%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%88&perpage=0&order=0&page=0&id=M41120511&year=2008&type=allround
腹部大動脈瘤にステントグラフト治療
東京医大で研修トレーニング
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E8%85%B9%E9%83%A8%E5%A4%A7%E5%8B%95%E8%84%88%E3%80%80%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%88&perpage=0&order=0&page=0&id=M3940241&year=2006&type=allround
腹部大動脈瘤ステントグラフトが保険適用に
ただし対象症例を限定
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E8%85%B9%E9%83%A8%E5%A4%A7%E5%8B%95%E8%84%88%E3%80%80%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%88&perpage=0&order=0&page=1&id=M4020433&year=2007&type=allround
腹部大動脈瘤にステント治療 代用血管の筒、開腹せず挿入
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060804ik0b.htm
大動脈瘤に対する血管内手術:ステント・グラフト留置術
http://www.yamaguchi-u.ac.jp/yu/yu47/47-33.html
大動脈瘤ステント治療
http://www.pref.chiba.jp/byouin/junkan/science/stent.html
腹部大動脈瘤
http://www.jikeisurgery.jp/diseasegroup/vasc-surg/aaa/treat_adv.html
肥満、アディポカイン、および腹部大動脈瘤―Health in Man 試験
http://blog.m3.com/reed/20071211/Health_in_Man__
ステントグラフト治療
http://blog.m3.com/reed/20080331/1
炎症性腹部大動脈瘤
http://blog.m3.com/reed/20080204/1
<コメント>
昨日日本医師会雑誌の特別号として「心血管疾患診療のエクセレンス」というタイトルの雑誌が郵送されてきました。
期待して見開いてみたのですが、その分野を専門とする方には物足りない内容と思われます。
「大動脈瘤」の分野ではこんなことが書かれています。
■大動脈瘤とは、大動脈壁の全周または局所が正常径(胸部30mm、腹部20mm程度)の1.5倍を超えた拡張をいう。
■ 腹部では45~50mm以上、胸部では55~60mm以上を目安に、外科的人工血管置換かステントグラフト治療を選択する。
(体格が違うので欧米のデータはそのまま適用できない可能性があります。胸部と腹部が違うので、胸部大動脈の方がもともと血管径が大きいからでしょうか。)
■1年間に10mm以上の速度で拡大する場合や嚢状瘤は破裂するリスクが高く、より早期の治療が必要である。
<自遊時間>
一昨日、超音波装置が壊れたので昨日早速業者に来て貰いました。
案の定、基盤がもうないということで、ご臨終を宣告されました。
早速新機種の選考に入りそうです。
壊れた器械はアロカSSD-650。
カラードップラーもIMT計測も出来ない機種です。
今度こそ、この両方は絶対やりたいのですが、CWが必要かどうか迷っています。
ある筋からは、東芝、日立がいいのではといわれています。
予算もあるしなあと思っていたところ、今度は透視のモニターがピンボケで写らなくなってしまいました。
限りなくブルーです。
掛け時計まで壊れて止まってしまいました。
どなたかカラードップラーの心エコーとIMT計測を検査の主体とする場合、お薦めがあれば教えていただけるとありがたいのですが。
開業医なので中級でコンパクトなのが希望です。
読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/
2008.5.21~ 「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
~2008.5.21
があります。