戯れ言たれる侏儒
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タイトルの「冠動脈疾患」と「虚血性心疾患」のcinical entityの定義にむしろ興味があるところです。
文中で、そのことが書かれているかどうかを意識しながら勉強してみました。


特別企画
座談会
冠動脈疾患の一次予防および
虚血性心疾患の二次予防に対する高血圧治療
~降圧目標値,望ましい降圧薬~
   
高血圧は冠動脈疾患(CAD)と強い相関関係にあり,またCAD,脳卒中,腎障害の独立した危険因子であることが,数々の疫学調査により明らかにされている。
 
そのような折,2007年に,CADの一次予防および虚血性心疾患(IHD)を合併した高血圧患者における二次予防の治療指針を示したAHA Scientific Statement「Treatment of Hypertension in the Prevention and Management of Ischemic Heart Disease」(以下,AHAステートメント)が, Circulationに掲載された。
このAHAステートメントでは,CADの予防および病態に応じた降圧目標値と望ましい降圧薬について言及されている。
 
2007年のAHA会期中に開かれた本座談会では,AHAステートメントの共同執筆者であるSuzanne Oparil氏を招き,このステートメントの内容を中心に,降圧目標値, Jカーブ現象,夜間・中心血圧,降圧薬の選択について議論を尽くしていただいた。

司会
旭川医科大学内科学講座 循環・呼吸・神経病態内科学分野教授
長谷部 直幸 氏 

出席者(発言順)
Professor of Medicine and of Physiology and Biophysics at the University of Alabama School of Medicine in Birmingham
Suzanne Oparil 氏 

東京医科大学内科学第二講座主任教授
山科 章 氏 

東邦大学臨床検査医学部門教授
盛田 俊介 氏 

谷部 
本日は,2007年に発表されたAHAステートメントについて,皆さんで議論を深めたいと思います。
このステートメントは,IHD患者における目標降圧値を示すなど
臨床に即した内容となっている点がユニークです。
また,わが国の「高血圧治療ガイドライン2004」ではIHD患者における降圧目標値基準が設けられていません。
2009年の高血圧治療ガイドライン改訂ではAHAステートメントを参考にした文言が盛り込まれる可能性もあり,大変重要な指針だと思います。
まず,Oparil先生にステートメント発表の背景と,血圧に関する内容を概説していただきます。

心疾患を合併する高血圧治療に重きを置いた専門的ステートメント
Oparil 
このAHAステートメントはJNC(Joint National Committee)やガイドラインとは違い,心臓病専門医に向けた内容となっています。
 
背景として,JNCは米国立衛生研究所(NIH)傘下の米国立心肺血液研究所(NHLBI)から支援を受け,疫学的なアプローチ,すなわち無作為化比較試験(RCT)での結果を中心に検討するのですが,RCTの場合,不安定な心疾患を有する患者は除外されてしまいます。
しかし,心臓病の専門家は,まさに心疾患を抱えた患者に対する高血圧治療の指針が必要だと感じているのです。
よって,RCTの裏づけがない場合でも観察研究などから勘案し,必要に応じて推奨項目を記載しています。
 
このステートメントでは,高血圧患者に対するCADの一次予防ならびにIHDの病態に応じた二次予防を念頭に置いて作成しています。
降圧目標値の決定において参考にした試験の1つがCAMELOT-IVUSサブ試験(NORMALISE試験)で,正常血圧(120/80mmHg)を達成した群では,高血圧前症群(120-139/80-89 mmHg),高血圧群(140/90mmHg以上)と比べプラーク容積に有意差が認められました。
プラークではありますが,CADの代替指標として考えると,この結果は我々に大きなエビデンスを与えてくれています。
 
また,HOT試験サブスタディでは,糖尿病合併高血圧患者において拡張期血圧(DBP)が80mmHg以下の群は85mmHg以下,90mmHg以下の群に比べて総死亡が減少し,DBP数mmHgの降圧の重要性が示されました。
最適なDBP値は85mmHg前後と言われますが,糖尿病の場合は高血圧のみの患者より,さらに厳格な降圧が必要です。
 
これらの試験結果などを参考に,
リスクのない患者に対する一次予防の目標降圧値は140/90mmHg未満,高CADリスク(糖尿病,慢性腎臓病,CADもしくはCADと同等の疾患,10年フラミンガムリスクスコア10以上)の予防では130/80mmHg未満としています。

二次予防では,安定・不安定狭心症,ST上昇型,非ST上昇型心筋梗塞(MI)において130/80mmHg,左室機能障害では120/80mmHg未満と設定しています表 1)。


ただし,血圧の下がり過ぎによる冠血流量の減少で引き起こされる死亡率の上昇には留意しなければなりません。

総じて,一次・二次予防には厳格な降圧が必要です。
 
また,
(1)DBP高値および心筋虚血の既往のあるCAD患者は緩徐な降圧を,
(2)高齢患者(80歳以上)では,降圧による脳卒中発症抑制は認められるものの,CADについては明確でない,
(3)コントロール不良かつ重度の高血圧で,抗血小板薬,抗凝固薬を投与している場合,迅速に降圧すべき
―以上3点を留意点としています。

降圧が,プラーク減少や死亡率改善に寄与
長谷部 
それでは,まず降圧レベルと臓器保護について議論を深めようと思います。

山科 
先に示された降圧目標値は妥当だと思います。
他方,リスクのない一次予防の140/90mmHg未満は高すぎるという印象です。

Oparil 
降圧目標値は常識的な見地から導き出しています。
高血圧の専門家は,合計1,270万人を対象とした前向き観察研究のメタ解析で最もリスクが低かった115/75mmHgが降圧の理想値と考えがちですが,この数値は観察研究から導き出されたもので,介入研究ではない点に留意する必要があります。
このステートメントの降圧目標値は140-120/90-80 mmHgの範囲で考えていて,なかでも収縮期血圧(SBP)に注目しています。

盛田 
NORMALISE試験では,130 /80mmHgを達成した患者でプラーク容積の減少が認められていません。
この結果だけから考えると,CADの予防において130/80mmHgは妥当でしょうか。

Oparil 
大多数の医師にとって,例えば降圧薬を多量に用いてIHD患者のSBPを120mmHgまで下げるという治療を受け入れるのは難しいのではないでしょうか。
臨床試験は比較的健康な症例を対象にしています。

これをそのまま,より重篤な症例に当てはめ,やみくもに厳格な降圧をすれば,間違いなく病態が悪化してしまうでしょう。

山科 
また,
NORMALISE試験で,120/80mmHgが達成された群でプラーク容積が低下したという結果は示唆に富んでいます。

降圧がプラークを減少させる機序はどのようなことが考えられますか。

Oparil 
体内機構がその一因だと考えます
血圧が上昇すると,LDL-コレステロールがプラークに沈着しますし,プラークの透過性を高めてしまうのだと考えられます。

山科 
この結果には,同試験で使われたアムロジピンの多面的作用が影響しているのでしょうか。

Oparil 
その可能性もあります。
アムロジピンは降圧効果に伴う抗炎症作用も報告されています。

盛田 
MRFIT試験からも,DBP 70 mmHg未満,SBP 160mmHg超の群,すなわち脈圧が大きい群でもっとも死亡率が高いという結果が出ています)。
降圧が最重要ということでしょうか。

Oparil 
その通りですね。
ただし,SBPの高値は大きな影響を与えますが,DBP高値はSBP高値ほどの影響を与えません。
非常に印象的な結果で,米国では脈圧やSBP高値が与える影響について検討を重ねているところです。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41210601&year=2008

出典 Medical Tribune 2008.5.22
版権 メディカル・トリビューン社

 

<コメント>
冠循環を考えると、拡張期圧との関係がありそうに思えます。
Oparil先生の「SBPの高値は大きな影響を与えますが,DBP高値はSBP高値ほどの影響を与えません」という発言はどのように捉えればよいのでしょうか。

「脈圧が大きい群でもっとも死亡率が高い」という盛田先生の発言も、動脈硬化の完成した老人性高血圧によるもので、結果であって原因ではないと私は思うのですが・・・。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41210601&year=2008

 

出典 Medical Tribune

版権 メディカル・トリビューン社

 

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。

他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/
2008.5.21~

「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
~2008.5.21

があります。

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