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< ADVANCE試験 その2(2/2) | メイン | PRoFESS試験 >
われわれ循環器専門医(私はもと専門医ですが)はどうしても心臓に興味を持ってしまいます。
脳卒中の治療は神経内科医や脳外科医の領域で、興味を持たれない先生方も多いのではないでしょうか。
しかし、高脂血症治療薬や降圧剤の大規模臨床試験には心血管障害や脳血管障害といった表現で薬効評価やエンドポイント設定におおいに関係しています。
私自身も開業して一般内科医になってからは心臓病学というより循環器病学としてこの領域をみるようになりました。
考えてみれば発生学的には、心臓自体も循環系のポンプの役割を果たす血管の一部に過ぎないわけです。
そんなわけでこのブログでも時々ARBやスタチンがらみで脳血管障害をとりあげて勉強したいと思います。
心臓血管系の発生
http://anatomy.dept.med.gunma-u.ac.jp/blogs/anatomy/files/cvdev-ho.pdf#search='心臓 発生学'
William Harvey
http://www.flc.kyushu-u.ac.jp/~michel/kyulib_igakubunkan/expl/harvey.html
ハーヴェイと血液循環
http://www.lib.nakamura-u.ac.jp/yogaku/harvey/head.htm
<補足コメント>
発生学上、心臓が最も早く機能するということですが、この時点で動静脈系の大循環が完成されているのでしょうか。そして血管の発生というのはどこまで解明されているのでしょうか。
たしか、冠動脈の側副血行路の研究で、このcolateralが虚血の起こる前から存在するものなのか、虚血後に発生し発達するものなのかがよくわかっていないような話を聞いたことがあります。
たしか日循総会が秋田で開かれた際に、金澤教授がそんな会長講演をされたような記憶があります。随分昔の話です。
特別企画
Round Table Discussion 座談会
MetSをTargetとした脳卒中抑制戦略
―ARBの役割はいかに―
近年,動脈硬化や心房細動に起因するタイプの脳卒中は増加傾向にある。これには,さまざまな代謝異常が重積したメタボリックシンドローム(MetS)が密接に関わっている。
棚橋 紀夫 氏(司会)
埼玉医科大学国際医療センター神経内科 教授
井林 雪郎 氏
九州大学大学院 医学研究院病態機能内科学 准教授
熊谷 裕生 氏
防衛医科大学校腎臓内科 准教授
MetSとCKDが脳卒中のリスクとなる
棚橋(司会)
本日は,メタボリックシンドローム(MetS)を背景に有する高血圧症患者さんの脳卒中発症抑制戦略と,ARBに期待する役割について考えたいと思います。
また,最近,心血管系イベントの危険因子として注目されている慢性腎臓病(CKD)についても取り上げたいと思います。最初に,MetSならびにCKDにおける脳卒中のリスクについてお話しください。
井林
近年注目を集めるMetSやCKDの増加は目覚ましく,MetS人口が予備軍を入れると約3,000万人,CKDは約2,000万人にも及ぶと推定されています。
まさに日本の国民病と言えるでしょう。
久山町研究では,MetS構成因子が集積するほど心血管系イベントの発症リスクが高くなることが報告されています。
また,MetS構成因子を多数有するほどCKDを発症しやすく(図1),CKDを有すると心血管系イベントの発症頻度も高まることが報告されており,MetSとCKD,そして心血管系イベントが深く関連していることがわかります。

私たちは2001年から福岡市近郊の7施設でFukuoka Stroke Registryの立ち上げ準備を行い,昨年より急性期脳卒中の全例登録を開始しました。
最初に登録された224例では,高血圧や脂質異常例が多く,特にアテローム血栓性脳梗塞では腹部肥満例の割合が高いことがわかりました。
また,腎機能を調べることができた136例のうち,4割以上がCKD(GFR 60mL/分/1.73㎡未満)であり,CKD症例では,年齢,収縮期血圧が高く,入院時重症度(NIHSS)や退院時障害度(modified Rankin Scale)も悪いという結果でした。
熊谷
茨城県の一般住民9万人を10年間観察したコホート研究でも,血清クレアチニン1.3mg/dL以上の群は0.8mg/dL未満の群に比べ,脳血管疾患死の相対リスクが高まることが明らかにされています。
これまで,私たち腎臓専門医は,腎障害が脳卒中のリスクになるとの認識が薄かったと思います。
しかし,CKDや脳卒中は,どちらも悪い生活習慣や加齢に伴って,全身の動脈硬化が進展した結果現れる病態です。
ですから,腎障害と脳卒中は強く関連する疾患として認識しなければいけないでしょう。
MetSとRA系の活性,そして交感神経活動亢進
棚橋
それでは,なぜMetSが脳卒中のリスクとなるのか?
そのメカニズムについて伺いましょう。
熊谷
MetSや肥満から心血管系イベントが生じるメカニズムを解く鍵の1つは,レプチンやレニン・アンジオテンシン(RA)系の活性化による交感神経活動の亢進にあると思います。
脂肪細胞から分泌されるレプチンは,食欲低下,エネルギー消費の増加だけでなく,腎臓や心臓の交感神経活動を亢進させ,血圧上昇や心拍数増加にも関与しています。
しかし,肥満者においては,レプチンの交感神経亢進作用のみが保持される「選択的レプチン抵抗性」となり,交感神経活動が持続した状態になります。
さらに肥満者では,脂肪細胞が肥大化することにより,RA系が活性化され,それによっても交感神経活動は亢進します。このような交感神経活動の亢進が,MetSや肥満者で脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まる理由の1つであると考えています。
井林
MetSや肥満者では,RA系の活性化の他にも,内臓脂肪から種々のアディポサイトカインが分泌されるため,インスリン抵抗性の惹起,あるいは高血圧,脂質異常,耐糖能異常,さらには血栓形成系の亢進などが起こり,動脈硬化の進展,そして脳卒中などの心血管疾患が発症しやすい病態になります。
熊谷
動脈硬化の危険因子は脳,心,腎の血管いずれにおいても共通です。
脳,心,腎のいずれかの血管の健康状態が悪くなるということは,他の部位の血管の健康状態も悪くなります。
ですから,腎臓が悪い患者さんは透析に移行するリスクが高いだけでなく,同時に脳卒中や心筋梗塞を発症するリスクも高まっていると考えなければなりません。
ARBによる降圧療法と脳血流
棚橋
MetSによる交感神経活動の亢進,そしてCKD。主要なキーワードの1つが高血圧です。
それでは,MetSの方の高血圧治療では,どのような点に留意すべきでしょうか。
井林
脳卒中の最も大きなリスクは,昔も今も高血圧ですから,やはり血圧は確実に下げたいですね。
降圧薬は,従来はCa拮抗薬が多く使われていましたが,カンデサルタンその他の確実な降圧効果を有するARBもあるので,CKDや動脈硬化の進展抑制という観点から,ARBを選択・併用する機会が増えています。
棚橋
降圧効果以外でARBを選択するメリットはありますか。
井林
脳卒中既往例や高血圧患者の脳血流自動調節能は右方(血圧の高い側)に偏位しており,脳血流の低下が然らざる患者さんに比べると,高い血圧レベルで生じてきます。ですから高血圧の場合には,降圧治療による脳血流低下を懸念しがちです。
しかしARBでは,降圧をきたさない程度の低用量でも脳血流自動調節能を左方にシフトさせます。
また,時間をかければ,高用量で血圧を充分に下げても,脳血流が保たれることを確認しています。
これは,ARBが脳血管(内皮,平滑筋,周皮細胞)の酸化ストレスを軽減し,血管内皮障害,炎症,リモデリングを改善したためと考えています。
ARBの多面的な作用と脳卒中の発症抑制
熊谷
私は,カンデサルタンの抗炎症作用に加えて,亢進している交感神経活動を抑制する作用にも期待しています。
これは,脳血管障害患者さんの再発リスクを軽減するという点でも重要です。
またインスリン抵抗性改善薬ピオグリタゾンが2型糖尿病の脳卒中の再発リスクを47%低下させました(図2)。
このような結果が得られたのも,ピオグリタゾンが交感神経活動を抑制したことが影響していると考えています。

井林
ARBは,高齢者脳卒中の重要なリスクである心房細動の新規発症を抑制することが明らかにされています。
そのメカニズムとして,心筋の線維化や心肥大抑制による構造的改善と,細胞内のカルシウム過負荷を抑制する電気的改善が考えられています。
最近,高齢者を中心に心原性脳塞栓症が増えていますので,ARBによる心房細動の新規発症抑制には大きな意義があると思います。
棚橋
フラミンガム研究ではBMI値が高いほど心房細動発症リスクが高くなると報告されています(図3)。
この点からも,肥満者やMetSの方に対する有用性が期待できますね。

井林
また,肥大化した脂肪細胞からはPAI-1が分泌され血栓形成系が亢進しますが,カンデサルタンはPAI-1の産生を抑制するとの報告もあり,かかる作用も脳卒中治療に貢献するのではないでしょうか。
熊谷
高血圧症例は,正常血圧例に比べ糖尿病の新規発症リスクが3.3倍高くなることが報告されています。
肥満・MetS例では,もっと顕著となるでしょう。
糖尿病は,脳卒中の重大なリスク因子ですから,それを防ぐことは重要です。
カンデサルタンはCASE-Jで糖尿病の新規発症リスクを36%低下させることがわかりました。
将来のイベント抑制に重要な知見です。
棚橋
CKDを合併する高血圧症に対してはどのような降圧薬が適しているでしょうか。
熊谷
尿蛋白を減少させることで,腎機能障害の進展を抑制できることが知られています。
ARBは蛋白尿を減少させるのでCKDにきわめて有用だと言えます。
特にカンデサルタンは腎機能低下の進行を抑制することがCASE-Jで明らかにされています。
腎機能を考慮した降圧療法にはカンデサルタンのようなARBが第一選択薬であるべきだと考えています。
棚橋
RA系の活性化と脳卒中の発症との関連についてまとめました(図4)。

特にMetSのような危険因子が集積した症例においてARBがpleiotropicに作用し,脳・心・腎の血管系イベントを抑制することに期待しています。
今後我々は,MetSやCKDをさらに注目し,脳卒中の発症抑制を念頭に置いた降圧治療を行っていかなければなりません。
そのなかで,ARBを使いこなしていくことが重要になると思います。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41150581&year=2008
出典 Medical Tribune 2008.4.10
版権 メディカル・トリビューン社

<コメント>
きょう患者さんに渡されたメモです。
プロレス、トライコラ・・・。
他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/
2008.5.21~
「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
~2008.5.21
があります。
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