戯れ言たれる侏儒
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< 第72回日循環総会 特集心不全の新しい治... | メイン | オルメサルタンの最新知見 >

Af総合的治療戦略―抗凝固療法の重要性が浮き彫りに
シンポジウム「心房細動の総合的マネージメント」(座長=慶應義塾大学循環器内科・小川聡教授,弘前大学循環呼吸腎臓内科学・奥村謙教授)では,心房細動(Af)に対する内科的治療,カテーテルアブレーションについて最新の知見が紹介されたほか,Afの転帰として起こりうる心原性脳塞栓症における遺伝子組み換え型プラスミノーゲンアクチベータ(rt-PA)療法の有効性に関する検証が報告された。

~内科的治療・抗凝固療法~
CHADS2スコアの妥当性を確認
弁膜性Afだけでなく非弁膜性Afにおいても高齢者や合併症を伴う高リスク患者への抗凝固療法の意義は確立したものとなっている。
近年,抗凝固療法の評価基準として,欧米ではCHADS2スコアが使用されているが,今回,わが国のAf患者におけるCHADS2スコアの実態や同スコアの妥当性を巡る報告がなされた。

CHADS2スコアと心血管疾患イベントリスクが相関
心臓血管研究所(東京都)研究本部の山下武志部長は,4,255例の自施設の集積データ(Shinken Database)のうち,Af患者651例(15%)の平均CHADS2スコアは0.9点で,一般的に抗凝固療法の検討基準となる1点以上が6割程度,2点以上は約3割だったことを示した。
さらに,同スコア0点の患者群を基準として心血管疾患イベントリスクを算出したところ,CHADS2スコアが高くなるほどハザード比も上昇していた()。

 

このほか同部長は,1日総心拍数やプロトロンビン時間‐国際標準化比(PT-INR)について,日本人の至適管理基準を検討する必要があると指摘した。
Shinken Databaseでは,抗凝固療法による出血の危険因子がPT-INR 2.3以上であったという。

抗凝固療法の実施状況が明らかに
富山大学第二内科の井上博教授は,非弁膜性Af患者500例以上を対象にCHADS2スコア使用の妥当性を検討した。
まず,左房機能を経食道心エコーで見ると,CHADS2スコアの上昇とともに,左房の血液循環の悪化を示すもやもやエコーのグレードも上昇したほか,左心耳血流速度が低下していた。
また,CHADS2スコアと凝血分子マーカーのDダイマーが有意な正相関を示していた。
この結果から,わが国における同スコア使用の妥当性が確認された。
一方,血小板機能については同スコアとの関連が認められなかった。
 
さらに,同教授はCHADS2スコア3点以上の高リスク群では血栓塞栓症発症頻度が4~5%であり,日本人の血栓症発症リスクが決して低くない点を指摘した。
 
大阪医療センター臨床研究部の是恒之宏部長は,国立病院機構で実施している調査から,非弁膜性Af患者1,575例(41施設)の抗血栓療法の実態を報告した。
抗凝固薬は,脳梗塞既往例の94%,心不全例の82%,高血圧例の76%,糖尿病例の80%と高率に投与されていた。CHADS2スコアが高値であるほど抗血栓療法実施率は高くなっていた。
 
実際のコントロール状況と投与量の関係については,目標PT-INR1.6~2.6,または2.0~3.0のどちらも患者年齢が高齢化するほど投与量は低下していたが,コントロール状況はどの年齢層もほぼ同様で,1.9~2.0となっていた。
また同部長は,実際のコントロール状況と目標値の差による投与量調整について,出血リスクには敏感だが,梗塞リスクに対しては反応が鈍い傾向があることを指摘した。

~心原性脳塞栓症の実態~
rt-PA使用の恩恵は限定的
座長の奥村教授は,Afの転帰である心原性脳塞栓症に対するrt-PAの有効性を検討した。
弘前脳卒中センターで治療を受けた心原性脳塞栓症262例のうち,rt-PAの適応となったのは14%で,閉塞血管が開通して機能的改善も得られた症例は43%であった。
この結果から,心原性脳塞栓症全体でrt-PAの恩恵を得られる患者は6%にすぎないことを同教授は指摘し,「rt-PAの恩恵を受けられるのは一部の症例に限られる」と述べた。
 
また,同教授らが心原性脳塞栓症患者69例の発症以前の状況を調べたところ,ワルファリン投与率は約3割であり,PT-INRのコントロール状況は最大でも1.79(平均1.39)であったことを示した。

~カテーテルアブレーション~
慢性Afに対しても確立しつつある治療戦略
カテーテルアブレーションは内科的治療で症状コントロールが困難なAf症例の治療戦略として考えられ,近年その治療成績が急速に向上している。
基礎疾患のない発作性Afに対しては良好な成績が報告されているが,慢性Afに対してはよりよい治療戦略の検討が続いている。

施術の工夫と薬物併用で良好な成績
群馬県立心臓血管センター循環器内科の内藤滋人第二部長は,cycle length mappingを用いたCFAE(complex fractionated atrial electrograms)法によって奏効率を改善している。
慢性Af34例に対しても,拡大肺静脈隔離術,および薬物療法の併用により80%以上の洞調律維持率が得られたと報告した。
 
横須賀共済病院(神奈川県)循環器センター内科の高橋淳診療部次長は,6か月以上持続する慢性Afでカテーテルアブレーションを施行した95例の約2年間のフォローアップの結果を報告。
同センターでは,広範囲同側肺静脈隔離焼灼を基本とし,症例によって下大静脈から三尖弁峡部アブレーション,および非肺静脈起源アブレーションを選択している。
この結果,56%は再発がなく,再発による再施行も含めた全例のうち無投薬下で73%,投薬下では91%に洞調律維持が達成されたと報告した。
 
桜橋渡辺病院(大阪府)循環器内科の井上耕一医長は,慢性Afのカテーテルアブレーション施行後にベプリジル投与を行った連続50例を約2年間追跡調査した。
胃部不快感が1例,経過中の死亡が1例あったが,著明なQT延長や徐脈,心室性不整脈といった副作用は認められず,96%で洞調律が維持されていた。
洞調律で頻脈発作もない28例についてはベプリジル服薬中止を試みたが,9例で頻脈発作が生じていた。
このことから,同医長は「ベプリジルの併用療法により成績向上が望めるが,その投与期間については慎重な検討が求められる」と指摘した。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=0&order=1&page=0&id=M41190951&year=2008
出典 Medical Tribune 2008.5.8
版権 メディカル・トリビューン社

<2008.7.9追加>
心房細動を伴う心不全患者における心調律コントロールと心拍コントロールの比較
Rhythm vs. Rate Control in Patients with Atrial Fibrillation and Heart Failure

心房細動(atrial fibrillation:AF)患者を対象としたランダム化試験では、洞調律を回復し、維持する(心調律コントロール)治療ストラテジーには、単に心拍数をコントロール(心拍コントロール)した場合を上回る、説得力のある利益は示されていない。
しかし、AFを伴う心不全患者では、AFは予後不良の予測因子であるが、どちらのストラテジーがよりよいだろうか?
この研究では、心不全症状とAFの病歴があり、左室駆出率が35%以下の成人1,376人を登録した。
患者を心調律コントロールまたは心拍コントロールのストラテジーに割り付けた。持続性AF患者(>12ヵ月)は除外された。
フォローアップ期間中(平均37ヵ月)、主要アウトカムである心血管系疾患死は心調律コントロール(27%)と心拍コントロール(25%)の両群間で有意差はなかった。さらに、全体の死亡率、脳卒中率および心不全悪化率も同等であった。

コメント:
ルーティンに適用される心調律コントロールのストラテジーは、この研究ではAFの発症率の低下にかなり有効であったが、より優れた臨床アウトカムは得られなかった。
驚くことではないが、心調律コントロール群の患者は有意に多くの電気的除細動を受けており、ランダム化後の最初の年に入院する割合が高かった。
このため、著者らは心拍コントロールを、心不全を伴うAF患者に対する主要なストラテジーとすべきであると提案している。
エディトリアル執筆者は、洞調律の維持は薬物、主としてamiodaroneによって達成されたこと、またこうした薬物の既知の毒性が、よからぬ結果に寄与した可能性があることを指摘している。さらに、彼らは心拍コントロールと、洞調律を回復し、維持するアブレーションを比較する、さらなる研究を提唱している。
— Kirsten E. Fleischmann, MD, MPH
Published in Journal Watch General Medicine June 26, 2008
Citation(s):
Roy D et al. Rhythm control versus rate control for atrial fibrillation and heart failure.
N Engl J Med 2008 Jun 19; 358:2667.
 Cain ME and Curtis AB. Rhythm control in atrial fibrillation — One setback after another.
N Engl J Med 2008 Jun 19; 358:2725.

Journal WATCH Online 日本語版
No. 08-0626-01 2008 June 26
Medline abstract
http://www.nankodo.co.jp/JWJ/archive/JW08-0626-01.html

Rhythm control versus rate control for atrial fibrillation and heart failure.
Roy D, Talajic M, Nattel S, Wyse DG, Dorian P, Lee KL, Bourassa MG, Arnold JM, Buxton AE, Camm AJ, Connolly SJ, Dubuc M, Ducharme A, Guerra PG, Hohnloser SH, Lambert J, Le Heuzey JY, O'Hara G, Pedersen OD, Rouleau JL, Singh BN, Stevenson LW, Stevenson WG, Thibault B, Waldo AL; Atrial Fibrillation and Congestive Heart Failure Investigators.
Montreal Heart Institute and the Université de Montréal, Montreal, QC H1T 1C8, Canada. d_roy@icm-mhi.com
BACKGROUND:
It is common practice to restore and maintain sinus rhythm in patients with atrial fibrillation and heart failure. This approach is based in part on data indicating that atrial fibrillation is a predictor of death in patients with heart failure and suggesting that the suppression of atrial fibrillation may favorably affect the outcome. However, the benefits and risks of this approach have not been adequately studied.
METHODS:
We conducted a multicenter, randomized trial comparing the maintenance of sinus rhythm (rhythm control) with control of the ventricular rate (rate control) in patients with a left ventricular ejection fraction of 35% or less, symptoms of congestive heart failure, and a history of atrial fibrillation. The primary outcome was the time to death from cardiovascular causes.
RESULTS:
A total of 1376 patients were enrolled (682 in the rhythm-control group and 694 in the rate-control group) and were followed for a mean of 37 months. Of these patients, 182 (27%) in the rhythm-control group died from cardiovascular causes, as compared with 175 (25%) in the rate-control group (hazard ratio in the rhythm-control group, 1.06; 95% confidence interval, 0.86 to 1.30; P=0.59 by the log-rank test). Secondary outcomes were similar in the two groups, including death from any cause (32% in the rhythm-control group and 33% in the rate-control group), stroke (3% and 4%, respectively), worsening heart failure (28% and 31%), and the composite of death from cardiovascular causes, stroke, or worsening heart failure (43% and 46%). There were also no significant differences favoring either strategy in any predefined subgroup.
CONCLUSIONS:
In patients with atrial fibrillation and congestive heart failure, a routine strategy of rhythm control does not reduce the rate of death from cardiovascular causes, as compared with a rate-control strategy.
(ClinicalTrials.gov number, NCT00597077.) 2008 Massachusetts Medical Society
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18565859?dopt=Abstract


<コメント>
どうでもいいことかも知れませんが、心房細動をAFと表記する傾向があるような気がします。
昔人間の私などは心房粗動を連想してしまい心臓によくありません。
Afと表現されていると何故か心の安らぎを覚えます。

他に
「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
があります。

 

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