戯れ言たれる侏儒
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冠攣縮(冠スパスム)が日本人に多く、狭心症の治療におけるCCBの位置づけの特殊性が諸外国と異なることは周知のことであります。
このブログでも冠動脈造影検査の際の冠攣縮誘発試験施行の有無、さらには施行方法や診断に統一性がないことを触れてきました。

日本人の狭心症 その1(1/2)
http://blog.m3.com/reed/20080328/1
日本人の狭心症 その2(2/2)
http://blog.m3.com/reed/20080329/1
冠攣縮(冠スパスム)
http://blog.m3.com/reed/20071002/1
誘発冠攣縮
http://blog.m3.com/reed/20080223/1

きょうは日循総会のシンポジウム「冠攣縮」で勉強をしてみました。

第72回日本循環器学会特集
シンポジウム「冠攣縮」
日本人の冠攣縮―臨床像や治療に関し新たな研究成果
冠攣縮は虚血性心疾患全般の発症に深く関与するとされるが,特に日本人でその傾向が強い。
急性心筋梗塞患者に冠攣縮誘発試験を行うと80%が陽性で,欧州人よりも明らかに高率であることが,国際共同研究から報告されている。
しかし,日本人を対象とした冠攣縮のデータは十分ではなく,研究の進展が強く望まれている。シンポジウム「冠攣縮を見直す」(座長=東北大学大学院循環器病態学・下川宏明教授,小倉記念病院循環器科・横井宏佳部長)で最新の研究成果が報告された。

全国59施設参加の冠攣縮研究会
後ろ向き観察研究など種々の研究推進
冠攣縮の成因や病態を基礎的,臨床的に多施設共同で解明していく目的で,2006年に冠攣縮研究会(CSA)が発足。事務局が置かれている東北大学大学院循環器病態学の安田聡・准教授らは,後ろ向き観察研究など,多岐にわたる研究を積極的に進めていることを明らかにした。

1,000例目標に後ろ向き観察研究
安田准教授によると,CSAには現在,東北大学,熊本大学など全国59施設が参加しており,7つの分科会がそれぞれのテーマで研究を進めている。
例えば,科学的根拠に基づいた冠攣縮の誘発試験法や診断法の標準化。
日本循環器学会のガイドライン作成班にも協力している。
また,治療法の標準化や難治例に対する治療法の提案も行っていく。
 
さらに,病態や病因に関する調査を実施している。
その1つが後ろ向き観察研究による全国調査。2003年4月~07年3月の冠攣縮性狭心症症例が,CSAのホームページ(
http://csa.cardiovascular-medicine.jp/)を通じて登録されている。
3月末までに,25施設から500例近くが登録された。
年内に1,000例にこぎ着けたい考えだ。
 
そのほか,血管内超音波や冠内心電図を用いた病態・成因調査,予後調査としての前向き登録追跡研究,一塩基多型(SNP)解析,人種差に関する国際共同研究も進めているという。
いずれも冠攣縮の解明につながる重要な研究で,成果がおおいに期待される。

不安定狭心症における冠攣縮関与
Braunwald III B症例の4人に1人で
熊本大学大学院循環器病態学の福永崇氏らは,急性冠症候群に関する多施設共同研究JACSS(Japan Acute Coronary Syndrome Study)で,Braunwald class III Bの不安定狭心症のほぼ4人に1人は冠攣縮が関与していたことから,不安定狭心症の診断に際して冠攣縮の関与を考慮する必要性を強調した。

臨床経過から関与疑う例も多い
検討は,日本人の不安定狭心症における冠攣縮関与の程度や予測因子を知るために行われた。
対象は,最終発作から48時間以内に,急性心筋梗塞に移行する可能性の高いBraunwald class III Bの不安定狭心症と診断された連続824例。
 
福永氏によると,824例中669例は最終発作から48時間以内に緊急冠動脈造影(CAG)が行われ,うち75例は有意狭窄が認められず,冠攣縮誘発試験が実施された。
その結果,52例((1))が冠攣縮陽性で,このなかには50%器質的狭窄を認めた症例が11例含まれていた。
一方,CAGを施行した669例中594例は冠攣縮誘発試験が行われず,これら全例に硝酸薬の冠動脈内投与が実施された。
うち5例((2))は硝酸薬投与直後に狭窄が完全に消失。
残る589例中120例((3))は有意狭窄が存在せず,病歴,心電図変化などから冠攣縮の関与が考えられた。
さらに,22例((4))は75%以上の狭窄が存在したが,臨床経過から冠攣縮の関与が強く疑われた。
以上(1)~(4)の計199例,すなわち全対象の24%で冠攣縮の関与が推測されたことから,同氏は「不安定狭心症の診断時には冠攣縮の関与を考慮する必要がある」と指摘した。
 
冠攣縮関与が推測される群では喫煙率が有意に高かった。一方,冠攣縮関与の予測因子について多変量解析を行うと,心筋梗塞既往なし,65歳未満,LDLコレステロール140 mg/dL未満,高血圧既往なし,糖尿病既往なしの5因子が有意な予測因子であった()。
これらの因子を有する不安定狭心症例では,冠攣縮の関与をより強く疑う必要がある。

蘇生後心停止や失神の再発
Ca拮抗薬により予防の可能性
冠攣縮に伴って心臓突然死または失神(以下,突然死/失神)を来す症例は少なくないが,Ca拮抗薬を投与していれば,不安定狭心症に移行しない限り,蘇生後心停止や失神の再発を予防できる可能性のあることを,慶應義塾大学呼吸循環器内科の佐藤俊明講師らが報告した。

突然死群の73%が突然死で初発
佐藤講師らはまず,冠攣縮に伴う致死的不整脈に対する1次予防策を探るため,突然死/失神に至った冠攣縮症例の臨床的特徴を検討。
対象は冠攣縮108例。
冠攣縮はアセチルコリン誘発試験陽性,または可逆的ST上昇を認めるものの有意な冠動脈硬化所見がないものとした。
 
108例中52例(48%)は突然死/失神が認められず(対照群),43例(40%)は器質的疾患のない突然死/失神例であった(心臓電気生理学的検査陽性例除く)。
この2群を比較すると,突然死/失神群では喫煙歴,労作時症状(胸痛,失神または突然死)が有意に高率に認められた()。
突然死/失神群を突然死例15例と失神例28例に分けて比較すると,初発症状で有意差が見られた。
すなわち,突然死群では73%が突然死,失神群では68%が胸痛を初発症状としていた。
 
さらに,Ca拮抗薬による突然死/失神の二次予防効果を明らかにする目的で,冠攣縮による失神例28例および突然死蘇生後11例の計39例を対象に,Ca拮抗薬投与下での再発を調べた。
すると,平均観察期間4年で再発は失神例1例のみ,ほか38例では認められなかった。
ただし,失神例5例ではCa拮抗薬中断後,失神の再発が認められた。
また,Ca拮抗薬投与下で,不安定狭心症,急性冠症候群へと移行した失神例1例と,不安定狭心症に移行した胸痛初発例1例は突然死に至った。
 
これらの成績から,
(1)喫煙歴または労作時症状がある場合は冠攣縮に伴う突然死/失神を呈する可能性がある
(2)突然死は冠攣縮の初発症状として出現することが多いが,胸痛の既往がある場合は突然死に至らず,失神を呈する症例が多い
(3)不安定狭心症への移行がなければ,Ca拮抗薬投与により蘇生後心停止や失神の再発を予防できる可能性がある
―ことが示唆された。

冠攣縮性狭心症の心停止後蘇生例
内服下で冠攣縮,VF再発ならICD
冠攣縮性狭心症で心停止後蘇生例に対して植え込み型除細動器(ICD)を使用すべきか―。
亀田総合病院(千葉県)循環器内科の鈴木誠部長らは,Ca拮抗薬内服下で冠攣縮発作および心室細動(VF)が再発した場合はICDの適応になるとの考えを示した。

ICD植え込みの3例で作動
冠攣縮性狭心症は,一般にCa拮抗薬投与下での予後は良好と考えられているが,致死性心室性不整脈を合併して突然死に至る症例もある。
蘇生しえたとしても,突然死の予防策について具体的な指針は示されていない。
わが国の「失神の診断・治療ガイドライン」では「薬剤による効果が不十分あるいは不確実と考えられる場合にICD植え込みを行う」と書かれているが,薬剤による効果の判断は各医師に任されているのが現状だ。
ICD植え込み例の予後を検討した報告もほとんどない。
 
そこで鈴木部長らは,冠攣縮性狭心症で発作性心室頻拍またはVFにより心停止を来し,その後蘇生した症例の予後をICD植え込みの有無で比較した。
対象はICD(-)群19例,ICD(+)群21例。
ICD(-)群では19例中2例で退院後突然死が認められた。
ICD(+)群では21例中3例でICDが作動,1例はICD無作動で死亡した。
ICD(+)群の植え込みの理由は,二次予防,内服下でも冠攣縮発生,多枝攣縮かつ薬剤抵抗性,内服下で心室性不整脈が発生または再発,ブルガタ症候群合併などであった。ICD(-)群で植え込みを行わなかった理由については,ほとんどが記載なく不明であった。
 
ICD(+)群で突然死を防げた症例が認められたことから,同部長は「Ca拮抗薬内服下で冠攣縮発作およびVFが再発した場合は十分ICDの適応になるのではないか」と述べた。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41190981&year=2008
(表についてはこのサイトでご確認下さい)

出典 Medical Tribune 2008.5.8
版権 メディカル・トリビューン社

 

<参考サイト>
第71回日本循環器学会特集
会長講演
冠動脈疾患を巡る研究の現状と将来を展望
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=%E7%8B%AD%E5%BF%83%E7%97%87%E3%80%80%E3%82%B9%E3%83%91%E3%82%B9%E3%83%A0&perpage=0&order=0&page=0&id=M4016702&year=2007&type=allround

近年,動脈硬化・冠動脈疾患を巡る研究は長足の進歩を遂げている。
会長を務めた神戸大学大学院循環呼吸器病態学の横山光宏教授は,同グループが積み上げてきたデータをベースにそうした研究の流れや現状を紹介。
予防,治療に向けた今後の課題や取り組みについても展望した。
スパスムの一因を見出す
横山教授は,まず日本人の冠動脈疾患を考えるうえで重要なスパスムに関する研究を紹介した。
スパスムは軽度,高度にかかわらず動脈硬化病変の存在部位に好発する。
しかし成因はよくわかっていない。
そこで,同グループでは,異型狭心症で死亡した患者の摘出冠動脈を用いて実験し,
(1)血管平滑筋ではセロトニンに対する反応性が亢進している
(2)セロトニンのアゴニストを投与すると血管平滑筋にスパスムが起こる
ことを突き止めた。
これに着目して,その機序を分子レベルで検討したところ,セロトニン受容体サブタイプ5HT1Bの過剰発現と,それを介するシグナル伝達異常が,スパスムの一因になっていることを見出したという。
もっとも,これだけでスパスムのすべてを説明することは難しく,同教授は「血管内皮機能の障害やもっと複雑な調節機構が関与している可能性があり,その解明が今後の課題」と述べた。
次に,動脈硬化と酸化ストレスを巡る同グループの成果を示した。血管内皮機能は一酸化窒素(NO)とスーパーオキシドのバランスで保たれている。
しかし,この平衡がスーパーオキシド側に傾くと,血管保護に働くNOやそれを産生する内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)が失活し,内皮障害から動脈硬化の発症へと進む。これが従来考えられていたセオリーである。
ところが,同グループが動脈硬化モデルのApoE欠損マウスに善玉であるはずのeNOSを過剰発現させたところ,逆にスーパーオキシドが増加し,動脈硬化が進展した。
その原因を探ったところ,ApoE欠損eNOS過剰発現マウスでは酸化ストレス増加によってeNOSの補酵素であるテトラヒドロビオプテリン(BH4)が減少してBH4と結合できないuncoupled eNOSが増加していた。
そして,この機能異常を起こしたuncoupled eNOSがスーパーオキシドを産生し,動脈硬化の進展を促進していることがわかったという。
この事実から,同教授は「動脈硬化の発症・進展防止には,eNOSの発現を増加させるだけでなく,BH4の産生酵素を増やす治療がより有効と思われる」と指摘した。
ところで,こうした酸化ストレスは炎症細胞を活性化し,動脈硬化の進展やプラークの破綻にも関与する。
このため最近,動脈硬化は内皮障害が先行する「慢性炎症性疾患」と捉えられている。
そのマーカーとなるのはC反応性蛋白質だが,同グループでは単に炎症マーカーにとどまらず,それ自体が動脈硬化の促進に関与していることを突き止めた。
その機序としては,接着分子の発現,eNOS発現低下,スーパーオキシド産生増加などが考えられるという。
一方,治療については多数の大規模試験でスタチンの有効性が確認されている。
また,同教授が統括責任者を務めたJELIS試験では,スタチンにイコサペント酸(EPA)を上乗せすることで心血管イベントの有意な低下が認められた。
また,予防・治療面の課題は,メタボリックシンドロームを含む糖尿病・耐糖能異常が冠動脈疾患の大きな危険因子となりつつあることで,同教授は「今後これをターゲットとしたアプローチが重要になってくるだろう」と強調した。

<番外編>
ある日のある新聞の読者欄にこんな内容の記事が載っていました。
「私は高血圧患者です。私の主治医の先生は塩分制限の話はしません。天然塩をむしろとるとよいよってすすめてくれます。おかげで最近の血圧は下がってきてくすりも減らしてもらっています」
ざっとこんな内容でした。

この記事を読んでまず頭に浮かんだのはマグネシウムやカリウムなどのミネラルです。
今後の患者指導をどうすればいいのか混乱してしまいそうです。
この点についてコメントをいただける先生がおみえになったら是非ご教示下さい。

 

健康塩(しお)のご紹介
http://w-21.net/dron/food/food2.htm
高血圧 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E8%A1%80%E5%9C%A7
原因によらず、ほぼ全ての高血圧で塩分摂取制限は必須となる。健康ブームに乗って「この天然塩はミネラル豊富なため多く摂っても高血圧にならない」などの宣伝が散見されるが、このような文言を鵜呑みにすることは非常に危険であると言わざるを得ない。問題は食塩の質ではなく量である。

高血圧と塩は無関係
http://www.bk-otaku.com/sio/data/sio3.htm
昭和57年、高血圧学会賞を米国心臓学会より受賞した名古屋の青木助教授は、日本高血圧学会評議会で『減塩で血圧の下がる人は、100人のうちせいぜい2~3人で人中97~98人は塩とは何の関係もない高血圧です。塩の摂取量さえ減らせば、血圧が下がり、高血圧症は治ると信じている人が多いのですが、減塩食とは、100ミリの血圧を1ミリか2ミリ下げる力しかありません。
無理な減塩食がかえって心身に深刻な害を与えているのです。』と説いています。

では塩が高血圧の原因であるという誤った常識はどうしてできたのでしょう?
これは、アメリカに高血圧学者、メーネリーが、ネズミに1日20~30gの食塩を与え、さらに水道水にも食塩を加えて1%の食塩水を作り、それを飲み水として与えたところ、10匹中4匹のネズミが高血圧になったのです。

このことが日本における減塩信仰のきっかけとなったのです。
しかし、青木助教授は、10匹のうち6匹のネズミが高血圧にならなかったことに注目しました。

ということは、体質的に食塩が血圧を上げる作用に対して、
感受性のあるネズミと、食塩の作用に対し抵抗力のあるネズミがいることがわかったのです。

この体質的な差について解明されないまま、塩が高血圧を作り出すという点だけが注目されるようになったのです。

<コメント>昔、ある学会でこの青木先生に質問をしたことがありました。今となっては懐かしい思い出です。

第112回「食塩摂取と高血圧の常識を疑う」
http://dandoweb.com/backno/20011129.htm
「食塩と血圧の関係」(タケヤ味噌)

http://www.takeya-miso.co.jp/ta-ken052.html

 

塩分は本当に高血圧に影響する?
http://allabout.co.jp/health/healthfood/closeup/CU20020610/index2.htm
東京大学医学部の藤田敏郎教授の研究(1995年)によると、人間には、食塩をとると血圧が上がり減塩すると血圧が下がる(食塩感受性)人と、食塩をとっても血圧が上がらず減塩しても血圧が下がらない(食塩非感受性)人がいるのです。日本人の本態性高血圧患者では、およそ4割が食塩感受性、6割が食塩非感受性なのだそうです

 

他に
「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 

があります。

 

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