戯れ言たれる侏儒
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< エプレレノンのターゲット患者 その1(1... | メイン | 女性ではアスピリンが効きにくい >

昨日の続きです。

特別企画
座談会
Old Wine in New Bottles
―アルドステロンブロックの臨床的意義とそのターゲット患者像に迫る―

エプレレノンの腎臓への有用性が期待されるが,カリウム上昇に注意すべき
伊藤 
続いて,佐藤先生から腎臓についてお話をいただきます。  

佐藤 
日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2004(JSH2004)では,腎機能障害を合併した高血圧症例において厳格な血圧(130/80 mmHg未満)とアルブミン尿(糖尿病性腎症:アルブミン/クレアチニン<30mg/g,非糖尿病性腎症:蛋白/クレアチニン<200mg/g)のコントロールが重要と位置付けています。
 
近年,慢性腎臓病(CKD)は末期腎不全への進展とともに心血管疾患の大きな危険因子であることが明らかになってきました。
日本腎臓学会もCKD対策に積極的に取り組んでおり,2007年にCKD診療にかかわるすべての医師が何をなすべきかについて,腎臓専門医サイドからの提言として「CKD診療ガイド」を発表しました。
 
われわれは以前より,高血圧も含めたCKD対策として,アルドステロンをターゲットにする必要性を報告してきました。
例えば,ACE阻害薬投与中の糖尿病性腎症患者さんにおいて,アルドステロン・ブレイクスルー群は非ブレイクスルー群に比べアルブミン尿が有意に高いことを報告しました。
そして,アルドステロンブロックをすることで有意なアルブミン尿の減少を認めました。
これからの腎臓専門医には,アルドステロンブロッカーを上手に使うことが求められると思います。
 
Kidney Disease Improving Global Outcomes(KDIGO)でも,日本腎臓学会の「CKD診療ガイド」でも,推算糸球体濾過量(eGFR)でCKDを分類しています。
そのなかで,いわゆるハイリスク群,CKDの危険因子(高血圧,糖尿病,メタボリックシンドローム)を有する状態がこの分類のなかに入っていることが大切だと考えています。
エプレレノンは,ハイリスク群の高血圧症例においては優れた降圧が期待されます。
臨床データでは,エプレレノンで血圧が下がったレスポンダー群とノンレスポンダー群でK値を比べると,両群に有意差は認められないという報告があります〔Levy DG, et al: J Clin Endocrinol Metab 89(6): 2736-2740, 2004〕。
また,エプレレノン50mg,100mgはK値を大きく上昇させないとのデータ〔Weinberger MH, et al: Am J Hypertens 15(8): 709-716, 2002〕もあり,腎機能さえ保持されていれば,エプレレノンのK値上昇に対するリスクは腎機能が低下している場合に比べ,かなり軽減されるのではないかと思います。
また,低レニン性高血圧でも降圧効果は減弱しないという,ある意味ではカルシウム拮抗薬の特徴も持った薬剤と言えるでしょう。
 
一方,CKDステージ1以降の場合は,K上昇に十分注意し,糖尿病性腎症もしくはクレアチニンクリアランス50mL/分未満の症例への投与を避け,腎専門医が慎重に使う必要があると思います(図 3)。

 

ディスカッション
優れた降圧と臓器保護への期待を抱かせるエプレレノン
伊藤 
では,ディスカッションに移ります。エプレレノンの降圧効果は,組織でのアルドステロン作用の亢進や食塩摂取量と密接な関係がありますね。

吉村 
最も重要な論点です。
食塩を摂取すると副腎からのアルドステロンはやや低下しますが,組織のアルドステロンは亢進すると私たちは考えています。
エプレレノンは,循環中のアルドステロンの作用のみならず組織のアルドステロンの作用もブロックすると考えています。もちろん,今後詳細な研究が必要です。

伊藤 
佐藤先生は,エプレレノンの腎外での降圧機序についてどのようにお考えですか。

佐藤 
エプレレノンは,ほんのわずかですが血液脳関門を通過します。
したがって,中枢を介した降圧作用も否定できません。
実際,ラットでは,アルドステロンの昇圧機序はほとんど中枢を介したもので説明がつきます。
 
しかし,ヒトの場合,アルドステロンがどの程度中枢を介して昇圧しているのか,はっきりしていません。
私は,エプレレノンの降圧効果は血清K値と平衡しないことから,少なくともヒトの場合,主要な降圧効果は腎臓を介するものではないと考えています。
脂溶性が高いこと,血中半減期が4~6時間にもかかわらず,24時間降圧が持続することから,血管壁のミネラロコルチコイド受容体をブロックする効果がかなり大きいのではないかと考えています。

伊藤 
アルドステロンの腎外作用は降圧に留まらず,臓器保護とも関連します。
その際,アルドステロンとアンジオテンシンII(A II)のどちらが悪影響を及ぼすのでしょうか。

吉村 
これまでA IIに注目が集まっていましたが,私は,症例によってはアルドステロンの影響が大きいと考えています。

佐藤 
腎では両方とも問題であり,アルドステロンブロックはRAS阻害薬と同様,腎保護が期待できます。
ただ,基礎実験で高食塩とA IIによる腎障害および蛋白尿は,A IIをそのままにしていてもアルドステロンブロッカーで有意に改善するという報告があります。
高食塩時のA IIによる腎障害は,かなりのところアルドステロンを介しているのかもしれません。

伊藤 
では,エプレレノンはどのような症例への使用が望ましいか,それぞれの立場からもう一度ご説明をお願いします。

吉村 
心肥大や心不全を合併している症例,すなわちBNPが高い高血圧患者さんにはよい適応です。

佐藤 
軽度の腎障害を合併した高血圧患者さんへの使用は,併用薬の影響も考慮しながら腎専門医がK値に十分注意して使用すべきと考えます。
また,腎障害のない糖尿病,メタボリックシンドロームなど食塩感受性の高血圧を示す症例にもよいと思います。

伊藤 
内分泌の立場から申しますと,血中ホルモンを測定したうえでの治療が望ましいですね。
 
エプレレノンは新ジャンルの降圧薬であり,組織で発現したアルドステロンをブロックすることで優れた降圧と臓器保護を実現しうる可能性がある薬剤という結論になります。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41180401&year=2008

出典 Medical Tribune 2008.5.1
版権 メディカル・トリビューン社 

 

他に
「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 

があります。

 

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