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Actos Round table Discussion
循環器領域で期待されるピオグリタゾンの役割
―糖尿病患者の動脈硬化抑制にはたらくメカニズムに迫る
大血管障害の発症抑制は,糖尿病治療において長年果たされずにいた課題であった。
しかし,近年,PROactive試験とCHICAGO試験で,ピオグリタゾンによる心血管イベントの発症抑制と動脈硬化の進展抑制に関する成績が示された。
さらに,ピオグリタゾンの多彩な動脈硬化進展抑制メカニズムが,次々に報告されている。こうした知見やエビデンスを活かしながら,いかに適切にピオグリタゾンを臨床で用いていくか,循環器医による討論が行われた。
千葉大学大学院医学研究院循環病態医科学 教授
小室 一成 氏(司会)
University of Texas Health Science Center at San Antonio, Division of Cardiology
Robert Chilton 氏
埼玉医科大学国際医療センター心臓病センター 心臓内科 教授
小宮山 伸之 氏
順天堂大学大学院医学研究科 循環器内科学 准教授
宮内 克己 氏
阪大学大学院医学研究科 循環器内科学 講師
南野 哲男 氏
大血管障害の上流にあるインスリン抵抗性
小室
糖尿病患者は動脈硬化の進展が著しく,冠動脈疾患を有する糖尿病患者の予後は非常に悪いため,われわれ循環器医にとって難しい臨床課題です。
そうした状況の下,ピオグリタゾンは,インスリン抵抗性改善による血糖低下作用(図1)だけでなく,多彩なメカニズムで動脈硬化の進展抑制に寄与することがわかってきました。

本日は,Chilton先生を迎え,ピオグリタゾンを有効に用いる方法を,循環器医の立場から検討したいと思います。
Chilton
急性心筋梗塞とリスク因子について検討したINTERHEART試験では,糖尿病と肥満が冠動脈疾患発症リスクの重要な因子として挙げられました。
また,メタボリックシンドロームを合併した糖尿病患者では,大血管障害発症のリスクが高いという報告があります。
実際,血管内超音波(IVUS)で観察したメタボリックシンドローム患者のプラークは,脂質が多く肥厚しているのが特徴です。
また,冠動脈狭窄や不安定プラークを有する患者では,糖尿病とまだ診断されていなくても,インスリン抵抗性がみられることを経験しています。
小室
心血管イベント発症に及ぼす影響という観点から,高血糖とインスリン抵抗性はどちらが重要でしょうか。
Chilton
高血糖も重要なリスクファクターですが,むしろ代謝異常そしてインスリン抵抗性が重要ではないでしょうか。
内臓脂肪蓄積が引き起こしたインスリン抵抗性が,高インスリン血症や,LDLを構成するアポ蛋白B,Small dense LDL,遊離脂肪酸(FFA)の増加など危険因子を惹起し,動脈硬化の進展を促進させて心血管イベントの発症に至ると考えています。
インスリンと動脈硬化
小室
インスリンが寿命や老化のメカニズム制御に関わっており,血管でも悪玉因子となることが明らかになってきています。
われわれは,動脈硬化巣で増加している老化血管細胞において,インスリンが細胞老化を促進することを見出しました。老化した血管細胞から,炎症性サイトカインや接着分子などが過剰発現することで動脈硬化が進展すると考えています。
一方,ピオグリタゾンはインスリン抵抗性を改善し,インスリンレベルを低下させることから,血管細胞の老化を防ぎ,動脈硬化の進展を抑制すると考えられます。
ピオグリタゾンの脂質への影響
小室
他のチアゾリジン薬(TZD)の副作用が問題になりましたね?
宮内
そうですね。しかし,JAMAに掲載された,ピオグリタゾンの19の試験16,390例における心血管イベントをみたメタ解析では,総死亡や心筋梗塞,脳卒中の複合エンドポイントが18%減少しました(図2)。

その理由の1つに,脂質に対する影響の違いが考えられます。
LDL-Cの1%の増加は,心血管イベントを1.8%増加させるといわれ,LDL-Cは,心血管イベントの発症に重要な役割を果たします。
ピオグリタゾンはLDL-Cに影響を与えませんが,他のTZDではLDL-Cの上昇が認められました。
Chilton
PROactive試験で,ピオグリタゾンはTGを減少させ,HDL-Cを増加させました。
また,LDL粒子構成を改善させる点も異なります。
ピオグリタゾンのプラーク容積や性状に対する影響
小宮山
われわれは,IVUSを用いて,プラークの容積や構成成分の変化を検討しています。
糖尿病を有する,PCIを施行した安定冠動脈疾患患者26例を対象としたPIGEON試験において,ピオグリタゾン群は,対照群と比較して,6ヵ月投与でプラークの退縮が認められています。
また,プラーク性状に関しては脂質が減少し,線維化の成分が増加していました。
今回の検討では,以前われわれが行ったスタチンを用いた試験と同様の結果が得られました。
Chilton
動脈硬化が進み,被膜が薄く,破綻しやすくなっている糖尿病患者のプラークが,ピオグリタゾンによって安定化したのですね。
再狭窄抑制に対するピオグリタゾンの影響
宮内
われわれは,ブタのステントモデルを用いて,ピオグリタゾンによるステント後の炎症反応と,内膜肥厚の抑制について検討しました。
ピオグリタゾン投与群では,ステント留置3日後に,血管内皮への単球接着およびMCP-1が対照に比べて有意に抑制されました。
また,28日後にIVUSを施行したところ,ステント部位の内膜新生が15%も有意に抑制されました(図3)。

これは,ピオグリタゾンが初期の炎症反応抑制を通じて,内膜新生を減少させたことを示しています。
Chilton
糖尿病患者では,ステント後の血管が治癒しにくいのですが,TZDによって,マウスの血管内皮の再構築が促進されるという報告もあります。
ピオグリタゾンはBMSで再狭窄の原因となる内膜新生を抑制する一方で,DESの問題点としてクローズアップされてきた内皮機能の低下を改善する可能性があります。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41180601&year=2008
出典 Medical Tribune 2008.5.1
版権 メディカル・トリビューン誌
<参考サイト>
INTER-HEART
世界中における初発心筋梗塞(MI)を評価する観察研究MIの最も重要なリスク因子は喫煙,アポリポ蛋白B/A-1比の上昇。
その他の独立したリスク因子は,糖尿病,高血圧,低心理的・社会的スコア,腹部肥満。心臓保護因子は身体活動,フルーツ,野菜の摂取,適度なアルコール。
これらの因子を合わせるとpopulation attributable riskは90.4%。
http://www.ebm-library.jp/circ/trial_2004.html#INTERHEART
PIGEON試験
http://www.ebm-library.jp/circ/doc_japan/J0073.html
PROactive
http://www.ebm-library.jp/circ/doc/html/c2002425.html
2型糖尿病の合併症として大血管イベントが注目されている。
しかし,SU剤等の治療では細小血管症は予防できても大血管イベントについては十分な効果が示せないことが問題であった。
そこで,インスリン抵抗性を背景とした2型糖尿病において,インスリン抵抗性改善薬であるピオグリタゾン(PIO)の効果が期待されていた。
本試験で一次エンドポイントに有効性は示せてはいないが,各種エンドポイントならびに二次エンドポイントに有効性を示したことは,インスリン抵抗性が2型糖尿病の大血管イベントの要因になっていることを示唆するものである。
PROactive
http://www.ebm-library.jp/circ/trial_2005.html#aha2005PROactive
心筋梗塞既往のある2型糖尿病において,pioglitazoneは心筋梗塞の再発リスクを28%低下。
<自遊時間>
大学の同窓会報が届きました。
例年、新入生の氏名と出身高校が紹介されています。
受験生の医学部志向もまだまだ続いているようです。
当大学でも東大合格者ベスト10の出身校生の数が年々増えてきている印象です。
まだまだ医学部は人気のようです。
そんな様子をみていると「昨今医者ってそんなにいい仕事でもないよ」って思わず彼らに声をかけたくなってしまいます。
せっかく夢を抱いて入学してくる新入生に、まさかそんな言葉はかけられませんが・・・。
さて、今年の内容で驚いたことがあります。
それはなんと女子の入学生が41%を占めていたのです。
最近の医学部卒業生は専門を皮膚科、精神科、眼科などの時間に縛られない科を選択するといいます。
実際それらの科に入局者が殺到しています。
彼女らが将来どのような科を選び、結婚後はどのような形で医療に取り組んでいくか。
このあたりを厚労省はきちんと考えているのでしょうか。
私自身、娘が現在医学生です。
女性医師の勤務しやすい労働条件の整備には大いに関心のあるところです。
この先は爆弾(不規則)発言です。
私学助成金が憲法違反かどうかは別として、私学の医学部には莫大な助成金が交付されています。
我が国には女性医師養成の医科大学があります。
記憶間違いでなければ、この大学には全国の大学の助成金ランキングでもベスト10に入る高額な助成がされています。
かつて女性のみを募集する新設歯科大学がありましたが、数年後には共学となりました。
女性医師養成のこの医科大学はいまや医歯学関係で唯一の大学です。
ただでさえ優秀な女子受験生に男子が締め出しをくっている昨今。
これって男女差別じゃありませんか。
この大学も国策のためにも女性専用車両を撤回していただけると有難いのですが。
他に
「井蛙内科/開業医診療録」
http://wellfrog.exblog.jp/
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
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