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特別企画
心血管病を考慮した高血圧治療について
高血圧治療の目的は,降圧目標を達成することで心血管病の合併を予防することにある。
そして,降圧薬としてARBを選択することでその目的の実現が可能となることが,内外の大規模臨床試験の成績から示されている。
本座談会では,高血圧患者に対するARB投与による合併症予防の視点から,「心血管病を考慮した高血圧治療について」というテーマで循環器分野において日本を代表する専門家の間で討論していただいた。

堀内 正嗣 氏(司会) 
愛媛大学大学院医学系研究科分子心血管生物・薬理学 教授
光山 勝慶 氏 
熊本大学大学院医学薬学研究部生体機能薬理学 教授
松原 弘明 氏 
京都府立医科大学大学院医学研究科循環器内科学 教授
小室 一成 氏 
千葉大学大学院医学研究院循環病態医科学 教授

バルサルタンの強い降圧効果
堀内 
本日は,高血圧患者に対してARBを使うことの意義について
話し合いたいと思います。
高血圧患者を治療する際には,合併して起きてくる種々の心血管病の予防が大切ですが,そのためにまず重要
なのがしっかりとした降圧です。
ARBのなかでも,特にバルサルタンは強い降圧効果がいろいろな臨床試験で示されています。
例えば,軽症~中等症高血圧患者を対象に二重盲検クロスオーバー試験で各ARBの降圧効果を検討したところ,バルサルタン(80mg/日)群は,降圧効果が優れていました。
またこの検討では,特に投与2週間後におけるバルサルタン群の降圧効果の持続(18~24時間)が優れていたとのデータも得られています(Fogari R, et al: Cur Ther Res 63: 1-14, 2002)。
一方,わが国で実施された高血圧大規模臨床試験JIKEI HEART Studyでは,バルサルタン群で131/77mmHgまでの降圧に成功しています()。

 

光山 
バルサルタンの強い降圧効果は,
人種に関係がないと言われていますね。

堀内 
そうですね。
アフリカ系米国人の高血圧患者を対象とした検討で,バルサルタンの優れた降圧効果が報告されており(Pool J, et al: ISH 2000 report),PDR(Physicians' Desk Reference)では,数あるARBのうちでもバルサルタンでは人種差・性差・年齢によらず降圧効果が得られることが書かれています。

光山 
興味深いのは,アフリカ系米国人で降圧できたというその機序ですね。
バルサルタンは,近位尿細管でのNa再吸収抑制作用が強いと思われますから,そうした機序により食塩感受性高血圧の多いアフリカ系米国人にも有効だったのかもしれません。JIKEI HEART Studyでもバルサルタンは,ほとんど利尿薬の手助けなしに厳格な降圧を実現しました。
ほかのARBと比べてバルサルタンは,Na利尿作用がプラスαのかたちで降圧作用に関係している可能性があると思います。

堀内 
松原先生は,バルサルタンの降圧作用についてどうお考えですか?

松原 
JIKEI HEART Studyの試験開始時の血圧は139/81mmHgでした。この血圧値から始めて,131/77mmHgまで降圧できたことは注目に値します。
これまでの試験のなかで一番低い到達値が達成できたのは,バルサルタンの降圧作用が優れているためだと思います。

堀内 
小室先生,いかがですか?

小室 
バルサルタンには降圧効果だけでなく,
レスポンダーレートが高いとの報告がありますね。

堀内 
そうですね。
Ca拮抗薬との検討では有意差はないものの,バルサルタンで高い傾向があり(Corea L, et al: Clin Pharmacol Ther 60: 341-346, 1996)(図1),ほかのARBとの検討でもバルサルタンの高いレスポンダーレートが報告されています(Hender T, et al: Am J Hypertens 12: 414-417, 1999)。

 

小室 
レスポンダーレートが高いということは,薬理学的にはどういったことを意味しているのですか?

光山 
1つは肝臓での代謝におけるP450の関与の有無の問題があると思います。
バルサルタンはP450の代謝を受けませんから,それがレスポンダーレートの高さに関係している可能性があります。

堀内 
バルサルタンはそれ自身が活性体なので代謝の影響を受けにくいため,効果も出やすい
のではないかと思います。
また,バルサルタンのレスポンダーレートの高さには,AT1受容体選択性の高さとAT2受容体刺激作用のdual effectsが関与しているのではないかと思います(図2)。

 

光山 
AT2受容体刺激は先ほど話題になったバルサルタンの利尿作用にも関与しているのでしょうね。

堀内 
そうですね。Gasparoらは,バルサルタンの利尿作用にAT2受容体刺激が関与している可能性があると報告しています。

光山 
ARBの場合,組織結合性の強さも問題ですね。

堀内 
活性体であるバルサルタンは組織まで十分に浸透するため,組織との親和性も高いという特徴もあると思います。

 

Cardiovascular ContinuumにおけるARB投与の意義
堀内 
JIKEI HEART Studyでは,バルサルタン群で従来降圧治療強化群よりも,プライマリーエンドポイントが39%有意に減少し,脳卒中,入院を要する心不全や狭心症,解離性大動脈瘤などもおのおの有意に減少しました。

松原 
その事実から,バルサルタンには降圧に付加されるような臓器保護作用があるように思います。

堀内 
そうですね。JIKEI HEART Studyの対象は,Cardiovascular Continuum(心血管イベントの連続性)を広く網羅していました。そうした対象でJIKEI HEART Studyにおいてバルサルタンがエビデンスを示したことは大変重要であると思います。
ここで小室先生,Cardiovascular ContinuumにおけるARB投与の意義についてお話しいただけますか?

小室 Cardiovascular Continuum は,Eugene Braunwald先生とVictor J.Dzau先生が一緒に作成した概念で,高血圧や糖尿病などのリスクファクターから動脈硬化が進行し,心肥大や血管障害などを経て心筋梗塞を発症し,リモデリングが起きて心不全に至るという一連のイベントの連鎖です。
そのすべての過程にアンジオテンシンII(AII)が深く関与していることがわかっていましたが,JIKEI HEART Studyの成績からそれが日本人でも当てはまることが明らかになりました(図3)。

 

堀内 
基礎研究の進歩などから得られたデータも踏まえて,2006年にはCardiovascular Continuumの新コンセプトがつくられましたね。

小室 
Cardiovascular Continuumの流れから言っても,高血圧から最終的には心不全に至るわけですが,最近われわれは,高血圧性心肥大から心不全に至る機序に癌抑制因子であるP53が深く関与していることを報告しました(Sano M, et al: Nature 446: 444-448, 2007)。
心臓におけるp53の発現にはAIIが関与している可能性もあるので,ARBによる心肥大の退縮や心不全への進展抑制には,p53の発現抑制による血管新生抑制の解除が関係している可能性があります。

堀内 
Natureに発表された小室先生の論文は非常にエポックメーキングなものだと思います。

期待高まるKYOTO HEART Study
堀内 
次にわが国で進行中のバルサルタン大規模臨床試験の1つ,KYOTO HEART Studyについて松原先生からご紹介願います。

松原 
KYOTO HEART Studyの対象は,糖尿病,喫煙習慣,脂質代謝異常,肥満,虚血性心疾患などの心血管疾患リスクファクターを1つ以上有するハイリスク高血圧患者です。
これらの対象をバルサルタンadd-on群と従来治療群に無作為に割り付けて3年間追跡します。
investigatorとして参加しているのは,京都府立医科大学と関連病院の31施設の循環器専門医です。
試験デザインはPROBE法を用いています。対象は8つの割り付け因子を使って最小化法(minimization)で無作為に割り付けました。
一次エンドポイントは心血管イベント,二次エンドポイントは総死亡,心機能悪化,不整脈,糖尿病出現・悪化などです。全例に心エコーを実施していることが大きな特徴と言えます。
バルサルタンは80mg/日から開始して,160mg/日,他剤併用と段階的に進めます。
従来治療群はARB以外の降圧薬を使用します(flexible dose)。
目標降圧値は140/90mmHg未満ですが,糖尿病や腎疾患合併例では130/80mmHg未満としています。

堀内 
現在はどういった状況ですか?

松原 
2004年1月から登録を開始しまして,試験開始時の血圧は158/88mmHgでしたが,現時点では129/72mmHgまで到達しています。
これはJIKEI HEART Studyを上回る到達血圧値です。
現在,運営委員会をはじめ,エンドポイント委員会,安全性勧告委員会なども積極的にKYOTO HEART Studyに取り組んでいるところです。

ARBによるRA系ブロックの意義
堀内 
ARBを使ってレニンアンジオテンシン(RA)系をブロックすることの意義について,光山先生は薬理学のお立場からどうお考えですか?

光山 
ARBはACE阻害薬とは違って,RA系カスケードの最後の部分であるAT1受容体をターゲットとして遮断します。
ですから,キマーゼ系などのAII生成の別経路(非ACE経路)の存在を考慮せずに使えるわけです。
そういうことで世に出るときの期待は大きいものがありました。
そして今や,JIKEI HEART Studyを含めた多くの大規模臨床試験でその期待が正しかったことが立証されました。
RA系ブロックということでは,将来,わが国でもレニン阻害薬が使えるようになると思います。
 
現在,特に腎障害合併高血圧などではARBとACE阻害薬併用も行われていますが,将来はARBとレニン阻害薬の併用の問題も話題になるでしょうね。

バルサルタンのdrug effectをめぐって
堀内 
最後に高血圧治療におけるバルサルタンの位置付けをめぐって,皆さんから一言ずつお願いします。

小室 
バルサルタンの特徴は,やはりエビデンスがあるということです。
日本人においてもJIKEI HEART Studyでエビデンスが得られています。
イベント抑制,すなわち臓器保護がしっかりできるというエビデンスがこれだけあるのは,バルサルタンだけです。
ですからこのエビデンスはバルサルタンに特有のdrug effectの可能性があると思います。

松原 
そうですね。
JIKEI HEART Studyにおいてバルサルタンで得られたエビデンスは,まさにdrug effectだと感じています。

光山 
各種ARBで薬剤の特徴に違いがありますから,得られた良好なデータが単純にclass effectだと言える根拠はないと思います。
一方,臨床試験Val-PRESTにおいてステント留置後症例でバルサルタンがプラセボよりも再狭窄を有意に抑えたというデータ(Peters S, et al: J Invasive Cardiol 13: 93-97, 2001),あるいは慢性心不全を対象とした大規模臨床試験Val-HeFTにおいて,バルサルタンがプラセボよりもアルドステロンの再上昇を有意に抑制したというデータ(Cohn JN, et al: Circulation 108: 1306-1309, 2003)などは,特にほかのARBでは報告されていないデータです。
これらの試験を含めた臨床データとAT1受容体の選択性が高いなどのバルサルタンの薬理学的特徴を併せ考えると,やはりバルサルタンで得られたエビデンスはバルサルタン独自のdrug effectが関与した可能性は否定できないと考えます。

堀内 
バルサルタンで蓄積された基礎と臨床のデータは,バルサルタンのdrug effectの可能性を非常に強く示唆していると思います。
 
出典 Medical Tribune 2008.5.22
版権 メディカル・トリビューン社

 

<まとめとコメント>
■ ARBの降圧効果に人種差の有無がある?
さらに人種差以外に性差、年齢差の話が出ています。・・・ARBによって異なるということを初めてしりました。
■ 「レスポンダーレート」・・・要するにどんなタイプの高血圧患者にも降圧効果が大きいということなんでしょうか。
■ 「AT2受容体刺激作用のdual effects」・・・このAT2受容体刺激作用はどこまで臨床上意味があるのかまだはっきりわかっていないと思います。
間違っていたらごめんなさい。
ある講演会で阪大のM教授は「AT2受容体刺激作用」をしきりに強調してみえました。
■ JIKEI HEART Studyは他のARBと比較したものではないこと、さらにACEIとの併用が極端に多かったことを考慮すべきです。
■ 「JIKEI HEART Studyの試験開始時の血圧は139/81mmHgでした。この血圧値から始めて,131/77mmHgまで降圧できたことは注目に値します。」・・・治験をやられた先生は、データを記入の際には低い値の血圧をピックアップすることはご存知のはずです。Lancetとの査読のやりとりで血圧の測定法についてとりあげられて苦労したという話は元M教授が座談会で話してみえました。
■ Eugene Braunwald先生とVictor J.Dzau先生・・・
名前だけでひれ伏してしまいます。
■ 「Cardiovascular Continuumの流れから言っても,高血圧から最終的には心不全に至るわけですが,最近われわれは,高血圧性心肥大から心不全に至る機序に癌抑制因子であるP53が深く関与していることを報告しました(Sano M, et al: Nature 446: 444-448, 2007)。
心臓におけるp53の発現にはAIIが関与している可能性もあるので,ARBによる心肥大の退縮や心不全への進展抑制には,p53の発現抑制による血管新生抑制の解除が関係している可能性があります。」 ・・・今日の話の「肝」と思われます。
■ 前半はみんなでバルサルタンをヨイショという感じで少し蕁麻疹がでました。
しかしさすがにプロ。
後半のアカデミックな盛り上げ方はさすがです。
class effectではなく「drug effect」という締めくくりもすごいです。

 

読んでいただいてありがとうございます。
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メタボリックシンドロームで心房細動発症リスクが増大
房細動の危険因子として加齢,男性,高血圧,糖尿病および肥満が従来知られている。
今回,新潟県の地域住民対象の前向きコホート研究「The Niigata Preventive Medicine Study」から,メタボリックシンドロームの因子が重積するほど心房細動の発症リスクは増大することがCirculation(2008; 117: 1255-1260)に報告された。

因子が重積するほど心房細動発症リスクが増大
このコホート研究は,20数年前から新潟県の健康診断事業の結果を収集,分析を行っている新潟県成人病予防協会の活動結果の一端であり,心房細動を発症していない地域住民2万8,449人を対象に,メタボリックシンドロームと心房細動との関連を検討したもの。
同シンドロームの診断には米国コレステロール教育プログラム(NCEP)-ATP IIIの診断基準に加え,糖尿病が心房細動の強い危険因子であることから,将来の糖尿病,冠動脈疾患,さらに死亡の予測感度と特異度を最大限にするために耐糖能異常(IGT)については基準値を100mg/dL以上に下げた米国心臓協会/米国立心肺血液研究所(AHA/NHLBI)の診断基準も用いられた。
 
その結果,同シンドロームはNCEP- ATP IIIでは3,716人(13%),AHA/NHLBIでは4,544人(16%)が診断された。平均観察期間4.5年の間に265人が心房細動を発症。
年齢と性を調整した多変量解析では,いずれの診断基準によっても同シンドロームと心房細動との有意な関連が確認され,心房細動発症に対するハザード比はNCEP-ATP IIIが1.88,AHA/NHLBIが1.61であり,また,因子が集積するほどハザード比は高く(),心房細動発症リスクが増大することがわかった。

低HDLコレステロールも危険因子に
メタボリックシンドロームの各因子と心房細動発症との関係を検討すると,高トリグリセライド(TG)血症を除く,肥満,高血圧,低HDLコレステロール(HDL-C)血症,IGTがリスクを有意に増大させ,年齢・性を調整した発症に対するハザード比は肥満1.64,高血圧1.69,低HDL-C血症1.52,IGT1.44(NCEP-ATP III)/1.35(AHA/NHLBI)だった()。

 

 

また,NCEP-ATP IIIでは高血圧あるいは糖尿病の未治療患者での心房細動発症に対するハザード比が1.78だった。
 
同研究を実施した新潟大学第一内科(現・米バンダービルト大学内科学・薬理学)の渡部裕氏は「心房細動をいったん発症すると発症前の機能に回復させることはきわめて困難なため予防が重要であり,心房細動の危険因子を解明することが発症予防には必要」と述べている。

渡部裕氏らは,メタボリックシンドロームが心房細動の発症リスクを増大させること,また,メタボリックシンドロームの因子である高血圧や糖尿病,肥満だけでなく,低HDLコレステロール(HDL-C)血症も心房細動の危険因子であることを,地域住民対象の前向きコホート研究により明らかにした。

同氏らは,メタボリックシンドロームと心房細動の共通の病因である炎症と酸化ストレスに着目し,同シンドロームが心房細動の発症リスクを増大させるメカニズムについても迫っており,新たな治療アプローチが期待される。

シグナル伝達経路の活性化とメカニカルストレスが関与
メタボリックシンドロームの詳細な病態メカニズムはまだ明確ではないが,代謝,遺伝,環境要因が複雑に絡み合った状態と考えられている。
炎症と酸化ストレスは,こうしたプロセスに関連する共通の病因であり,心房細動の病因でもあるとされている。
 
今回の研究結果から,低HDL-C血症も心房細動発症リスクを増大させることがわかったが,このことは,高LDL・低HDL-C血症が心血管疾患の強い危険因子であり,全身の炎症と酸化ストレスに関与することからも裏づけられる。
一方,高トリグリセライド血症も発症リスクの増大に関与すると考えられるが,今回の結果では関与は認められず,そのメカニズムについては今後の研究課題であるという。
 
また,渡部氏らはこれまでの研究で,高血圧および肥満はより重症であるほど心房細動の発症リスクが高くなることを見出していることから,糖尿病や低HDL-C血症についても同様の関係が考えられる。
したがって,今回の研究でメタボリックシンドロームの保有因子数が多くなるほど,すなわち同シンドロームの病態が進行するほど心房細動のハザード比が高くなったことから,同シンドロームの病因とされる炎症および酸化ストレスの程度が強いほど,発症リスクは高くなると推察される。
これは,C反応性蛋白(CRP)値が高いほど発症リスクが高くなること,また,抗炎症薬や抗酸化薬が発症率を低下させたという他グループの研究からも示唆される。

こうしたことから,同氏は「メカニズムの1つとして,炎症と酸化ストレスに重要なシグナル伝達経路の活性化が関与していると推測される」と指摘する。
 
さらに,もう1つ考えられるメカニズムは,心房におけるメカニカルストレスである。
高血圧および肥満は心房の伸縮と拡張を引き起こし,その結果心房細動を発症しやすくすること,またメタボリックシンドロームは非弁膜症性心房細動患者の心房拡張に関係することが報告されている。
こうした器質的リモデリングは細胞内の電気生理学的変化をもたらし,結果的に心房細動を発症・持続させると考えられている。
発作中の速い心房速度は心房のリモデリングにより,頻繁で重症な発作を引き起こしうるが,これはいったん発症すると再発しやすい「AF begets AF」現象として知られている。
 
同氏は「メタボリックシンドロームが心房細動発症リスクを増大させるメカニズムとして,炎症と酸化ストレスに関与するシグナル伝達経路の活性化と心房のメカニカルストレスが考えられ,シグナル伝達経路活性度の正常化は動脈硬化性冠動脈疾患だけでなく心房細動の発症リスクも低減させることが示唆され,これは新しい治療アプローチとなる可能性がある」と期待を寄せる。

生活習慣病管理が心房細動疾患リスクを低減
近年の人口の高齢化と生活習慣の変化により,心房細動,メタボリックシンドロームはともに増加傾向にある。
心房細動は脳梗塞のリスクとなるだけでなく,心疾患やすべての死亡リスクを増加させることがわかっている。
したがって,同シンドロームによる脳卒中の発症率や死亡率の上昇は心房細動が関連していることで一部説明できる。
 
日本の心房細動発症率は欧米に比べて約半分とされており,今回の研究では同シンドロームの場合で年間1,000人中3人前後とそうでない場合の1.5倍程度であった。
今後,日本でも生活習慣病と心疾患の増加,さらに高齢化に伴い患者が増加すると考えられる。
こうしたことを踏まえ,渡部氏は「臨床医は診療科を問わず,心房細動の危険因子である高血圧や糖尿病,肥満,さらにメタボリックシンドロームといった生活習慣病の管理が将来のさまざまな疾患リスクを低減させることを常に念頭に置いて診療に当たって欲しい」とメッセージを送っている。
 
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41210831&year=2008

出典 Medical Tribune 2008.5.22
版権 メディカル・トリビューン社

<コメント>
大規模臨床試験で心血管イベントを検討するのには心房細動の有無が解析やサブ解析として必要と思いました。
「心房細動」自体がエンドポイントとなっている場合もあると思います。
近々、心臓血管研究所の山下武志先生の「心房細動」関連の講演を聴きにいく予定です。
楽しみではあります。
 

<m3関連ニュース>
■ エムスリー、欧州市場に進出
医療情報サイト運営のソネット・エムスリーは欧州市場に参入する。
このほどドイツで約4000万円を投じて現地企業と合弁会社を設立、年内にもポータル(玄関)サイトを立ち上げる。
医師など向けにウェブを通じて医薬品情報を提供し、製薬会社の営業活動を支援する。
5年以内に年間売上高20億円を目指す。
合弁会社のメドクォーター(ミュンヘン)はエムスリーが株式の30%を保有する。
現地の製薬会社から薬の情報を医師らに提供する事業を受注し、ウェブを通じて会員の医師らに医薬品の効き目や処方の仕方、副作用などを詳しく説明する。
医師の質問も製薬会社に伝えることで、ウェブ上で双方向のコミュニケーションを構築する。(07:00)
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080529AT1D2604G28052008.html
■ ソネット・エムスリー、大手製薬会社と米国版「MR君」でがん領域の契約締結
「M3 Messages」(米国版「MR君」)、がん領域で2社目の契約を締結
ソネット・エムスリー株式会社(本社:東京都港区 代表取締役:谷村 格 URL: http://www.so-netm3.co.jp 以下、エムスリー)は、100%子会社である米国のSo-net M3 USA Corporation(以下、M3 USA社)が、米国版「MR君」である「M3 Messages」での2社目の契約を締結したことを発表します。
エムスリーの米国子会社であるM3 USA社は、同社100%子会社であるMDLinx, Inc.(以下、MDLinx社)のウェブサイト上において提供する「M3 Messages」(米国版「MR君」)サービスで、がん領域において2社目となる契約を締結しました。
2社目の企業に関しては、当初より2品目で「M3 Messages」を利用することが決定しております。
また契約済みの2社は、いずれも、世界トップクラスの(双方とも世界売上ランキングトップ5位に入る)製薬会社です。
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=188390&lindID=1
<コメント>
m3を利用しながら「ソネット・エムスリー株式会社」の実態をよく知りません。
どこから儲けが出ているのか。
ちょっと不思議ではあります。

 

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医療機器版MR制度

戯れ言たれる侏儒 / 2008.05.29 00:13 / 推薦数 : 0

医療機器版MR制度を導入―心臓植え込み機器の提供体制
ペースメーカや植え込み型除細動器(ICD)など植え込み機器の提供体制を巡り,これまで慣習として行われてきた業界関係者の立ち会いについて4月から規制が設けられ,現場では混乱が生じている。
進化し続ける機器と人手不足にあえぐ医療現場の乖離が問題を複雑化している。
打開策はあるのか,早稲田大学理工学術院の笠貫宏教授(東京女子医科大学名誉教授)と産業医科大学第二内科学の安部治彦講師に聞いた。

導入体制は迅速化の傾向
わが国に植え込み機器が導入されたのはわずか30年ほど前。
1980年にペースメーカが認可された後,1996年にICD,2004年に両室ペースメーカ(CRT),2006年には除細動器付きペースメーカ(CRT-D)が保険適用となった。
 
当初は米国からの輸入手続きや保険適用の是非を巡って承認に時間がかかり,欧米と10年以上のタイムラグが生じていた。
近年は医薬品医療機器総合機構(PMDA)が設立され,承認期間が短縮されてきている。
しかし,笠貫教授は欧米の承認機関と比較したPMDAの人的・物的・経済的基盤の弱さを指摘。

「今後,PMDAの充実が不可欠であるが,現時点では新技術の導入や改良,適用拡大を項目別に効率よく取り組むことが重要」と述べている。
 
なお,わが国におけるICD植え込み人口は,2000年の段階で人口100万人当たり10人以下にとどまっていたが,昨年の統計では30人超と増加傾向にある。
ちなみに,米国は200人超となっている。

現場スタッフのみでは限界が
日進月歩で進化する医療機器の植え込みやフォローアップについては,専門知識と特殊な技術が求められるが,現場の医師,看護師,臨床工学技士のみで扱うのには限界がある。
年間100件以上の植え込みを行う安部講師は,日本不整脈学会で認定を受けた医師でも全種類の植え込み機器を理解・把握するのは困難と指摘する。
このため,植え込み現場や機器のフォローアップ現場では医療機器メーカーの関係者が医師の指導下で機器の設置準備などを担ってきた。
 
今年4月から,このような業界関係者の立ち会いに対して医療機器業公正取引協議会が基準を策定。

医療機関が本来行うべき医療行為について,医療機関と医療機器業者が業務委託契約を結ぶことが明文化されたが,現場のとまどいも大きく,最終的な決定は先送りとなっている。
 
従来の立ち会い問題について同講師は,医療従事者以外の第三者が手術現場などに立ち会っていることが公となっていない不透明性を指摘する。
一方,国民からは高度医療を確実で,安全に受けられる体制へのニーズが高く,そのニーズに現場のスタッフのみで応えていくことは難しい。
このように,倫理面の問題と現場の実情の乖離が立ち会い問題の解決を困難にしている。

専門資格を持ったCDRに期待
この状況下で,医療機器版MRと言えるCDR※1の認定試験が始まった。
米国のIBHRE※2が15年以上実施してきた国際試験の問題作成に日本不整脈学会の委員も参加したうえで同試験を導入した。
合格基準もIBHREと共通で,国際的にも透明性の高い制度と言える。
 
難易度が高いことでも知られる同試験であるが,わが国の受験者全体では65%超が合格し,今年度は400人以上のCDRが誕生する予定。
その合格者の大半は医療機器業者であった。
 
同制度の立ち上げにかかわった笠貫教授は「透明性の高い試験で,日本の医療機器業界関係者のレベルの高さが証明された」と評している。
 
今後,CDRの位置付けを明確にし,現場の植え込み実施体制が明らかとなることが期待される。
同教授は「全体のコンセンサスを得ながら患者にとって最も有益となる体制の構築を目指すべき」と述べた。

※1 Cardiac Device Representative
※2 International Board of Heart Rhythm Examiner

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41210871&year=2008

出典 Medical Tribune 2008.5.22
版権 メディカル・トリビューン社

<コメント>
論点が少し違うようです。
公取委員会は業者の無償サービス提供を問題にしていると私は以前新聞を見て考えていました。
資格の有無とは違うのではないんじゃないのでしょうか。
先生方はどのようにお考えでしょうか。


さて以下の昔のニュースです。
確か、マニュアルを見ながらとか業者立会いのもとでという内容だったと思います。

<医療事故>慈恵医大病院の医師3人を逮捕 警視庁(毎日新聞)
同病院でこの手術は初めてで、同課は経験のある指導医が立ち会うか、より容易な開腹手術をすべきだったとみている。斑目容疑者らはマニュアルを見たり、医療器具の使い方を業者に聞きながら手術を進めていた。手術を許可した診療部長は同年10月、斑目容疑者らに「腹腔鏡手術をしたい」と相談された際、「熱意にほだされて許可した」と供述しているという。
http://www.asyura.com/0310/health6/msg/116.html

読んでいただいてありがとうございます。
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「井蛙内科/開業医診療録(2)」
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2008.5.21~

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~2008.5.21

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ACC2008/SCAI その2(2/2)

戯れ言たれる侏儒 / 2008.05.28 00:03 / 推薦数 : 0

 

三塩清巳(日展評議員・田代沼
http://page3.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/c177248075
 

 

薬剤溶出バルーン,次世代ステントに注目
薬剤溶出ステント(DES)は経皮的冠動脈インターベンション(PCI)のアキレス腱とされた再狭窄を激減させたものの,新たに浮上した遅発性血栓症の問題がある。
また,DESはベアメタルステント(BMS)に比べ再搾取を減少させたとは言え,なお残るステント内再狭窄への対策など課題も少なくない。
さまざまな解決策が模索されているが,ここでは薬剤溶出バルーン(DEB)生体吸収性ポリマーを使用したシロリムス溶出ステント(SES)内皮前駆細胞(EPC)抗体被覆ステントなど,SCAI-ACCi2で発表された次世代ステントの成績を紹介する。
いずれも,長期有用性の評価は今後の検討を待つことになる。 

パクリタキセル溶出バルーン
ステント内再狭窄の再発抑制はDESより良好
フランクフルト大学(独フランクフルト)のMartin Unverdorben准教授らは,未治療冠動脈にステント内再狭窄を生じた狭心症患者を対象に,パクリタキセル溶出バルーン(SequentRPlease,独B. Braun Vascular Systems社)の安全性と有効性をパクリタキセル溶出ステントと比較した第II相試験PEPCADIIを実施。
1年後のイベント回避率は,intention-to-treat(ITT)解析では有意差には至らなかったものの,パクリタキセル溶出バルーンで優れる傾向にあったと報告した。
 
パクリタキセル溶出バルーンは,パクリタキセル3μg/mm2をバルーン表面にコーティングしたもの。
ステントに比べて薬剤と血管壁の接触表面積が大きいというメリットがあり,バルーンを標的病変部位で拡張すると,脂溶性のパクリタキセルが血管壁に迅速に吸収されるという。
 
今回の検討では,血管径2.5~3.5 mm,病変長22mm以下の未治療冠動脈にBMSによりステント内狭窄を生じた安定または不安定狭心症患者131例を,パクリタキセル溶出バルーン(DEB群)およびパクリタキセル溶出ステント(DES群)の2群にランダムに割り付け追跡した。
 
その結果,PCI後の最小血管径(MLD)は,DEB群2.30mm対DES群2.56mmと後者で有意に大きく,狭窄率は20%対11%とDEB群で高かった。
しかし,一次評価項目の6か月後のITT解析による遠隔期内腔損失は,DEB群0.20±0.45mm,DES群0.45±0.68mmと,DEB群で有意(P=0.02)に小さかった。
セグメント内のbinary再狭窄は7.0%対20.3%(P=0.06),主要有害心血管イベント(MACE)は7.8%対16.9%(P=0.2)と,ともにDEB群で発生率が低かったが,有意差には至らなかった。
 
1年後のイベント回避率は,ITT解析でDEB群約92%,DES群約83%と,DEB群で高い傾向(P=0.09)を示した。実際にそれぞれの手技を受けた症例のみで解析すると,1年後のイベント回避率はDEB群で有意(P=0.01)に優れたという。

生体吸収性ポリマー使用SES
1年後のMACE発生率は2.7%
一方,Shenyang Northern病院(中国瀋陽市)のYaling Han氏らは,生体吸収性ポリマー使用SESの市販後調査として実施された前向き多施設登録研究CREATEの成績を報告。

同ステントは,再狭窄抑制に有効で,1年後のMACE発生率は2.7%と低く,実地診療で安全に使用できることを示した。
 
今回,同氏らが用いたのはExcel(TM)ステント(中国JW Medical Systems社)。
ポリマーは6か月で完全に吸収されるという。
 
対象は,冠動脈ステント留置術の適応例2,077例。そのうち17.8%は発症24時間以内の急性心筋梗塞が占め,31.6%に実施された冠動脈造影によると,平均で血管径2.77mm,病変長22.4mm,狭窄率は73.5%,MLDは0.74mmであった。
 
ステント留置後の平均ステント径は3.05mmで,追跡の結果,9か月後の遠隔期内腔損失はセグメント内0.21±0.35mm,ステント内0.21±0.39mm,binary再狭窄発生率はセグメント内6.7%,ステント内3.8%。
 
一次評価項目の1年後のMACE発生率は2.7%であった。また1年後の標的病変再血行再建(TLR)率は1.6%で,心臓死は1.1%,非致死性心筋梗塞は0.4%に認められた。
 
抗血小板療法については77.7%が6か月でクロピドグレルの使用を中止していた。
30日~1年後の遅発性血栓症の発症は「確実」1例,「強い可能性あり」0例,「可能性あり」6例の計7例(0.34%)で,3例がクロピドグレル中止後に発症した。
1年後の全血栓性イベント発生率は0.82%で,「確実」のみでは0.29%であったという。

EPC抗体被覆ステント
高リスク患者で14か月後のMACE発生率は16%
ステント血栓症と再狭窄の予防を目指し,EPC抗体でステントを被覆した新規ステントの1年以上の有効性と安全性も,Campus Bio-Medico大学(伊ローマ)のMarco Miglionico氏らの追跡結果から明らかになった。
 
EPC抗体被覆ステント{Genous R-stent(TM),中国香港OrbusNeich社}は,循環EPC表面抗原に対する特異的抗体(抗CD34抗体)で被覆されており,病変部位にEPCを捕捉して血管の自然な修復過程を促そうとしたもの。
再狭窄を防ぐために修復過程の細胞増殖を抑制しようとしたDESとは,逆の発想から生まれたわけだ。
 
同氏らは,同大学病院を受診した糖尿病,不安定冠症候群(発症1か月内の不安定狭心症,ST上昇型/非ST上昇型心筋梗塞),左室機能不全,多枝病変,B2/C冠動脈病変のうち2つ以上を伴う連続する高リスク患者80例に,EPC抗体被覆ステントを留置した。
ステント留置は98%で成功(93ステント留置),PCI後のMLDは3.3mm, PCI後のQ波心筋梗塞,院内死亡や緊急冠動脈バイパス術(CABG)はなく,急性・亜急性ステント血栓症は生じなかった。
 
平均14か月追跡した結果(追跡可能78例),遠隔期内腔損失は0.88mmで,非心臓死1例(1%),心筋梗塞1例(1%),ステント血栓症はなく,TLRは10例(13%),MACEは13例(16%)に生じた。Kaplan-Meier life-table解析による「心臓死,心筋梗塞,再PCI」のイベント回避率は86%であったという。 
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=0&order=1&page=0&id=M41210241&year=2008

出典 Medical Tribune   2008.5.22
版権 メディカル・トリビューン社

<コメント>
なによりも驚いたのがインターベンションの新しいデバイスが中国で開発され製品化されていることです。
石原都知事は以前、製品を作る金型などを例にあげて、「中国では新しい製品は作れない。永遠に日本を抜くことはない」と例の石原節で豪語していました。
彼の発言は新銀行東京を始め、信用できないことが今回の記事でもわかります。
日本もうかうか出来ません。
テ○モさん、がんばって下さい。

<番外編>
ひさしぶりのコメントをいただきました。
うれしかったです。

はじめまして。
ONTARGETの結果についてARBに有利なデータは出なかったと私も考えています。冠動脈疾患発症に関しても,実際の値をBPLTTCの回帰曲線にプロットすると見事にのっかります。したがって今回の試験の結果はBPLTTCの解析結果を覆すものではなく,IHDにはACEIを投与すべきだと思います。
written by ドロッポ透析医 / 2008.05.27 11:10
ドロッポ透析医 様。

コメント有難うございます。
ACEIの利点はARBに比較して安価なこと。
欠点は周知のごとく咳嗽や咽頭違和感などの副作用のため増量が困難なこと。
一方、ARBの利点は増量が比較的容易なこと。
欠点は高薬価のため、この増量が難しいこと。
日本人に比較してACEIの認容性(コンプライアンス)のよい諸外国では、大規模臨床試験の際の用量が多くてACEIによい結果が出やすいと思います。
この辺でいつも隔靴掻痒感を感じてしまいます。
先生の考えはいかがでしょうか。
またのコメントをお待ちしています。
written by 戯れ言たれる侏儒 / 2008.05.28 08:09

<番外編・ホットニュース>
ビタミンB群心筋梗塞抑制・厚労省研究班が調査
レバーやホウレンソウなどを普段の食事で食べ、ビタミンB群(B6、B12、葉酸)を多く摂取する人はあまり摂取しない人に比べて心筋梗塞(こうそく)になるリスクが37―48%低くなるとの疫学調査結果を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)が27日発表した。
3種類をバランスよくとれば予防効果がさらに高まるという。
 
研究班メンバーの磯博康・大阪大学教授らは全国の男女約4万人を約11年間追跡調査した。聞き取りでビタミンB6とB12、葉酸の摂取量を推計した。
サプリメントは対象外。期間中に192人が心筋梗塞を発症した。

ビタミンB6の摂取量で五グループに分けた。最も摂取量の多いグループ(1日あたり1.6ミリグラム)は最も少ないグループ(同1.3ミリグラム)と比べ、心筋梗塞になるリスクが48%下がった。ビタミンB6は肉や魚に100グラムあたり0.4ミリグラム、野菜に同0.2ミリグラムほど含まれる。
http://health.nikkei.co.jp/news/top/index.cfm?i=2008052703220h1

日経新聞・夕刊 2008.5.27
版権 日経新聞社
 

読んでいただいてありがとうございます。
コメントお待ちしています。

他に
ふくろう医者の診察室
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き) 
「井蛙内科/開業医診療録(2)」
http://wellfrog2.exblog.jp/
2008.5.21~

「井蛙内科/開業医診療録」 
http://wellfrog.exblog.jp/ 
~2008.5.21

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ACC2008/SCAI その1(1/2)

戯れ言たれる侏儒 / 2008.05.27 00:03 / 推薦数 : 0

第57回米国心臓病学会(ACC 2008)/
米国心血管造影インターベンション学会(SCAI)での発表で「t-PA投与後のSTEMI患者にはPCI施行施設へ転送することが必要」「機能性MRに対してクリップを用いた経皮的弁修復術」「VASPガイド治療」の3つについて勉強しました。

~ t-PA投与高リスクSTEMI患者 ~
PCI施行施設へ直ちに転送し追加治療を
〔シカゴ〕経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行していない施設へ搬送され血栓溶解療法を受けた高リスクST上昇型心筋梗塞(STE MI)患者に対して,緊急にPCI施行施設へ転送し,6時間以内にPCIを追加すると,標準治療に比べて30日後の虚血イベントのリスクをほぼ半減できることがわかった。
Southlake Regional Health Centre(カナダオンタリオ州)のWarren J. Cantor部長らが,多施設ランダム化試験TRANSFER-AMIにより明らかにしたもので,第57回米国心臓病学会(ACC 2008)と合同で当地で開かれた米国心血管造影インターベンション学会(SCAI)-ACCi2で報告した。

出血増なく虚血イベントが半減
今回の解析対象は,発症12時間以内の高リスクSTEMI患者で,PCIを施行していない施設で組織プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA)製剤tenecteplaseのボーラス投与による血栓溶解療法を受けた1,010例。
これらの対象を,ルーチンPCI群および標準治療群にランダムに割り付けた。
 
各群の治療方針は,ルーチンPCI群はPCI施行施設へ緊急搬送し,再灌流状況にかかわらず,6時間以内にルーチンにPCI(ステント使用)を追加。
標準治療群は60~90分後に胸痛,ST上昇消失を評価し,再灌流不成功の場合には転送してrescue PCIを施行,一方,再灌流成功例には必要に応じて24時間を超えてから待機的PCIを施行することとした。
登録には42施設が参加,PCIは11センターで実施された。
 
両群の手技などを標準治療群,ルーチンPCI群の順に比較すると, PCI施行は62%対84%,ステント使用はともに98%,t-PA投与後PCI施行までの時間は18時間対4時間,t-PA投与後6時間以内のPCI施行は実際の施行例中38%対89%で,GPIIb/IIIa受容体阻害薬使用は53%対73%であった。
 
その結果,一次評価項目の30日後の「死亡,再梗塞,虚血再発,心不全,ショック」を合わせたイベント発生率は,標準治療群の16.6%に対してルーチンPCI群では10.6%と,46.3%の有意(オッズ比0.537,95%信頼区間0.368~0.783,P=0.0013)なリスク減少を示した。

個別には,再梗塞,虚血再発の発生率が,ルーチンPCI群で有意に低かった。
心原性ショックは標準治療群2.6%,ルーチンPCI群4.5%で,両群に有意差はなかった(P=0.11)。
 
安全性については,頭蓋内出血は標準治療群1.2%,ルーチンPCI群0.2%で両群に有意差はなく,TIMIまたはGUSTOスケールによる出血や輸血にも有意差は認められなかった。
 
これらの成績から,Cantor部長は「PCIを施行できない施設で血栓溶解療法を受けた高リスクのSTEMI患者に対しては,再灌流が成功したか確認を待つことなく,血栓溶解療法後直ちにPCI施行施設へ転送すべきだ」と結論。
PCI施行施設へのSTEMI患者の迅速な転送を確実にするため,地域連携システムの構築を課題として挙げた。

 

クリップを用いる経皮的僧帽弁修復術が有望
機能性の僧帽弁逆流(MR)に対して,開胸手術を行わず,経皮的にクリップを装着する経皮的僧帽弁修復術が,新たな治療選択肢となる可能性が出てきた。聖ビンセント心臓センター(インディアナ州)のJames Hermiller部長の報告によると,少数での登録試験ながら,同修復術は1年後のイベント回避率向上,ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類の改善,左室リモデリングの退縮などをもたらしたという。

1年後のイベント回避率は74%
Hermiller部長らは,今回EVER EST試験の一環として,経食道心エコーによる評価で構造上弁欠損が認められない機能性MR患者を対象に,MitraClipRを用いる弁葉修復術の安全性と有効性を検討した。
 
対象は,
(1)18歳以上
(2)MR III~V度
(3)A2-P2接合不良に起因
(4)僧帽弁外科手術の適応
(5)経心房中隔が実行可能と思われる
(6)垂直弁尖組織2mm以上
―などの条件を満たす機能性MR患者23例。左室駆出率(LV EF)25%未満,左室収縮末期径55 mm以上,腎不全,心内膜炎,リウマチ性心疾患などは除外した。
 
方法は,鼠径部から経静脈的にカテーテルを挿入,右房から中隔を経て左房へ進めMitraClipRを開き,僧帽弁を通過させて左室側から,いわば"洗濯挟み"のように収縮時に弁尖を挟み込んで留めるというもの()。


 
対象の背景因子は,年齢75歳,心不全の既往87%,心臓手術の既往が43%で,LVEFは50%,左室収縮末期内径は43mmで,NYHA分類III~IV度が83%を占めた。
 
検討の結果,1つ以上のクリップを植え込み退院時にMR II度以下を達成した急性期手技成功(APS)率は23例中19例(83%)で,クリップを植え込んだもののMR II度超が3例(13%),クリップを植え込まずMR II度超が1例(4%)。
30日後の主要有害イベント回避率は87%であった。
 
長期成績を見ると,APS達成例では1年後も89%がMR II度以下を維持しており,「死亡,僧帽弁手術,MR II度超」を合わせたイベント回避率は74%であった。
 
APS達成後,手術を施行することなく1年後まで追跡できた12例では,
(1)9例(75%)でNYHA分類がⅠ度以上改善し,2例(17%)は不変,1例(8%)で悪化
(2)左室収縮末期径,左室拡張末期径がともに有意に低下(3)左室拡張末期容積も有意に減少
(4)LVEFは50%から48%に若干低下したが,有意差なし
―などの成績が確認された。
 
23例中19例(83%)では1年後も外科手術を回避でき,クリップ脱落や塞栓症は認められなかった。
 
以上から,同部長は「少数例での検討ではあるが,Mitra ClipRは機能性MR患者の僧帽弁逆流を軽減する弁尖接合を容易にした」と述べた。
現在,MR患者280例の登録を目指して,MitraClipRによるクリッピング術と開胸手術の有用性を比較する第II相試験EVEREST IIが進行中であるという(
http://www.mitralregurgitation.org/Pages/EVEREST.html中で同修復術のイメージビデオを視聴できる)。


VASPガイド治療でクロピドグレル低反応例の予後が改善
ノルド大学病院(仏)のLaurent Bonello氏らは,vasodilator stimulated phosphoprotein(VASP)指数を用いた血小板反応性のモニタリングにより,クロピドグレル低反応例に対し初期用量を調節するVASPガイド治療と,通常治療の臨床転帰を比較。VASPガイド治療群で,30日後の主要有害心血管イベント(MACE)発生が有意に減少することを示した。

VASP50%未満を目標に追加投与
VASPのリン酸化はクロピドグレルの標的である血小板P2Y12受容体の活性化レベルに依存している。
 
Bonello氏らは,標準化されたフローサイトメトリーアッセイキット(Platelet VASPR,仏Stago社製)を用いて,VASPのリン酸化状況を反映するVASP指数を求め,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後のMACE発生は,VASP指数50%以上の群から生じることを報告している。
 
今回の検討では,急性冠症候群,安定狭心症を伴い,PCI(緊急PCIを除く)施行予定の406例に対し,全例に初期用量としてアスピリン(ASA)250mg,クロピドグレル600 mgを投与した後,VASP指数50%以上であった「低反応例」162例を対象とした。
対象を,対照群およびクロピドグレルの初期用量をVASP指数をもとに調節するVASPガイド治療群にランダムに二分し,後者にはVASP指数が50%未満に低下するまで24時間ごとにクロピドグレル600 mgを3回まで追加投与し,追跡して臨床転帰を比較した。
維持用量として,両群ともに1日ASA 160mg,クロピドグレル75mgを投与した。両群の背景因子に有意差はなかったという。
 
VASP指数は,ベースライン時には対照群68%,VASPガイド治療群69%で,後者ではVASP指数に基づく調節後には38%まで有意(P<0.001)に低下した。
しかし,3回のクロピドグレル追加投与後(計2,400 mg)も,14%はVASP指数50%以上の低反応にとどまった。
 
追跡の結果,一次評価項目の30日後の心血管死,心筋梗塞,血行再建を合わせたMACE発生は,対照群の8例(10%)に対してVASPガイド治療群では0例と有意(P=0.007)に低かった()。


対照群のMACEの内訳は,心血管死2例,急性・亜急性ステント血栓症4例,血行再建2例で,ステント血栓症の大半は5?7日後に生じた。
 
安全性については,TIMI大出血が両群で1例ずつ,TIMI小出血は対照群3例,VASPガイド治療群2例で,両群に有意差はなかった。
 
同氏は「治療後のVASP指数50%未満の達成は,PCI施行患者のMACEを防ぐうえで適切であるようだ」と述べた。

<コメント>
難しくて何だかよくわかりませんでした。


VASP-Pモニタリングによる治療、クロピドグレル耐性例のMACE発生率を減らす
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/acc2008/200803/505899.html

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=0&order=1&page=0&id=M41210241&year=2008
出典 Medical Tribune   2008.5.22
版権 メディカル・トリビューン社

 

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ふくろう医者の診察室
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DBPの下がり過ぎによるJカーブ現象,老化現象に留意を
山科 
130/80mmHg未満への降圧ですが,DBPではコントロールに難渋しそうです。
降圧薬はSBPとDBPいずれも下げる効果があり,特に高齢患者の場合,血管硬化度の影響で冠血流量の低下およびDBPの下げ過ぎが懸念されます。

Oparil 
DBPの下がり過ぎは,特に虚血性の病態を有する患者に注意すべき問題で,SHEP試験でもDBP 60mmHg以下の危険性が指摘されています。

盛田 
私もJカーブ現象に関心があります。HOT試験で,糖尿病合併高血圧患者においてDBPが80mmHg以下の群で死亡率がほぼ半減していました。
しかし,糖尿病患者では冠動脈が傷害されている可能性が高く,Jカーブ現象とは異なった動きを示したのは興味深いです。

Oparil 
SHEP試験,Syst-Eur試験でも糖尿病合併患者におけるSBPの降圧ベネフィットが報告されています。
特にカルシウム(Ca)拮抗薬投与群で良好な成績が得られました。
総じて,糖尿病合併高血圧の症例では厳格な降圧が望まれることを示しています。

長谷部 
DBPの低下は脈圧の増大をもたらしますが,これは動脈硬化の進展の結果とも言えます。
つまり,降圧薬投与の結果としての低い血圧レベルがJカーブ現象の原因なのではなく,元来の老化にともなう動脈硬化自体が主因とは考えられないでしょうか。

Oparil 
老化の影響は見逃せません。老化現象の特徴は血管硬化,さらにMRFIT試験で危険性が示された脈圧の上昇です()。

山科 
高齢患者でも,DBPよりSBPの降圧を重視しているのですか。また,AHAステートメントでは年齢を考慮に入れていますか。

Oparil 
やはり,SBPを重視しています。
SBPは左室重量,左室後負荷と相関が強いからです。
 
年齢については考慮していません。
しかし,治療の目的は年齢によって変わります。
高齢および老化は高リスクなので,降圧治療により短期間でベネフィットを得られます。
一方,若年層に対しては予防を念頭に置くべきです。

 

一次予防の鍵は薬剤選択より降圧の達成
長谷部 
では,AHAステートメントにおける薬物療法に話を移します。

Oparil 
一次予防におけるCAD発症リスクを低下させるためには,薬剤選択より降圧の達成が鍵となります。
 
リスクのない患者に対する一次予防では薬剤を限定していません。
JNC-7では利尿薬が第一選択とされていますが,利尿薬は糖尿病を考慮した場合など,適さない症例が存在することもあります。
 
高CADリスクの患者に対する予防には,Ca拮抗薬,ACE阻害薬もしくはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB),利尿薬を推奨しています。
患者の病態によりその他の薬剤と併用するのが望ましいでしょう。
Ca拮抗薬には,VALUE試験やCASE-J試験で優れた降圧に伴う脳・心血管イベント発症抑制作用のエビデンスがあります。
ARBは,高血圧前症を対象に検討したTROPHY試験などの結果から,優れた高血圧予防作用が示されています。
 
血圧値と降圧目標値の乖離が大きい(20/10mmHg以上)患者には,治療初期から2剤以上の併用療法が望ましいとしています。
 
二次予防の各項目において特筆すべきは左室機能障害に抗アルドステロン薬を加えている点です(表 2)。

 

併用療法が単独療法より優れる
山科 
AHAステートメントでは,160/100mmHgであれば併用療法での降圧治療開始を推奨していますが,別の箇所ではDBP高値および心筋虚血の既往のあるCAD患者に緩徐な降圧を勧めています。
これは血圧コントロールの困難な患者に対して,違った機序の薬剤を併用することを推奨していると解釈してよいのでしょうか。

Oparil 
併用療法と緩徐な降圧という記述は矛盾してしまいますが,これらの内容は「降圧薬の併用は低用量から開始する」という意味合いを含んでいます。
米国人は日本人に比べて薬剤への感受性が鈍く,米国では多量の薬剤を使用する傾向にありますので,このような記述になりました。
ただ,併用療法に関して疑問の余地はありません。

盛田 
併用療法が高用量の単独療法よりも優れているというエビデンスはありますか。

Oparil 
ARB+利尿薬など,特にARBにおいて併用療法での有用性が認められています。
意外と知られていませんが,ARBとCa拮抗薬の併用は降圧力が強いです。

冠攣縮の発症率が高い日本人に合う降圧薬はCa拮抗薬
長谷部 
また,日本人にとってIHDのなかでも冠攣縮は重要な問題です。
AHAステートメントでは特に言及されていませんね。

Oparil 
AHAステートメントでは,動脈硬化性疾患を重視しています。米国ですと,女性のほうが男性より冠攣縮を発症する頻度が高いですが,あまり重視していません。
冠攣縮の症例ではCa拮抗薬が第一選択となります。

長谷部 
日本人の急性MI患者1,090例でβ遮断薬とCa拮抗薬を検討したJBCMI試験では,入院を必要とする心不全および冠攣縮の発症率がCa拮抗薬で有意に低いという結果でした。
このような報告から,日本では,Ca拮抗薬が安定したCAD合併患者において第一選択に位置づけられています。

山科 
Ca拮抗薬だと高血圧,冠攣縮,狭心症を1剤で治療できるので,日本人にとって好ましいと言えます。

長谷部 
「一薬三鳥」ですね。

Oparil 
アジア人では,白人や黒人とは病因や罹患しやすい心血管疾患が違いますし,人種,疾患に合わせた薬剤選択が望まれます。

長谷部 
AHAステートメントの内容から,降圧の意義,薬剤選択まで,活発な議論が展開されました。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41210601&year=2008

出典 Medical Tribune   2008.5.22
版権 メディカル・トリビューン社

<番外編  ホットニュース>
筋肉のエネルギー消費を調節=たんぱく質のスイッチ機能解明-東大
血管の疾患などに関与しているたんぱく質が、筋肉のエネルギー消費を調節する働きを持っていることを、東大循環器内科の永井良三教授らのグループが突き止めた。
別の小さなたんぱく質との結合・分離によってスイッチを切り替えるように調節することも分かり、25日付の米医学誌ネイチャー・メディシン電子版に発表した。
 
こうしたメカニズムが明らかになったのは初めて。
研究グループは「肥満やメタボリックシンドロームの新たな治療薬開発につながる」としている。
 
「KLF5」と呼ばれるこのたんぱく質は、さまざまな遺伝子の機能を調節しており、これまでに血管や心臓の疾患、がんなどへの関与が知られている。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008052600010
時事通信社 2008/05/26-01:09

<「KLF5」関連サイト>
『Zinc finger型転写因子ネットワークによる脂肪細胞機能と形質変換制御機構』
http://www.adipomics.net/kenkyuuinn/16_17/1_5.html
21世紀COEプログラム    環境・遺伝素因相互作用に起因する疾患研究 
http://www.u-tokyo.ac.jp/coe/coe02_tanbou25_j.html

東京大学大学院医学系研究科 真鍋一郎グループ
http://plaza.umin.ac.jp/manabe/kenkyu.html

転写因子KLF5の心血管リモデリング制御機構の解明と治療への応用
http://ja-tec.com/F/F42/content81804.html

KLF5
http://en.wikipedia.org/wiki/KLF5

平滑筋細胞・脂肪細胞形質変換の転写制御
http://jams.med.or.jp/symposium/full/124092.pdf 

 

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タイトルの「冠動脈疾患」と「虚血性心疾患」のcinical entityの定義にむしろ興味があるところです。
文中で、そのことが書かれているかどうかを意識しながら勉強してみました。


特別企画
座談会
冠動脈疾患の一次予防および
虚血性心疾患の二次予防に対する高血圧治療
~降圧目標値,望ましい降圧薬~
   
高血圧は冠動脈疾患(CAD)と強い相関関係にあり,またCAD,脳卒中,腎障害の独立した危険因子であることが,数々の疫学調査により明らかにされている。
 
そのような折,2007年に,CADの一次予防および虚血性心疾患(IHD)を合併した高血圧患者における二次予防の治療指針を示したAHA Scientific Statement「Treatment of Hypertension in the Prevention and Management of Ischemic Heart Disease」(以下,AHAステートメント)が, Circulationに掲載された。
このAHAステートメントでは,CADの予防および病態に応じた降圧目標値と望ましい降圧薬について言及されている。
 
2007年のAHA会期中に開かれた本座談会では,AHAステートメントの共同執筆者であるSuzanne Oparil氏を招き,このステートメントの内容を中心に,降圧目標値, Jカーブ現象,夜間・中心血圧,降圧薬の選択について議論を尽くしていただいた。

司会
旭川医科大学内科学講座 循環・呼吸・神経病態内科学分野教授
長谷部 直幸 氏 

出席者(発言順)
Professor of Medicine and of Physiology and Biophysics at the University of Alabama School of Medicine in Birmingham
Suzanne Oparil 氏 

東京医科大学内科学第二講座主任教授
山科 章 氏 

東邦大学臨床検査医学部門教授
盛田 俊介 氏 

谷部 
本日は,2007年に発表されたAHAステートメントについて,皆さんで議論を深めたいと思います。
このステートメントは,IHD患者における目標降圧値を示すなど
臨床に即した内容となっている点がユニークです。
また,わが国の「高血圧治療ガイドライン2004」ではIHD患者における降圧目標値基準が設けられていません。
2009年の高血圧治療ガイドライン改訂ではAHAステートメントを参考にした文言が盛り込まれる可能性もあり,大変重要な指針だと思います。
まず,Oparil先生にステートメント発表の背景と,血圧に関する内容を概説していただきます。

心疾患を合併する高血圧治療に重きを置いた専門的ステートメント
Oparil 
このAHAステートメントはJNC(Joint National Committee)やガイドラインとは違い,心臓病専門医に向けた内容となっています。
 
背景として,JNCは米国立衛生研究所(NIH)傘下の米国立心肺血液研究所(NHLBI)から支援を受け,疫学的なアプローチ,すなわち無作為化比較試験(RCT)での結果を中心に検討するのですが,RCTの場合,不安定な心疾患を有する患者は除外されてしまいます。
しかし,心臓病の専門家は,まさに心疾患を抱えた患者に対する高血圧治療の指針が必要だと感じているのです。
よって,RCTの裏づけがない場合でも観察研究などから勘案し,必要に応じて推奨項目を記載しています。
 
このステートメントでは,高血圧患者に対するCADの一次予防ならびにIHDの病態に応じた二次予防を念頭に置いて作成しています。
降圧目標値の決定において参考にした試験の1つがCAMELOT-IVUSサブ試験(NORMALISE試験)で,正常血圧(120/80mmHg)を達成した群では,高血圧前症群(120-139/80-89 mmHg),高血圧群(140/90mmHg以上)と比べプラーク容積に有意差が認められました。
プラークではありますが,CADの代替指標として考えると,この結果は我々に大きなエビデンスを与えてくれています。
 
また,HOT試験サブスタディでは,糖尿病合併高血圧患者において拡張期血圧(DBP)が80mmHg以下の群は85mmHg以下,90mmHg以下の群に比べて総死亡が減少し,DBP数mmHgの降圧の重要性が示されました。
最適なDBP値は85mmHg前後と言われますが,糖尿病の場合は高血圧のみの患者より,さらに厳格な降圧が必要です。
 
これらの試験結果などを参考に,
リスクのない患者に対する一次予防の目標降圧値は140/90mmHg未満,高CADリスク(糖尿病,慢性腎臓病,CADもしくはCADと同等の疾患,10年フラミンガムリスクスコア10以上)の予防では130/80mmHg未満としています。

二次予防では,安定・不安定狭心症,ST上昇型,非ST上昇型心筋梗塞(MI)において130/80mmHg,左室機能障害では120/80mmHg未満と設定しています表 1)。


ただし,血圧の下がり過ぎによる冠血流量の減少で引き起こされる死亡率の上昇には留意しなければなりません。

総じて,一次・二次予防には厳格な降圧が必要です。
 
また,
(1)DBP高値および心筋虚血の既往のあるCAD患者は緩徐な降圧を,
(2)高齢患者(80歳以上)では,降圧による脳卒中発症抑制は認められるものの,CADについては明確でない,
(3)コントロール不良かつ重度の高血圧で,抗血小板薬,抗凝固薬を投与している場合,迅速に降圧すべき
―以上3点を留意点としています。

降圧が,プラーク減少や死亡率改善に寄与
長谷部 
それでは,まず降圧レベルと臓器保護について議論を深めようと思います。

山科 
先に示された降圧目標値は妥当だと思います。
他方,リスクのない一次予防の140/90mmHg未満は高すぎるという印象です。

Oparil 
降圧目標値は常識的な見地から導き出しています。
高血圧の専門家は,合計1,270万人を対象とした前向き観察研究のメタ解析で最もリスクが低かった115/75mmHgが降圧の理想値と考えがちですが,この数値は観察研究から導き出されたもので,介入研究ではない点に留意する必要があります。
このステートメントの降圧目標値は140-120/90-80 mmHgの範囲で考えていて,なかでも収縮期血圧(SBP)に注目しています。

盛田 
NORMALISE試験では,130 /80mmHgを達成した患者でプラーク容積の減少が認められていません。
この結果だけから考えると,CADの予防において130/80mmHgは妥当でしょうか。

Oparil 
大多数の医師にとって,例えば降圧薬を多量に用いてIHD患者のSBPを120mmHgまで下げるという治療を受け入れるのは難しいのではないでしょうか。
臨床試験は比較的健康な症例を対象にしています。

これをそのまま,より重篤な症例に当てはめ,やみくもに厳格な降圧をすれば,間違いなく病態が悪化してしまうでしょう。

山科 
また,
NORMALISE試験で,120/80mmHgが達成された群でプラーク容積が低下したという結果は示唆に富んでいます。

降圧がプラークを減少させる機序はどのようなことが考えられますか。

Oparil 
体内機構がその一因だと考えます
血圧が上昇すると,LDL-コレステロールがプラークに沈着しますし,プラークの透過性を高めてしまうのだと考えられます。

山科 
この結果には,同試験で使われたアムロジピンの多面的作用が影響しているのでしょうか。

Oparil 
その可能性もあります。
アムロジピンは降圧効果に伴う抗炎症作用も報告されています。

盛田 
MRFIT試験からも,DBP 70 mmHg未満,SBP 160mmHg超の群,すなわち脈圧が大きい群でもっとも死亡率が高いという結果が出ています)。
降圧が最重要ということでしょうか。

Oparil 
その通りですね。
ただし,SBPの高値は大きな影響を与えますが,DBP高値はSBP高値ほどの影響を与えません。
非常に印象的な結果で,米国では脈圧やSBP高値が与える影響について検討を重ねているところです。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41210601&year=2008

出典 Medical Tribune 2008.5.22
版権 メディカル・トリビューン社

 

<コメント>
冠循環を考えると、拡張期圧との関係がありそうに思えます。
Oparil先生の「SBPの高値は大きな影響を与えますが,DBP高値はSBP高値ほどの影響を与えません」という発言はどのように捉えればよいのでしょうか。

「脈圧が大きい群でもっとも死亡率が高い」という盛田先生の発言も、動脈硬化の完成した老人性高血圧によるもので、結果であって原因ではないと私は思うのですが・・・。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41210601&year=2008

 

出典 Medical Tribune

版権 メディカル・トリビューン社

 

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PRoFESS試験

戯れ言たれる侏儒 / 2008.05.24 00:01 / 推薦数 : 0

 ARBテルミサルタン(商品名ミカルディス)はONTARGET(心血管疾患リスクの高い症例)に引き続いてPRoFESS(脳卒中再発防止)でも良い結果が出ませんでした。
一方、ACE阻害薬では、心血管イベントリスクの高い症例や脳卒中再発防止によい結果が出ています。
ミカルディスはPPAR‐γ刺激作用があるとのことですが、臨床上どのように作用しているのでしょうか。


ニューロタン
ELITEⅡやOPTIMAALでACE阻害薬に勝てず。
ディオバン
VALUE試験でACE阻害薬に勝てず。
カンデサルタン
RESOLVD試験でACE阻害薬に勝てず。

CASE-Jも良い結果が出ず。

JIKEI HEART Studyのみ妙に良い結果。

 

以下は
PRoFESS試験は大番狂わせに 2008.5.17
http://medicineblog.asablo.jp/blog/2008/05/17/3519104
の内容です。(一部改変および省略)
いずれ、きちんとした形で他にも紹介が出てくると思われます。


月14日にEuropean Stroke Conferenceで脳卒中再発予防試験PRoFESSの結果が発表されました。

ベーリンガー・インゲルハイムの抗血小板薬とARBの効果を調べた一石二鳥的試験でしたが、どちらの解析も主目的を達成できませんでした。
Dipyridamole(ジピリダモール)の徐放製剤とアスピリンのコンビ薬であるAggrenoxは、再発予防効果がPlavix(clopidogrelクロピドグレル)と比べて非劣性であることを確認できませんでした。
また、Micardis(telmisartanテルミサルタン)は偽薬より優れていることを確認できませんでした。
どちらも大番狂わせです。

治験のデザインや実施状況が悪かった可能性もあるので、結論を急がないほうが良さそうです。
サブグループ分析の詳細解析が待望されます。
但し、将来的に敗因が明確になったとしても、『AggrenoxはPlavixより優れる』ことが確認される可能性はゼロでしょう。製品寿命を考えれば再試験が実施されるのは望み薄です。Micardisについては、脳卒中再発予防には効かないと結論する人はいないでしょうが、『血圧低下だけでなく多彩な作用を通じて臓器を守る』という黄金のような仮説に汚れが付いたのではないでしょうか。

PRoFESS試験の概要
この試験は、非心原性虚血性脳卒中を発症してから3ヵ月以内の患者20,332人を対象に、世界35ヵ国で実施された大規模アウトカム試験です。
患者背景は、平均年齢66歳、男が64%、有病率は高血圧が74%、高脂血症47%、糖尿病28%。脳卒中後の経過期間はメジアン15日で、ラクナ梗塞が52%、大動脈のアテローム性梗塞が28%を占めています。

特徴的なのはアジアの患者が32%を占めていることで、北米は24%と比較的少なく、欧州などが44%となっています。中国は治験費用が比較的安価で、また市場としての成長力も高いので、大規模試験を実施するには打って付けです。
一方で、欧米とは人種が異なるので地域別・人種別の解析も実施すべきでしょう。
私は、PRoFESS試験が成功しなかったのは、アジアのデータが悪かったのではないかという印象を持っています。

ベースライン時点の平均最高/最低血圧は144/84 mmHg。
1ヵ月時点の降圧剤の同時使用状況は、利尿剤が21%、ACE阻害剤が34%、Ca拮抗剤が25%、βブロッカーが21%となっています。
尚、話が先走りますが、降圧剤試験ではMicardisより偽薬群のほうがこれらの薬の服用率がそれぞれ1-2ポイント高く、その後は3-5ポイントに拡大しました。

2x2ファクトリアル・デザインで、Aggrenox(200/25mgを一日二回)とPlavix(75mg一日一回)を比較すると同時に、Micardis(80mg一日一回)と偽薬の比較も行いました。AggrenoxとPlavix偽薬を服用する患者は更にMicardisまたはMicardis偽薬を、PlavixとAggrenox偽薬を服用する患者は更にMicardisまたはMicardis偽薬を服用したわけです。
メジアンで2.4年間フォローしました。

 

中略

 

この試験でいう『脳卒中』は、抗血小板薬が効果を発揮する虚血性脳卒中(脳梗塞)だけでなく、抗血小板薬が悪影響を与える出血性脳卒中も含んでいます。
Aggrenoxは虚血性脳卒中が若干少ない一方で、出血性脳卒中は若干多く発生しています。

強力な抗血小板薬にありがちな結果ですね。

非劣性検定は駄目でしたが数値上は大差ありませんので、まあ大体同じと考えても良いでしょう。
しかし、同じというのは意外な結果です。
過去に実施されたそれぞれの薬のアスピリン対照試験では、Aggrenoxは脳卒中リスクが2割前後低く、Plavixは7%程度低いという結果になっています。
直接対決すればAggrenoxが勝つと考えるのが普通でしょう。なぜこのような結果になったのでしょうか?

理由は分かりませんが、アジアの患者の比率が高かったことが一因かもしれません。
中国系はカフカス(コーカサス)系と比べて抗血小板薬の出血リスクに敏感と言われているからです。
学会で論評を担当したAlgra博士は、地域別解析や、高血圧症の有無、脳梗塞部位に基づく詳細なサブポピュレーション・アナリシスの結果が発表されればもっとハッキリするだろうとコメントしていました。
主評価項目に出血性脳卒中を含んでいるので分かりにくいのです。

今後、中国系が犯人と確認されれば、それ以外の人にはAggrenoxのほうが良さそう、という結論に変わるかもしれません。
もし確認されなかった場合は、大体同程度という評価が定着するでしょう。
本当は再試験が望ましいのですが、費用や時間の面で難しいでしょうから、PRoFESS試験の結果は間違いでやっぱりAggrenoxのほうが優れていた、という結論に変わる可能性は低いでしょう。

Micardisと偽薬を比較した降圧剤試験の結果はもっと意外です。
血圧降下剤は多数のアウトカム試験で脳卒中リスク削減効果を示しています。
ところが、PRoFESS試験では、リスクが5%しか低下せず、有意水準に到達しませんでした。
二次的評価項目の卒中・心筋梗塞・血管性疾患死・心不全発症/増悪でも、糖尿病発症リスクでも、有意差がありませんでした。

発表者のYusuf博士は考えられる敗因として三点を挙げています。
第一は、服薬遵守率が高くなかったこと。
同じMicardisのアウトカム試験であるONTARGETと比べても低いとのことです。
Aggrenoxを服用した患者は6%が頭痛を理由に服用を止めましたが、同時にMicardis(または偽薬)の服用も止めてしまうケースがあったようです。
二兎を追ったのが裏目に出たのかもしれません。

第二は、他の血圧降下剤の服用状況に群間の偏りがあったことです。
この二つが原因で、Micardis群と偽薬群の最高/最低血圧の差は期中平均で3.8/2.0 mmHgに留まりました。

第三は、フォローアップ期間が足りなかった可能性です。
事後的分析によると、最初の半年間はMicardis群の成績のほうがむしろ悪かったのですが、その後は良い結果でした。

出足の遅さはACE阻害剤やARBの他の試験でも見られたそうで、本当はHOPE試験のようにもっと長くフォローすべきだったのかもしれません。

このように、薬に問題があったのではなくて臨床試験のデザインや実施状況に問題があった疑いが濃厚です。
一方で、違和感もあります。
ACE阻害剤のramiprilはHOPE試験で、最高血圧の群間差は3 mmHgに過ぎなかったのに臨床的転帰が大きく改善する効果を示し、カリスマ的な座に就きました。
レニン・アンジオテンシン系に介入する薬は、血圧を下げるだけでなく多彩なルートで臓器を保護するという議論が盛り上がったのです。

ところが、その後、一部の患者を対象とした携帯型自動血圧測定器を用いた試験の結果が明らかになり、本当はもっと血圧に差があったのではないかという疑問が浮上しました。
高血圧患者の合併症一次予防試験ALLHATでは、ACE阻害剤もCa拮抗剤も利尿剤も予後は大差ありませんでした。

今回の議論は、振り出しに戻っています。
PRoFESS試験のフォローアップ期間はHOPE試験の半分なのでその点は斟酌しなければいけませんが、血圧差が3 mmHgしかなかったので臨床的転帰に差が出なかったという主張は、重要なのは血圧を下げることで薬の選択ではないというアンチ臓器保護仮説論者の主張と同じです。

 

 

<コメント>
「発表者のYusuf博士」はONTARGETの「Yusuf博士」と多分同一の先生と思われます。

 two by twoという「一石二鳥」のデザインとのことですが、逆になんだかわかりにくくなっています。
そして対象の、他民族性も結果の解釈を複雑化させている印象を受けました。
ミカルディスは国内最大投与量の80mgで脳卒中リスク削減効果も二次評価項目でも糖尿病発症リスクでも、その効果には有意差がなかったとのこと。
MRは多分宣伝材料には使わないんでしょうね。
今後のミカルディスの広告が楽しみではあります。

ONTARGETの結果を考察する
http://blog.m3.com/reed/20080412/ONTARGET_
注目の降圧薬臨床試験ONTARGET
http://blog.m3.com/reed/20080404/__ONTARGET
糖尿病から見たONTARGET
http://blog.m3.com/reed/20080413/_ONTARGET


PRoFESSR
The largest secondary
stroke prevention trial ever.
http://www.profess-stud