戯れ言たれる侏儒
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相も変わらずで申し訳ありません。
またまたARBで勉強しました。
オルメサルタンについてはMR相手に勉強会が5月中旬にあるのでおつきあい下さい。
この勉強会では、こちらからの提案でMRからあらかじめ質問事項を集めました。
主なものは、降圧剤の中のARBの位置づけと各種ARBの使い分けです。
先生ならどのようにお話されるでしょうか。


ARBオルメサルタンの優れた降圧効果と新たな知見
オルメサルタンのメタボリックシンドロームにおけるアディポサイトカインへの影響
メタボリックシンドロームは,新たな動脈硬化性疾患の独立した危険病態として近年注目されており,高血圧の成因論にも大きな影響を及ぼしつつある。
最近,内蔵脂肪の蓄積に伴う代謝異常を,アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)が改善することが報告されている。
今回は船橋氏に,脂肪細胞におけるアディポサイトカイン産生障害に対してARBであるオルメサルタン メドキソミル(オルメテックR)〔以下,オルメサルタン〕が及ぼす影響を検討した成績をふまえ,メタボリックシンドロームと高血圧の関係,メタボリックシンドロームに着目した降圧治療についてご解説いただいた。
なお,聞き手は堀内氏である。

解 説:
船橋 徹 氏(右)大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科学 准教授
聞き手:
堀内 正嗣 氏(左)愛媛大学大学院医学系研究科分子心血管生物薬理学 教授

肥満・代謝異常から起こる高血圧が増加している
堀内 
メタボリックシンドロームは,内臓脂肪の蓄積を基盤として高血圧・高血糖・脂質代謝異常などを伴います。
そこで最初に,内臓脂肪の蓄積がなぜ高血圧を伴うのかについてご説明いただけますか。

船橋 
そのことを理解するためには,高血圧のタイプが変遷してきたことを認識する必要があります。
かつて高血圧は,低蛋白・低脂肪・高食塩という食事摂取パターンを背景として発症していました。
しかし,最近は逆に過栄養な状態で血圧が上昇する人が増えています。
過栄養と運動不足は内臓脂肪の蓄積をもたらし,脂質代謝や糖代謝の異常を引き起こしますが,同時に血圧も上昇させます。
なぜ血圧が上昇するかですが,まずインスリン抵抗性が起こり高インスリン血症のために腎臓からのナトリウムの再吸収が促進されて食塩感受性高血圧が起こるといわれています。
次に肥満が内臓脂肪の蓄積に伴い,脂肪細胞の分泌機能に異常を来すことも一因といわれています。
 
脂肪細胞は単に脂肪を蓄積するだけでなく,さまざまな生理活性物質を分泌して全身の生理機能を調節しています。
この生理活性物質はアディポサイトカインと呼ばれていますが,そのなかには昇圧因子であるAIIの前駆物質である,アンジオテンシノーゲンやアディポネクチン,TNF-αなどが含まれています。
アンジオテンシノーゲンの過分泌は血圧を上昇させると考えられています。
私たちがおもに研究しているのはアディポネクチンで,これが低下すると動脈硬化やインスリン抵抗性を惹起する,あるいは食塩感受性による血圧上昇を亢進することなどが明らかになっています。

堀内 
つまり,内臓脂肪が蓄積すると脂肪細胞からのアディポネクチンの分泌が低下するのですね。

船橋 
そうです。
また,そのほかにも炎症促進因子であるTNF-αの分泌を亢進してインスリン抵抗性を惹起したり,血栓形成をもたらすPAI-1の分泌を増加させることも明らかにされています。

堀内 
血圧上昇がもたらされる機序として,どのような因子が関与しているのでしょうか。

船橋 
もちろんアンジオテンシノーゲンは重要と考えられています。アディポネクチンとの関係ではIwashimaらが血圧値とアディポネクチンとの関係を検討していますが,その結果によると,インスリン抵抗性の有無にかかわりなく,血圧とアディポネクチン値が逆相関することが明らかにされています(図1)。


この血圧の上昇に対するアディポネクチンの関与ですが,アディポネクチンによる血管内皮機能の障害が影響を及ぼしているようです。
血管内皮はNOやPGI2などの血管拡張物質を産生していますが,アディポネクチン欠損マウスではそれらの血管拡張物質の産生が低下することもわかってきました。

オルメサルタンは肥満マウスのアディポネクチン低下を抑制する
堀内 
メタボリックシンドロームではアディポサイトカインの分泌異常が起こるということ,そのなかでも特にアディポネクチンの分泌低下も高血圧発症に一部関与しているというお話でしたが,それをどのようにして治療したらよいのでしょうか。
内臓脂肪を減らすことはもちろんですが,薬物療法はどのように考えたらよいのでしょうか。

船橋 
私たちが最初にアディポネクチンの分泌を上昇させる働きがある薬剤として見出したのは,チアゾリジン誘導体です。
その後,レニン・アンジオテンシン(RA)系抑制薬がアディポネクチン濃度を上昇させるという臨床成績が報告されました。
肥満者の脂肪細胞ではRA系の活性が亢進している可能性があることからも,RA系抑制薬を使用する意義はあると思います。
 
このようにRA系抑制薬はアディポネクチンの増加を示しましたので,私たちはそのメカニズムを動物実験で,RA系抑制薬としてオルメサルタンを使用し検討しました。
まず,マウスの脂肪組織におけるAT1受容体の遺伝子発現量を検討したところ,心臓と同程度であることが明らかになりました。
ですから,脂肪組織でも相当量のAT1受容体が発現しているといえます。
そして次に肥満マウスと正常マウスのアディポネクチン分泌量の観察と,それに対するオルメサルタンの影響を検討しました。今回の検討に用いたのは,非肥満マウス(C57BL/6Jマウス)と肥満発症遺伝子をもちメタボリックシンドロームのモデル動物といわれるKKAyマウスです。
それぞれのアディポネクチン濃度を8週齢と20週齢で比較したところ,C57BL/6Jマウスではほとんど変化は認められませんでしたが,KKAyマウスの場合は,肥満が進行するとアディポネクチン濃度の低下が認められました。
そしてこれらのマウスに対し,21週齢からオルメサルタンを投与したところ,C57BL/6Jマウスのアディポネクチン濃度には影響を及ぼしませんでしたが,KKAyマウスに対してはアディポネクチンの低下を有意に抑制しました(図2)。


このことは,アディポネクチンのmRNA発現量を測定した結果からも示されています。

堀内 
つまり,肥満マウスでのみアディポネクチンが低下し,それをオルメサルタンが抑制するということですね。
ちなみにほかのアディポサイトカインへの影響はどうでしたか。

船橋 
KKAyマウスではC57BL/6Jマウスと比べて,TNF-α,PAI-1,MCP-1などのmRNA発現量が上昇しましたが,オルメサルタンを投与するとこれらは有意に低下しました。

ARBオルメサルタンの優れた降圧効果と新たな知見
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M4028621&year=2007

Medical Tribune 2007.7.12
版権 メディカル・トリビューン社

 

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